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2020年2月

2020年2月28日 (金)

サラダにはジャガイモよりもサツマイモ

札幌に住んでいるから、イモ類はジャガイモというわけではありません。最近はどちらかというとジャガイモの消費量は少なくて(ごくわずかで)、食事にはサトイモやサツマイモです。北海道でもわずかにサツマイモを生産していて、そしてそういうのは必ず試してはみるものの、普段口にするのは「鳴門金時」です。

札幌の店頭でいちばん見かけるのは関東産の「紅あずま」ではあっても、我が家の食欲は赤紫がきれいな「鳴門金時」に向かいます。

現在、この冬という季節に楽しんでいるのは、蔵出しの鳴門金時。秋に収穫したのを貯蔵しておいて、それを1月中旬くらいから出荷するので蔵出しです。その蔵出しを、オーブンで160℃で50分焼くと下の左側の写真のような焼き芋ができ上がります。時間がない場合は200℃で30分でも構いませんが、低温でゆっくりと焼いた方が美味い。

これを軽くマッシュしたのを酢と塩麹でドレッシングしてサラダのひとつとして、たいていは葉物野菜のサラダといっしょにいただきます。

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2020年2月27日 (木)

甘酒はおいしいので夏も冬も米麹の甘酒

甘酒は酒粕(さけかす)を使った簡易版ではなく、米麹(こめこうじ)を使い時間をかけてつくるのが好みです。後者を季節を横切って作りその味を楽しんでいます。酒粕の簡易版は正直なところマズイ。米麹版は甘くて味わいが深い。

大根の手に入る季節は、夏でも冬でも、「べったら漬け」を作ります。北海道での大根の栽培時期は3月から10月(旬は6月から10月)ではあっても、冬は地元の農家から収穫後保存してあった「雪の下大根」「越冬大根」が供給されるので、つまり我が家では自家製「べったら漬け」をほぼ一年中口にしていることになります。朝ごはんで食べます。

縦に二つに切った大根のまとまった大きさの切り身を塩漬けにしたのを、わずかな塩と唐辛子と柚子を加えた「甘酒」に、五日から一週間くらい漬けこんでおくと、「べったら漬け」ができ上がります。軽い塩味と軽い甘みが特徴の、タクアンなどとは方向のちがう軽快な感じの漬物です(冬は両方を少しずついっしょに楽しんでいます)。つまり、「べったら漬け」には「甘酒」が必需品です。

では「甘酒」はどうやって作るかというと、原料は米麹(こめこうじ)と白米。シンプルです。

米麹と白米と、それから温度を60度くらいに維持する容器(たとえば、ヨーグルトをつくるための電気式容器など)と半日(10時間くらい)の発酵プロセスのための時間があれば、甘酒ができ上がります。

米麹の甘酒だと米という素材の持つ自然の甘さが堪能できます。できあがったものは、米粒がどろっとしていて甘さが相当に凝縮した飲み物になっているので、たいていはお湯で薄めていただきます。米粒のどろっとしたのが好みでないかたは、そこからひと手間かけてミキサーで米粒を細かく砕いたもののほうがお湯で割った場合に甘酒が柔らかく泡立つ感じになって飲みやすいかもしれません。粒餡と漉し餡のちがいみたいなものです。

甘酒は夏の季語ではあっても(夏バテ防止に効果的なので)、発酵食品一般がそうであるように体にいいし、夏でも冬でもどちらでもおいしい。

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《ミキサー後の甘酒(左)、ここから少量をカップに移してお湯で割って飲む(右)》

蛇足ですが、家庭向けの米麹はタクアンや冬の漬物の季節に売り出されてそれでおしまいで、その後は店頭から姿を消すということが多いので、その時期にまとめて一年分を購入して冷蔵庫に保管しておきます。米麹は、「味噌」用には別途生麹を手配していますが、「タクアン」や「甘酒」や「べったら漬け」以外にも、「塩麹」や「醤油麹」(これは発酵プロセスに6時間くらい必要)などに使うので、一年ではそれなりの消費量になり在庫はきれいになくなります。

 

 


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2020年2月26日 (水)

炭水化物に炭水化物、あるいはその親戚

米ファストフード大手が、ニュージーランドで、フライドポテトだけをはさんだバーガーを売り出したというニュースが流れていました。それにベーコンを加えた商品もあるそうです。商品名は「チップ・バティ」(Chip Butty)。

そのニュースでは、ある店舗の調理場で責任者が偶然、バンズの上にフライドポテトを落としたのをきっかけに考案されたとなっていましたが、その理由付けはやや嘘っぽい。なぜなら「フィシュ・アンド・チップス」の発祥の地である「大英帝国」ではそれは以前から存在していたからです。チップはフライドポテト、バティはバターを塗ったパンなので、フィシュ・アンド・チップスの変奏です。

