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2020年8月21日 (金)

古くて重厚なビジネスバッグ

ある時期にはよく使ったけれど、機能的に時代の流れと合わなくなってしまい、しかし美術品的な美しさがあるので保管してある道具(ないしは持ち物)というのがあります。下の写真のビジネスバッグはそのひとつです。

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ビジネスバッグと大まかな用語を使いましたが、実際にはアタッシュケース(attache case)とかブリーフケース(briefcase)と呼ばれている種類の頑丈な牛革製のカバンです。両方とも米国で購入したのですが、買ったときに店員から、手入れはワックスではなく水拭きで、と言われました。

このブリーフケース用の革はベルティングレザーといいます。英語だとbelting leather です。だから、この質の革を使ったブリーフケースはbelting leather briefcaseと総称されています。重厚感のある皮革が特徴ですが、実際にとても重厚で丈夫です。使い込むにしたがって味わいが増します。

ベルティングレザー(belting leather)とは、文字通り「ベルト用皮革」という意味です。「ステアハイド(Steerhide)」を植物タンニンで鞣(なめ)しオイルで仕上げたヌメ革の一種で工業用のベルトなどに使われるとても丈夫な革です。だからベルティングレザー(ベルト用皮革)と呼ばれています。

「ステアハイド(Steerhide)」とは、生後3〜6ヶ月以内に去勢され、2年以上経った牡(雄)の牛の皮のことです。生後3ヶ月~半年程度で去勢されると穏やかな気性になるためキズが少なく厚みが均一な皮が得られるそうです。(かつてテレビ用西部劇ドラマに「ローハイド(Rawhide)」というのがありました。「生の皮」という意味ですが、カウボーイ達がズボンの上に着用する革製のズボンカバーを指していたようです。)

ベルティングレザーは元々オイルを含んでいるのでメンテナンスにオイルやワックスは基本的には必要ありません。むしろ使わない方が良いとも言われています。だから店員の「手入れはワックスではなく水拭きで」というアドバイスになります。

味わいがあり手に提げていても見ていても飽きないカバンです。床に置くとピタッと安定しています。がっしりと丈夫だし、皮革の重厚感が漂うので、紙の資料や貴重な書類の持ち運びには最適です。それ自体の重さが3.1㎏と軽くないし、横幅が46cmあるので、車通勤のかたや車で自営のかたには便利だとしても、満員電車にこれを手に提げて乗り込むのはあまり向いていません。電車や地下鉄の座席に座る場合も左右のお隣ときっちりと腰掛ける場合はこのブリーフケースがお隣の膝に当たりヒンシュクなので、疲れているので座りたいなと思っても我慢して立っていました。

そこまではいいとしても、だんだんと機能的に時代の流れと合わなくなってしまいました。ノートブック型PCの持ち運びには向いていない。ノートブック型PCは、蓋を開いて取り出すのではなく、縦にスッと仕舞って使うときは抜き出すように取り出せないと便利ではありません。それにスマートフォンの収納も便利とは言い難い。

で、だんだんと使われなくなり、同じベルティングレザー製でもソフトタイプでジッパー付きのブリーフケースが日々のコンパニオンになり、気が向いたら取り出して鑑賞され、必要なら拭き掃除のような手入れをされるだけという境遇です。でも革の擦(す)れやちょっとした傷も新品には決して出せない味わいであり、そういう意味ではいつまでも美しい道具です。



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