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2023年7月

2023年7月31日 (月)

水出しのお茶

夏は水出しのお茶です。

水出しコーヒーはコーヒーの美味しい飲み方のひとつで捨てがたい味わいがあります。同様に水出ししたハーブティーや発酵晩茶もすっきりと柔らかい風味があり、それらがあると暑い夏との折り合いがずいぶんと付けやすくなります。

お茶バッグ(ティーバッグ)を1リットルに1個の目安で――バッグ(袋)の大きさに差があるので好みの濃さにするためにはもっとバッグ数を増やしたりして試行が必要だとして――冷蔵庫で7~8時間くらい寝かせておくと美味しい水出し茶ができ上がります。水(湯)の温度が80度以上でないとカフェインは抽出されないので水出しはカフェインレスです。

暑い今年の夏に毎日のように水出しで賞味しているのは「カモミールとシトラス(柑橘類)をブレンドしたハーブティー」と「発酵晩茶」です。ハーブティーの水出しはポピュラーなので我が家でも以前から夏の定番でしたが、「発酵晩茶」の水出しは今年が初めてです。

「発酵晩茶」は晩茶の葉を乳酸菌発酵させたもので――完全発酵された紅茶が「発酵茶」と称されるのに対して乳酸菌発酵茶は「後発酵茶」と呼ばれている――四国の徳島や高知で控えめに生産されています。

今年から夏の冷たい味わいがひとつ増えました。

【註】晩茶: 5月の新茶の時期に摘まず,新芽をそのまま生長させて7~8月という遅い時期に摘みとってつくるので晩茶という。


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2023年7月28日 (金)

歩く人がいない

もともとこのあたりは歩く人がほとんどいません。わずかに介護タクシーサービスはあるとはいえ、高齢者でも、自分であるいはパートナーが、小さな車を運転しないと買いものにも医者にも行けないので歩行者が少ないというのも宜なるかな、です。我が家のような、速足ウォーキングが趣味――しかし、さすがに夏は歩かない――、あるいは無理なく歩ける目的地へは歩いていく――たとえば毎月の美容室へは徒歩――というタイプはとても少ないようです。

暑い夏になりました。四国はどこでも小学校は7月21日から8月31日までは夏休みらしいので、毎朝午前7時半ごろに見かけていた登校時の小学生の隊列が急に見られなくなりました。

六年生と思しき二人が先頭で、そのすぐあとにピカピカの一年生が7~8人続き、その後は一年生以外のおおぜいが列を作って通学路を登校していきます。雨の日は傘です。長いのは全部で35人から40人の長い列ですが、もっと人数の少ないグループもあり、少しの時間差で同じ通学路を歩いていきます。その朝の風景が消えてしまいました。

中学生は自転車通学らしいので――近くの子は学校まで歩くとしても――、夏には歩行者が景色から消失してしまいます。暑い中を我慢して歩いていると熱中症になる恐れがあるので夏はとくに歩かないというのもあるとしても。

こちらへ引っ越してきて最初の夏に車の都合がつかない期間があり、しかたなく猛暑が残る中を配偶者と二人で、札幌の夏がそうであったように、買い物袋を両手に下げて食材の買い出しに出かけていました。札幌の夏は買い物も時間帯によっては散歩の気分で楽しめますが、四国東北部の瀬戸内では夕方でも全くそういうふうにはなりません。立ち止っていると通る風が涼しいとしても、荷物を持って歩いているときには渡る風などなんの涼にもならない。歩いて買い物に出かける人がいないというのもよくわかります。

夏の朝の小学生といえば思い出すのがラジオ体操です。早朝に校庭や近所の広場に集まってするラジオ体操は今でもまだ存続しているのか不案内ですが、子どもの頃は早起きが苦手で、だから朝6時か6時半までにラジオ体操場所に集合するのが嫌でした。自由参加だったので――半強制的な雰囲気はあったとしても――毎年、最初の一週間くらいは頑張って起き出しましたが、その後は、ハンコを押してもらうペラペラ手帖はずっと空白のままだったと記憶しています。


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2023年7月27日 (木)

風に揺れる夕方の青い稲

まだ青い稲が夕方の風で揺れていました。

とても暑い午後でしたが、午後五時半になって風が出てきました。青い稲の葉や穂がその風の走る形をなぞって震えています。四国東北部の瀬戸内の夏は夕方のゆるやかに渡る涼しい風がうれしい。


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2023年7月26日 (水)

夏の早朝は蝉(セミ)の鳴き声

夏の早朝に――午前六時半から七時くらいに――ゴミ出しに行くとうるさいほどに蝉(セミ)の声が近所の樹木から降り注いできます。「すぐ下を通るとおしっこをかけられるかもしれないので用心してください」とその樹の持ち主の女性からアドバイスをもらったこともあります。

夏は蝉(セミ)です。セミの鳴き声がうるさくなってきたらすでに夏です。気象庁の梅雨明け宣言を待って夏だと考える必要はありません。蝉のほうが正確です。去年は忘れましたけれど今年は確かにそうでした。自然がくれるメッセージが人為のそれよりも信頼できるということかもしれません。ちなみに今年の梅の天日干し(土用干し)は梅雨明け宣言の前に完了しました。

そのうるさい蝉は茶色いアブラゼミではなく、名前は知りませんが、羽が透明で大きさはアブラゼミと同じくらいの種類です。アブラゼミよりは鳴き声がやや透明です。しかし声が太いのでミンミンゼミではない。濁った音も混じるのでアブラゼミも一緒に鳴いているのかもしれません。