Chipbutty-bergerking-2  画像は当該企業のウェブサイトからお借りしました

「ジャンクフード」の代表を炭水化物に炭水化物を重ねたもの(およびその親戚)と定義するなら、日本だとラーメンライス。おなかが空いていて懐も温かくない若者がおなかをいっぱいにしようとしたらラーメンとライスを同時に注文するだろうし、かけ蕎麦の大盛りにおにぎりやいなり寿司を組み合わせるかもしれない。炭水化物と炭水化物は、そのときの空腹への簡便で安価な対応法としては理に適っています(食べる回数が増え過ぎるとケンコーに良くないというのはさておき)。

それからジャガイモがいっぱい入っただけのカレーライスもそれに近い。パンの間にマヨネーズとケチャップ付きのフライドポテトやベーコンが挟まれているのと(こういう場合に必ずマヨネーズとケチャップが登場するのが、なんとも、ですが)、市販のカレールーを放り込んだだけのカレーとジャガイモとご飯(ライス)が一緒になったのと、味の差にうるさいことを云わなければ、そして料理文化における民度の差に目をつぶれば、それほど違うとも思えない。

ラーメンライスも、誰かから教えられるのではなくて、おなかが空いて初めてその組み合わせに気付く若者がいるかもしれないことを考えると、「ある店舗の調理場で責任者が偶然、バンズの上にフライドポテトを落としたのをきっかけに考案された」というのも嘘っぽいけれど嘘ではないのかもしれません。でもなぜニュージーランドなのかは、英国の親戚ということ以外はよくわからない。

関連記事は「ジャガイモとオランダ人、あるいは世界の4大主食(その3)


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2020年2月25日 (火)

デパートは閑そうでした

先週の金曜日の午後に、配偶者と待ち合わせて、札幌中心部にあるデパートの化粧品売り場と地下の食料品売り場に行ってみました。実際に買うべきものがそれぞれにあったからそうしたので「不要不急の外出」というのではありません。しかし、そうしなくてはいけないのなら、札幌市やその近隣でも複数件発生している新型コロナウィルスのビジネスへの影響を、メディア報道とは別に、現場でこの眼でざっと確かめたいという気持ちもありました。

化粧品売り場は、ぼくは買うものがないので、配偶者がそこで何かをしている間そのあたりをメディカルマスク装備でウロウロしたり複数の売り場の様子を遠目に眺めたりするだけですが、中国からのインバウンド客がいないと化粧品売り場はこれだけ閑散とするものかといささか驚きです。

客よりも店員の数が明らかに多い。女性店員は全員マスクを着けています。店員が新しい商品をお客の肌に試しに塗って積極的に勧める例の様子も見かけません。相手をしてくれた女性店員に配偶者がいつからこんなに客が少なくなったのかと尋ねたら、「2月になってからずっとこんな状態です」。しかし、インバウンド顧客数の減少が実質的な売上金額の推移と以前からの日本人顧客の顧客満足度にどういう具合に影響しているのかはその場ではわからない。

「デパ地下」も驚きでした。おそらくあとでホテルで食べる果物を買い込んでいるにぎやかな話し声の中国人観光客グループがそこにいないのは当然ながら想定内としても、日本人買い物客もいつもよりも少ない。三連休の前の金曜日の午後にもかかわらず、です。すぐそばにあった札幌雪まつりの運営者プレファブ事務所で感染者が二人も発生したということが関係しているのかもしれません。

食料品や食材はなしで済ますわけにはいかないので、どこかで買う必要がある。ウィルス汚染が確認された地域やその近くを避け、できるだけ近くのウィルス密度の少なそうな(と想定される)場所で買い物をしているのでしょうか。しかし、そういう場所も順番に混雑するので、そういう経路だとリスクが低いというわけでもなさそうです。なのでデパ地下の閑散(というか、とてもゆったりした状態)の理由も消費税が絡んだ個人消費の沈滞が本格的になってきたためなのか、それとも当面の人混み回避行動のためなのか、それら以外にはよくわからない。

人混みと言えば、人混み環境からの帰宅時にはコートや衣類をブラッシングして塵や埃を落とすというのはいつもの習慣、うがいと手洗いをするというのもいつもの習慣ですが、最近はうがいと手洗いがより丁寧になりました。うがい用の赤梅酢はたっぷりとあります(関連記事は「『うがい』に自家製梅酢」)。


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2020年2月21日 (金)

困った時の「大本営発表」

大本営(だいほんえい)とは、現代史辞典風に言えば、「戦時または事変の際に設置された、天皇直属の最高統帥機関」のことです。明治26年に制定され、第二次世界大戦後廃止されました。

大本営発表(だいほんえいはっぴょう)と言った場合には、太平洋戦争中に、大本営の陸軍部及び海軍部が行った、戦況などに関する公式発表を指します。公式発表だからといって内容の正確さが保証されているわけではありません。大本営に都合のいいように、言葉を換えれば国民の誘導に都合がいいように、攻撃面をより華美に、損害を実際よりも相当に矮小化して公表しました。そういう意味の大本営発表で最初に有名になったのが、おそらく以下の1942年6月の「ミッドウェー海戦」に関する発表です。

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現在の新型コロナウィルスに関する(とくに、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に関する)厚労省やその関連機関の発表も、大本営発表に近い内容のものがあります。

