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2019年9月

2019年9月30日 (月)

コートと半袖がいっしょに歩く季節

日曜日、北海道立近代美術館の「カラヴァッジョ展」に足を運びました。カラヴァッジョは宗教画をそれまでの約束事を無視して光と影でとてもリアルに描いたイタリアで画家です。16世紀末から17世紀初めにかけて活躍し38歳で死去するまでの彼の人生も光と影が入り混じり晴れやかさと無頼が交差しています。
 
彼の作品を観ていると、リアルな人物描写であっても、描かれた人物の眼の表情が感情の表れで微細に違っても、男性も女性も同一人物の眼のようです。すべての人物画は自画像の変奏曲ということかもしれません。
 
美術館から大通公園までゆっくりと向かっているときに、陽が降り注ぐ午後3時くらいの歩道の人たちの格好を拝見すると、コートとジャケットとセーターと半袖シャツが混在しています。ぼくはサマーセーターです。早朝はけっこう寒くて、それが日中はポカポカと心地よくなる、札幌の今はそんな季節です。早朝に家を出たかたはコートを着て、暖かくなったお昼くらいに外に出た方は半袖でということでしょう。だから街中をコートと半袖がいっしょに歩く。
 
日本の文化は季節の着物や衣類の色や種類に約束事として敏感で、それはそれでけっこうなことで、でもこのくらいのヴァリエーションの対比はあってもいい。プールサイドのリクライニングチェアで高価そうな毛皮のコートを着て本を読んでいるおばあさんのすぐ前を、若い女性がセパレートというよりもビキニ風で元気に泳いでいくという光景にさる晩夏にさる外国で出会いましたが、それに比べるとその対比はそれほど印象的ではないにしても。
 
途中、ナナカマドに日が差して光と影を作っていて、「カラヴァッジョ展」のあとなのでなんとなくその光と影を写してみました。あまり印象的な写真ではないのですが。
 
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2019年9月27日 (金)

北海道産サフォーク・ラムの炭火焼き、再び

先日、「さっぽろオータムフェスト2019」で味わった士別(しべつ)など北海道で育成されたサフォーク種のラム肉の炭火焼きがあまりに美味しかったので、再びその簡易屋台に立ち寄りました。午後2時過ぎの遅い昼食です。
 
木曜の午後ですが、札幌市民と観光客でごった返しています。オータムフェストは北海道産の食べるものがいっぱいなので、皆さん、よく食べますし、それなりに飲む。皆さん、ゆったりと歩きながら美味しいもの候補を吟味するので、ぼくも目的の場所にはなかなか到達できません。
 
天気予報とは違って午後2時は気温が24度くらいのぽかぽか陽気で、とくにその後の予定もなかったので、周りに合わせてビールで一杯やることにしました。何しろそこは屋台です。昼間とはいえ飲むのがデフォです。奥まった席では還暦くらいの男性二人がワインを飲んでいます。1時間くらいはそこで飲み続けている雰囲気です。
 
ぼくが注文したのは、肩ロースとモモとラムロイン。ラムモモは最初から塩コショウで味がつけられていましたが、それ以外も塩コショウでいただくのがいちばんです。小皿で出してくれたタレは今までのそのお店のノウハウが詰まってその味になったのに違いなくても、試しに味を見る以外にはぼくにはとくになくてもかまわないという感じです。ビールを飲みながら温かい秋の午後をゆっくりと過ごします。
 
会場の案内には最近のトレンドを取り入れて「さっぽろオータムフェスト2019では、電子マネーが全会場・全店舗で使えます!!」となっていて、その屋台にも電子マネー専用端末が置かれていました。事務局で一括で用意したのでしょう。あるナショナルブランドスーパーと某巨大コンビニと札幌市とJRの電子マネー(ICカード)が利用できますが、最近にぎやかなQRコード決済までは対応していないようです。
 
で、その利用状況ですが、ぼく及びぼくの周りというミクロな環境に関して言えば、ぼくの左側の先客は現金決済でした。
 
「ラムロイン5人前、テイクアウト」と注文して「8分ほどお待ちいただきますが」「いいわよ」「お箸は?」「二膳」とやりとりした近所のベテラン主婦と思しきかたも複数の千円札で支払い、「ラムロインてどこ?」「牛だとサーロインにあたるところです」「じゃあ、それ2人前焼いてくれる、テイクアウトします、何分くらい待てばいい?」という中年女性も現金決済でした。ぼくも現金を出して現金でお釣りをもらいました。
 
ぼくの左側に坐ったいかにもラム肉を食べ慣れている感じのアラサー男女はどちらでしょうか?中国からの観光客がどういう支払い方をするかは、そのときはその屋台にはいなかったのでわかりません。


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2019年9月26日 (木)

ゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品

遺伝子組み換え作物は、英語ではGMO、Genetically Modified Organismです(順番はGMOが先で、それが遺伝子組み換え作物という訳語になりました)。遺伝子組み換え食品は、英語ではGenetically Modified Foods、あるいはGenetically Engineered Foodsです
 
一方、ゲノム編集はGenome EditingないしはGenome Engineeringで、だからゲノム編集食品はGenome Edited FoodsないしはGenome Engineered Foods。
 
DNA(デオキシリボ核酸、その生物がもつ遺伝情報を規定する化学物質)の総体をゲノム(genome)といいます。ゲノム(genome)とは、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、「遺伝情報の全体・総体」を意味します。先ほど本棚をのぞいたら「ゲノムを読む」(松原謙一・中村桂子著、1996年)というタイトルの古い本がまだ棚の奥のほうにありました。いささか懐かしい。
 
遺伝子組み換えといってもゲノム編集といっても、要は両者とも、特定の目的のために遺伝子や遺伝情報を操作することです。特定の目的とは、一般的には生物の品種の改良とされていますが、その中には結果としての品種の改悪も含まれるので、遺伝子組み換えやゲノム編集の目的は品種の変更や修正としておいたほうがよさそうです。
 
先日、消費者庁は、ゲノム編集で品種改良した食品に関して、特定の遺伝子を切断しただけの食品についてはゲノム編集表示を義務付けないと決めたと発表しました(「ゲノム編集技術応用食品の表示について」 消費者庁食品表示企画課 2019年9月)。
 
