ワクチンと非国民
四カ月ほど前に「平家物語と令和の義偉(よしひで)」という記事を書きました。菅総理はどうも「治安維持法」みたいな法律と政策が生来的に(あるいは気質的に)お好きなようだ、そういうのがはっきりと現れてきたいう主旨の記事です。最近も「「富岳(スパコン)を通じてSNS上の様々なつぶやきを分析している」といった発言が主要閣僚のひとりからあり、内閣もそういう色に染まりつつあるようです。入院を拒否した新型コロナ感染者に課すのが民事罰でなく刑事罰という発想も、そういう空気の反映かもしれません。
製薬会社が保証できない薬、最後まで責任を取れない薬は、普通は認可されないし、一般市民としては(新しい薬が大好きな人たちを除いて)そういうものには普通は怖くて近づけない。
今回のワクチンは、何かあっても、つまりワクチン接種者が副作用で死んでも、あるいは酷い後遺症が残っても製薬会社はその責任を問われない、なぜなら日本国政府が責任を取るからです。だから、需給が逼迫する中で製薬会社からワクチンを供給してもらえるようになった。そういう経緯のワクチンの接種が始まるみたいです。マスメディアも、日々、その応援報道で忙しい様子。でも、きちんとした治験も完了していないし、販売までのプロセスが普通の手順ではないという意味で変なのはやはり何か変だと考えておいたほうがよさそうです。
治安維持法に似たところのある特措法やその運用方法に目を向けると、背後には、どうも、太平洋戦争当時に醸成された「挙国一致」や「国民精神総動員」という言葉に象徴される人為的な政治の雰囲気と似たようなものが漂っているようです。菅総理が自分の無謬性に自信を持っているとすると「神国日本」という標語のほうがふさわしいかもしれません。無謬な存在とは神のような存在です。挙国一致の雰囲気に逆らうと、まわりから非国民とみなされ、白眼視される。
太平洋戦争中やその前に流行ったコトバ、当時のマスメディアが国民の「啓蒙」に使ったコトバを、当時の新聞の古い漢字でいくつか下に書き並べてみます。
・高度國防國家建設
・國民精神總動員
・擧国一致
・堅忍持久(けんにんじきゅう)
・月月火水木金金
・一億一心
・進め一億、火の玉だ
コロナとコロナワクチンとオリンピックに関して政府とその応援団であるところのマスコミが頻繁に発する用語やメッセージと上に引用したものを比べてみると、それぞれのメッセージや用語の奥に潜むものにはあまり差がありません――これは日本に限ったことではないにしても――。
かりにワクチン接種に慎重な態度をとり続けるとその人には「そういう抗体を持たない不遜な輩がいるとワクチン接種を受けた多数の国民が迷惑する、早くワクチンを接種しなさい」という圧力がどこかからかかりますが、その圧力を構成しているのは、「國民精神總動員」や「擧国一致」や(当時の主婦もタスキをかけて連呼した)「進め一億、火の玉だ」と同じ性質のものです。かつて「特高(特別高等警察)」という組織がありました。
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