国立感染症研究所は「現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例」を2月19日に発表しました。そのなかで、いささか断定的に次のような「暫定的な結論」なるものを提示しています。

「発症日の判明している確定例の検討に基づいて評価すると、2月5日にクルーズ船で検疫が開始される前にCOVID-19の実質的な伝播が起こっていたことが分かる(下記船内の常設診療所に発熱で受診した患者数参照)。確定患者数が減少傾向にあることは、検疫による介入が乗客間の伝播を減らすのに有効であったことを示唆している。」

「一部の症例は、客室内での二次感染例であった可能性はあるが、検疫が始まる前に感染した可能性も否定できず、実際にいつ感染したか、判断は難しい。」

確定患者数が減少傾向にあるグラフとは以下の棒グラフです。

《2020年2月6日から17日におけるクルーズ船乗員乗客の発症日別COVID-19確定症例報告数(n = 151)》

Covid19-20200219

これと矛盾するのが、当該クルーズ船の陽性者数(赤い部分)の日別の推移で、船内での二次感染増殖を明確に示唆しているようにぼくには思われます(この棒グラフは、三重大学名誉教授・奥村晴彦 (Haruhiko Okumura) 様のブログから引用させていただきました)。

Covid19-20200219_20200220192901

また、以下のニュースは、その内容に大本営発表風の脚色がないとして、その感染が明らかに追加的な船内の二次感染なので、上述の大本営発表風の強引さ(「2月5日にクルーズ船で検疫が開始される前にCOVID-19の実質的な伝播が起こっていたことが分かる」)と合わせて厚労省発表の信頼性を相当程度に損なっているようです。

「厚生労働省は20日、新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の船内で事務業務をしていた、厚労省の40代男性職員と内閣官房の30代男性職員の計2人の感染が確認されたと発表した。2人は同じチームだったという。
 厚労省職員は12日から船内の業務にあたっていたという。18日夜から発熱を訴え、翌19日に熱は下がったものの、鼻水の症状はあった。その後、検査で陽性とわかったため、東京都内の医療機関に搬送された。
 内閣官房職員は11日から船内で業務。18日にせきなどの不調を感じ、翌19日はホテルで休んだという。その後、検査で陽性だとわかり、20日午前に都内の医療機関に搬送された。」

「大本営発表」についてその背景の政治構造や時代風景も含めて知りたい場合は、「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」という本が参考になります。


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2020年2月20日 (木)

湿った雪の夜明けと午後

昨日あたりから、節気は「雨水」です。雪から雨へと変わり、降り積もった雪も溶けだす頃という意味ですが、札幌ではパウダースノーが湿気のある重い雪になりました。

樹々の枝に明け方にかけてゆっくりと降り積もったばかりの早朝だと雪の白が控えめに反射してやや眩しい感じです。

太陽が高くなり気温がプラスに転じるとそれが3℃くらいでも、道路の表面はきれいだった白からタイヤに踏まれ続けて黒に変化します。そういうときに歩道を革の冬靴で進んでいると、本当はゴム長で歩きたいと切に思います。しかし、そうもいかない。

いちばん困るのは横断歩道を横切る時です。路上の雪がタイヤに崩されてそのあたりは水浸しの一歩手前で、水の浅いあたりをより分けより分け歩を進めます。

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梅の香りは少し上から降ってきます。こういう日の雪も上から降ってきます。ただし、梅の香りのようにふんわりとではなく、歩道にはみ出した樹の枝の下をぼんやりと歩いているとその枝を滑り落ちたのが上から頭や肩にドサッと降ってくる。そういう意味です。これも「雨水」です。


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2020年2月19日 (水)

「うがい」に自家製梅酢

新型コロナウィルスの感染状況の報告(情報開示)については、地方自治体で温度差があります。

「(北海道で二人目の)患者は日本の方ですか」という記者の質問に対して、北海道庁の担当者が「申し上げられません」。「患者の国籍は?」「申し上げられません」「厚生労働省はその方は日本人だと先ほど発表しましたよ」というようなコメディ風もあり、ぼんやりしていた北海道庁も「道民目線」という知事の好きな言葉を思い出したようです。

それはさておき、こういう場合も含め「うがい」には梅酢です。風邪予防も兼ねて外から帰ってきた時は手を丁寧に洗い、梅酢を希釈してうがいをします。うがい薬があればそれに越したことはないのかもしれませんが、そうでないときは梅酢が便利です。

夏にはほぼ毎年梅干しを作るので、白梅酢と赤梅酢(白梅酢が赤紫蘇で赤く着色されたものが赤梅酢です)のストックができます。梅干しは朝ごはんで食べるとして、白梅酢も赤梅酢も料理に使います。白の方の使用量が多い。で、我が家では赤梅酢を薄めたのをうがいに利用することが多い。10倍程度に希釈してもクエン酸で結構酸っぱい。その酸っぱいので喉や口腔内をガラガラとやります。

L-2019  白梅酢と赤梅酢


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2020年2月18日 (火)