その理由は、ゲノム編集食品は、当該食品(食材)にヒトが欲する機能や特性を持たせるために当該食品(食材)の特定の遺伝子を切断して作られますが、そのときに外部から遺伝子を挿入するタイプと挿入しないタイプがあり、現在開発が進んでいる食品の大半は挿入しないタイプで、そういうタイプだと、ゲノム編集食品はそれを作った本人しかそれがゲノム編集されたものだとはわからない(外部の第三者は当該食品の特徴がゲノム編集の結果でであるか従来の育種技術で起きたのかどうか科学的に判別できない)。それが表示義務がない理由だそうです。
 
ところでゲノムは遺伝情報の総体を意味する用語とはいえ、ゲノムの全部が遺伝子であるわけではなくて、ゲノムの中で「遺伝情報を持ったDNA」(つまり遺伝子)は、量としては数%~10%くらい、残り(残りという言い方は、残りに属するDNAにとっては失礼な話ではありますが)であるところの90%は遺伝情報とは直接の関係のない、存在理由がいまだによくわからないDNAです(だから、ジャンクDNAなどと呼ぶ礼を失した研究者もいます)。だから、いまのところ、ゲノムの90%は「無用者」ということになっています。
 
しかし、科学というのが常にそうであるように、ある時点で見えるものは見えるにしても、見えないものは見えない、見えないものの実態はよくわからない、だからとりあえずその「無用者」は「役立たず」としてその存在を許されていますが、そういう「役立たず」を生物はなぜずっと抱え込んでいるのか。かりに「無用者」の一部を毀損した場合その影響が長期でどうなるかは誰もわからない。況や、特定機能を担っている遺伝子をゲノム編集で切断して特定機能を殺した(抑止した)結果の長期の影響に於いておや。
 
身近な例で言うと、以前は(「腑に落ちない」とか「腹に落ちる」という慣用句の長い間の存在にもかかわらず)見向きもされなかった、あるいは頭や心臓と比べると非常に軽視されてきた「腸」や「腸内フローラ」のひそかで重大な役割が最近になって急に見直され始めたというような事例もあります。(関連記事は「食べものや体における『無用者の系譜』」)。
 
牧草と配合飼料とゲノム編集」で書いたように、ゲノム編集食材は日本が世界を一歩リードしています。
 
養殖の鯛やハマチは魚売り場ですでにおなじみですが、ゲノム編集技術を活用して開発した筋肉もりもりの鯛(肉厚マダイ)の生育が進行中だそうです。ゲノム編集した鯖の養殖も実験中です。魚が研究対象になれば、当然、トマトのような人気野菜やイネも対象になります。
 
しかし、ゲノム編集食品と名付けても遺伝子組み換え食品と言っても、遺伝子を操作した結果生まれた食材・食べものという基本的な事実に関して両者に差はありません。農産物でも(たとえばトウモロコシや大豆やジャガイモ)海産物(たとえばマグロや鯛やサバ)や畜産物(たとえば牛や鶏)でも、作りだす側の適用技術の違いから別の表現を付けているだけで遺伝子を操作して新品種を作ったという意味では同じです。「ゲノム編集は、別の種の遺伝子を導入するのではなく既存のDNAに改変を加えるもので、遺伝子組み換え作物(GMO)に使われる技術とは異なる」と主張されても「ああ、そうですか」と聞き流すだけです。
 
日本は、ECと同様に、遺伝子組み換え食品は表示義務があることになっていて、それが遺伝子組み換え少く品の増殖の防波堤になっているような気になりますが、担当省庁も熱心でないし、実質的には遺伝子組み換え農産物の輸入や流通は業者(作る人や運ぶ人)の「お気に召すまま」状態です。最近も「また遺伝子組み換えトウモロコシの輸入ですか」のような出来事がありました。
 
味噌や豆腐だとそこで使われている原材料の大豆が国産の「遺伝子組み換えでない」ものを選択的に購入できます。しかしゲノム編集食品では作った本人や企業はわかっているにもかかわらず自己申告が免れるとすると、消費者は、たとえば「どこどこ産の妙に筋肉モリモリの鯛は買わない」といった消費者の共有知による食材選択をするしかなさそうです。


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2019年9月25日 (水)

三角形のおにぎりの型

 
ぼくは、配偶者と違って、きれいな三角形のおにぎりを作るのが得意ではないので、型を買ってみました。「ギュッとつめて、ポンと押すだけ」というのがそのおにぎりの型の宣伝コピーです。もっと細かくは「ダブルエンボス加工なので」「型ばなれがよく、お手入れラクラク」と書いてある。
 
実際に使ってみるとその通りでした。最初はくっつきを恐れて軽く水を付けましたが、何個か作っても、型ばなれの良さは持続します。
 
おにぎりの具は、自家製梅干しと自家製の昆布の佃煮です。我が家ではそれ以外の具は食べない。デフォは梅干し。
 
とても早い朝の出発の日などは時間がないので、前の晩遅くに作ってラップで包んであとは冷蔵庫。朝は、その北海道産米のおにぎりを少しだけ暖かくなる程度に軽くチンして、多めの海苔でくるんで食べる。あとはこれも前の晩に作っておいた手前味噌の味噌汁。それを温め、そしてお湯を沸かして抹茶風の粗挽き茶。そうすると、さっと食べてさっと片付けてさっと出かけられます。

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2019年9月24日 (火)

続「美容室の女性スタッフが少なくなった」

 
最近は退職代行サービスというのがあり、若い人からの需要が多いらしい。そういうサービスを提供する会社のウェブサイトには、たとえば、
 
・『ご相談を頂いた当日から対応可能です。お客様のお時間に合わせて、休日や深夜でも可能な限り、対応しております。』
 
・『会社への連絡は 当社が代行いたしますので、もう上司と話す必要はございません。退職届の提出や貸与品の返却も郵送でOKです。』
 
と書いてあります。
 
行きつけの美容室に先週末に行ったときに、いつも上手に髪を洗ってくれるこの四月に入ったばかりの女性アシスタントの姿が見えなくて代わりに男性の臨時スタッフが働いていたので、どうしたのかと思っていたら、店長曰く、突然、退職代行サービス業のスタッフがやってきてその女性アシスタントの退職手続きを代わりに済ませていった。彼女と話す機会もなにもなかったので、なぜ辞めたのかその理由が解らない、とお悩み状態でした。
 
「美容室の女性スタッフが少なくなった」で書いたように、ぼくの眼には3年ほど前から美容室勤務の女性スタッフ(スタイリストやアシスタントと呼ばれている女性従業員、とくにアシスタント)の割合が目立って少なくなってきて、どうしてなのかと思っていました。
 
