経済・政治・国際

2017年3月14日 (火)

現在の血圧基準値は?

先日、ある民間の人間ドックというか、健康診断センターというか、そういうところで健康診断を受けてみました。毎年の定例行事です。こういう場合にいつも悩ましいのは(実際は気にしていないので悩ましいというのは正しくないのだけれど、ここでの都合上そう書くことにします)、血圧の基準値です。これほどガイドライン(だれがどういう風に決めるのかよくわかりませんが)が、きまぐれに動くのも珍しい。
 
2014年4月に、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、人間ドックなどで今まで集めてきた健康な1万人のデータを分析した結果、とくに持病がない人は、「収縮期血圧が147以下」、「拡張期血圧が94以下」なら高血圧を気にしなくてもいい、というガイドラインを出しました。一般の健常者にとってもわかりやすい実務的なガイドラインです。現在はどうもこれが隅に追いやられているらしい。
 
それまでの「正常」な血圧というもののガイドラインの推移を並べてみると
 
□ 1960年代は、「収縮期血圧が149以下 /拡張期血圧が 99以下」
□ 1970年代は、「164以下 / 94以下」(WHO世界保健機構)
□ 1993年からは、「139以下 / 89以下」(いわゆる「140 / 90」)
□ 2009年からは「129以下 / 79以下」が正常血圧、「130~139 / 80~89」は「正常高値血圧」という不思議な言葉で呼ばれるようになった(日本高血圧学会)
□ 2014年に「収縮期血圧が147以下」、「拡張期血圧が94以下」なら高血圧を気にしなくてもいい(日本人間ドック学会)
□ 現在?アンシャンレジームの復活?
 
日本高血圧学会のガイドラインだと、たとえば、測定値「135 / 78」は片方が正常血圧の範囲に収まっていないのでないので正常高値血圧になります。そして「収縮期血圧が140以上」あるいは「拡張期血圧が90以上」のどちらかに該当すると(たとえば、「142/88」)「高血圧」と判断されます。
 
ある地方自治体の血圧ガイドラインは生真面目に「収縮期血圧の基準値は90~129」、「拡張期血圧の基準値は ~84」となっていて、変えるつもりはなさそうです(ちなみに「上」が90未満だと低血圧)。
 
そういう流れを読んだのか、一時は姿を消していた「血圧が130を超えたら、□□□を」というサプリメントの宣伝メッセージも復活してきました。
 
循環器系の医者の意見なのか、製薬会社の意図なのか、高血圧の患者、および患者予備軍が増えたり減ったりで、けっこう気ぜわしい。同時に、けっこう面白い。

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2017年3月 7日 (火)

「原発 今も高い放射線」

大人向けのメディアの似たような主題の記事よりもよくまとまった内容と図表だったので、図表を勝手にお借りしました。北海道新聞の「道新こども新聞」2017年3月4日号の「原発 今も高い放射線 東日本大震災からまもなく6年」という記事の図表です。(この場を借りてお礼申し上げます。)
 
このタイプの表示形式は2011年の3月以来、メディアが何度も掲載してきたものですが、なかには、とくには関係のない項目の数値を持ち込んだり、単位時間の違う不明瞭な数値を紛れ込ませて安心感やその逆の恐怖感を意図的にあおったりしたものも少なからずありました。
 
この2月の調査でわかった、福島第1原発2号機のデブリによる1時間当たり最大530シーベルトという空間放射線量の推定値(ないし、それよりも高い650シーベルトというその後の推定値)との関連で、このタイプの表示形式をまとめ直したものは他に見たことがなかったのでお借りしたわけです。
 
2011年4月に発行された「Health Effects of Chernobyl - 25 years after the reactor catastrophe」(チェルノブイリの健康への影響-原子炉惨事から25年)という調査レポートには、原発事故から丸6年という期間が持つ意味について、参考になるデータが含まれています。
 
 
20170304

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2017年3月 1日 (水)

