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2018年5月 2日 (水)

流通チャネルのハードウエアとソフトウェア

定点観測と勝手に呼んでいるのですが、週末などにときどき配偶者と連れだって、そして長距離散歩も兼ねて、ナショナルブランドの大規模スーパーと、地場の食品スーパーチェーンのなかの中規模店と小規模店を訪れます。ひょっとしたら何か気に入った野菜なんかを少量買うかもしれないので、折り畳みバッグも持参します。
 
スーパーマーケットの機能を大胆にハードウェアとソフトウェアに二分してみます。ハードウェアとはここでは建物やそのなかのショッピング空間を指し、ソフトウェアとはここでは商品の品揃えを指します。だから、売り場(たとえば、生鮮食品売り場と加工食品売り場)を歩いてみて欲しいものが見当たらない場合、その店のソフトウェアの出来が悪いということになります。
 
経済性というものにはいくつかの種類がありますが、代表的なのは「規模の経済性」と「範囲の経済性」です。流通における規模の経済性とは、文字通り、大量仕入れ、大量流通によって低価格販売を実現することです。一方、範囲の経済性とは、専門性の集積、ソフトウェア的なノウハウの集積によって発揮される経済性のことです。つまり、商品の品揃えが顧客にとって魅力的である場合、その理由は、その流通チェーン店の範囲の経済性が優れているからです。
 
大量流通は標準タイプの商品を前提とします。大量流通という形態になじまない商品(たとえば、一定量を供給できない商品、標準的な流通作業工程に向かない形態の商品など)はそこからはじき出されてしまいます。
 
我が家は、生鮮食材と基礎調味料(味噌・醤油・塩・味醂・酢・昆布・鰹節など)が好きな、つまり自分たちで好みの出汁を引き、食材に好みの味付けをしていくというのが好きな家庭です。現在は簡易味付け用加工食品が人気なので、そういうトレンドから見ると我が家は少数派に属する消費者です。そういう消費者にとって、ナショナルブランドの大規模店は魅力に乏しい。同じような思いの他の消費者も少なくないに違いない。
 
だから、というわけではないにしても、地場の人気のお菓子屋や食べ物屋のテナント数がある時点から急に増えたのは、全般的な集客につながる魅力度を補完するためだったのかもしれません。
 
大規模店では大きなカートを引いた家族連れが目立ちますが、高齢者の姿が多いのは、小規模店です。大規模店舗は広すぎる。目的の商品にたどり着くだけで疲れてしまう。それからたいていはそのあとレジ行列が待っています。街中の小規模店は、建物(ハードウェア)は古いけれどもそのあたりの利便性が高いし、レジ担当者とも顔見知りになる確率が高い。「範囲の経済性」というソフトウェア的な専門性が小規模店ならではの品揃えにつながっている雰囲気も感じられます。
 
大規模インターネット通販の貢献のひとつは、実店舗ベースの大規模スーパーならビジネス対象外になるところの「ロングテール商品」からも利益を生み出したことですが、そのうちそういう企業が運営する小規模実店舗でも、蓄積した「範囲の経済性」が形を変えて品揃えに発揮されるかもしれません。結局はソフトウェアが鍵のようです。

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