食べもの

2020年1月17日 (金)

イタリア製のジャム・ロート(漏斗)

このイタリア製のステンレスの広口ロート(漏斗)は、自家製のジャム(たとえば、柚子や橙)やトマトソースを鍋からお玉で保存用の瓶に移し替えるときに重宝します。主婦が毎年、家庭でトマトソースを大量に作るイタリアならではのロート(漏斗)です。

いちばん開いたところ(入り口部分)の直径が15㎝、いちばん閉じたところ(出口部分)の直径が5.5㎝。日本で一般的に使われているものは径が入り口も出口も狭くて、それだとポン酢や出汁などにはいいかもしれないけれど、粘り気があるものやドロッとしたものの移し替えには向いていません。

グリップがついていて本体に留めてあります。そのつなぎ方は決して悪くはないのだけれどいかにもここで留めましたというのがわかる作りです。金物制作で名の通った燕三条(新潟県)のベテラン金物職人ならもっと手の込んだ仕上がりにするに違いない。

しかし使い勝手はとてもいい。いい加減風に縫ってあるみたいなのだけれど着るとたちまち身体になじんでまったく型崩れしないのが出来のいいイタリアの洋服(たとえばジャケット)だとして、このジャム・ロートもつまりそんな感じです。そういう品物との付き合いはしたがって長くなります。

関連記事は「近所の農家の調理用トマト」、「北海道の調理用トマトでソースを作る」。

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2019年12月30日 (月)

田作りと芥子(ケシ)の実

お節料理の中で好きなもののひとつが「田作り」です。「田作り」とは料理辞典風に言うと「ごまめ(小さなカタクチイワシを干したもの)を乾煎(からい)りし、砂糖・醤油・味醂などで味をつけたもの」です。

昔は干したイワシは田んぼの肥料でした。だから「田作り」、豊作を願う意味が込められています。その背景が説明されないと、なぜ海の魚を「田作り」などと言うのか混乱してしまいます。

我が家の「田作り」は甘いねっとりとした味付けではなく、さらっとした仕上がりのピリ辛味です。砂糖は使わない。ピリ辛風味のために唐辛子を加え、仕上げに芥子(ケシ)の実をまぶす。そういう「田作り」はぬる燗の日本酒に良く合います。

田作りはケシの実だと思っていたら、最近の流れは必ずしもそうではないようです。ケシの代わりに胡麻(ゴマ)を振りかけ、そこまでは気軽な代替案だと理解できますが、ちょっと捻った応用はアーモンド。アーモンドを刻んだのを、あるいは細かく砕いたのを加えて香ばしさを増している人たちもいらっしゃるようです。

我が家の「田作り」は今の作り方でぼくにとっては完成形なので変な手は加えません。しかしアーモンドが加わった「田作り」だとウイスキーが飲みたくなるような気がします。お正月にウイスキーは向かないにしても、一度試してみますか。

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     芥子(ケシ)の実入りの、ピリ辛「田作り」

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2019年12月26日 (木)

お節料理は好きなものを少し作る

デパ地下やスーパーはオンラインショップも含めて10月下旬あたりからお節料理の予約受付で忙しそうでしたが、あるデパ地下で某老舗料理チェーンの「ミニおせち ご予約承り」というチラシを目にしたのでもらってきました。買いませんが内容参照のためです。老舗料理屋のお節なので種類は満艦飾で、量はミニで二人前なのでそれぞれが少しずつです。最近の需要傾向が反映されています。

お節料理は、家庭で料理を作るという点では、せめて正月の間は主婦に料理作りをゆっくりと休んでいただきましょうという意味合いもあるので、三日間は火を使わない。盛り付けには気を遣うとしても、原則として出来合いをそのまま食べる(例外は雑煮、これは火を使う)。だから、市販のお節料理を購入するというのは、食材の調達も調理もしなくてよいので主婦の支援という考え方の延長線にあるものとも言えそうです。実際はすでに自家薬籠中の時短と手抜きの延長であったとしても。

我が家では、お節料理は10年以上前から手作りです。作るのは当初から好きなものに絞っており、市販のお節のような満艦飾にはしません。量も徐々に少なくなってきました。

ぼくの食欲の向かわない種類のものは作らないということにしてあります。たとえば、濃く甘く煮た昆布と魚を組み合わせた昆布巻きは作りません(昆布や昆布の佃煮は大好きだとしても)。しかし配偶者が大好きな「伊達巻」と「栗きんとん」は必須です(ぼくはそれほどの食欲が湧くわけではないのだけれど)。