前々回、洗髪の上手なその女性アシスタントから工程の最後近くで頭や肩のマッサージをしてもらっているときにそういう話をしていたら、美容業界において彼女らに人気のセグメントは髪ではなくネイルや睫毛エクステンションだと知りました。たしかに、美容室の勤務はけっこう過酷で、労働時間は長い。給与も高くない。
 
「最近女性スタッフが少ないんだけど、美容専門学校に行く女の子が少なくなっているの?」
「学校は、女の子のほうが多いです。」
 そうだろうと思います。
「美容室に入ったあと、すぐに辞めちゃうのかな?」
「そういう人もいるけど、卒業しても美容室に入らない子も多いから」
 へえ、そういうものかと思います。
「どこか他の業界に行くの?」
「アパレルとかに行く子もいますけど、ネイルや睫毛エクステンションが人気です。とくに睫毛エクステンション。今は美容師免許がないと睫毛エクステンションはできないので。そういう子は、学校でもカットの勉強とかはあまり熱心じゃないですね。」
 
睫毛エクステンションは、睫毛が代謝するのでメンテナンスが必須で、リピーター需要が安定しているそうです。
 
そういう話をその子としたことがあるとお悩み顔の店長に伝えたら、店長はやっと彼女の退職理由に手がかりを得られたみたいでした。
 
美容業界はモビリティが高い業界だとはいえ、職人には手と会話の技能の蓄積が必要な他の業界と同じで、新人をそれなりに使えるまでに育てるには少なくとも3年くらいはかかる。通常営業時間帯にはトレーニングの時間はないので、若い子は閉店後に夜遅くまで練習しながら仕事を覚えている。だから、入社半年で辞められると、それまでの教育投資が無駄になるし、今後の人員計画もやり直しです。
 
だから、そういう場合は経営者や管理者は今後のためにも具体的な退職理由を確かめようとします。チェーン店の店長や複数店舗で構成される比較的規模の大きい美容室の個店の店長は、最近は労働条件や給与水準だけでなく各種のハラスメントも退職理由の一つなので、退職理由をきちんと把握しないといけない。
 
ところが今回のようにおそらく店長にとっては青天の霹靂風に、突然、退職代行サービスのスタッフが店長の前に現れ、彼女の退職手続きをプロの第三者の手で冷静に進めていきます。そういう状況で彼女抜きでそういう専門家とだけ対峙することになるとは店長もまったく想像していなかったらしい。
 
上司への説明や上司からのお説教が苦手な若い転職希望者にとっては『会社への連絡は 当社が代行いたしますので、もう上司と話す必要はございません。退職届の提出や貸与品の返却も郵送でOKです』というのは、とても便利なサービスには違いありません。管理者や経営者にとってはとてもやっかいな腹の立つサービスではあるにしても。
 
ぼくにとってもこういうサービスによってそれなりに親しくしていた女性スタッフが急にいなくなってしまう状況というのは、愉快ではありません。


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2019年9月20日 (金)

北海道のふくろう、本棚のふくろう

何か趣味のものを収集するというのはいつの頃からかすっかり止め、持っていたものはほとんど処分してしまいました。唯一の例外が「ふくろう」(および「みみずく」)です。新たに購入することはありません。
 
以前に旅先やふと立ち寄った雑貨屋で手に入れたので手元にあるもののうち邪魔にならないものを10個くらい本棚に置いてあります。出身地は、カリフォルニアや香港や台湾、メキシコやウルグァイなど。旅先で買ったものと輸入されてきたのを日本で買ったのとが混在しています。
 
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北海道にはエゾふくろうが生息していて、でも、ぼくはエゾふくろうに自然な環境の中で出合ったことはありません。しかし、エゾふくろうの巨大な作り物には阿寒で出合いました。阿寒のコタン(アイヌの集落)の入り口の高い門の上の方で、辺りを睥睨(へいげい)していました。下がそのふくろう。10年前の写真です。
 
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自然環境の中で大型のふくろうと遭遇した経験は一度だけで、場所は南半球。とても大きな白い(ないし淡いグレーの)ふくろうが大きな木の枝で静かに休んでいました。首がくるくると360度近く回ります(モノの本によればフクロウの首の可働領域は270度だそうですが360度に見えた)。
 
自然ではない環境だと、ふくろう屋というのかなんというのかふくろうだけを専門に販売している店に東京で偶然立ち寄ったときに、お店の人がけっこう大きなふくろうを店の前の人通りのない通りで運動させていました。距離は20メートルくらいですが、こんなにゆっくりでよく地面に落ちないなと思うくらいゆったりと羽ばたきます。飼いならされているのかどこかに飛んでいったりはしない。
 
我が家ではお相手はもっぱら本棚の「ふくろう」や「みみずく」、クリスタルガラス製で左眼が時計でもある置物の「みみずく」、それからフランス人画家の手になる版画の「みみずく」で、本棚の連中は本棚のなかでときどき場所を移動します。
 
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2019年9月19日 (木)

「アル添」と、マイナス120点

評論家の中村光夫は、ある出版社に持ち込まれた「中世」など複数の三島由紀夫の初期作品原稿に目を通す機会があって、その時に「マイナス120点」と言ったそうです(しかし、その後、中村の三島評はプラスの方向に豹変)。
 
ぼくは若い時分はそのころの日本酒が嫌いで、その理由を二つ挙げると
 
― 夜、仕事の後で、遅めの電車に乗ると、酒場の会話の続きを持ち込んだ酔っ払いの親父どもが、日本酒の気持ちの悪いにおいをぷんぷんさせて、声高な会話は耐えるとしても、彼らが発する日本酒のにおいの酷さを我慢するのが辛かった
 
― 普通の居酒屋や小料理屋の日本酒は、とくに燗酒は関西の有名ブランドであれ何であれ「アル添」(醸造用アルコールを添加した日本酒)だったので、そのためだけだったのではないにせよ、ぼくは悪酔いや二日酔いをすることが多く、日本酒というのはどうしようもない酒だと思っていた。
 
コメ不足になった太平洋戦争後は、日本酒の供給量を増やすために全国の酒蔵で「三倍増醸」と呼ばれたアルコール添加が盛んに行われていました。たとえばある酒蔵ではアルコール添加を全面的に止めたのは2006年になってからだそうで(当該酒蔵のウェブサイトによる)、ということはつまり、それまでは「アル添」をそれなりに出荷していたということになります。
 