原子力発電と牽強付会の終わり

「消えた『低廉』の文字」「原発を受け入れている地元の首長に宛てて政府が出す再稼働の要請書から最近、2つの文字が消えた。『低廉』だ。これまでは原発の電気の安さを訴えるのが慣例だった。・・・・『安全対策などの費用を考えれば、原発の電気が安いとはもう声高に言えなくなった』経産省の幹部はこう漏らす。」(日本経済新聞 2017年2月28日 「原発漂流」、下線は「高いお米、安いご飯」)

火力発電や原子力発電といった電源別の発電コストの分析や比較に関する資料で、僕がもっとも納得できるのが「内閣府 第48回原子力委員会定例会議」(平成22年9月7日)の配布資料のひとつである「原子力政策大綱見直しの必要について-費用論から見た問題提起-」(立命館大学・大島堅一教授)です。

平成22年9月7日は、平成23年3月11日の福島第一原子力発電所の爆発事故の半年前。そういう時期に提出された資料なので、福島原発事故へのバイアス(どちらの方向へのバイアスかは別にして)には影響されておらず、冷静な枠組みと評価になっています。その資料の中から「エネルギー政策の費用の考え方」を引用します。

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最初に引用した記事の意味は、「エネルギー政策の費用の考え方」の ① ② ③ ④ のそれぞれにまじめに、つまり、今までやってきたような見せかけの数字を作るための数字の操作、牽強付会、政治的配慮、ごまかしなどをできるだけ排除して関連した実際の数字を当てはめていくと、原子力発電の費用は、他の選択肢よりも、高いということです。「安全対策などの費用を考えれば」というのも、「など」には狭義の安全対策以外のもの(たとえばいまだに全体金額が見積れないところの廃炉費用など)も含まれるので、「原発の電気」はますます「低廉」から遠ざかります。

今回の記事の意味は、経産省がそういうことをとうとう公表せざるを得なくなったということです。

関連記事は、「続・「原子力の発電コスト-関連する数字が表に出てきてわかりやすくなりました」」、「原子力発電の好きな方が語った、原子力発電や火力発電の発電コスト」、および「自然エネルギーが好きな方が語った、原子力発電や火力発電の発電コスト」。

◇◇◇

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2017年2月21日 (火)

迷惑な世論調査

「よろん」は「輿論」、「せろん」は「世論」というのがぼくの中で固定している漢字とその読みの組み合わせなので「世論」を「よろん」と読まれるといまだに違和感がありますが、それはさておき。
 
2014年12月に「一週間前の電話世論調査に続いて、今度は出口調査の対象」という記事を書きました。以下はその一部です。
 
『一週間前の7日(日曜日)のお昼過ぎに、地元の新聞社から(実際には、その新聞社から仕事を依頼されている調査会社だと思いますが)、14日の衆議院議員選挙に関する電話世論調査の電話がかかってきました。電話世論調査の対象になったのは固定電話の持ち主になって以来、ということは結構な年数の間でということですが、初めての経験です。』
 
土曜日は遅い午後まで配偶者と外出していました。帰宅して点滅している電話機を確かめると0120-で始まる同じ番号からの留守電記録が2回あります。そういう番号からは、たとえば、保険商品の勧誘なども多い。記録を削除しようかとも思いましたが、面倒なので放っておきました。
 
そろそろ配偶者が夕食の準備かという頃合いに、また同じ番号から電話がありました。ぼくが出ました。今度は地元の新聞社ではなく、ある全国紙からです。我が家に有権者は何人いるかというので二人だと答えると、上から2番目のかたをお願いします、上からというのは年齢のことかと聞くと、そうだというので、嫌がる配偶者に替わってもらいました。
 
そういえば、前回は、年齢がいちばん上のかたという指定を受けたのでぼくが対応したという記憶がよみがえってきました。今回、ぼくが2番目だといっても何も不思議はないので、そうすればよかったのですが、場慣れしていないので、妙に正直な対応をしてしまったわけです。
 
