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2019年9月24日 (火)

続「美容室の女性スタッフが少なくなった」

 
最近は退職代行サービスというのがあり、若い人からの需要が多いらしい。そういうサービスを提供する会社のウェブサイトには、たとえば、
 
・『ご相談を頂いた当日から対応可能です。お客様のお時間に合わせて、休日や深夜でも可能な限り、対応しております。』
 
・『会社への連絡は 当社が代行いたしますので、もう上司と話す必要はございません。退職届の提出や貸与品の返却も郵送でOKです。』
 
と書いてあります。
 
行きつけの美容室に先週末に行ったときに、いつも上手に髪を洗ってくれるこの四月に入ったばかりの女性アシスタントの姿が見えなくて代わりに男性の臨時スタッフが働いていたので、どうしたのかと思っていたら、店長曰く、突然、退職代行サービス業のスタッフがやってきてその女性アシスタントの退職手続きを代わりに済ませていった。彼女と話す機会もなにもなかったので、なぜ辞めたのかその理由が解らない、とお悩み状態でした。
 
「美容室の女性スタッフが少なくなった」で書いたように、ぼくの眼には3年ほど前から美容室勤務の女性スタッフ(スタイリストやアシスタントと呼ばれている女性従業員、とくにアシスタント)の割合が目立って少なくなってきて、どうしてなのかと思っていました。
 
前々回、洗髪の上手なその女性アシスタントから工程の最後近くで頭や肩のマッサージをしてもらっているときにそういう話をしていたら、美容業界において彼女らに人気のセグメントは髪ではなくネイルや睫毛エクステンションだと知りました。たしかに、美容室の勤務はけっこう過酷で、労働時間は長い。給与も高くない。
 
「最近女性スタッフが少ないんだけど、美容専門学校に行く女の子が少なくなっているの?」
「学校は、女の子のほうが多いです。」
 そうだろうと思います。
「美容室に入ったあと、すぐに辞めちゃうのかな?」
「そういう人もいるけど、卒業しても美容室に入らない子も多いから」
 へえ、そういうものかと思います。
「どこか他の業界に行くの?」
「アパレルとかに行く子もいますけど、ネイルや睫毛エクステンションが人気です。とくに睫毛エクステンション。今は美容師免許がないと睫毛エクステンションはできないので。そういう子は、学校でもカットの勉強とかはあまり熱心じゃないですね。」
 
睫毛エクステンションは、睫毛が代謝するのでメンテナンスが必須で、リピーター需要が安定しているそうです。
 
そういう話をその子としたことがあるとお悩み顔の店長に伝えたら、店長はやっと彼女の退職理由に手がかりを得られたみたいでした。
 
美容業界はモビリティが高い業界だとはいえ、職人には手と会話の技能の蓄積が必要な他の業界と同じで、新人をそれなりに使えるまでに育てるには少なくとも3年くらいはかかる。通常営業時間帯にはトレーニングの時間はないので、若い子は閉店後に夜遅くまで練習しながら仕事を覚えている。だから、入社半年で辞められると、それまでの教育投資が無駄になるし、今後の人員計画もやり直しです。
 
だから、そういう場合は経営者や管理者は今後のためにも具体的な退職理由を確かめようとします。チェーン店の店長や複数店舗で構成される比較的規模の大きい美容室の個店の店長は、最近は労働条件や給与水準だけでなく各種のハラスメントも退職理由の一つなので、退職理由をきちんと把握しないといけない。
 
ところが今回のようにおそらく店長にとっては青天の霹靂風に、突然、退職代行サービスのスタッフが店長の前に現れ、彼女の退職手続きをプロの第三者の手で冷静に進めていきます。そういう状況で彼女抜きでそういう専門家とだけ対峙することになるとは店長もまったく想像していなかったらしい。
 
上司への説明や上司からのお説教が苦手な若い転職希望者にとっては『会社への連絡は 当社が代行いたしますので、もう上司と話す必要はございません。退職届の提出や貸与品の返却も郵送でOKです』というのは、とても便利なサービスには違いありません。管理者や経営者にとってはとてもやっかいな腹の立つサービスではあるにしても。
 
ぼくにとってもこういうサービスによってそれなりに親しくしていた女性スタッフが急にいなくなってしまう状況というのは、愉快ではありません。


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