今でも本醸造酒(に分類される日本酒)は「アル添」で(アルコール添加量は控えめですが)、これを「淡麗辛口」と評される方もいらっしゃるようです。燗酒をお願いすると、何も言わない限り、デフォで本醸造酒の入ったお銚子になることが多い。
 
評論家とも小説家ともエッセイストとも言えない三つの混淆のようなある文士のエッセイ集(文庫本)を読んでいたら、おそらく昭和32年(1957年)に発表したと思われるある旅のエッセイの中で「アル添」日本酒に関する記述にぶつかりました。以下その部分をそのまま引用します(□□□は固有名詞の伏字、改行はありません)。
 
『□□□は、類別すれば辛口の部類に属する酒なのだろうと思う。しかしいつからのことなのか、米を節約するために政府の命令で醸造中の酒の原液に何パーセントかのアルコールをぶち込むことになってからは、酒を作る技術はこのアルコールの匂いを消すのに集中されることになったようで、上等な酒であればある程、最初に口に含んだ時の味は真水に近いものなのだと、まずそう考えて間違いなさそうである。喉を焼かれる感じがするから辛口で、甘いから甘口なのだという区別はもう存在しない。その代わりに、何杯か飲んでいるうちに、昔飲んだ酒の味の記憶が微かに戻って来て、それが現在飲んでいる酒の味になるから不思議であり、そして暫くすると、要するに昔とは規律が根本的に変わったのだということに気付く。今の醸造家が目指しているのは、酒の中の酒というふうなものであるらしくて、その域に達すれば甘口も辛口もないし、ある意味では、我々はアルコール添加のお蔭で昔よりも純粋な酒の味に接していることになる。そして□□□は、日本で現在作られているそういう良酒の一つである。』
 
これは昭和32年の話だし、当該文士にもいろいろな事情と気遣いがあったにせよ、この一節に関しては「マイナス120点」を付けたいと思います。
 
この文脈で『上等な酒であればある程、最初に口に含んだ時の味は真水に近いものなのだと、まずそう考えて間違いなさそうである』と言われても、それから『ある意味では、我々はアルコール添加のお蔭で昔よりも純粋な酒の味に接していることになる』と説得されても、はあ、と返答するしかありません。


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2019年9月18日 (水)

歩道に落ちていたナナカマドの活用法

以前にも書いたように、札幌市で本数のいちばん多い街路樹は「ナナカマド」です。本数は約35,000本。どういう樹かというと、こういう場合は植物辞典ではなく一般の国語辞典でも十分に役に立ちます。
 
ななかまど【七竈】 バラ科の落葉小高木。山地に生じ、高さ約10メートル。花は小形白色で、七月に群がり咲く。果実は球形で、秋に葉とともに鮮やかに赤く色づき、落葉後も残る。材は堅くて腐敗しにくく、細工物に用い、七度かまどに入れても燃えないという俗説がある。<季語:秋>
 
とても燃えにくい樹なので、かりに街が火事になった時に、そこにナナカマドの樹木列があればそこで延焼が食い止められるということで街路樹に採用されているのでしょう(しかし、いったん火がついたら何日もくすぶり続けるかもしれないにしても、そのあたりはよくわからない)。だからナナカマドは一般の道路際にも公園にもあるし、オフィス街でも歩行空間の広いところや植栽場の揃っているところでは適当な間隔を置いてきれいに並んでいます。
 
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        オフィス街のナナカマド(一昨年の10月中旬)
 
9月になって少し経つと、そのナナカマドの実が赤くなります。赤といっても、樹によっていわゆる赤い色とそれから橙色の二種類があり、どちらも美しい。
 
風で落ちたのか、それとも機嫌の悪いカラスがわざと落としたのか、ナナカマドの赤い実が小枝付きで近所の歩道に落ちていました。落ちて間もないのか汚れていません。そのまま放っておくのも可哀そうなので、拾い、持って帰りました。
 
軽く水洗いをして乾かして、サイズ的に合いそうな花瓶に放り込んだのが下の写真です。落ちたナナカマドのこういう風な役立ち方もあります。
 
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2019年9月17日 (火)

コンセプトは買えるけど、実際には買えないゆったりジーンズ

ある衣料品メーカー(英語だとSPA:Specialty store retailer of Private label Apparelとも称されますが)の新聞折り込みチラシがいつものように金曜日の朝刊に折り込まれていました。
 
ぼくはジーンズには縁がないにしても、絹を織り込んだ柔らかいデニム地のジャケットにときどき、しかし10年近くお世話になっているので、そういうことも含めて面白いなあと思ったのは、「ワイドフィットカーブジーンズ」。
 
キャッチコピーに「はいた瞬間にわかるシルエットの美しさ」「ウエストから脚元までの大きなカーブが太ももを目立たせない」「ウエスト位置が高くなってスタイルよく見える」「体型を選ばず似合う」「待望の特別価格+消費税」と並んでいます。
 
休日にはツータックのゆったりとした裾も決して細くないコットンパンツが好きなぼくとしては、興味をそそられる商品です。チラシで紹介されているのは、モデル着用写真から見ても「女性用」なので、ひょっとして「男性用のワイドフィットカーブジーンズ」なるものがあるかもしれないとそのメーカーのウェブサイトを覗いてみました。
 
どうも女性専用の商品のようです。サイズ表は以下の通りで(ウェブサイトから引用)、「ウエストヌード寸法」は問題ないし「股下補正範囲」も大丈夫だし、「股上」が長いのも結構なのですが、問題は「ヒップ」です。要は、女性のような腰とお尻の比率を持った体形でないところの普通の体形の男性が腰まわりのサイズだけを合わせてはくと、「ウエストから脚元までの大きなカーブが太ももを目立たせない」カッティングによって、不思議な雰囲気のゆったりジーンズになってしまう恐れがあると思われます。
 
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どういう具合に不思議なゆったりジーンズになるか試着してみたい気もしますが、売り場でそうしようとすると、「これは女性向け商品でして」という販売係の対応になりそうです。しかし、最近は買う側も売る側もそういうことにはとくには違和感のない時代だし、「女性のような腰とお尻の比率を持った体形」をもはや維持していない女性もそれなりにいらっしゃると思うので、案外試着させてくれるかもしれません。
 
それが嫌ならインターネット通販で買ってみて、到着したのをはいてみて、みっともない場合は「待望の特別価格+消費税+送料」を無駄にするということなら、自宅で試着は可能です。
 