配偶者は面倒くさそうに答えていましたが、これが、料理中の割り込みなら、受話器を配偶者に渡すわけはないし、配偶者もそんなものに応えるわけはありません。間違うと火事になる。週末の夕方から夜という時間帯のこういう割り込みは、実に迷惑な話です。商品の勧誘などはこういう潜在顧客を怒らせてしまうような時間帯は避けます。大本営発表が得意な「社会の公器」というのは、けっこう横暴なものです。
 
関連記事は「電話世論調査」。

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2017年2月 1日 (水)

冬の歩道と宅配便

朝の歩道です。通勤途上のかたの後ろ姿が見えます。放っておくと、雪に埋もれ、凍り、つかの間の気温上昇で溶け、そうなると、気温の低下とともに凸凹に固まって、またその上に雪が積もり・・・、つまりは、除雪車で、ガリガリと氷を引っ掻くように歩行空間を、深夜から明け方に作らないと、通勤も通学も出来ない状態になります。
 
写真は、札幌市内の歩道。前の深夜にでも、きれいに整備されたのでしょう。しかし、道路側には高い雪の山があるのがわかります。
 
Img_0163
 
宅急便や宅配便の数が増えすぎて、関連業者は短期、短時間の追加労働力の確保に懸命のようですが、雪の多い地域は、さらに条件が悪くなります。
 
配偶者は宅急便や宅配便を届けてくれる方と話をする機会が多いので、配偶者経由の情報を含めて整理すると、宅急便や宅配便の配達業務で一番厄介なのは、冬は道路の雪の山で駐車するスペースが非常に少なくなることだそうです。
 
そういう地域では、冬季には、4車線道路が2車線になり、2車線道路が単線になります。ただそこを通過していくだけなら、時間がかかってイライラするけれどもなんとかなる。しかし、駐車し、目的の家庭に荷物を届けるとなると、また話は違ってきます。そこに、昼間に不在で夜に再配達が重なると、作業員のイライラ度合いは、想像に難くない。
 
きれいに整備された歩道の写真を撮りながら、そんなことを考えていました。

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2017年1月31日 (火)

Out of Control状態が継続していることを、意識して確認

福島第1原発が決してUnder Control状態でないことを改めて示す発表がありました。その発表の性格は「大本営」ですが、いくつかのマスメディアの報道内容を拝見すると、同じ「大本営発表」をよく実態が分からないということも含めてUnder Control状態に近いというニュアンスの記事にするのを好む媒体と、Out of Control状態の継続という姿勢が明瞭な媒体(マスメディアとしては珍しことですが)に分かれています。
 
以下、そのうちのひとつから関連部分を引用(『・・・』部分)します。
 
『原子炉真下に堆積物、溶融燃料か 福島2号機』
 
 『東京電力は30日、福島第1原子力発電所2号機でカメラ調査を実施し、原子炉直下の金網状の足場に褐色や黒っぽい堆積物を確認した。事故で起きた炉心溶融によって溶け落ちた核燃料(デブリ)の可能性があるという。事故からまもなく6年となるが、デブリの実態は不明だった。東電は2月にもロボットを投入して放射線量や温度なども調べ、最終的に判断する。』
 
 『1979年の米スリーマイル島の原発事故でも炉心溶融が起きたが、デブリは原子炉の圧力容器の底にとどまった。今回の堆積物がデブリなら、底を突き破っていることになる。廃炉で最大の関門とされる取り出しは非常に困難な作業となる。』
 
『スリーマイル島事故では遠隔操作でデブリを取り出すことができた。一方、86年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では外部に大量の放射性物質が放出され、溶け落ちたデブリは原子炉建屋の底で固まった。デブリは建屋内に残ったままだ。』(2017/1/30 日本経済新聞)
 
大本営発表ではないところのリアルタイム映像を含む観察データは、以前から、福島第1原発の原子炉がメルトダウン、メルトスルー(あるいはメルトアウト)していることを示していて、したがって福島では今でもOut of Control状態が継続しています。そういうことを気にする人の数は減ってきたようにも見えますが、実際は減ってきているということはなくて、以前よりも、より静かに対応行動をとっているだけかもしれません。
 
