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2022年11月29日 (火)

サッカーの「原フライ」

揶揄する口調になるといけないので遠慮しながら慎重に書きますが、かつて巨人の4番バッターに原という有名な選手がいました。彼の打席で今でも強く印象に残っているのは、たとえばツーアウト満塁といった場面で高く打ちあげる内野フライです。

その回数がぼくの――および配偶者の――印象記憶ではとても多かったので、我が家では、ここでホームランや長打を撃てば翌日のスポーツ紙の一面を大きく飾るに違いないといったところの絶好のチャンスで力が入りすぎ、結果として、観客としてはため息の出るような内野フライを打ちあげることを「原フライ」と呼んでいます。

現在進行中のサッカーのワールドカップを見ていると――今回は日本の試合以外のゲームを視聴できる機会も多いので――ゴール前のこぼれ球をそのまま力まずに軽く流しこめばキーパーの体勢も相当に崩れているので難なく点が入るところを、絶好の好機と大いに力んで、力んで蹴ったボールはしたがってゴール枠のはるか上方を通過していく、そういう場面を何度も観察することができます。そういう瞬間は日本チームにもありました。サッカーの「原フライ」です。

そんな時に芝生に仰向けに倒れ込んで失敗を悔しがってもしかたがない。そういえばその選手は以前も重要な国際試合で同じことを何度か演じていたようです。「原フライ」はたいていの人が一度は経験することだとしても、「原フライ・シンドローム」はその傾向が強い個人の中ではなかなか消えない。

野球の高速スライダーのような軌道のミドルシュートや力強いボレーシュートは感歎ものですが、横跳びしたゴールキーパーの手の先を30センチメートルくらいの差でゆっくりと転がりながらゴールに吸い込まれていくサッカーボールには蹴り手の知性を感じます。力いっぱい蹴ったボールが素晴らしい速度でゴールネットを揺らすのは蹴り手としてはとても高揚感のあるプレイだとしても。


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