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2018年8月24日 (金)

五輪塔はモダンな瑜伽する墓

日本のお墓にもいろいろな形があります。最近は大部分が三段墓です。三段墓も美しいのですが、ぼくは五輪塔に魅了されます。古くて思弁的で、形が実際にはモダンという意味でも、新しい。ぼくにはそう感じられる。

写真は、高野山・西南院(さいなんいん)の庭にある鎌倉時代(弘安、13世紀後半)の五輪塔です(写真は高野山霊宝館のウェブサイトなどからお借りしました)。砂岩の石材から彫り出された(一石彫成)五輪塔で、高さは約1メートル。

こういう墓に入っているお相手なら、一瓢(いっぴょう)を片手に座り込んでしばらく無言の会話をするのも悪くない。

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卒塔婆(とくに板塔婆)は五輪塔から派生したその簡略版ですが、大分の富貴寺には石の笠塔婆があります(すぐ下の写真)。こちらのほうだと、対話意欲は湧いてきません。その理由は自分でもよくわからない。

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空海の真言密教のテーマは即身成仏です。人はそのままで仏、と云うことですが、それを語る空海の言葉はとても形而上学的です。その形而上学性というのは、たとえば以下のような頌(じゅ、韻文)に顕れています。

「五大に皆響きあり。十界に言語(ごんご)を具す。六塵(ろくじん)悉く文字なり。法身は是れ実相なり。」(「声字実相義」)

「六大(ろくだい)無碍(むげ)にして常に瑜伽(ゆが)なり。」(「即身成仏義」)

五大とは、「地・水・火・風・空」からなる森羅万象のこと。六大は五大に「識」を付け加えたもので、同様に、全世界、森羅万象という意味です。

その形而上学的な真言密教にも、浄土教の隆盛とともに、即身成仏と極楽浄土を融合させたようなニューウェイブが草の根運動的な形で登場してきます。その担い手が「高野聖(こやひじり)」と呼ばれる人たちです。その思想的な完成者が「覚鑁(かくばん)」、12世紀前半、平安末期の僧侶です。

この覚鑁が即身成仏と極楽浄土の融合体の象徴として作ったとされるのが「五輪塔」、つまり瑜伽(ゆが、瞑想)するお墓です。覚鑁(かくばん)は「真言念仏」というインテグレーション活動の一環として「五輪塔」の形式やそれを支える考え方を整備したらしい。

五輪塔は瑜伽するお墓というのが、ぼくにはいちばん腑に落ちます。

Photo_2  五輪塔の構造

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