そういうことは、たとえば、消費者がどういう産地の農産物や水産物を選んでいるか、その姿勢を実際にその購入現場で観察すれば、よくわかることです。それは居住行動にも現れているようです。Out of Control状態が継続していることを認識し、その長期対策を静かにとっている人たちもいるということになります。

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◇補足

以下は、『東電は2月にもロボットを投入して放射線量や温度なども調べ、最終的に判断する』に関するあるメディアの2月2日の記事です。このエントリーの補足情報として、2017年2月3日に追加しました。

『格納容器、最大530シーベルトの線量推定 福島2号機』

『東京電力は2日、メルトダウン(炉心溶融)した福島第一原発2号機の原子炉格納容器内の放射線量が、推定で最大毎時530シーベルトに達すると明らかにした。運転中の圧力容器内部に匹敵する線量で、人が近くにとどまれば1分足らずで死に至る。また、圧力容器直下の作業用の足場には1メートル四方の穴が開いていることも判明した。溶けた核燃料(デブリ)が落下し、足場を溶かした可能性もあるという。』(朝日新聞デジタル 2017年2月2日21時09分)

下の写真は、東京電力がメディアに提供したものをインターネットから借用。

20170202_12

◇補足2

『2号機格納容器推定650シーベルト…過去最高』

『東京電力は9日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉格納容器内で、毎時650シーベルト(速報値)の高い放射線量が推定される場所が見つかったと発表した。

カメラの映像のノイズから分析した。1月末の映像から推定した530シーベルトを上回り、過去最高の線量を更新した。東電は今後の調査方法を慎重に検討する。

毎時650シーベルトは、人間が30秒ほどの被曝(ひばく)で死亡する恐れがある線量で、炉心溶融(メルトダウン)で原子炉圧力容器から落下した核燃料が関係していると考えられる。推定値には上下30%程度の誤差があるという。

この日は溶融燃料の調査に向けた準備として、掃除用のロボットを格納容器内に投入した。しかし、累積で1000シーベルトの放射線被曝に耐えられる設計のカメラの映像が暗くなってきたことなどから、約2時間で作業を中止した。』(読売新聞 2017年2月9日)

◇補足3

『<福島2号機>想定以上の破損』

『東京電力福島第1原発2号機で、自走式の「サソリ型ロボット」を使った格納容器内部の調査は目標の原子炉直下まで到達できないまま、16日に終了した。2号機は水素爆発した1、3号機より損傷が比較的少ないと見られていたが、格納容器内部にある格子状の足場に穴が見つかるなど破損状況は想定以上に激しく、廃炉作業の難しさを改めて示した。

・・・・・・今回の調査は「基礎データ」になるはずだったが2号機内部の全体像は不明のままで、調査の出直しを求められることは確実になった。』(毎日新聞 2017年2月16日)

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2017年1月26日 (木)

ひとつの三角形と多くの三角形、あるいは、FactsとAlternative Facts

グローバリズムやそれの支持観念であるところの新自由主義と呼ばれているものは、世界にひとつの大きな三角形(ないしはピラミッド)を作り出そうとしています。三角形(ピラミッド)とは、要は富や権力のヒエラルキーのことです。人間の特性のひとつとしてのそういう基本欲求がなくなることはありません。
 
世界にはいろいろなサイズの三角形があります。少し前の世紀には、サイズの大きいものは帝国主義国家と呼ばれました。自分のサイズをもっと大きくして、他の三角形を飲み込もうとすると、衝突が起こり、戦争ということになります。
 
ヒエラルキーの拡大に政治と武力が前面に出ると戦争ですが、そのままではリスクが高すぎて先進国の生存が脅かされるというので、第二次世界大戦後は、共同で知恵を出し始めたのですが、富や権力への強い志向性が変化するわけもなく、また、ぼくたちは、戦争が、とくに規模の小さい戦争が(大きな三角形が背後で糸を引く代理戦争を含め)あいかわらず大好きなようです。米国もロシアも中東もイスラエルも、最近では武器輸出の好きな日本も、例外ではありません。
 