鉢植えのラベンダーと2月の雪

富良野の手入れのいい農園のでも近所の道路際の植栽場で手入れとは縁のなさそうなのでもラベンダーは毎年夏に紫の花を咲かせるので、つまり雪と寒さの中を元気に冬越しするので、だから自宅の鉢植えのラベンダーも手入れさえよければ長生きするはずです。

冬になり身近から「緑」が消えてしまうのは残念なので、他の鉢植えは片付けてもラベンダーの鉢植えだけは残してあります。下の写真はこの夏にフラワーフェスティバルかなんかで購入した北海道産のラベンダーの先日の雪の日の様子です。雪の中で凛としているのはなかなかにいい。

20200210 2020年2月上旬

ただ鉢植えだと、植えてから数年すると元気がなくなるようです。これはしかたない。下の雪のラベンダーは2016年2月下旬の撮影で、このラベンダーはその年の秋に、最後の花を咲かせた後、5年か6年の寿命が尽きました。毎年きれいな薄紫の花でぼくたちの眼を楽しませてくれていましたが。

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          2016年2月下旬

同じラベンダーの2013年7月の薄紫の花。
古い画像も残しておくものです。20130714b1-tm


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2020年2月17日 (月)

「長安の春」における春の花の季節感

立春も二週間ほど前に過ぎて、札幌の雪まつりも終わりました。札幌の春は遅い春ですが、ともかく春を待ちます。

石田幹之助の著した「長安の春」という論文風のエッセイは名文で、その冒頭に引用してある「葦荘」の詩に続く書き出し部分の春の花が描写がとくに美しい。

昔の陰暦の中国では、またそれを輸入した日本でも、一年を二十四に分けていました。それを二十四節気(せっき)と言いますが、ぼくたちはそれを今でも日常生活で(たとえば時候の挨拶や天気予報で)利用しています。「立春」から「立夏」に至るまでの春の節気は次の通りです。

・立春
・雨水(うすい)
・啓蟄(けいちつ)
・春分
・清明(せいめい)
・穀雨(こくう)

それぞれの節気をさらに五日くらいずつで、初候・次候・末候(ないし一候・二候・三候)の三つに分けるとそれぞれに花の春が現れます。

エッセイの冒頭で引用された「葦荘」の詩は「長安二月 香塵多し」で始まり、そのあとに石田の美しい文章が続きます。「香塵」とは風で落ちた花のことです。やや長くなりますが色々な春の花が溢れる最初の十行くらいを引用してみます。

 『陰暦正月の元旦、群卿百寮の朝賀と共に長安の春は暦の上に立つけれども、元宵観燈の節句の頃までは大唐の都の春色もまだ浅い。立春の後約十五日、節は雨水(うすい)に入って菜の花が咲き、杏花(あんずの花)が開き、李花(スモモの花)が綻ぶ頃となって花信の風も漸く暖く、啓蟄(けいちつ)に至って一候桃花、二候棣棠(ていとう、ヤマブキ)、三候薔薇(しょうび、バラ)、春分に及んで一候海棠(かいどう)、三候木蓮(もくれん)と、次々に種々の花木が繚乱を競ふ時に至って帝城の春は日に酣(たけなは)に、香ぐはしい花の息吹が東西両街一百十坊の空を籠めて渭水(いすい)の流も霞に沈み、終南の山の裾には陽炎が立つ。・・・時は穀雨(こくう)の節に入って春は漸く老い、・・・二橋の袂(たもと)に柳の糸を撫でて薫風が爽やかに吹き渡ると、牡丹(ぼたん)の花が満都の春を占断して王者の如くに咲き誇り、城中の士女は家を空しくして只管(ひたすら)に花の跡を追うて日を暮らす。』

日本では花は桜ですが、唐の長安では花は牡丹でした。なお、海棠(かいどう)とは、桜によく似た中国原産のバラ科植物で、下の写真は、morino296さんのブログ記事からお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます。

C3 海棠

長安(現在の西安)は内陸部ですが渭水という大きな川が流れ、北緯は34度と北京と上海の間くらいなので札幌などよりははるかに南です(緯度は日本だと広島市くらい)。いろいろな花や柳には不自由しません。五月の連休あたりからすべてが他に遅れないように一緒に開花する札幌と違って、花は種類ごとに「節気」と「候」に応じて順番に開いていく。

李白の「少年行」という詩も舞台は春の長安で、馬に乗った青年が落ちた「牡丹」の花を踏んで、胡姬がいる酒場に笑顔で入って行きます。胡姬とはイラン系のきれいな女性です。緑の眼や碧い眼をしていたかもしれません。

五陵年少金市東,銀鞍白馬度春風。
落花踏盡遊何處,笑入胡姬酒肆中。

五陵の少年 金市の東 銀鞍の白馬 春風を渡る。
落下踏み尽くして何れの処にか遊ぶ 笑って入る 胡姫酒肆の中。

司馬遼太郎の「空海の風景」には、空海と同期の遣唐留学生として長安に遊んだ橘逸勢(たちばなのはやなり)が、勉学も思ったように進まず鬱屈気味で若い女性のいる場所に入り浸った様子が確か描かれていました。胡姫の舞う酒肆にもおそらく通ったに違いない。なお書に秀でた逸勢は空海、嵯峨天皇とともに三筆と呼ばれています。