「五月蠅い」とかいて「うるさい」と読みます。「わずらわしい。しつこくされてやりきれない」といった意味で使います。

五月の蝿(ハエ)がうるさいかどうかは意見の分かれるところだとして、「七月蝉い」とかいて「うるさい」と読んでも不思議ではありません。意味は「とてもうるさくて鬱陶しい」。ただし、遠くで聞こえる分には夏の風情で邪魔にならない。

夏の早朝のゴミ出しは蝉がうるさいけれど、夏がそこにいることを彼らが熱心にというか必死に宣伝してくれている感じで悪くない。


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2023年7月25日 (火)

もう稲穂が・・

これから空が夕方に向かうという暑いけれども風が渡る中を出かけているときに、青い稲穂(いなほ)が出始めたのが眼に入りました。四国東北部・瀬戸内の季節の推移にまだ慣れていないのでまだ七月下旬なのに「もう稲穂が・・」といういささか驚きの混じった感慨です。

近所の水田はたしか田植えが五月上旬だった(と記憶している)ので、田植え後二か月半でもう青い稲穂です。しかし同じことを出発点からでなく到着点、あるいは待ち構える側から見てみると、田植えからすでに二か月半も経過しています。

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去年のブログを読み返してみると、近所の小さな水田の稲刈りは多くが八月下旬だったので、この青い稲穂もあと一ヶ月で金色に実った穂を垂れて刈入れを待つ状態になっているはずです。

暑い暑いと感じていても――たしかに世界は、小学校の夏休みが始まったばかりだし熱中症の夏ではあるのですが――水田の稲には秋が生まれかけています。


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2023年7月24日 (月)

手書きの暑中見舞い葉書が届いた

手書き風の印刷ではなく、表も裏も本当の手書きの暑中見舞い葉書が届きました。クリーニング屋さんからです。チェーン展開をしているクリーニング屋のある店舗からの暑中見舞いですが、本部がそういう指導をしているのか、その店独自のマーケティングなのかはわかりません。

文面は以下の通りで、文面の背景にはアマチュアっぽい手で二匹の金魚と藻の絵が描かれています――絵は印刷です。。

「暑中お見舞い申し上げます いつもご利用頂きありがとうございます 暑い日が続きますがお体に気をつけてお過ごしください スタッフ一同」

電子メールやスマホメッセージの暑中見舞いはあるとしても、最近では、暑中見舞い葉書は少ないし、手書きとなるともっと珍しい。

会員カードを作ってあるので、カード会員全員に出したとすると我が家にも届くわけですが、けっこうな工数です。年間利用金額が一定以上の顧客を選んで暑中見舞いをしているのかもしてないとしても、少なくない葉書の枚数になります。

こういう手作りマーケティングは、貰ったほうとしては、嬉しいものです。


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2023年7月21日 (金)

簡単な野菜はないということらしい

『アスパラガスの立茎栽培、苗植付け後一ヶ月半経過』のその後」のその後、です。簡単な野菜はないとは、ここでは調理が簡単な野菜は多くないと主旨ではなく、育てるのが簡単な野菜はどうもなさそうだ、という意味です。

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わずか四本のアスパラガスを立茎栽培で育て始めたばかりですが、それぞれ元気に芽を出し、茎をのばし、松葉のような形の葉をフワフワと茂らせるというところまでは来ました。光合成が盛んになって根も太く長く伸び始めたのでしょう、新しい芽――これが食材としてのアスパラガスです――もそれなりに地中から姿を現し、そのままにしておくと葉がさらにフワフワ度を増します。

同時に気になることもあって、四本のうち左から二番目の、先行指標的に元気の良かったアスパラガスの葉のごく一部が枯れかかったような状態に、つまり茶色くなっていました。そういう循環かもしれないとも考えましたが、他の三本にそういう変化は見られません。仔細に観察すると二番目の茎の根元(だけ)が茶色く変色し、あるいは茶色い大きな斑点を根元に浮かせています。

ひょっとすると具合が悪いのかもしれない。あわてて調べてみました。

以下は「アスパラガスの茎枯病に有効な対策とは?防除のポイントと対処方法」と題するコラム記事からの引用です。

《茎枯病はアスパラガス栽培において、発生すると最も被害が大きいため、農家にとっては非常にやっかいな病害です。各生産地の農業試験場や技術センターでも重要なテーマとして取り上げられ、盛んに研究が行われています。カビの一種であるPhomopisis asparagi(ホモプシス アスパラギ)が原因の病害です。圃場中に蔓延してしまうという病気です。圃場中で散見されるようになると、収量が激減してしまう可能性が高くなりますので注意が必要です。》

だから長野県や長崎県のようなアスパラガスの生産が盛んな地域では、その対策に苦慮しているようです。たとえば「長野県アスパラガス生産振興プロジェクト」が平成29年に発行した文書には

《近年、県内のアスパラガス栽培では、「茎枯病」が多発し、減収の大きな原因となっています。》 《病原菌はカビの仲間で、茎に赤褐色紡錘型の病斑を作り枯らします。・・病原菌は雨滴で広がるので、露地栽培では春どり期や立茎期に一旦発病すると、その後急激に被害が拡大します。・・・病原菌は病斑内で越冬し、翌年の伝染源になります》