「識者」といわれる人たちやグローバリズムの大好きなマスメディアからポピュリズムと馬鹿にされている最近のある国の保護主義的な傾向や、別の国の政治経済共同体からの離脱や、あるいはそれと類似した波動は、できあがりつつある巨大なヒエラルキーにミクロとマクロのいかがわしさを直感的に感じている人たちによってささえられているのだと思います。
 
「国家の主権」と「デモクラシー」と「グローバリゼーション」はお互いにトリレンマ状態にあると指摘した人がいます。その鋭い分析軸を援用すると、「国家の主権」や「デモクラシー」を取り戻そうとすると「グローバリゼーション」から距離を置かざるを得ない。「グローバリゼーション」を追い求めすぎると「デモクラシー」や「国家の主権」が傷を負う。
 
そういう動きのひとつとして、たとえば
 
「大統領令、TPP「永久離脱」を明記」「トランプ大統領が署名の大統領令「TPPから永久に離脱」と明記し、再交渉にも応じない姿勢を明確にした。」(共同 2017/1/24)
 
があり、また以下のような動きもあります。
 
「米国のトランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を造ることなど不法移民対策を強化する複数の大統領令に25日署名する。週内には、テロ対策として、中東からの入国を制限する大統領令も出す。複数の米メディアが伝えた。大統領選で批判を受けてきた、不法移民排除やイスラム教徒の一時入国禁止などの排外主義的な政策が具体的に動き出すことになる。」「トランプ氏は、イスラム教徒の移民や難民をテロの要因と結びつけてきており、これらの大統領令をテロ対策の一つとして位置づける考えだ。」(朝日新聞デジタル 2017年1月25日)(下線は「高いお米、安いご飯」)
 
かりにこういう結論と実行に至る背景にマスメディアの嫌いなAlternative Factsの蓄積と牽強付会があると考えるのなら、マスメディアは自分で調べたFactsを提示する必要があります。
 
二番目のニュースに関していえば、イスラム教徒は、現大統領より前の政権下の米国による武力介入や代理戦争で、ひどい目に合ってきました。現政権が提出するAlternative Factsが気に入らなかったら、マスメディアは自分で調べたFactsを出せばいい。そうすることで、たとえば米国民はいままで気づかないふりをしていたこと(たとえば介入の事実や代理戦争の主役という役割)にあらためて気づかされる。その意味では、"Alternative Facts vs. Facts"論争は、就任式の写真に関する4コマ漫画論争以上のけっこうな意味合いを持つことになります。
 
“Four score and seven years ago our fathers brought forth on this continent, a new nation, conceived in Liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.”のnew nationに関するAlternative FactsとFactsを、大きな三角形から逃げてきた小さな三角形が、今度は三角形とも言えないような三角形がいっぱい混在していた広大な土地で、大きな三角形に成り上がったという文脈で再整理することも可能です。これはぼくたち日本人にも当てはまりますが。
 
米国民が自分のボンヤリに気づくと、日本のマスメディアは上の例のようにそれを瞬時に翻訳して輸入するので、そういうことに無頓着だった日本人もそのことに気づくことになります。

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2017年1月24日 (火)

大本営発表とAlternative Facts

以下は1942年昭和17年6月11日の「大本営発表記事」のコピーです。「大本営」とは、戦時に設置される、天皇に直属する最高の統帥機関のことです。明治26年に制定され、第二次世界大戦後は廃止されました。
 
__194217611
 
マスメディアは、新聞媒体(その延長としてのインターネット媒体を含む)でも、テレビ媒体でもその基本体質は上の記事の頃から現在まで変わっていないと思っています。日本のマスメディアと米国のマスメディアにも体質的な差はありません。大本営発表をそのまま垂れ流し記事にするか、発表者が好みのタイプでない場合にはけっこうなスクリーニングをかけるけれど、好みの場合にはいちおう辛口コメントなどをつけてそのまま応援風の報道をする。そういう事例には実際のところこと欠かない。
 