祝い肴の「田作り」「数の子」「黒豆」や「たたきごぼう」、酢の物の「紅白なます」や「酢蓮(すばす)」はともに好物で、在庫がなくなるまで飽きるということがありません。「蒲鉾(かまぼこ)」も必需品。また「田作り」は甘いねっとりとした味付けではなく、さらっとした仕上がりのピリカラ味です。この方がお酒との相性がいい。煮物(煮しめ)は、「里芋」「くわい」「椎茸」のみで、とくに「くわい」のほのかな苦さと食感がたまらない。それ以外は食べないので作りません。

雑煮は、すましと味噌味を日替わりで楽しみます。餅は小ぶりな丸餅です。

お節は好きなものを少し作ると言っても、主婦の手間暇は相当なものであることは確かです。


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2019年12月16日 (月)

はじめての、IOTキッチン家電

あるメーカーの「水なし自動調理鍋」を購入しました。我が家で初めての台所用IOT家電製品です。新しいレシピをダウンロードするのを含めてクラウド上のサーバーといくぶんの双方向のコミュニケーションをするのでしょう。で、IOT(Internet Of Things)です。どれくらい複雑なやりとりをするのかは買ったばかりなので説明書以上のことはよくわからない。

無水料理専用の鍋には配偶者は購入するまでの関心は示しませんでした。あればいいがなくてもいい、くらいの興味です。しかしこの商品には特別な気持ちを持ったようです。「無水料理」を他の料理と「並列処理」できるということが理由のようです。

人里離れた無人の鉱山で自動運転する大型作業機械の稼働状況とどんな交換部品がいつごろ必要かといったメンテナンスに関する監視分析結果と詳細データをサーバーと交信しセンターからの指示を受けて現地で自動で何かをするというようなのが「古典的」なIOTの応用例ですが、「水なし自動調理鍋」もIOTには違いありません。

外箱パッケージには「無線LAN機能搭載」「水を使わない自動調理のお鍋」と謳ってあります。身近で似ているものを捜せば、こちらは素朴で料理とは関係ありませんが、PC用のプリンターです。

「水なし自動調理鍋」というこのいささか図体のでかい調理家電は無線LAN経由でクラウドサービスに接続し、メニューの検索や提案を音声や画面で案内してくれます(そういうメニューやレシピを料理を作る人が利用するかどうかは別の話ですが)。

主な機能は、メーカーメッセージをそのまま援用すると、

最初が「水なしで、素材本来のおいしさも栄養も、まるごと調理」
《食材に含まれる水分を活用して調理するので、おいしさが凝縮。さらに野菜が甘く仕上がり、抗酸化作用のあるビタミンC、葉酸などの栄養素もより多く残ります》

で、我が家でいちばんほしかったのは、この「水なし(自動)調理鍋」の機能です。ほうれん草は食べませんが小松菜をはじめ野菜はいっぱい食べるので「抗酸化作用のあるビタミンC、葉酸などの栄養素もより多く残ります」が役に立ちます。

次は、「自動でかきまぜてくれるから、材料を入れるだけ」
《かきまぜや、火加減もすべて自動でコントロール。焦げてしまいがちなカレーやシチュー、味のしみ込み加減がむずかしい煮物もおいしく仕上げます》

で、これもあると便利です。料理の「並列処理」が可能になります。しかし、家庭の料理担当者がレシピの自動実行をこの機器に依存し過ぎて怠け者になるかもしれないという恐れがあります。

3番目の機能は、「予約で、朝セット、帰宅時にはアツアツ料理ができている!」
《食材の衛生面に配慮しながら、最大15時間の予約調理の設定が可能。出かける前にホットクックに食材をセットしておけば、帰宅後すぐにできたてアツアツの夕食が食べられます。カレー4人分を12時間予約した場合、電気代は約21.7円です。》

で、働く主婦や働くお母さんには親切な機能です。

最近はクラウド上のソフトウェアを活用するとそれだけでAIということになっているみたいで、この鍋もAIoTだそうです。それはともかく、どんどん利用する予定です。このメーカーは以前はエンジニアがユーザーインターフェースに凝り過ぎてかえって使いにくいという特色があったのですが、この商品では穏当な作りになっています。

さっそく鹿児島産のサツマイモをごくわずかな水を加えて手動で蒸してみました。サラダの一部です。いい仕上がりです。


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2019年9月27日 (金)

北海道産サフォーク・ラムの炭火焼き、再び

先日、「さっぽろオータムフェスト2019」で味わった士別(しべつ)など北海道で育成されたサフォーク種のラム肉の炭火焼きがあまりに美味しかったので、再びその簡易屋台に立ち寄りました。午後2時過ぎの遅い昼食です。
 