とあり、そして

「茎枯病」の発生を防止するためには農薬を散布しやハウスのような雨除けを設置するとして、不幸にも「茎枯病」に罹ったのが発見された場合には被害を拡大させないために、また翌年に持ち越さないために、罹病茎を抜き取ってその跡をバーナーで焼却する、と続いています。

自宅でバーナー焼却は無理なので、「茎枯病」で具合の悪くなった左から二番目をスコップと小型レーキと手で根こそぎ抜き取りました。これで残りの三本に伝染しなければ嬉しいとして、根こそぎにしたつもりでも地中に一部抜き忘れが残っている可能性もあります。だから農家はバーナー焼却という工程を最後に付け加えるのでしょうが、とりあえずできる対策は取ってみました。

(【註】調べてみると、家庭用カセットコンロで使うカセットガスを利用するところの「木炭着火用アウトドア・トーチバーナー」というのがあり、カセットガスのメーカーから手ごろな値段で市販されています。安全を考慮した設計なのでそのうち「茎枯病」に試してみる価値はありそうです。)

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 左から二番目のアスパラを抜き取った。まだ支え棒は残っている。


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2023年7月20日 (木)

100円ショップで買ったカッター付きの園芸用ビニタイが便利

「ビニタイ」(英語だとtwist tie)のビニは「ビニール」(vinyl)のビニではなく「蔓(つる)の」のviny(ヴァイニー)です。植物の蔓(つる)のように、しなやかだけれど添え木や支柱にしっかりと巻きついて対象物(たとえばミニトマトの茎)をふんわりと支えるのでビニタイ、蔓のようなタイ(結ぶもの)というわけです(以上の情報は「ビニタイ」を商標登録している企業のウェブサイトを参照しました)。

15センチメートルくらいの長さのビニタイ棒を繋ぎ合わせても問題ないのですが、それだと二本繋いだり三本繋いだりで――たいていは二本で済むとしても遊びのない二本繋ぎになる――面倒くさい。最初から必要な長さをカットできるのが便利なので、100円ショップで以下を購入しました。

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100円ショップの製品は、そうでない製造流通経路のものと較べると、その品質がやはり100円ショップだとしても、園芸用途で短期の使用だと問題ありません。

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          園芸用のビニタイとミニトマトの花


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2023年7月19日 (水)

電子書籍はどんな道具だと読みやすいか

最近は以前よりも電子書籍を利用する頻度が増えました。しかしそれは実用本に関してはそうであっても、そうでない種類の本は、紙媒体のものがやはり読みやすい。ただし、紙の本といっても、昭和時代の、内容量を多くするために活字の細かさを競い合ったような文庫本は、参照目的以外には、対象外です。

現在手に入る電子書籍のための道具(デバイス)は、特定の電子本専用リーダーやパソコンないしはスマホないしはサイズの異なるタブレット端末くらいなので、その選択肢のどれかと折り合いをつけることになります。スマホやタブレットの欠点は電子書籍利用時の電池の消費が激しいことで、それがそれ以外の通常利用を阻害するようなら、選択肢は限定されます。

外出先で読むか自宅で読むかによってその選択肢は違ってくるとしても、外出時は、荷物が増えるのは好ましくないので、読みやすくはないけれども、選択肢はスマホということになります。しかし自宅で読書する際は、電子本を読む場合でも、紙の本を読むのに似た雰囲気の道具がいちばん違和感がありません。

新聞でおなじみの細い横長のコラム風の表示は長時間読書には向かないし、一画面の情報量が――読みやすい大きさの活字にして――通常の単行本の三分の一ページ分しかないようなのも印刷断片の束を読み進んでいる風情で馴染めない。スマホで電子書籍を読むとそうなります。

そんな短所を避けるためにパソコンを利用すると、パソコンは言葉を思考しながら文字の群れを入力するという作業には向いていますが、読書のための道具としては、その形態がノートブック型のラップトップであっても、なんとなく鬱陶しい。

手軽さ、持ち運びやすさ――机の上でもソファーでも――、読みやすい活字の大きさと画面当たりの心地よい表示文字数の組み合わせ具合を考えると、今のところ、その大きさがA4サイズ(ないしレターサイズ)の用紙に相当する12.9インチのタブレット端末を、縦書きの場合は横長に置くのが、いちばん使い勝手がいいようです。表示活字はデフォは明朝体だとしても、読む内容によってはゴシック体でもかまわない。


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2023年7月18日 (火)

令和5年の梅干し作り(その三)

令和5年の梅干し作り」と「令和5年の梅干し作り(その二)」の続きです。

夏の陽射しと夏の気温が三日間は途切れることなく続くという天気予報だったので――複数のサイトの予報と一週間の雨雲の動きなどでそれを納得し――16日(日曜)と17日(月曜)の二日間を使って梅の天日干し(梅の土用干し)を完了しました。当初は16日から三日間を予定していましたが、すばらしい天気(快晴の陽射しと真夏日の気温)に恵まれたので天日干しは午前7時から午後5時までの二日間で十分でした。

干す梅は樽の中で6月22日からずっと三層のサンドイッチ状態で赤紫蘇に挟まれて(あるいは包まれて)おり、上品な赤に染まっています。

特別な事情のある年を除いて、梅の天日干し(土用干し)は我が家の毎夏の行事で、天日干しの間は夏の自然な陽射しをできるだけ長くもらいたいので、午前6時から配偶者と二人で作業を開始します(天日干し日数は札幌では三日間、瀬戸内では二日間ないし三日間)。札幌の自宅で梅干しを作り始めたのが2010年の夏で、それから2023年の夏まで、途中どうしても無理だった札幌の2021年を除いて、13年間作り続けていることになります。札幌で11年、瀬戸内で2年です。

