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2019年3月 4日 (月)

紙がざらついた本が意外と読みやすい

低品質の軽い紙を使った本の方が、紙質のいい、たとえば辞書のような薄くて白くて強い紙に印刷された本よりも読みやすい場合があります。実際に生成りではないにしても、生成り風に紙がいくぶんざらついたところが目に優しい。ページを繰るという物理的な作業も紙どおしのくっつきがなくスムーズです。その大きさが日本の小説の単行本に近い欧米のソフトカバーの本などはそういう意味では読むのが楽です。

ノンフィクション分野の580ページのハードカバー本と聞くと、それを手に取ったときの重さが読む前から容易に想像できるのですが(普通はずっしりと重い)、今、手にしている本はカバーがついた大型のハードカバーであるにもかかわらずとても軽い。最初はその軽さに驚きました。軽量である理由はその紙質です。いわゆるソフトカバー用(あるいはペーパーバック用)の、高品質ではまったくない種類と同質の紙を使ったハードカバーだからです。ハードカバーで厚みがあって作りがしっかりしていて、そして軽い。クロスオーバー、フュージョンという言葉が浮かんできます。

「あしたのジョー」なんかが連載されていた頃のかつての少年マンガ雑誌の紙質よりは断然いいのですが、そのハードカバー本の本文は高級感を感じさせない少しざらついた淡いベージュ色です。だから本棚に仕舞い込んであると、各ページの天地付近の紙の色が短期間でベージュから薄茶に変化してしまうかもしれません。しかし、元の色のままであったらけっこうな技術です。

日本の著名出版社の専門的な内容の本であっても、出版社によっては、紙の色の経年変化(劣化)がとても激しいものがあります。その重厚な内容の本を20~30年ぶりくらいに読み返そうとしたら、出版当時はその値段からして高品質だと思っていた本文の紙が全体的に想定以上に茶色くなっていて唖然としたことがあります。その出版社は、その時以来、本の品質という点に関しては信用ランクを2段階ほど落としました。

ざらついた安づくりの紙の本がなぜ読みやすいのか。軽くて持ちやすいということもありますが、ページのざらつきに読んでいるときの感情やそのときの一瞬の記憶が刷り込まれていくからでしょうか。電子書籍では、表示をソフトウェアで精妙に加工したとしても、提供が難しい種類の経験です。

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