と、ここまで書いてチラシを見返したら「ワイドフィットテーパードジーンズ」という男性向けのゆったりジーンズがあることに気づきました。商品サイトで購入者コメントを見ると、ぼくにとっては驚いたことに、この男性用ジーンズを購入する女性客がけっこう多い。
 
「女性用のカーブジーンズはイマイチで、シルエットも気に入りませんでした。でもこのジーンズは女性用と違ってポケットのデザインも可愛くてシルエットもワークパンツっぽくて即買いしてしまいました。」とか、「カーブパンツより腰回りがゆったりです。28-30インチくらいまでだと股下が少し短めで細めに一折りするとアンクル丈のような感じでかわいく履けるのが気に入って買いました。」とか書いてある。読んでいてなるほどと納得します。
 
ジーンズはもともと土や石ころの中で働く男性の作業用として誕生しそれが女性にも拡がっていったので、男性用ジーンズを購入する女性客の存在に驚くほうがどうかしているとも言えます。
 
結局のところ、ジーンズという種類のズボンははかないので買わないにしても、このチラシのお蔭でそれなりにマーケティング的な刺激ももらって楽しませてもらいました。


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2019年9月13日 (金)

北海道産のサフォーク・ラムの炭火焼き

 
今年は、9月6日から9月29日まで、北海道の美味しいものを食べて飲むお祭りであるところの「さっぽろオータムフェスト2019」が開催されています。会場は8つのブロックに分かれていてそれぞれに特徴があって(たとえば、ラーメンをハシゴしたければ「5丁目会場」、とにかく美味しい酒と肴ということであれば「7丁目会場」)、ぼくが配偶者と入って行ったのは「7丁目会場」です。
 
下はその「7丁目会場」レイアウト図。
 
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ぼくたちが目指したのは、左下の「大通公園・7丁目屋台横丁(南)」です。屋台が3つ並んでいる。そのひとつで北海道産の「サフォーク・ラム」の肩ロースやラムロインやラムモモの炭火焼きが一杯やりながら食べられます(昼間だと必ずしも一杯やる必要もないですが)。サフォーク種のラム肉は羊肉の匂いが抑えられていて、心地よく柔らかい。こういう場所だと、ぼくたちの食欲が向かうのは、美味しいものがいっぱいある中で、北海道産のラム肉かエゾ鹿肉です。だから、この日はこの屋台です。
 
羊肉にはラム(生後1年未満の仔羊肉)とマトン(生後1年以上の羊肉)があり、マトンのうち肉質がラムに近い生後2年未満のものをホゲットと呼ぶこともあります。仔羊肉や仔牛肉、しらすおろしやちりめんじゃこを舌鼓を打ちながら食べるジンルイというのはそれなりにザンコクではありますが、ここではそのことには触れません。
 
「北海道のめん羊をめぐる情勢」(北海道農政部生産振興局 平成28年6月)によれば国内で消費されている約1万9000トンの羊肉のほとんどはオーストラリアやニュージーランドから輸入されたもので、国産羊肉の割合はわずか0.6%にすぎません。また北海道産の羊肉が国産羊肉の生産量に占める割合は76.5%(平成26年)です。
 
つまり、北海道産のラム肉、とくに北海道産のサフォーク種のラム肉はごく限られたお店でないと食べられませんが、札幌に住んでいるとそういう地の利はあります。


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2019年9月12日 (木)

シンジュ、夏の景色と秋の景色

10月中旬になると写真のような、姿かたちからしてよく飛行するに違いないタネが、実際にも舞うように風に乗って次から次と飛び込んできます。シンジュ(神樹)のタネ(果実の一部)です。シンジュは中国原産の落葉広葉樹で、札幌でも本数は少ないですが街路樹に使われています。
 
この樹はニワウルシと称されるのが一般的で、シンジュは別名扱いのようです。欧州でこの樹が成長が早く背が高くて天まで届きそうなのでそういう意味で「tree of heaven」と呼ばれていて、その直訳が「神樹」、で、別名「シンジュ」となったらしい。
 
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個々にバラバラと飛び立つ前に、小枝ごとタネ(果実)が風で地面に落とされるのもいて、それが歩道で横たわっている姿はそれなりに風情があります。
 
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そのタネ(果実)が青い時はどんな状態かというと、下は8月下旬の近所のシンジュですが、枝からいっぱい垂れ下がっていて、繁殖力を感じさせます。
 
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これが色づいて茶色の竹トンボになり、秋が深まると誰かに工程管理をされている雰囲気で一度にではなく順番に少しずつ飛び出していくので、竹トンボの在庫は真冬になってもなくなりません。いささか迷惑なくらい離れたところまで種を播き散らすのですが、その結果そのあたりがシンジュの若木だらけになったとは聞きません。

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しかし、日本の他の地域では河川敷や空き地などに群生しているのが観察されるそうなので、次世代の確保のために一応はすばらしい生産管理能力を持っているということにしておきます。
 
最初にシンジュは中国原産の落葉広葉樹だと書きましたが、中国ではシンジュのことを「樗(ちょ)」と言います。手元の漢和辞典で「樗」の意味を調べると
 
① 木の名。にがき科の落葉高木。皮は荒く、材は柔らかくて白く、用途はない。
② 役に立たないもの。無用の長物。
 
となっていて、ひどい説明なので最後に持ってきました。ほとんど「独活(うど)の大木」です。タネを意味なくやたらと遠くまで撒き散らすところはその通りかもしれませんが、ぼくはそういうシンジュが嫌いではありません。


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2019年9月11日 (水)

塩とミネラル

医者でもバランス栄養食のパンフレットでも、あるいは梅干し売り場でもどこでも「減塩」という言葉や表示やガイダンスがいつの頃からか「デフォ」になっているようです。だから医者に塩分は控えめにと言われる辛いもの好きのかたは多いのかもしれません。
 
ある甘いものが好きで野菜の嫌いな知り合いが、なんとはなしの体調不良の原因を相談に行った総合内科医から「塩分不足ですね」と言われたそうです。こういうかたは、今どきは珍しい。
 
頑張って塩分を控えめにし続けた結果なのか、それとも好き嫌いが激しくて、つまり甘いものの摂食過多で、しかし味噌汁はほとんど飲まないし漬物に箸は伸びない、梅干しはハチミツ入りの甘い梅干しという生活の結果なのかはぼくにはわからない。しかしいずれにせよ「塩分不足」とは「ミネラル不足」という意味です。
 