赤く染まった10㎏の梅を順番に、二個の長方形の平籠に行儀よく順番に並べて戸外の日当たりのいい場所に干します。日射しの強い場所は午前と午後とでは変わってくるので、干し場も午後になるとより良好な日差しを求めて移動します。西日の傾く夕方までには梅は室内に取り入れて、赤梅酢がたっぷりと入っている樽に戻し、天日でその日に熱くなった梅干しを翌朝まで赤梅酢のなかでゆっくりと冷まします。こうすることで濃い赤の風味にさらに磨きがかかります。

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           梅の天日干し 初日 午前7時30分

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            梅の天日干し 初日 午前11時

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            梅の天日干し 初日 午後3時30分

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    梅の天日干し 二日目 午前9時、まん中の黒いのは赤紫蘇

場所が四国東北部・瀬戸内の今年は、前述のように、その作業を二日間繰り返しました。二日目には赤紫蘇もいっしょに干してやります――日射しと気温の様子が実感としてよくわからなかった昨年は三日間繰り返しましたが。

今年(2023年)の梅干しの個数は379個なので――一列12個で順番に並べるので簡単に数えられる――、一日一個の朝ごはん消費で一年分です。

我が家は屋根のあるところでの天日干しはしないので、万が一天気予報が外れそうな事態になると緊急対応作業が必要になります。だから天日干し(土用干し)期間は原則として外出禁止ですが、初日も二日目も天日干し向きのすばらしい天気で、深みのある赤に干しあがりました。白いご飯を炊けばその上に置くだけでおいしい日の丸弁当ができ上がります。

梅干しは、今年のものも、いつものように常滑(とこなめ)焼の樽に詰めて常温保存し、二年くらいは寝かせてから食べ始めます。そのための塩分濃度18%です。年の単位で寝かせているとまろやかな塩辛さになってきます。現在朝ごはんで食べている梅干しは2020年の夏に札幌で作ったもので梅は奈良県産の南高梅ですが、在庫はまだたっぷりと残っています。今年の梅は高品質な三重県産の南高梅でした。


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2023年7月14日 (金)

昔の戦(いくさ)は高みの見物の対象

「祭り」「儀式」としての戦いというものがあります。丸谷才一はそれについて「十八世紀までの戦争を肯定するのなら・・・ホイジンガを持ち出すまでもなく、様式的に洗練されてゐるし、ゲームとしての約束事が決ってゐるし、被害の範囲も限られてゐた。祭りとしての戦争という見立ても、まあ成立した」と書きました。

サッカーファンからは試合の最中に食べたり飲んだりしている暇はないという返事がとても高い確率で返ってくるとしても、プロ野球の試合を球場で観るときには食べものと飲みものは不可欠です。手弁当でもいいし、現場の「屋台」で買ってもいいけれど、ビールは歩く屋台なので若い女性が席まで届けてくれて助かります。

「高みの見物」とはうまい表現で、辞書風の説明では「第三者の立場から、興味本位に物事の成り行きを傍観すること」ですが、これはそういう表現が生まれたあたりの昔には、現在のプロ野球の球場と同じで、比喩ではなく、リアルな情景描写だったと思われます。最近のプロ野球の球場は「高みの見物」だけでなく「できるだけ戦いの現場の近くで臨場感を味わう種類の見物席」も用意されえています。ライナーで飛んでくるファウルボールを捕るグラブを身体のそばに用意しておかないと危険です。

十六世紀のなかばに「川中島の戦い」というのがありました。武田信玄と上杉謙信、その後の武田軍と上杉軍が川中島を主戦場にした戦いですが、川中島とは川の中の島、つまり大きな中洲のことで、そういう場所が戦場に選ばれたというのは「高みの見物」という点からも興味深い。

当事者にとっては生死を賭けた戦いですが、「様式的な洗練」や「約束事」がそこにはあったように思われます。だから、かりに邪魔にならない距離に農民や一般の見物客がいても戦(いくさ)は遂行されたし、見物客は刀や槍で追い立てられなかっただろうと思われます。当時の「できるだけ戦いの現場の近くで臨場感を味わう種類の見物席」です。

関ヶ原の戦いやその前の大津城の戦いでは手弁当を持った見物人が戦の邪魔にならない、あるいは戦の直接の危険が及んでこないあたりにある観客席――たとえば、見晴らしの良い近くの丘の上など――に集まり、勝敗の行方を占い、そうなるとそういう見物人に食べものを売って儲けようというビジネスマインドに富んだ屋台もけっこう出現したらしい。当時の戦において観客としての農民や一般見物客が攻撃されることは、おそらく、なかったからです。どちらが勝つにせよ農民・庶民にとってはその後の年貢の取り立て量に差はないわけで、そういうことなら、戦国大名の戦を祭りの見世物として高みから見物したほうが憂さ晴らしにはなります。

「儀式や祭りとしての戦い」であるところのプロ野球を見ていると、つい、そういうことを想起してしまいます。


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2023年7月13日 (木)

「ホテル内に爆弾が仕掛けられている可能性があります。避難してください。」

アラブ人やイスラエル人の爆弾テロが登場するところのドイツやギリシャやイギリスを舞台にしたジョン・ル・カレの「リットルドラマーガール」(出版1983年)を読み返していて、ロンドンのあるホテルでの経験を思い出しました。