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2020年2月14日 (金)

タクアン、今年2回目の取り出し

2019年度版のタクアンの1回目の取り出しは1月10日でした(「今年最初のタクアン」)。で、昨日が2回目で、1回目の数本がなくなってきたので、また数本まとめて樽から取り出したのですが、一昨日まではひどい真冬日で凍える中での作業は億劫なので、暖かい日を作業日としました。

取り出したタクアンは、すぐに食べるの以外は、電動の真空パック器を利用して、糠を付けたままの状態で一本ずつ薄いポリ袋に入れ、それをさらに器具専用の袋に入れたのを真空パックして(そうするとタクアンは傷まないし匂いが外に漏れることもない)、食べる順番が来るまで冷蔵庫に寝かせておきます。専用袋の日付欄には昨日の日付を記入しておくと便利です。

今年も美味しいタクアンです。

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2020年2月13日 (木)

熟成1年と熟成6年の自家製味噌

ちょうど1年経ったので2019年2月5日に仕込んだ米味噌を食べてみました。熟成期間が1年というのは我が家の基準では短か過ぎるのですが、1年熟成させると世間では十分に味噌なのでその味を味噌汁などでその風味を確かめてみようというわけです。

その前にふたつの手前味噌の色を比べてみます。

左側のホーロー容器に入っているのが熟成6年の米味噌(大豆と米麹で作る)で、仕込みは2014年2月1日。我が家の味噌在庫で最も古いものです。右側が熟成1年の米味噌。仕込みは2019年2月5日。ともに常滑焼の甕から取り出したばかりです。

色の違い、濃淡の差は発酵・熟成中に発生する「メイラード反応」のためですが、6年物は水分も少なくなり、色も濃く、米味噌というよりは、八丁味噌(赤だし用)のような豆味噌の色合いと風味に近づいています。豆味噌(大豆と豆麹で作る)の熟成期間は2年から3年です。

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        左が6年物の米味噌、右が1年物の米味噌

さて1年物ですが、味噌汁にすると明るい茶色で、普段のよりも若くて甘くて、家族旅行で泊まった旅館やホテルの朝食で出される味噌汁の色に近い。以前、地元の味噌工場の見学会に参加した際に供された出汁の効いた味噌汁の色と似ているとも言えます。その工場の製造責任者は「味噌は味噌汁にしたときに少し甘めな感じで明るい色が人気です」とおっしゃっていましたが、そんな味噌汁になりました。

これはこれでおいしいとしても、右側のホーロー容器に移した分を使い切ったら今回はお終いで、次回は1年後に、つまり2年物になったあたりでまた味噌汁などで味わう予定です。といっても、そのまま使い続けるかあるいはもっと寝かせるかは、その時の判断次第です。


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2020年2月12日 (水)

年代物の国産ウイスキーが払底

12年物、17年物、21年物、25年物といった熟成した年代物国産ウイスキーが品切れに近い状態だそうです。売れすぎてそういうウイスキーの原酒在庫がなくなったので継続して販売できないらしい。たとえば「ニッカウヰスキー」だと「竹鶴」の「17年」「21年」「25年」の販売がこの3月末で終了するとのことです(2020年1月14日のニュース)。

買ってからそれなりの年数を飲まずにいた数本の「竹鶴12年」と「宮城峡」は今となっては貴重品です。「鶴」や「余市」は飲んでしまって残っていない。「竹鶴12年」は、「ニッカ」の「余市」と「宮城峡」という二つの蒸留所のシングルモルトをブレンドしたもので、じつに旨い。年代物の「竹鶴」は飲む人それぞれに好みもあるかもしれませんが、ぼくにはたいていの熟成スコッチよりも旨い。

観光客やインバウンド客で混雑する前の「余市蒸留所」は列車を乗り継いで見学に行ってもゆったりとしていて、係の人と静かにウイスキーの話をすることが出来ました。下の写真は、2011年6月に配偶者といっしょに行ったときに原酒保管庫の中の原酒樽です。そのときは保管庫のひとつをその中に原酒の有料試飲カウンターを入り口付近に用意して訪問客に公開していました。

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その樽には、それぞれ赤いシリアルナンバーが貼ってあり、左下の樽には「86 04」「OTARU」や右上の樽には「86 05」「OTARU」という文字が焼き印されています。だからその当時で、すでに25年物のモルト原酒ということになります。

すでに定年退職されてアルバイト的に働いていて試飲カウンターの向こうでぼくたちの相手をしてくれたかたの話によれば、「25年経過した樽には原酒は、水分が蒸発するので、最初の3分の1しか残っていません」、「竹鶴の12年物といっても、確実に12年以上寝かせた原酒が混ぜ合わさっているので、実際は13年物とか14年物ということにもなる場合もあります」。

