ラジオ体操(第一)
冬の札幌でスキーなどのウィンタースポーツ以外の運動を何かしようとするとスポーツクラブのお世話になるしかありません。そのあたりを速足で歩こうにも道路は雪で凍っています。
スポーツクラブやそういう趣旨の公共施設に設置してあるマシーンの上で歩くか走るか、あるいはスイミングプールで泳ぐか、選択肢は多くありません。歩いたり走ったりするのが簡単でいいのですが、ウォーキングマシーン(というかランニングマシーンというか)は景色が変化しないので、つまり単調なので、ぼくは好きではありません。だからiPodなんかで音楽を聴きながらベルトの上を歩く(走る)人たちも多い。
ぼくは、自宅でラジオ体操です。CDを安い小さなCDプレーヤーにセットしてあり、邪魔にならない場所に置いてラジオ体操専用にしてあります。ただしラジオ体操といっても「第一」のみです。「第二」はできない。第一は体が覚え込んでいるので、ピアノ伴奏が聞こえてくると「音声ガイド」がなくても身体は勝手に動きます。
ラジオ体操の誕生と関係の深い「かんぽ生命(旧逓信省簡易保険局)」のウェブサイトを拝見すると、ラジオ体操第一は「老若男女を問わず誰でもできることにポイントを置いた体操です。軽快なリズムに合わせて、体全体の筋肉や関節をバランスよく動かすことができます」となっていますが、すき間時間にまじめにやるとそれなりの運動量になります。
そのサイトでラジオ体操関連の記述を読むと、ラジオ体操は思っていたより新しく「昭和体操」と呼んでもおかしくない。ぼくたちがデフォと認識している今のバージョンのラジオ体操(とくに「ラジオ体操第一」)は1951年(昭和26年)生まれだそうです。
「1928年(昭和3年)9月 簡易保険局を中心に日本放送協会、文部省等の協力の下に旧ラジオ体操第一を制定」
「同年11月 東京中央放送局からラジオ体操放送開始(朝7時から)NHK江木理一アナウンサー登場。ラジオ体操普及のため体操講演会を昭和4年末まで行う」
「同年12月 ラジオ体操のレコードができる(3枚1組)」
「1929年(昭和4年)2月 ラジオ体操全国放送となる」
「1945年(昭和20年)8月15日 旧ラジオ体操を中止」
「1951年(昭和26年)5月 現在のラジオ体操第1を制定、放送開始」
こういえば身も蓋もありませんが、ラジオ体操は簡易保険(シンプルな官製生命保険)販売のプロモーションツールとして誕生したということがわかりますが、それがあれだけ(ないしはこれだけ)普及したその影響力というのはそのあたりのテレビコマーシャルの比ではありません。普及段階では、全国の郵便局員がラジオ体操講習会という地味なマーケティング活動を繰り返したのでしょう(大勢でいっしょにやるラジオ体操が日本人の体質に合っていたということがあるとは思いますが)。
1945年8月15日の中止理由については当該サイトには何も書いてありません。別のソースをあたるとマッカーサーが反対したらしい。本当かどうかわかりませんが、ラジオ体操は軍国主義につながる、号令ひとつで何百万人もが一斉に動く、というのがその理由らしい。その理由付けは、一応は、腑に落ちます。ナチスドイツの少年少女教育を撮影した記録映画の中で彼らが似たような雰囲気の体操を乱れなく行っている場面があったと記憶していますが、彼にとってはそれと似たような不気味な圧迫を感じたのかもしれません。
ぼくはある程度の年齢に達してからは、何十人、何百人でいっしょにやるラジオ体操は苦手で、ひとりか二人くらいでやるのが性に合っています。だから、自宅でCDプレーヤーです。元気なモノラル音が身体を包むように拡がるのも悪くありません。
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