一本の立ち葵が美しい
遅い午後や夕方の立ち葵が美しい。タネがそういう風に落ちて増えるのか、いくぶんかは人の手が入った結果なのか、最初の写真のように仲間と一緒が多くて、それが道路際に順番に同じ色や同じ系統の色の濃淡を違えて連なっているので見続けているとやや食傷気味になります。
葵の原産地は小アジア(トルコ)だそうです。生命力の強い背の高い夏の花です。万葉集にも登場します。ずいぶん昔に中国経由で日本に入ってきたらしい。葵は夏(仲夏)の季語です。
「梨 棗 黍に粟つぎ 延ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く」(万葉集16巻3834番 よみ人しらず)
「なしなつめ きみにあはつぎ はふくずの のちもあはむと あふひはなさく」
次にお会いする日には葵の花が咲いていることでしょう、ならわかりやすいのですが、掛詞の仕掛けが多すぎる歌なので意味がよくわかりません。
ひとりでぽつんと(凛と、というと大げさですが、まあそういう風情を漂わせて)咲いているのもあります。そういう立ち葵に出会うと(二番目の写真)、きれいな女性のポートレートを撮影する気分になります。
日本の夏の樹の花は「百日紅(さるすべり)」です。札幌では5月のライラック、6月のニセアカシアと連続して樹の花を楽しめますが、百日紅の樹は札幌ではまず見かけません。樹と草とでは雰囲気はずいぶん違います。しかし、夏の札幌では立ち葵が百日紅のとりあえずの代わりということにしておきます。
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