25年間の保管費用がかかるだけでなく、原酒在庫そのものが25年で3分の1になるので、全体的な在庫維持費用は、つまり年代物ウイスキーの原価は当然高くなります。つまり定価は、最初の段よりも次の段が高くなり、その次の段はもっと高くなるという形の階段状でそれなりの額に設定されます。

数年後に、その蒸留所を再訪した時は、内外の観光客の群れに恐れをなしたのか、その保管庫は部外者が立ち入れない場所になってしまっていました。というか、存在そのものが目立たない雰囲気を纏(まと)っていました。

関連記事は「モルトウイスキーの蒸留所」。


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2020年2月10日 (月)

中国の人たちの立ち居振る舞いの美しさとそうでもないもの

新型コロナウィルスの発生と蔓延への中国共産党やその地方組織の対応を見ていると、先進国の性格と発展途上国の特徴が併存しているだけでなく、こういう問題に対する強圧的な政治体制の限界も現れています。皇帝支配の漢や唐でも一定以上の予期せぬ社会的混乱が起こると、ひとびとはもっとおおらかだったとしても、世間はこんな感じになっていたのかもしれないなと千数百年以上前のライブ映像を目の当たりにしているようです。司馬遷が生きていたらこの状態をどう纏め上げるでしょうか。

最近は中国のYouTuberも活躍中で各地域の家庭料理の映像も興味深いですし、「漢服舞踊」(簡体字だと「汉服舞蹈」)も印象的です。女性用の伝統的な「漢」の服を着て蝶のように舞います。チャイナドレスは「清」の洋服なのでそういうタイプではなくて、身にまとうのはそれより前の時代の(たとえば唐時代の)ひらひらする袖が優美な女性用の絹の着物です。

若い中国人女性が投稿した「漢服舞踊」の動画で出来のいいのを拝見すると、アマチュアだけれども伝統的な漢服で踊る彼女らには日本女性には真似ができない種類の優雅があるようです。この優雅の中には、嫋(たお)やかさだけでなく同性の仇敵を排除するときに見せる優雅な凶悪行為遂行能力も含まれます。そういう時には、今まで絵以外では会ったことも見たこともない中国四大美人である西施(せいし)や王昭君(おうしょうくん)、貂蝉(ちょうせん)や楊貴妃(ようきひ)、あるいは漢の高祖の皇后である呂雉(りょち)の姿を、舞う彼女らに重ね合わせてみたくなる。

またそういう時には、ぼくが高校生だったころに古典(古文と漢文)の先生だった当時40歳代半ば過ぎくらいの女性教師が授業中に雑談風に穏やかに話してくれたことも思い出します。なぜそんなことを男女高校生を相手に話してくれたのか当時も今もよくはわからないけれど。

国語の先生の資質というものが話題になった時に彼女は「国語の教師というのは結局はいい文章が書けるかどうかで決まりね。■■さんは、」と、ある有名女流作家の名を挙げて「今はとてもかなわないけど、学生時代は書くのが上手じゃなかったわ」。それから、漢文の授業のときに何かの具合で話が中国四大美人に飛んだついでに「中国の美人ということだけれど、大学で同級生だった中国人女性の中にはお風呂にいっしょに入ると日本人ではとてもかなわないというくらい肌がきれいでスタイルのいい人がいましたわ」。そういう中国人女性の後輩が今はYouTubeで漢服舞踊を舞っているのでしょう。

中国人の立ち居振る舞いの特徴のひとつは、とても大きな声でよくしゃべることです。札幌でも京都でも香港でも上海でも台北でもシンガポールでもどこでも。街の通りでも、ホテルのロビーでも、レストランでも、デパ地下でも、観光名所でもどこでも。声の大きさは中国語という言語を発声するその具合も関係しているとは思いますが、そういう場合の声の大きさは美学的には印象深いとは思えない。

一方、たとえば、唐の白居易の「琵琶行」(落ちぶれてしまったかつての長安の名妓の弾く琵琶を舟中に聞いて、左遷されたわが身に引き比べるという内容の歌、「行」は長い歌)を中国や台湾の男性や女性が朗誦しているYouTube投稿を聴くと、音から意味は解らないので一緒に表示される文字表現された漢詩を眼で追いながら聴くのですが、朗誦の巧みさもあって七言古詩の韻の流れ(平仄 ひょうそく)が美しく心地よく伝わってきます。

余計なことを付け加えれば、中国人ツアー客の泊まった部屋はたいていは汚れがひどくて、後の掃除が大変であるとはよく聞く話です。ぼくもある都市ホテルに働く方から同じ内容の話を直接に聞いたことがあります。

どこの国もそうだとしても、中国というのは、美しいものと必ずしもそうではないものと、衛生と不衛生と、効率と非効率と、「琵琶行」の朗誦と「漢服舞踊」の優美と広東省起源のSARS (Severe Acute Respiratory Syndrome 重症急性呼吸器症候群)のトラウマと今回の湖北省発生の新型コロナウィルスが、他よりも、よりにぎやかに同居している国のようです。そして統治者の意識は常に「中華」です。「長安の春」というのも、当時の人びとの性質は胡人も含めてもっとおおらかで激情的だったのかもしれませんが、社会生活的にはこんな感じだったのかもしれません。