しかし、スーパーマーケットやそれに類する売り場でも、買い物カゴの中はお菓子やスイーツ類だけという若い女性をよく見かけるので「今どきは珍しい」というのでもないのかもしれない。
 
塩を分類すると「天然塩(未精製塩)」と「精製塩」の2種類になりますが、実際の商品としては「天然塩(未精製塩)」と「精製塩」と「再生加工塩」の3種類が販売されています。「天然塩(未精製塩)」は「自然海塩」と「岩塩」に分かれます。
 
塩は海水から作られます。海水を天日干しし、あるいは釜で煮詰めると天然塩ができあがりますが、天然塩にはマグネシウムやカルシウムやカリウムや鉄分のようなよく知られたミネラルだけでなく、その他の数多くの種類の微量ミネラルが溶け込んでいます。
 
岩塩も大昔の海水から作られた天然塩です。地殻変動によって閉じ込められた約2億5000万年前の海水が天日干しされ圧縮されて岩のような塩の地層になりました。多くのミネラル類が含まれています。そういう意味では天然塩(未精製塩)は自然海塩でも岩塩でも生きた塩です。
 
一方、「精製塩」とは、工場の化学プロセスで生産された純度の高い(つまり塩化ナトリウムだけの)塩で、ミネラル類(という不純物)は製造過程で除去されています。精製塩は死んだ塩です。
 
「再生加工塩」は、その「精製塩」に、塩の風味に関係するわずかな種類のミネラル類を添加して、その分だけ天然塩(自然海塩)に似せたものです。
 
塩はミネラルという不純物の活躍が決め手です。
 
ミネラルはヒトの体内で合成できないため食物として摂取する必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生します。ヒトの身体に必要とされるミネラルは16種類で、それらは「必須ミネラル」と呼ばれています。「必須ミネラル」は、7種類の「主要ミネラル」(体内に比較的多く存在し1日あたりの必要所要量が100mg以上のもの)と、それ以外の「微量ミネラル」(9種類)に分かれます。
 
きちんとした天然塩(未精製塩)には「必須ミネラル」がバランスよく含まれています。つまり、「カルシウム・ナトリウム・カリウム・塩素・リン・硫黄・マグネシウム」の主要ミネラル7種類がすべて、それから微量ミネラルだと「鉄・亜鉛・銅・クロム・ヨウ素・コバルト」が含まれています。それ以外に含まれている微量元素にはフッ素やマンガンなどがあります。海水に溶け込んでいる(いた)ミネラルという不純物が、料理に使う天然塩(未精製塩)を通して私たちの健康を支えています。
 
だからいい天然塩を使って熟成させた味噌はおいしいし、いい塩で寝かせた梅干しもおいしい。タクアンもいい塩でないと風味にかける。塩麹もそうです。
 
関連記事は「塩の好み」。


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2019年9月10日 (火)

日本梨(ナシ)の味わい

北海道では「幸水」や「豊水」のような日本梨はほとんど栽培されていません。「幸水」や「豊水」は寒さに弱いからです。その代わりというのも変ですが、西洋梨が、余市や仁木、増毛といったサクランボやリンゴ、ミニトマトの栽培が盛んな地域で生産されています。また余市では「身不知(みしらず)」という名の中国梨も栽培されているそうです。
 
日本梨は熟したものを収穫します。収穫直後の日本梨の果実は美味しい。一方、西洋梨はいくぶん未熟な状態の果実を収穫し、それを追熟して食べ頃を待ちます。つまり、収穫直後の西洋ナシはまったく美味しくない。日本梨は、したがって、サクランボ狩りやブドウ狩りと同様に梨狩りという、もぎたてをその場で味わうという主旨の季節のイベント(あるいは販売キャンペーン)が成立しますが、西洋梨の場合はそういうものが成立しません(それらしいものは作れるとしても)。
 
札幌で日本梨を楽しもうと思ったら、北海道以外の地域の梨を買い求めるしかありません。そこで、熊本産の十分に大きい「豊水」と、神奈川産のとても大きな「豊水」を食べ比べてみました。同じ「豊水」でしたが、味わいはずいぶんと違っていました。
 
たまたま食べたものが「熊本・豊水」と「神奈川・豊水」の標準的な味わいであるかどうかはわかりませんが、ここではそういうことにして話を進めると、「神奈川産」は配偶者やぼくには甘過ぎました。食べているとき、食べ終わった時の印象は「ただ甘い梨」。子供や酸っぱいのが嫌いな子供舌の大人が喜ぶに違いない単調に甘い味で、アップルパイに例えると砂糖を使ったアップルパイです。
 
「熊本産」は甘さとほのかな酸っぱさが混交した日本の梨らしいけっこうな風味です。アップルパイに例えると、砂糖は一切使わない、「紅玉」そのものの甘さだけを引き出したアップルパイです。
 
ところで冒頭の段落に書いた、余市の「身不知(みしらず)」という中国梨ですが、「千両梨」とも呼ばれていて(「千成瓢箪」のぶら下がったイメージからの連想でしょうか)、「JAよいち」のウェブサイト情報によれば
 
「この千両梨という梨は明治時代にここ、余市町で偶然実生を発見されたひょうたん型の梨です。」
 
「あまりにも豊産性で果実が大きく手間があまりかからないことから一時期は道内でもたくさん作られるようになったのですが、あまりにもたくさん量が増えすぎて価格が下落してしまい、また和梨の人気が増えた影響もあって千両梨をつくる人は年々減少していきました。今ではほとんどがここ、余市町でしか生産されておらず・・・」
 
「洋梨とは違い青みがあるうちに食べるのが美味しく、シャキシャキとした食感にサッパリとした甘みが特徴で、またコンポートやジャムなんかにもピッタリな梨です」
 
だそうです。砂糖で味付けをすると楽しい種類のようです。1個が400gくらいの大きさです。試しにいかがですか?