その本の出版よりは10年と少し後ですが、北アイルランドやロンドンでテロ的な爆破事件がまだ続いていたころのできごとです。

晩ごはんの後で部屋に戻り、これからシャワーでも浴びるかという時刻です。突然、緊張感と落ち着きの両方が混じったような中年男性の声で「こちらはホテルの警備室です。ホテル内に爆弾が仕掛けられている可能性があります。お客様はできるだけ早くホテルから避難してください」という館内放送がありました。同じメッセージが二度ゆっくりと繰り返されたと記憶しています。

ドアを開けたら、右隣の向かいのドアにはダークスーツを着たスラブ系とおぼしき恰幅のいい中年男性が二人、ドアを半分開けて立っていました。危険はないと思うと言ったのか、部屋にいたほうがお互い安全だねと確認し合ったのかは定かではないけれど、頷き合ってドアを閉め、それぞれの部屋に戻りました。

外へ出たところで夜は周りの細かい様子も解らないし、外へ出る途中のエレベータや階段などはかえって危険だし、外出可能な格好をして部屋でじっと待機しているのが選択肢としてはいちばん良さそうです。ことが発生すればしたでその時のことです。

結局何事もなかったのですが――「安全が確認された」という館内放送がありました――、ロンドンの中心街でそういうことがまだ発生していた時期の体験です。そのときは配偶者と二人で旅行中だったので、その日の細部――ホテルから徒歩ですぐの小さな落ち着いたレストランでの晩ごはんメニューやホテル内で発生したある種の(爆弾とはまったく関係のない)控えめな喧騒――などをよく覚えています。こういう経験をしておくのも悪くない。


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2023年7月12日 (水)

活性液で葉が元気な緑に

橙(ダイダイ)や檸檬(レモン)の葉に元気がないので安心な活性液」の続きです。

橙と檸檬の葉に――とくに橙の葉に――緑の鮮やかさが不足し始めたのに気が付いたのを放っておいたので、元気のなさが心配になり、何とか対策を打たねばと、天然植物素材だけで作った活性液に頼りました。

その、農薬ではないところの安心な活性液を一千倍に薄めたのを根元に注ぎ、また葉に満遍なく散布してやるという作業を三日に一度程度繰り返しました。説明書には一週間に一度と書いてありましたが、梅雨の大雨が頻繁に降ったので散布頻度を高めた次第です。

まだ心配は残っていますが、葉の緑はそれなりに鮮やかな色合いへと回復してきたようです。

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2023年7月11日 (火)

オレガノは猫の苦手なハーブかもしれない

近所の飼い猫が、我が家の菜園を自分のテリトリーと勘違いしているのか、あるいはシオニスト的な傾向のある猫なのか、そこに悠然と入り込んできては生育中の野菜に狼藉を働いていきます。

猫はハーブが苦手ということになっているようだったので、それ自体が目的ではなかったにしてもバジルやタイムを植栽場の一画で育てていて、しかし彼らは――たぶん二匹――平気で侵入してきました。

猫の撃退には実際には実現不可能な、下の絵のような電気ショック道具がないかとも考えていたのですが、先日(ひと月と少し前に)園芸店でオレガノに出会いました。

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オレガノは香りの強いハーブです。その独特の香りの強さ――ヒトにはそれなりにいい香りですが――を嫌ってネコが菜園に近づかないかもしれないと、今までの失敗にもかかわらず淡い期待を持ちました。そうならタイムなどとは違い、自然の猫除けになります。小さな苗を二つ他の野菜の邪魔にならないあたりに植えてみました。

植え付けたのは六月上旬ですが、それ以降、猫がその周辺に近づいたという気配や痕跡は見当たりません。ひょっとして猫が嫌う種類のハーブにめぐり合ったかもしれません。

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猫を感電させる道具は要らないようです。


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2023年7月10日 (月)

ミニトマトを一苗、植えてみた

イタリアンパセリが大きく繁りすぎて、食材というよりは観葉植物になってきました。食材としても量を食べるタイプの野菜ではないので――役割はハーブ――思い切って抜き取りました。パセリの深く張った根は丁寧に取り除き、栄養分や石灰などを鋤きこんで土の手入れもして、跡地にミニトマトを一苗植えてみました。少しは野菜サラダの足しになるはずですが、ミニトマトの栽培は久しぶりです。

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ミニトマトの植え付けには遅い時期だったので園芸店の棚に残っている苗は量も種類も少なくて、だからどういう色のトマトかもよく確かめずに買ったのですが、おそらく、まん丸いタイプの赤いミニトマトです。一時はとても人気だったドングリ型(あるいは小さなラグビーボール型)のミニトマトは皮が固いという特徴の為か、最近は野菜売り場で以前ほどは見かけなくなりました。

苗を植え付け後、そのすぐ隣に180㎝の太い支柱を一本立てました。植え付け直後はトマトは根を地中に張るのに忙しくて上に伸びてくる余裕はありませんが、これくらいの高さがあればツルや枝が勢いよく伸び始めてもその支えに問題はないと思われます。一本でも知恵を絞ればなんとか対応できるでしょう。

下は、2011年にアイコ(ラグビーボール型のミニトマト)で作った自家製ドライトマトです。その頃はさかんにミニトマトを栽培していました。ドライトマトは保存を考えて真空パックにしたので、飲みたいときにはつまみになったし、洋風料理のときは調味料になりました。

