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2017年8月28日 (月)

「北海道の冬にはエアコン」というコマーシャルと、灯油

衣料品店のウィンドウや店先には秋物衣料がディスプレイされていますが、テレビコマーシャルではエアコンの宣伝です。「北海道の冬には○○のエアコン」というのがその訴求メッセージで、暖房用としてのエアコンの宣伝です。
 
寒いと(たとえばマイナス10℃以下)、「寒すぎて働けません」と自分で勝手に活動を停止してしまうのが以前のエアコンだったらしいのですが、2~3年前から様子が違ってきて、2月の札幌雪まつりの会場でも暖をとるための休憩室みたいなところで、某メーカーが「寒くてもさぼらない」「寒くても十分に暖かい」エアコンのデモンストレーションをやっていたのを記憶しています。
 
2016年秋に発行されたある資料に「1kWhあたりのエネルギーコストの比較表」(灯油を1.0とした場合のその他のエネルギーの相対コスト比較)があったのでそれを引用することから始めます。1年前のデータなので、電気料金も灯油価格も若干は変動していますし、LPガスは価格設定が業者の自由なので業者価格差・地域価格差が大きいのですが、ここではそのあたりは気にしません。
 
・灯油 = 1.0
・LPガス(プロパンガス) = 2.7
・都市ガス = 1.7
・電気(夜間) = 2.3
・電気(昼間) = 5.9
・電気(従量電灯B) = 4.9
 
この(いささか電気に冷淡な、しかしよくあるタイプの電気ストーブなどを思い浮かべたらきわめてまっとうな)数字に基づけばコスト面では灯油がいちばんです。灯油は暖房効率も群を抜いています。外気温がマイナス10℃~マイナス20℃の寒冷地の戸建て住宅には490リットルの大型灯油タンクがたいていは設置されているのも当然です。灯油は切らすとお終いです(実際に凍え死んでしまう)。だから、そういう大型タンクには業者が使用量に応じて定期的に給油してくれるタイプの契約があります。集合住宅でも灯油暖房のところは、たとえば管理組合が一括購入して共用タンクに貯蔵し、各戸には使った分だけ請求されるといった仕組みになっているようです。
 
しかし、そうでないところでは、灯油には購入と運搬と器具への給油という在庫管理と運用工数が必要です。灯油は決して軽くありません。18リットル入りのポリ容器に灯油を詰めると18kgです。女性や年寄りは持ち運べない。とりあえずは使わない灯油をそのあたりに置いておくのもリスクがある。だから、そういう生活者の間でエアコン需要が伸びてきたのでしょう。
 
エアコン需要の背景には、エアコンという装置の暖房効率の高さという要素もありそうです。エアコンが、以前のように「外気温がマイナス10℃なのでふて寝」という頼りない状態から、「外気温がマイナス20℃の寒さでもしっかりと働く」というそれなりに信頼感の高い状態へとその勤務態度を変えているとして、その「前提」でエアコンの暖房効率を考えてみます。
 
電気を使った暖房は、旧来の電気ストーブを使ってみればわかるように、非常に効率が悪い。しかし、エアコンは「ヒートポンプ」という、外気熱のくみ上げと空気圧縮による熱交換の仕組みを利用しているので、通常の電気暖房器具の5.5倍くらい効率のいいものもあるようです。外気がマイナス10℃~マイナス20℃のときにこの効率が出るかどうかはわからないし、5.5倍ほどの効率の出ないものもあるので、かりにエアコンの効率を電気ストーブの「4倍」と仮定すると、上の数字は以下のように変化します。
 
・灯油 = 1.0
・LPガス(プロパンガス) = 2.7
・都市ガス = 1.7
・電気(夜間) = 2.3  ⇒  = 0.58
・電気(昼間) = 5.9  ⇒ = 1.48
・電気(従量電灯B) = 4.9  ⇒  1.23
 
コスト面で灯油に見劣りがしなくなりました。電気は灯油と違って在庫管理と運用の手間がない。したがって(住環境にもよりますが)、「北海道の冬にはエアコン」というわけです。しかし、北海道には灯油暖房の好きなかたも多いので、さて、どうなるか。早ければあと2ヶ月で初雪です。
 
関連記事は「困ったら灯油はコンビニで?」。下の写真は、灯油タンク(490リットル)の上部とその燃料ゲージ。
 
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