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2019年9月 9日 (月)

ニンニク醤油

ニンニクの国内生産量の70%を占めるのが青森県で、二番目が香川県です。だから両方の県のニンニクは野菜売り場でよく見かけます。よくみかける、というのは中国からの輸入ものもとても多いからです。
 
ニンニクの国内生産量は約2万トン。北海道の生産量は約200トン。1%です。ただ、有機栽培のニンニクとなると北海道だけかもしれません。美味しいホワイトアスパラガスで有名な農家が無農薬栽培・有機栽培のニンニクを栽培しています。
 
配偶者といっしょに食材の買い出しに出かけたときに、香川県産のニンニクをまとめて買ってきました。ニンニク醤油を作るためです。
 
二人で皮剥きです。二人だと作業が速い、とは配偶者の弁。
 
皮を剥いたニンニクの根元を切り落とし、頃合いサイズになるように縦に二つに切ります。その時、芯(芽)を丁寧に取り除いておきます。芯(芽)には匂い成分や辛み成分が多く含まれていて、アクが強く、調理の際に焦げつきやすいからです。そして、アルコール度数が40度以上の焼酎で雑菌消毒した容器に入れ、醤油をひたひたになるくらい注ぎます。
 
我が家では、半年くらいは冷蔵庫で寝かせておきます。寝かせておく場所は、使いかけのニンニク醤油の容器の奥など。使い始める時はニンニクをハンドミキサーで砕きます。醤油が減ってきたら少しずつ継ぎ足し継ぎ足し、ニンニク醤油の風味はそれでも大丈夫です。
 
魚でも肉でも野菜でも、いろいろな料理に使えます。下は作った翌日のニンニク醤油です。容器2つ分作りました。現在使いかけのニンニク醤油は、蓋に貼ったラベルによれば2018年12月に仕込んだものです。

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2019年9月 6日 (金)

「秋刀魚」という表記

「秋刀魚」という漢字の組み合わせで「サンマ」という秋の魚を表現するのは、「鯛(たい)」や「鰆(さわら)」という魚偏の表記法とは違って字の組み合わせに動きがあって、同時に絵画的です。それ以外の説得力のある漢字の組み合わせはちょっと思いつかない。
 
「秋刀魚」が使われ始めたのは、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」が発表されてからだそうです。それ以来、人口に膾炙(かいしゃ)した。「秋刀魚の歌」は『我が一九二二年』(ここでは青空文庫を参照)という大正12年(1923年)に出版された本に入っています。最初の数行を以下に引用します。
 
秋刀魚の歌
 
あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉(ゆふげ)に ひとり
さんまを食(くら)ひて
思ひにふける と。
 
「タチウオ」という、小骨の多い白身の魚は「太刀魚」ないし「刀魚」と書きます。姿かたちが「太刀(タチ)」に似ているからです。銀色の身体で怖い顔と歯並びをしていますが、とても美味しい。
 
サンマも姿かたちが「太刀」です。「タチウオ」が長刀なら「サンマ」は短刀で、確かに「秋」に獲れる「刀」の形をした「魚」です。
 
現在、魚売り場に出回っているサンマは迫力のない短刀ですが、そのうち、「口先が黄色くて」「目の周りが透明に澄んでいて」「背がつやつやと青黒くて」「腹が銀白色に輝いて」そして「全身に張りのある脂ののったずんぐり体形」のサンマが出てきたら、もはやただの「短刀」ではなく「鎧通し」(武士が戦場で組打ちに使った短刀)です。そのうち根室で獲れた鎧通しが売り場に並ぶでしょう。
 


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2019年9月 5日 (木)

8月下旬から始まる北海道らしいテレビコマーシャル

半袖半ズボンがふさわしい夜の暑さが続いていても、8月下旬になると、北海道ではテレビコマーシャルに新しいアイテムが加わります。そういうことをまだ思い出させてくれなくてもいいとも言えますが、デパートの洋服売り場の季節替えといっしょです。画面の中で新しい季節は急に訪れます。
 
8月下旬から宣伝される代表的な商品は、
 
・冬用タイヤ
・石油ストーブ
・寒冷地仕様のエアコン
 
凍った路面でいかに短い距離で止まれるかが冬用タイヤの訴求ポイントです。灯油を使う石油ストーブは灯油暖房の温かさそのものとコストパフォーマンスを視聴者に印象付けます。以前は例寒地ではほとんど用をなさなかったエアコン暖房も最近は技術革新で、外気温がマイナス15℃でも十分に暖かいことを謳っています。
 
そのうち自動車用品店やガソリンスタンドなどに休日はタイヤ交換のために車が並び、灯油業者の専用トラックが各家庭の屋外用大型タンク(500リットル)を灯油で満たすために走りまわる光景が見られます。
 
少し季節が下ると、上記の三種の神器に、家庭用除雪機の宣伝が加わります。訴求ポイントは女性、家庭の主婦でも操作が簡単なこと。赤い除雪機と青い除雪機が市場を分け合っています。歩いている途中で実際に遭遇するのも赤か青です。

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2019年9月 4日 (水)

大型ごみの思わぬリサイクル

頑丈な鉄の棒で作った鉢植え用のスタンド(いわゆるフラワースタンド)で写真のような背の高い種類が数個不要になったので、まだけっこうきれいな状態だったのですが、札幌市の大型ごみ収集センターに連絡して収集をお願いしたことがあります。
 
Photo_20190904090101 
以前育てたホップ(と鉢植えとフラワースタンドと棕櫚紐)
 
札幌市の指定ゴミ袋は黄色で、5リットル、10リットル、20リットルと40リットルの4種類があり、燃えるゴミも燃えないゴミも袋は共通です。嫌になるくらい細かく袋を分けている地方自治体もありますが、札幌は市民視線で考え方に無理が少ない、とぼくには思えます。
 
その袋に入りさえすれば、つまりレジ袋風のゴミ袋からゴミがはみ出さないような具合に袋のハンドル(というか手持ち用の)部分できちんとしばれたら、ゴミとして普通に出せます。テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの家電4品目とパソコンは対象外です。もっともノート型パソコンはサイズ的に大丈夫だとしても、普通は冷蔵庫や洗濯機は40リットル袋には入らない。
 
で、1メートル近い背の高い頑丈なフラワースタンドも当然袋に入らないので、大型ごみとして収集を依頼しました。200円とか500円とか900円とかの大型ごみ手数料シールというのをコンビニやスーパーで購入してゴミに貼り付け、指定日(毎週1回)の朝8時30分までに指定場所に置いておきます。
 
夕方、郵便受けを開けたら、当該大型ごみが指定場所になかったという主旨の、そういう書式の連絡メモが入っていました。6時前に出したのでどなたかリサイクルに関心のあるかた(ないしはリサイクル業者)がその数個のフラワースタンドを親切に(ないしはビジネスのついでに)持ち去ってくれたみたいです。
 
