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2019年10月 7日 (月)

「50年ぶりの異常気象です」という報道と、自然の循環

遅めの時刻にテレビを見ていたらニューヨークが33.9℃で異常な暑さだという報道がありました。「ニューヨークで10月に33℃以上の気温になったのは78年ぶりだそうです」と画面の中でレポーターがしゃべっています。
 
「30年ぶりの暑さとか、50年ぶりの大雨」という表現で現在の気象の異常事態を報道するのがマスメディアはお好きなようです。78年ぶりもその一つです。ただ、最近はそういう久しぶりの事象を「その原因は地球温暖化、その原因の原因は人為的な二酸化炭素の排出だ」というのと係り結びのように結びつけるのが好きな媒体と、その二つを直接的に結びつけることにためらいのあるらしい媒体の両方がある雰囲気ではあります。
 
冷静に考えると、50年ぶりの激しい降雨とか78年ぶりの高温とか言うのは、50年前と78年前に同じ事象が確実に存在したということなので、そういうゆったりとした周期で自然の事象が循環しているとも言えます。
 
時間というのはぼくたちが感じるものとしては常に現在しかないにしても、それとの付き合い方としては、もっぱら直線の上をどんどんと進んでいくような時間の中で生きるのが好きな文明や文化もあるし、時間の本質は循環(春夏秋冬)や交替(昼と夜、太陽と月)だと考えて循環や交替の中で過ごすのを重んじる文明や文化も存在します。一人の人間のなかでも、直線的な動きで進む時間を心地よく感じるときもあれば、時間が円環状に流れるなかで深いくつろぎを覚える場合もあります。
 
地球や宇宙というのは基本的に循環が好きなのだと考えると、その循環の波と、文明を直線的な改良の進行だと考えるぼくたちの仮説的な直線指向が交差したところが、マスメディアがかしましいところの「何十年ぶりの事象」かもしれません。災害につながるような何十年ぶりかの異常事象や台風や地震についてはじつに困ったことではあっても、残念ながら自然はそういうことをとくには気にしていないようです。
 
下のグラフはプランクトンの外殻化石の分析に基づく1万1300年前から現在までの気温変化(1961~1990年の気温の平均値からの偏差)のグラフです(「A Reconstruction of Regional and Global Temperature for the Past 11,300 Years」オレゴン州立大学 ショーン・マーコットら 2013)。
 
11300-shaun-a-marcott
 
このグラフを見て
 
・データは、我々が、現在、長期の寒冷期の中にいることを示している
・また、データは、我々が数千年にわたる寒冷期の一番底にいるということも示している
・ただし、過去100年の間に気温が劇的に上昇したので、過去数千年の間に起こった寒冷化の影響をすっかり打ち消している
 
と解釈するかたもいらっしゃるようです。
 
これを過去1万年ではなく過去40万年の気温変化(偏差)を描いたグラフ(丸山茂徳 地質学者、元東京工業大学教授)の中に位置づけてみると以下のようになります(赤い縦長の楕円で囲んだ部分が上のグラフに相当する部分)。
 
40_20191004155601
 
おおまかに10万年ごとに気温の上昇と下降(温暖化と寒冷化)を「循環的に」繰り返しています。丸山茂徳氏の言葉をお借りすると『人間が文明を創って、化石燃料をたきCO2を出すようになった時代は、過去300 年前ぐらいからです。このわずかな変化に今ナーバスになっている訳ですが、人間の文明とは無関係に、地球というのはこれぐらい(±4℃)を平気でやっています。』

46億年という地球の今までの経過時間の中で最近の40万年というのはわりあいに「刹那」なので(割り算をすると0.0087%)、循環と言ってもそういう短期間における循環です。ひょっとして現在が寒冷期にさしかかる入り口あたりかもしれないと考えると、けっこう憂鬱になります。

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