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カラスは、食べごろになったミニトマトの無銭飲食が好きなので――札幌ではそうでした、ただし、赤や黄色に色づく前のまだ緑の美味しくない時期は将来の食事対象としてその存在を気にはしていても近づかない――、四国東北部の瀬戸内でもそうなった場合どうするか、なんとなく気になるところです。


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2023年7月 7日 (金)

「カラスに対する『かかし効果』」という内容の記事

日本農業新聞の「カラスに対する『かかし効果』」という内容の記事が昨日ネットにでていました。要はカラスが悪戯をしにくるのを邪魔するための道具は、世間で信じられているのとは違い役に立たないという内容の記事です。

《カラスに対する「かかし効果」の継続時間は、長くても1日程度にとどまる──。愛知県農業総合試験場と、カラス被害防止の対策製品を開発するクロウラボ(宇都宮市)は、目新しいものを警戒する「かかし効果」の継続時間を調べた。警戒心をあおる「おどし」4種類で調べたところ、CDの効果が約26時間と最長だった一方で、効果が1時間に満たないものもあった。カラス対策の難しさが改めて浮き彫りになり、同試験場は「おどしの位置や種類を小まめに変えることが重要」とした。》

《CDの「かかし効果」の継続時間が最も長い理由について、同試験場は「テグスとの相乗効果で不規則に動くことが要因になったのではないか」(同室)と分析。「どんなおどしでも、設置したままだと長くても1日程度で効果が消えてしまう。》

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この記事をネットで拝見した時の正直な感想は「ご苦労な調査ではあるけれども、何を今さら」というものです。そんなことは10年以上前から、カラスが家庭菜園のミニトマトを略奪に来た時の経験などで実証研究的に解っています。

世間で10年以上前から流布されているカラス対策は、ゴミを蔽う黄色いネットも含め、ほとんどまったく役に立ちません。カラスはそういうヒトの浅知恵に引っかかるほど愚かではありません。黄色いネットで蔽ってあるゴミ捨て場の黄色いポリ袋に入った生ゴミが嘴でつつかれて無残な状態にされているのを札幌で何度目にしたことか。

ピカピカ光るCDも、複数枚を別々に紐で吊るして風にゆらゆら揺れるようにしてあっても、カラス除けには役に立ちませんでした。見た瞬間に、あるいは見たあとわずかな時間だけ考え、それからヒトの無駄な努力をあざ笑うかのように揺れるCDという存在を無視します。つまり、我が家での観察結果は日本農業新聞に掲載されていた観察結果とはずいぶん違っています。

以下の 《・・・》部分 は、2011年9月15日の「空き巣・知能犯・居直り強盗」というタイトルの「高いお米、安いご飯」記事からの引用です(ただし一部を修正、その頃は札幌で暮らしていました)。栽培中のミニトマトが頻繁にカラスに乱暴に無銭飲食されるので腹が立ち、そのときの様子をまとめた記事です。CDがカラス撃退に役に立たないのは、すでに、経験済みでした。

《広辞苑によれば、「空き巣」とは「空き巣狙いのことで、留守をねらって入りこむどろぼう。」、「知能犯」は「知能を利用して犯す罪。またはその犯人。」、そして「居直り強盗」は「こっそり盗みに入った者が家人に発見され、その場で強盗に変わること。また、その強盗。」となっています。

トマトの収穫時期もそろそろ終りですが、我が家の赤と黄色のミニトマトがカラスにつまみ食いされる日々はまだ続いています。配偶者がその場面に遭遇することが多く、僕もまれに現場を目撃するのですが、配偶者の話と僕の体験とを総合すると、次のような具合です。

・常習窃盗犯であるところの、焼き鳥にしてやりたいくらい憎たらしいカラスは、どうもいつも同じ奴が単独で行動しており、友達や知り合いを連れてきているのではない。小柄な賢そうなカラスである。

・最初は、我々が留守の間にこそっとやってきて、できるだけ痕跡を残さずにトマトを食べ、静かにのがれ去っていた。これが何度か続いた模様である。

・味を占めた後、配偶者に見つかって、配偶者が準備していた輪ゴム鉄砲で脅かされたので、彼も態度を変え、空き巣・コソ泥から知能犯に変貌しました。その日の一度目の来訪時は、頃合いのミニトマトがどのあたりにあるかを物色するだけで、それ以上のことはしない。ガラス越しに配偶者と目が合ったくらいでは逃げない。外に出てゴム鉄砲を発射する格好をして近づこうとするとさっと飛び去る。その後しばらくして二度目の訪問。身の安全を確認後、目を付けていたトマトをくちばしでもぎ取って飛び去る。余裕がある場合は、一個目を食べた後、もう一個を咥えて満足そうな表情を浮かべている。

・その後は、安全な距離がある場合にはゴム鉄砲の格好くらいでは驚かなくなり、悠然と熟れかけたミニトマトを二個~三個と食べている。配偶者の方を睨んだりもする。もはや居直り強盗の貫録。

・赤いミニトマトも黄色いのも同じように食べる。獲りやすい場所にあるものを盗んでおり、色の違いは関係なさそうである。しかし、しいて言えば、赤の方が好みかもしれない。