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2020年2月 9日 (日)

札幌でははじめての氷点下14℃

氷点下10℃や11℃はときどき経験しますが、札幌で氷点下14℃は初めてです。ぼくが今までで経験したことのある最もすごい寒さは氷点下20℃から22℃くらいですが、北海道内陸部の氷点下30℃とくらべると穏やかなものかもしれません。

下の画像は 2月9日午前3時過ぎの tenki.jp のスクリーンショット。画面上の予想情報とは違って今日の実際の最低気温は氷点下14℃、そして最高気温も氷点下8℃にしか上がらないらしい。ともかく寒いです。

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2020年2月 7日 (金)

蛍の光、窓の雪

「蛍の光」という唱歌の歌詞の一番は

「螢の光、窓の雪、
書(ふみ)讀む月日、重ねつゝ、
何時(いつ)しか年も、すぎの戸を、
開けてぞ今朝は、別れ行く。」

で、つまり

「蛍の淡い光や窓から入って来る雪明かりで書物を読む日々を重ねていると、いつの間にか年月は過ぎ去って・・・」

といった内容です。最近は小学校の卒業式とは縁がないので、この曲を聞くとしたら大きな本屋やスーパーマーケットなんかの閉店時です。歌詞なしのBGMとして流れている。

ぼくは雪国生まれではないので小さい頃に「竹籠にいっぱい集めた蛍の発する光のそばで」本を読むというのは実感できても、「積もった雪に反射した月明かりを利用して窓辺で」本を読むというのは想像できませんでした。

札幌ならそれが経験できます。大雪の後の晴れた夜などはたしかに窓辺は明るい。新聞くらいは問題なく読めます。吹雪やしんしんと雪の降り積もる夜はダメですが。

札幌雪まつりが、真冬日の中を、開催中です。今週はともかく寒い。さぼっていた雪が与えられた仕事を再開したので、あたり一面雪だらけです。雪が降らない、雪が地面を蔽っていない雪まつりというのはどう考えても自家撞着で、その矛盾はなんとか避けられたようです。


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2020年2月 6日 (木)

言葉は正しく使いたいものです

《宿泊キャンセル1万人 新型肺炎の風評被害懸念 奈良》というニュース見出しが目に入りました。見出しには本文が続きますが、その記事本文中に

《・・・キャンセル客の国籍などは不明だが、県は中国人団体旅行客のキャンセルの影響が大きいとみている。

県内では1月28日、60代の男性バス運転手の感染が確認された。この男性が運転していた中国・武漢市からのツアー客を乗せたバスが奈良公園を訪れていたことが明らかになっており、県は風評被害を懸念している。

 荒井知事は「減少していることは確かだが(客数の減少は)観光では常にあるリスクで、これまでそれを克服してきている。心配していない。体力のない施設には金融支援を行う」と語った。」》

とありました。

記事中の知事の発言に関する限りは、とても冷静で、県は風評被害を心配している雰囲気はありません。

風評被害とは、事実にもとづかない、事実とは違う内容の噂が飛び交うことによって、あるいは意図的に流布されることによって、特定の人(人たち)や地域や国などが政治的・経済的・社会的・精神的な被害を被ることですが、記事の《県は風評被害を懸念している》というのは、どこの誰がどんな風評被害を実際のところ懸念しているでしょうか?

日本人旅行者は冷静に判断しているので、風評被害を懸念しているのは、この記事を書いたメディアの記者だけという気もします。というよりもプロの手になるこの記事が風評被害のそもそもになっているようです。


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2020年2月 5日 (水)

もみじマークの方に、別のステッカーをプレゼント

70歳以上の高齢者ドライバー用マークが「もみじマーク」で、車に付けても付けなくてもいいことになっています。もみじマーク該当年齢の方でお世話になっているある方に、それと組み合わせて貼ってあったら「あおり運転」される可能性が低くなるかもしれないステッカーを持っていたのでプレゼントしたことがあります。

以前に四国八十八カ所の第二番札所で購入した車用のステッカーです。お寺の名前は「極楽寺」。

「もみじマーク」のステッカーとこの「極楽寺」ステッカーがたとえばワゴン型やSUV型の車の背中のどこかに並べて貼ってあると、その車を無理に追い越そうとしたり、ちょっとあおってやるかという悪意を持った車に対して乱暴運転抑止効果を発揮する可能性があります。何かを仕掛けようとするその対象車が背中に「極楽寺」という文字を背負っているのに気が付くとおそらく一瞬ぞっとする。

この二つのマークを付けた車が後ろからあおり運転風を仕掛けられたとして、そのお礼にその車に仕返し風の行為を暗示するとなると、なにしろ極楽寺なので、それはそれで別の怖さがあります。

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2020年2月 4日 (火)

