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2017年9月 4日 (月)

関係ではなく、関係性?原因や理由ではなく、要因?

最近、「関係」ではなく「関係性」という言葉がマンエンしているようです。理由や原因ではなく「要因」という言葉が気軽に飛び回っている現象と似ています。たとえばニュース番組におけるサッカーや野球の報道で「関係性」や「要因」という言葉が実に気楽に使われています。ぼくには違和感です。
 
サッカーのような選手間の連携が常に必要なスポーツでは、選手間のその場の瞬間的な関係やプレー間のリアルタイムな関係(や関係の変化)が重要なことはわかりますが、それを「関係」ではなく「関係性」と呼ぶ理由がぼくにはわからない。
 
「それを『関係性』と呼ぶ『理由』がわからない」を、かりに「それを『関係性』と呼ぶ『要因』がわからない」と言い換えると、とても今風な感じになります。
 
具体例を出すと、ある時点の二つのプレーの「関係」、ないしはパスを出しそれを受け取った二人のプレーヤーの「関係」という言い方ではなく、その二つのプレーの「関係性」、ないしはパスを出しそれを受け取った二人のプレーヤーの「関係性」という表現を、アナウンサーやレポーターはするのですが、わざわざ「関係性」としたその意図は何だろうと考えてしまいます。もっとも、そういう意識はもともと念頭になくてなくて、言葉の響きにつられてなんとなく使っているだけかもしれませんが。「関係」よりも「関係性」のほうが格好良く響く。
 
ぼくの記憶では、「関係性」という変な日本語が一般化したのは、マーケティング分野で Relationship Marketing という考え方が登場して以降だと思います。Relationship Marketingは「リレーションシップ・マーケティング」、ないし「関係性マーケティング」と訳されました。Relationが関係なので、Relationshipは関係性ということにしたのでしょう。
 
Relationshipは一般的な言葉なので、それ以前は、日本語訳としては、「(人と人の)関係、結びつき、(物事と物事の)関連、関係」などが当てられていたと記憶しています。スッキリとしている。
 
蛇足ですが、リレーションシップという用語はIT業界ではよく使われていました(細かくはリレーショナル・データベース管理システムという分野において)。しかし、それは専門家やその周辺の人たち用の術後ではあっても、それ以外のものではなかったはずです。速度優先のIT業界は、3文字や4文字の簡略英語が日常語の業界なので、IT用語としてのリレーションやリレーションシップも通常はカタカナ表記以外の日本語には訳されません。最近だと、IOTやAIスピーカーという例があります。面倒なので、そのまま使う。
 
リレーションシップ・マーケティング(関係性マーケティング)とは、教科書風な説明をすると、商品やサービスの提供者が、顧客との良好な「関係」を長期的、継続的に維持し深めていくことで、顧客の当該商品や当該サービスに対する強いロイヤリティを創り出していくマーケティング手法のことです。
 
その文脈では、「関係性」とは「顧客との一定の関係のあり方」、もっと言えば「顧客との、長期的に望ましい関係のあり方」というです。だからそれを追い求めるマーケティングが、リレーションシップ・マーケティング(関係性マーケティング)だということになります。
 
そういう意味でやや特殊な使われ方をされた「関係性」という用語が、マーケティングの世界をはみ出して独り歩きし始めたのはそれからけっこう時間がたってからだと思います。しかし、なぜ独り歩きし始めたのか。その理由はぼくにはよくわかりません。現象としては、今はスポーツ報道の世界にまで浸透してきました。
 
上述のような使われ方の「関係性」や「要因」に違和感を覚えるのは、しかし、ぼくだけかもしれません。はやく空気に慣れることですかね。

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