・もうそろそろ時期も終わりなので残りのトマトも少ないのだが、仕上げの時期と思っているのか、訪問頻度は落ちない様子である。

・毎日のように生鮮野菜であるところの生トマトを食べにくるとは、きっと健康管理に関心の高いグルメなカラスに違いない。》

四国東北部の瀬戸内ではカラスは他の野鳥に比べてマイナーな存在です。それでも、電信柱にふんぞり返って汚い声で周りや下を歩くヒトを威嚇するようにがーがーと鳴く様子を見ると、今は売っているかどうか知りませんが、そのがーがー声の持ち主にゴムパチンコでも発射してみたくなります。


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2023年7月 6日 (木)

「アスパラガスの立茎栽培、苗植付け後一ヶ月半経過」のその後

アスパラガスの立茎栽培、苗植付け後一ヶ月半経過」の続きです。

たまたま日差しや気温などの生育環境が合っているのか、土が好みのものなのか、アスパラガスが良く育っています。立茎栽培をめざしており、新芽がそれなりに次々と出てきて、そのままにしておくと上に向かってどんどん伸びて、やがて葉を茂らせます。

20230706

新芽はまだまだ細く、アスパラガスとして美味しく食べるような状態ではありません。言葉を替えると、野菜売り場で売り物にできるような太さではありません。そのような新芽が出るのは、速くて一年後だと考えています。あるいは二年後かもしれません。

20230706_20230706082301

新芽を葉にして、その葉を茂らせて光合成を活発にさせ、そうして地下部分に栄養分を徐々に蓄えさせておけばそのうち太い新芽が期待できます。

今は瀬戸内も地元で採れたアスパラガスの出荷時期で我が家でも毎日のように食べていますが、食材としてのアスパラガスが大好きで、自家栽培のアスパラをどうするかという点に関してはぼくよりも我慢のできない(と思われる)配偶者がふと「ぬけがけ」をして写真のような細いのを刈り取って野菜売り場のものと知らん顔で混ぜ合わせてサラダの一部にしてしまうのではないかと心配しています。


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2023年7月 5日 (水)

ドイツのボンが舞台のひとつになった二つの小説

ドイツのボンが舞台(のひとつに)なった小説に、開高健の「夏の闇」(1972年)とジョン・ル・カレの「リトル・ドラマー・ガール」(1983年)があります。念のため、出版年は本棚から引っ張り出してきて確かめました。

ボン(Bonn)は、首都機能の一部をベルリンと分掌するドイツ連邦共和国の都市ですが、国際舞台に登場したのは第二次大戦後に西ドイツの暫定首都となった時です。ライ川西岸に位置する古い町で、ケルンの――大聖堂のあるケルンの、あるいはキース・ジャレットがその地のオペラハウスで1975年にピアノの即興演奏を行った都市の(そのレコードアルバムは「ケルン・コンサート The Köln Concert」)――すぐ南に位置する町です。町の東をライン川が流れています。

ドイツの首都機能はその主要部分が1999年にボンからベルリンに移転しました。首都機能移転のきっかけとなった東西ドイツの統一は1990年です。

古い町ですが急に首都になり、したがってその機能を――そこで新たに働く人たちの生活基盤も含めて――維持するための道路や設備や建物があわてて作られ、つまり古い環境に新興都市的な人工が突然付加されて、しかし、そこは森の好きなドイツらしく、通りの音が家までは聞こえないくらいに「今では」植え付けた木が――もともと多くの樹木があったとしても――鬱蒼と茂っている。

その「今」とは、ここでは、「夏の闇」が出版された1972年より少し前の今であり、「リトル・ドラマー・ガール」が発行される1982年よりも少し前の今ということになりますが、首都機能の建設に着手して15年から25年で町が森とはいかないまでも樹木の鬱蒼に覆われるというのは日本の常識からするとなかなか以上にすごいものがあります。

まず「夏の闇」からそういう箇所を引用してみます。

《「ここには役所と大学しかないんだもん。東京とはちがうわよ。おまけに住民は夜九時になるとさっさと家へ帰っちゃうから、ひっそりかんもいいところよ。私のところはちょっといった郊外だけれど、昼間からフクロウの鳴声がするくらいよ」 「フクロウが昼間に鳴くのかね?」 「夜は哲学本を読んでいるのよ」》

《バルコンにたって眺めると、この界隈には道がないのではないかと見えることがある。・・・どの家も深い木にかこまれているので、またしばしば下枝が垣根ごしに道へ張り出しているので、空から見おろすとすべてが緑に蔽われてしまうのである。樹海といいたくなるくらい蔽われてしまうのである。・・・お屋敷町は樹海のしたにかくれているのだが、ところどころにまるで漂流物のように赤い三角屋根や、白い窓や、ゼラニウムの咲き乱れるバルコンなどが浮き沈みしている。道を歩きながら垣根ごしに眺めるとそれらの家はたくましい幹にかくされ、芝生や花壇にかこまれているが、豪奢よりは質朴、豊穣よりは清潔をめざして設計されていて、そのためかえって蓄積の底深さを感じさせられる。》

続いて「リトル・ドラマー・ガール」から。

《ここでは植物も外交官コミュニティも、ドイツ人が道路をつくるのとほぼ同じ速さで、地図をつくるのよりいくらか速く、みるみるのびひろがる。だからすでに一部の家は、濃密な針葉樹の木立で前面がかくれるほどだった。それらをのびるにまかせたら、きっとある日とつぜん、その界隈一帯をグリム童話の闇の世界にかえてしまうことだろう。その木立が、爆発にたいしことのほか有効だったことがわかり、事件後さっそく地元の植木屋のなかには、それを売り物にしたところもあった。・・・季節は五月のなかば、朝からすばらしい日で、木々の青葉と花がそよ風にいっしょに揺れていた。木蓮の花は終わったばかりで、あらかた散ったはかない花弁は、あとで爆発跡でひときわ目立った。それくらい樹木が多いと、幹線道路の通勤の車の音も、ほとんどはいりこむことはない。》

