Summertime(子守唄)
「Summertime」という曲は、奴隷制度廃止後の米国南部を背景とした「Porgy and Beth」(ポーギーとベス)というオペラで使われた子守唄です。奴隷制度の廃止で黒人差別がなくなるはずもなく、彼らは貧しい。その「Summertime」は次のような歌詞で始まります。
Summertime and the livin' is easy
Fish are jumpin' and the cotton is high
Oh yo' daddy's rich an' yo' ma is good lookin'
So hush, little baby, don't you cry
夏になると 暮しは楽ね
魚は飛び跳ね 綿(わた)の木も伸びる
お父さんはお金持ち お母さんはきれい
だから、シー、赤ちゃん 泣かないで
「the cotton is high (綿の木も伸びる)」という表現は綿花栽培が経済の支えだった当時の米国南部では景気の象徴だったようです。綿の木が伸びて、白い綿花がいっぱい実り、綿花の売り上げで、貧しい生活も少しは楽になる。だから、夏は暮らしやすい。
子守唄は若いお母さんが赤ちゃんに歌いかけてももいいし、小さな女の子が背中に背負った幼い弟や妹のために歌ってもいい。そういう唄です。
「夕焼、小焼の、あかとんぼ、負われて見たのは、いつの日か」も子守唄の情景です。あかとんぼを見たその子は、そのとき、「15歳になって嫁にいった姐や(ねえや)」、つまり子守奉公していた女中さんに背負われていました。
少女や女の子や若い女性の歌う子守唄には独特な雰囲気が漂います。
Angelina Jordan(アンジェリーナ・ジョーダン)というノールウェイの少女(ジャズ歌手)が8歳のときに歌った「Summertime」は、妙に枯れていて聴くものに迫ってきます。季節は夏、場所は北欧。
バルセロナ生まれの女性ジャズ歌手 Andrea Motis(アンドレア・モティス)が18歳のときにバルセロナのジャズクラブで歌った「Summertime」は、柔らかくてみずみずしい感性に溢れています。
そしてこれはぼくが勝手にそう思っているだけですが、昔の自分を思い出して歌う子守唄というのもあるようです。深いところで泣きたかったのでしょうか、テキサス生まれの女性ブルーズ歌手 Janis Joplin(ジャニス・ジョップリン)が26歳のときにコンサートで叫ぶように歌った「Summertime」には格別の凄みがあります。
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