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2019年2月15日 (金)

粉飾決算のすすめ

毎週金曜日の新聞朝刊には「ユニクロ」の折り込み広告が必ず入っています。廉価であり、一定の品質(品質をどう考えるかはひとさまざまですが)の衣料品に対する根強い消費需要が継続している証拠です。

私企業が粉飾決算をするとあとでひどい目に合いますが、国家の単位で行われる粉飾決算はその結果がなし崩し的に定着してしまうこともあります。

米国は、時価会計制度を自国以外(たとえば日本)に輸出することに関してはいわば圧力団体だったのですが、たとえば10年ほど前に金融危機に陥ると、その国は手のひらを返したようにさっさと時価会計を放棄し、つまり、わかりやすく翻訳すれば「生きのびるための粉飾決算のすすめ」といった趣旨のガイドラインを突然発表し、危機の回避を図りました。安倍政権下で行われてきたアベノミクスの正当化作業というのも、政権として生き延びるための粉飾決算に近い。思うような経済や景気の数字が出てこないので、思うような数字に近づけるためにGDPの計算方法を変更し、賃金統計にまで手を付け始めました。

アベノミクスは、異次元の金融緩和によって物価を上げ(インフレを作り出し)、景気を拡大し、その結果、消費を活性化するというのが狙いだったようですが、資金需要は(それ以前と同じように)なかったし、(消費税の増税分と円安で)物価は上がりましたが、物価が上がっただけで(それから日銀の積極介入もあって株価も上がりましたが)、消費支出のもととなる実質賃金はまったく上がりませんでした。だから継続してユニクロの安売り広告が毎週末に新聞に折り込まれています(ユニクロもアベノミクスの途中で消費動向を読み違え「らしくない」高い商品を売り始めましたが、誤りに気がついて戦略訂正)。

「データが語る日本財政の未来」(明石順平著)という出版されたばかりの新書版の本があります。内容はタイトル通りに、特殊なソースではなく、官公庁データや日銀データといったぼくたちがアクセス可能な媒体やソースから、著者が地道にデータを集め地道に分析をしながら、数字とグラフで日本の財政の未来について考えた本です。そのなかにアベノミクス(の分析と評価)についてとても説得力のある複数の章があり、以下にそのいくつかを引用させてもらいました。なお、著者は経済学者ではなく、労働事件や消費者保護を専門とされている弁護士です。その本には雄弁なグラフがたくさん含まれています。

最初のグラフは「名目賃金・実質賃金・消費者物価指数の推移」を関連付けたもの。アベノミクス(第二次安倍晋三政権)が始まったのは2012年末。

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次が実質民間消費支出の推移。グラフの数字が2015年で終わっているのは、上述のようにGDPの計算方法の変更があったので継続性がなくなったため。

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貧乏になると(消費支出における食料支出の割合を示す)エンゲル係数が上昇しますが、以下は2000年から2016年にかけてのエンゲル係数推移です。アベノミクス下で、物価が上がり、食品価格も上がり、しかし実質賃金は上昇しなかった。おなかがすくのがいちばん困るので、その結果アベノミクス開始とともにエンゲル係数は急に上昇しました。

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安倍晋三首相が先日(2月10日)の自民党大会のスピーチのなかで「悪夢のような民主党政権」と言ったそうですが、その「悪夢のような民主党政権」時代のGDP推移とアベノミクス(2012年末)以降のGDP推移を比べてみると、民主党政権時代はGDPの伸びに関しては実際は「バラ色」だったみたいです。

Gdp

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