節分で真面目と遊び

両方遊びみたいなものかもしれないとしても、真面目な方はお正月と節分はセットなので、「柊(ひいらぎ)と豆殻」を玄関に飾って区切りとします。

正月は「松」、節分は「柊と豆殻」。オニと呼ばれるヤマのスピリットが正月にヤマのしるしの松をめざしてサトの家に降り、ひと月ほどたったらサトのその家をあとにしてヤマに還る(「オニは外」)というオニの往還で正月から節分への流れを考えるのがぼくにはいちばん腑に落ちるのでそうします。

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遊びの方は「恵方巻き(えほうまき)」。節分に「恵方」(今年は西南西よりやや西より)を向いて一気に食べる(ということになっているらしい)太巻きのことです。

大阪のローカル文化であったもの(どうもそうらしい)を、2月の売り上げの落ち込みをカバーするためにコンビニ業界が販売促進イベントとしたせいで、恵方巻きがいつの間にか全国区の催事食べものになってしまいました。ここ数年で段々と豪華絢爛な太巻きになって来て、コンビニに限らずデパ地下もスーパーも予約販売と当日販売で忙しかったようです。ただし、売り上げカーブがバレンタインズ・デイのチョコレートのような異常な上向きスパイク状態を呈するわけではありません。

市販の贅沢版には関心がないので、配偶者が自宅で素朴なしかし少し素材に凝った太巻きを作り、そして、一気にではなく普通に食べました。

松とお節料理、七草と粥、柊と恵方巻きという流れに乗るのは、ややミーハーであっても、それでいいような気もします。


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2020年2月 3日 (月)

マスク雑感

人ごみの中に出かける時で、マスク着用が失礼になるような場合を除き、風邪の季節や外気が乾燥しているときは、配偶者もぼくも数年前からマスクをする習慣なので、つまり一定量のマスクをストックしているので今回のような新型コロナウィルス発生のときも慌てて買いに走る必要はありません(事態が長期に深刻化するとそういう余裕がなくなりますが)。

マスクでウィルスのような小さなものは防御できないにしても、マスクはそれなりには役に立つ。冬は寒さ防止にもなります。

好奇心から複数の通販サイトを覗いてみると、マスクは売り切れや販売停止中か、そうでなければ普段の10倍くらいの値段で出品している利にさとい流通ギョーシャのかたも少なからずいらっしゃるようです。実にしっかりしている。

ぼくたちは白い色のマスクで、ときどき見かける特徴がある形の黒い色のマスクをする勇気はありません。黒いマスクとすれ違うと(失礼を承知で言えば、夏に巣に近づくヒトを追い払うために襲いかかってくるカラスと遭遇した雰囲気になるので)なんとなく引いてしまう(関連記事は「カラスに襲われた」)。

しかし、白いマスクというのは風邪などをひいている人が周りに迷惑をかけないためにするものという認識もあると思うので、ぼくたちも病人と思われているかもしれません。マスクはウィルスの保有者が周りにウィルスなどを飛ばさないのが主目的なので、そう思われてもしかたない。

テレビのニュース番組で、新型コロナウィルス感染防止の緊急増加需要に対処するために大忙し状態のある中国のマスク製造工場の様子が流れていました。

マスク、とくにサージカル(外科用)マスクのようなタイプは、製造・検品・箱詰めまでのすべての作業をクリーンルーム内で実施する。クリーンルームでは目元以外を露出しない専用ウェアと専用手袋を着用して衛生管理を徹底する、というのが一般的なやり方だろうとは、半導体や医療用品の製造現場をよくは知らなくてもそれなりに想像できます。

今回わざわざ上海市(というか中国政府)がメディアに公開した(させた)工場なので、ニュース映像はそういう工場環境、製造作業を映し出していました。工場制手工業という雰囲気もありますが、ISO 9001 や ISO 13485 といった表示がいっしょに映し出されてもそれを否定はできない。手作業は専用手袋をきちんとはめて行っています(気になったので映像を拡大して確かめた)。水色の四角いプラスチック箱に個別包装前のマスクをドサッと放り込むところはなかなかのものですが。

下の写真は、上海のあるマスク製造工場の直近の様子を撮影したもので、「アジアでマスク需要急増 中国で深刻な品薄、工場フル稼働 新型肺炎」(Jan 29 2020)という活字ニュースからお借りしました。ニュース映像と同じ工場かどうかはわからない。クリーンルーム風の製造現場でいくぶんごたごたとしているけれど、こちらの二人の女性作業員も手には専用手袋をはめている。

China_mask_factory

これはぼくの憶測ですが、そういうしっかりした製造現場が必ずしも多くないとすると、そしてそのことを中国人が知っているとすると、中国人観光客が東京や札幌のドラッグストアで日本製(ないしは日本企業が日本の製造品質管理基準で中国の工場で作った)マスクを、今回に限らず、爆買いする気持ちはよくわかります。マスクに限らず衛生用品の爆買いには何かそのための理由があるのでしょう。

中国はある時は先進国、別の時は発展途上国と政治の舞台で自己規定を使い分けるのが好きな国なので、有利な状況だと強大な発言力を持つ先進大国になり、不利な状況だと対策に必要なインフラが存在しないと放り出すか、あるいはモグラたたき対応の発展途上国に姿を変えます。今回はその混在ぶりが発揮されているようです。


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