昨日、大統領就任式への参加者の数ということに関して、新語が登場し、それが僕の興味を引きました。Alternative Factsという用語です。もうひとつの事実、別の事実というような意味です。ある現象を眺めても、眺め方によってはその現象の意味合いも観察結果も違ってきます。デモなんかでも主催者側の発表と、そうでない側(たとえば警察)の発表と、ほとんどの場合、数字が相当に食い違う。
 
今回は、マスメディアの嫌いな米国大統領の大統領就任式への参加者の数というわかりやすい話だったのでその応酬を4コマ漫画風に楽しめました。
 
『【ワシントン時事】トランプ米大統領は23日、「米国(の自動車メーカー)は日本国内で販売が増えていないのに、日本は米国に何十万台も輸出している」と主張、対日貿易で障壁があると日本を名指しで批判した。(時事通信)』という記事が目に入りました。
 
Nikkei Asian Review (January 24, 2017 6:31 am JST)を見ると、"If, as an example, we sell a car into Japan and they do things to us that make it impossible to sell cars in Japan ... we have to all talk about that," he said. "It's not fair." となっています。
 
これは別の大統領の時から繰り返しある話で、使い物にならない米国製の携帯電話をごり押ししてきたこともありました。
 
“Look, alternative facts are not facts. They’re falsehoods.”と発言した記者を抱える米国の有名マスメディアは、自動車に関するこのAlternative Facts をどういう文脈で報道したのか、それとも無視したのか、けっこう興味があります。

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2017年1月16日 (月)

エゾ鹿の肩ロース肉でシチュー

北海道ならではの贅沢かもしれません。「肩ロースで柔らかいからローストにしたらおいしいと思いますよ」と恰幅のいい肉屋の親父さんにローストを勧められたのですが、肉の野性の風味や相対的な硬さなどを考えてメニューはシチューを選びました。エゾ鹿肉です。
 
じっくりと肉を煮込むタイプの料理であるところのビーフシチューは、たとえば「すね肉」のような硬い部位の大きなかたまりを使うというのが相場ですが、それと同じことをエゾ鹿肉の肩ロースでやってみました。下の写真のように「リーン」(脂の少ない)な、赤みの肉で、値段は牛肉と比べるととても穏当です。我が家では牛肉も赤身で脂肪分の少ない「リーン」なものが好みですが、鹿肉の脂質量(脂肪分)は牛肉の10分の1です。森林を走りまわっているので、メタボな霜降りにはなりようがない。
 
鹿肉料理は、いわゆるジビエ(狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣のこと)料理です。北海道では野生の鹿が増えすぎて、畑の農産物や森林植生(たとえば、木の芽や樹の皮)を食い散らかすのでそれを防止するために狩猟しています。どこでもいいのですが、たとえば、知床方面などを旅行してみると、エゾ鹿による森林植生の荒れがよくわかります。
 
クジラと同じです。クジラは今では増えすぎて、大食漢の彼らはイワシなどの海の小魚の相当部分を食べています。世界の海を泳いでいるクジラが胃袋に入れる魚の量と、世界中のヒトが1年あたりに食べる魚の量が同じくらい(クジラ類の魚消費量は人類の魚消費量0.5倍から3倍の間)という推計もあります。
 
北海道産の調理用トマトで作った自家製トマトソースが活躍しました。関連記事は「調理用トマト「なつのしゅん」と、2016年版のトマトソース」。
 
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2016年12月16日 (金)

トマトとコメ、ロシアと北海道

手元に、紙が経年変化で薄茶になりかけた1989年6月発行の文庫本があります。もとの単行本の出版はその数年前ですが、その本のタイトルは「ロシアについて…北方の原形…」。著者は司馬遼太郎。そのなかに以下のような一節があります。引用します。
 