デュッセルドルフに滞在したついでにケルンまで足を延ばし、シュトゥットガルトで用件を片づけたあとでハイデルベルクを散策することはあっても、行くつもりならすぐそばのボンには足が向きませんでした。ボンの雰囲気は五十年前と四十年前に書かれた二冊の小説で味わうだけでもよさそうです。


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2023年7月 4日 (火)

橙(ダイダイ)や檸檬(レモン)の葉に元気がないので安心な活性液

棘(トゲ)無し檸檬(レモン)として販売されていたレモンの苗木に、けっこう鋭い棘が生えていたのでこういうのも棘無しと呼ぶのか、それとも生産者あるいは販売者の表示間違いか、どちらとも判然としませんが、しかし、それを見てから我が家の檸檬の棘の手入れ――硬く尖ったのが手に刺さると痛いのでまだ柔らかいうちに剪定バサミで棘の根元付近から切り取ること――を面倒だとは思わなくなりました。

その檸檬と、そして橙です。

去年は若葉の季節以外は濃い緑だった橙(ダイダイ)と檸檬(レモン)の葉に、今年は黄緑やまれに黄色に変色した葉が混ざるようになってきました。間違いなく栄養不足になりかかった症状です。

橙と檸檬の植栽場の上層にはいい土をそれなりに重ねてあり、その土に根を伸ばして成長している下生えは――この場合は芝桜や匍匐性のタイムが下生えですが――とても元気なので、原因はその下の固い土にありそうです。その土が栄養不足で、したがって深く伸びた橙や檸檬の根が必要な量の養分を吸収できていない。何とかしないといけません。

土に固形の基礎栄養剤を撒くのは当然として――雨がふれば地中にゆっくりと沁み込んでいく――それ以外に必要なのは、天然の植物由来の活性液です。活性液を1000倍に希釈したのをたっぷりと橙と檸檬の根元に注ぎ、葉にはそれをスプレー容器に入れてたっぷりと散布します。

当該活性液の宣伝文の一部をそのまま引用すると 『スギ、ヒノキ、マツ、オオバコのエキスを抽出・精製した、純天然の植物の活力液。天然成分のため、安全で無害。野菜・果物・米・茶・花・樹木とすべての植物栽培に使える。有機栽培や減農薬栽培にぴったり』 となっており、札幌でもプランター栽培の野菜と花に使った経験があるのでその安全性と効果はわかっています。今回は相手が食べる実のなる樹木に変わりました。

その作業を一週間に一度は繰り返し、彼らが元気を回復する様子を見守ることにします。


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2023年7月 3日 (月)

「なに、このつまらない番組は」

「なに、このつまらない番組は」。配偶者の発言です。
「ぼくはそれなりに面白いと思うけど」。ぼくの発言です。

意見が合わないので、見るのを止めました。

たまたまスイッチを入れたときにテレビ画面に出てきた番組がNHKの「魔改造の夜」でした。製品の持っているさまざまな機能のうちの特定の機能の改造を複数のチームが競い合う。しかし改造といってもそれがその製品の機能や価値を高めるとは限らない種類の改造です。その夜のテーマは、ポップアップトースターを改造して食パンを天高く跳ばすというもので、パンをよりおいしくトーストするための改造ではありません。だから、たしかに、「なに、このつまらない番組は」ということになります。

スイッチをオフにしながら「僕には興味深いけどね。なぜならこうやって技術は進歩するというところを垣間見せるような番組なので」と付け加えておきましたが、こういう場合に、決して「だから女は度し難い」などと口を滑らせてはいけません。

こういう考え方の対立を一般化すると次のようになります。

「役に立たない工夫に意味はない」 vs. 「とりあえず役には立たないかもしれないけれどともかく工夫は面白い」

「役には立たないかもしれないけれどともかく工夫は面白い」は技術の発展の根元を支えるような姿勢なのでその限りでは喜ばしい限りですが、これが「科学や技術はそれが何であれ価値から自由である」となり、さらに「ものごとの善悪には興味はないが、そのものごとを徹底して合理的に遂行する仕組みや手段を考えることは面白いし、その遂行には意義がある」となると、その延長線上に「アイヒマン」が結果する場合もあります。

しかし「アイヒマン」を持ち出すのはここでは極端なので、かりに「美味しいおこげの作り方」という料理番組があったとして、その番組は、「なに、このつまらない番組は」なのか「案外、面白いかもね」なのか。

ご飯を炊いていて「おこげ」になってしまうというのは、ご飯は全体が白くホカホカと粒立つように炊くのがいいとされているとして、火加減・水加減・研ぎ加減のどれかに間違いがあったのが原因です。自動炊飯器はマニュアル手順に従えばそのあたりの間違いが発生しないようになっています。

そんな環境で、つまり多層ステンレス鍋や土鍋ではなく、おこげにするのがとても難しい炊飯環境で昔懐かしいおこげを作りたいと思った場合、これは「役に立たない工夫に意味はない」ことなのか、それとも「とりあえず役には立たないかもしれないけれどともかく工夫は面白い」ことなのか。

どちらにせよそういう内容を特集した番組であれば、夫婦間の諍い(いさかい)はおそらく発生しません。


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