札幌市の大型ごみに関するウェブサイトには、リサイクルに関しては、「大型ごみのうち、破損等が無く、そのまま再使用可能な以下のものは、リサイクル収集の対象となります。」ただし、「大型ごみ収集のお申し込みの際、『リサイクル収集で』とお申し出ください。お申し出の無い場合は、リサイクル収集されず、ごみとして破砕されます。」とあり、ぼくはリサイクル指定をしなかったので「親切なかた」が持ち去ってくれなかったら、ゴミとして粉砕されるところでした。
 
同じコーナーの最後のほうに次のような「お知らせ」がありました。
 
「大型ごみの持去りはおやめください市民が出した大型ごみを第三者が持去る事例があるという声が市に寄せられています。市民が出した大型ごみは、市が責任を持って収集します。まだ、使えそうなものであっても、市が契約した委託業者以外の方が持去ることはやめてください。」


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2019年9月 3日 (火)

サンマと地震ときれいな星空

今年もサンマが不漁というニュースが流れています。いくつかのニュース映像を見てもけっこう酷い状態のようです。品揃えのいい対面販売の魚売り場でどんなサンマが並んでいるか確かめてみました。細い頼りないサンマが何尾か氷水のなかで消費者に購入されるのを待っていましたが、消費者はちらっと見て通り過ぎるだけのようです。売り場のベテラン女性と立ち話です。「今年はまだこんなのしか入ってこない。こんなのは初めてです。」
 
札幌市から「広報さっぽろ」の最新版が届きました。表紙に大きな活字で「特集 災害に備えるために 〈北海道胆振東部地震から1年〉」と印刷されています。
 
ほぼ1年前のブログ記事「大きな地震で夜中に急に停電した時に役に立ったもの」を読み返すと、その地震が発生したのは2018年9月6日の午前3時過ぎで、そのすぐあとに北海道全体が停電、ブラックアウトしてしまいました。我が家で冷蔵庫が再稼働の低い音を出し始めたのは、9月7日の早朝です。まる1日と数時間、停電していたことになります。寒くもなく暑くもないいい季節だったのが不幸中の幸いでした。
 
そのときもそれなりに防災グッズや食べものや予備バッテリーは用意してありとくに不自由はなかったのですが、停電が長引くかもしれない次回の災害に備えて、地震後に、スマホの充電パックや非常用ランプ、そしてカセットガスボンベなどをより充実させました。「ごはんパック」と「ペットボトルの水」、「自家製梅干し」と「自家製味噌」、それに抹茶のような粗挽き茶が手元に十分にあるので1週間くらいなら同じ食べものの繰り返しになりますがひもじい思いはしません。
 
その記事の4日前の記事に「サンマが、突然、大衆魚に」というのがあり、2018年は9月になって突然にサンマが獲れ始めたようです。だから、今年は去年よりもサンマの状況は悪い。
 
ブラックアウトに突然見舞われたことの僥倖は、札幌でもきれいな星空が6日の夜に楽しめたことです。札幌はけっこう立て込んできたとはいえ空は大きい。ブラックアウトなので、視線の届く範囲は、救急車の走る以外は、真っ暗、真っ黒です。
 
以前、南半球の緑の灌木と草原が延々と拡がる地域で夜空にそのまま引き込まれてしまいそうな全面の星空を経験したことがあります。世界にはこれほど多くの大小に煌(きら)めく星々があったのかという驚きです。こういう星や星座で埋まった夜空、星空を毎日眺めていたら、各文化で星の物語、星座の神話が次々に紡ぎ出されたのも不思議ではありません。
 
札幌のその夜の星空は空気の透明度が違うのでその美しさには及びもつきませんでしたが、札幌で生活しているなかでいちばん星がきれいな夜空だったと思います。

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2019年9月 2日 (月)

控えめな北海道の観客と女子プロゴルフのことなど

以前はぼくも配偶者といっしょに、ときどきですが、北海道ではないところで、男子プロのトーナメント会場にも女子プロのそれにもお弁当持参で足を運びました。岡本綾子さん(そのときは全盛期を過ぎていましたが)の組についてコースを歩いたこともあります。その日はティーショットが曲がり気味で調子はあまり良くなかったと記憶しています。
 
巨人戦が開催されている東京ドームと日本ハム戦が開催されている札幌ドームの両方のどこか適当な座席に坐ってみてください(立見席でもいいですが)。その場から回りやドーム全体の観客の様子を観察すると、札幌ドームの(つまり北海道の)観客は控えめであることがすぐにわかります。拍手はしますが(それから応援歌の類も必要なそのときには歌いますが)、東京ドームに比べると、とても静かでおとなしい。
 
だから、8月初めの全英女子オープンゴルフで優勝した笑顔の可愛らしい日本の女子選手の帰国後の競技場所が、北海道、軽井沢、北海道だったのは若い彼女にとってはとても良かったと思います。軽井沢は東京からの観客も多いので、テレビ画像を通してですが、北海道では見られないタイプのけっこう大きな声の応援がグリーン周りでありました。もちろんタイミングを計った大向こうの掛け声のような声援ですが、いかにも世慣れていてファンとしての自身の存在感もアピールしたいという雰囲気です。
 
昨日終了した女子プロトーナメントの入場者数を日本女子プロゴルフ協会のサイトで調べてみると4日間で1万7249人でした(女性、同伴者のいる高校生以下、70歳以上は全日入場無料)。1年前(2018年)の入場者数が1万1474人なので、5775人増、50%増です。増加理由は、笑顔とインタビューの受け答えがけっこう楽しいその選手の存在感です。最近はゴルフ中継などまったく見ないぼくが、全英女子オープンの最終日を深夜まで見たことがきっかけでこの一ヶ月の日本の女子プロトーナメントの経過や結果に注目していました。
 
プロゴルフトーナメントの開催運営経費は賞金総額の3倍から4倍かかるそうです。主催者にとってはその中でプロアマ戦が重要だそうですが、プロアマ戦は主要顧客や御贔屓筋の接待場なので、それは主催者でなくてもよくわかります。とくに春の沖縄、夏の北海道が人気で、そういうのは豪華な「あごあしまくら付き」だし(ざっと計算してもけっこうな額になります)、いっしょにプレイできるのが女子プロだと男子プロと違って技量を見下されることもないので招待客は断る理由がありません。主催企業にとってはとても有効な営業マーケティングの機会です。
 
来年の同じトーナメントはその選手が出場するなら、おとなしい観客のひとりとしておにぎりを持って会場に足を運んでみますか。そのゴルフコースは、札幌からは公共交通機関と送迎バスでアクセスが簡単なので。


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