『(ロシアの)帝政時代、すでにふれたように、シベリアの軍隊、役人、毛皮採集業者はたえず飢えていた。とくに穀物と野菜不足になやまされつづけた。壊血病がシベリア病ともいうべきものだった。こういう病的な状態のなかで、日本の発見こそ、この難題の解決に曙光をもたらすものでなくて何であったろう。ロシアは昂奮した。シベリアにおける食糧問題は解決する、とロシアの政治家たちはよろこんだ。シベリアに接している日本から食料を買おうではないか。幸い日本は農業国家だという。ロシアの政治家にとって、日本は、パンとキャベツの倉庫にみえたのにちがいない。・・・・さらには、シベリアの現地で獲れた毛皮を、地理的に最も近い文明国である江戸期日本に売れば、よりいっそうすばらしい。・・・この妙案は、帝政ロシアにとって、歴世の課題になった。』
 
シベリアを軸とした場合、ロシアはどんな対日外交や対日経済政策をとるか、その発想のプロトタイプが手際よくまとめられています。
 
北海道はトマトとコメの生産が盛んな地域です。たとえば2015年だと、トマトの生産量が日本で一番多いのは熊本(冬春トマト)、2番目が北海道(夏秋トマト)です(農水省データ)。ミニトマトだけだと北海道が一番多い。北海道の寒冷地仕様の住宅技術はたいしたものですが、トマトに限らず、もともと寒冷地向きではない穀物や野菜や果物を栽培するのも得意です。コメももともとは寒冷地向きの穀物ではありませんでした。北海道のコメは、以前は、あまりのまずさにネコも跨(また)いで通り過ぎるので「ネコまたぎ」と呼ばれていたらしい。今は「ゆめぴりか」や「ななつぼし」の北海道です。2015年のコメ収穫量は、新潟に次いで2位。新潟との差はほとんどない。
 
沿海州の内陸部にあるアムール川沿いのハバロフスクや、シベリアのツンドラ地帯にあるヤクーツクでは(下の地図を参考にしてください)、北海道の技術を使ってトマトが温室野菜工場で栽培されています。暖房には非常にコストの安い地元産の天然ガスが使われる。オランダではトマトを大量に工場で栽培していますが、その温室技術では、シベリアの寒さに耐えられなかったそうです。
 
日本のコメ輸出は数年前から急増し今年は1万トン近くに達しそうな勢いです。主な販路は香港を含む中国。高級品が売れています。というか、中国のお金持ちの趣味の食材としての消費需要に合致した高価格品・高級品だけを輸出販路に載せている。一方、コメの国内需要は以前は800万トン以上でしたが(ひとりあたりの年間コメ消費量でいうと67kg以上)、それが徐々に減り続け、最近の1年間ではその量は766万トンです(農水省データ)。輸出量が増えたといっても輸出量は国内消費量の766分の1。わずか、0.13%。
 
ロシアはパンの国です。ただし、ロシアのパンは、白い小麦粉のパンではなく、ライ麦で作ったライ麦パン(黒パン)です。19世紀のロシアの長編小説には黒パンがよく登場します。貧しい人たちは、固くなった黒パンをナイフで削って口に運ぶ。
 
ライ麦パンの味が生まれた時から身に沁みついたロシア人が、炊き立ての白いご飯を口にする可能性はとても低いとしても、ライ麦でなく、小麦粉でもなく、米粉で作った白くて柔らかい米粉パンを好きになる可能性はあるのかどうか。そういうマーケティングがうまくいけば、シベリアに北海道のコメが米粉という形で輸出される。
 
帝政ロシア時代のシベリアにおけるかつての状況(「とくに穀物と野菜不足になやまされつづけた。・・・日本の発見こそ、この難題の解決に曙光をもたらすものでなくて何であったろう。ロシアは昂奮した。・・・シベリアに接している日本から食料を買おうではないか。」)は、国内輸送網と流通網の整備で格段に改善されているとは思いますが、トマトのような生鮮野菜を地産地消したいという欲求は根強いようです。
 
毛皮に関しては、以前と同様現在でも、厳冬の北海道で実務的な用途がある以外は日本では趣味的な需要しかありません。しかし、他の天然資源(たとえば、天然ガス)の需要は非常に大きい。下のような地図を見ていると、北海道の農産物や寒冷地対応技術、シベリアの天然資源などに関していろいろな想像がかき立てられます。
 
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        「ロシアについて…北方の原形…」から引用

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