春は梅、秋はさくら葉
寒い季節の訪れはできるだけ遅い方がいいのですが、先週ほどではないにしても今週の札幌もそれなりに暑いので、以前ひんやりとした季節に撮影した「紅葉・黄葉」の写真を見るともなく見ていたら、桜の紅葉を撮ったのがそれなりにありました。
あまり注目されませんが、秋には桜も紅葉します。楓(かえで)のような鮮やかな紅に染まるのではなくて、葉の色を地味な、渋い抑えた赤に変えます。短期間とはいえ春に花が他よりも目立ちすぎることを恥じて、秋にはつつましくしているのかもしれません。
「もみじ」とは、秋になって赤や黄色に変色した草木の葉のことを指します。漢字だと「紅葉」や「黄葉」と表記されます。「桜紅葉(さくらもみじ)」とは赤くなった桜の葉のことです。「もみじ」も「さくらもみじ」も秋の季語です。
「楓(かえで)」は紅葉の代表格なので「楓」の別称として「もみじ」を使うことも多い。だから、会話の中でそのときの「もみじ」がどちらを指しているのか紛らわしいことも少なくありません。「桜」の葉が赤くなるのは「楓」よりも早く、あまり来てほしくない寒い季節が近づいていることを「楓」よりも早めに教えてくれます。
下は上とは別の年の10月下旬、同日同時刻の札幌市内のある公園の「桜」と「楓」です。
念のために季語の歳時記を当ってみると、【桜紅葉 さくらもみじ/さくらもみぢ 仲秋】〈桜の葉が色づくこと。桜の木は日本国中どこにでもあるが、あざやかな朱色にならないのであまり注目されることがない。比較的早く色づく〉とそっけない記述がありました。
「春は桜木、秋は桜葉」とすると、いくら桜紅葉が控えめであっても桜の自信が鼻につくので、「春は梅、秋はさくら葉」というのがいいかもしれません。
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