木曜の午後ですが、札幌市民と観光客でごった返しています。オータムフェストは北海道産の食べるものがいっぱいなので、皆さん、よく食べますし、それなりに飲む。皆さん、ゆったりと歩きながら美味しいもの候補を吟味するので、ぼくも目的の場所にはなかなか到達できません。
 
天気予報とは違って午後2時は気温が24度くらいのぽかぽか陽気で、とくにその後の予定もなかったので、周りに合わせてビールで一杯やることにしました。何しろそこは屋台です。昼間とはいえ飲むのがデフォです。奥まった席では還暦くらいの男性二人がワインを飲んでいます。1時間くらいはそこで飲み続けている雰囲気です。
 
ぼくが注文したのは、肩ロースとモモとラムロイン。ラムモモは最初から塩コショウで味がつけられていましたが、それ以外も塩コショウでいただくのがいちばんです。小皿で出してくれたタレは今までのそのお店のノウハウが詰まってその味になったのに違いなくても、試しに味を見る以外にはぼくにはとくになくてもかまわないという感じです。ビールを飲みながら温かい秋の午後をゆっくりと過ごします。
 
会場の案内には最近のトレンドを取り入れて「さっぽろオータムフェスト2019では、電子マネーが全会場・全店舗で使えます!!」となっていて、その屋台にも電子マネー専用端末が置かれていました。事務局で一括で用意したのでしょう。あるナショナルブランドスーパーと某巨大コンビニと札幌市とJRの電子マネー(ICカード)が利用できますが、最近にぎやかなQRコード決済までは対応していないようです。
 
で、その利用状況ですが、ぼく及びぼくの周りというミクロな環境に関して言えば、ぼくの左側の先客は現金決済でした。
 
「ラムロイン5人前、テイクアウト」と注文して「8分ほどお待ちいただきますが」「いいわよ」「お箸は?」「二膳」とやりとりした近所のベテラン主婦と思しきかたも複数の千円札で支払い、「ラムロインてどこ?」「牛だとサーロインにあたるところです」「じゃあ、それ2人前焼いてくれる、テイクアウトします、何分くらい待てばいい?」という中年女性も現金決済でした。ぼくも現金を出して現金でお釣りをもらいました。
 
ぼくの左側に坐ったいかにもラム肉を食べ慣れている感じのアラサー男女はどちらでしょうか?中国からの観光客がどういう支払い方をするかは、そのときはその屋台にはいなかったのでわかりません。


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2019年9月13日 (金)

北海道産のサフォーク・ラムの炭火焼き

 
今年は、9月6日から9月29日まで、北海道の美味しいものを食べて飲むお祭りであるところの「さっぽろオータムフェスト2019」が開催されています。会場は8つのブロックに分かれていてそれぞれに特徴があって(たとえば、ラーメンをハシゴしたければ「5丁目会場」、とにかく美味しい酒と肴ということであれば「7丁目会場」)、ぼくが配偶者と入って行ったのは「7丁目会場」です。
 
下はその「7丁目会場」レイアウト図。
 
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ぼくたちが目指したのは、左下の「大通公園・7丁目屋台横丁(南)」です。屋台が3つ並んでいる。そのひとつで北海道産の「サフォーク・ラム」の肩ロースやラムロインやラムモモの炭火焼きが一杯やりながら食べられます(昼間だと必ずしも一杯やる必要もないですが)。サフォーク種のラム肉は羊肉の匂いが抑えられていて、心地よく柔らかい。こういう場所だと、ぼくたちの食欲が向かうのは、美味しいものがいっぱいある中で、北海道産のラム肉かエゾ鹿肉です。だから、この日はこの屋台です。
 
羊肉にはラム(生後1年未満の仔羊肉)とマトン(生後1年以上の羊肉)があり、マトンのうち肉質がラムに近い生後2年未満のものをホゲットと呼ぶこともあります。仔羊肉や仔牛肉、しらすおろしやちりめんじゃこを舌鼓を打ちながら食べるジンルイというのはそれなりにザンコクではありますが、ここではそのことには触れません。
 
「北海道のめん羊をめぐる情勢」(北海道農政部生産振興局 平成28年6月)によれば国内で消費されている約1万9000トンの羊肉のほとんどはオーストラリアやニュージーランドから輸入されたもので、国産羊肉の割合はわずか0.6%にすぎません。また北海道産の羊肉が国産羊肉の生産量に占める割合は76.5%(平成26年)です。
 
つまり、北海道産のラム肉、とくに北海道産のサフォーク種のラム肉はごく限られたお店でないと食べられませんが、札幌に住んでいるとそういう地の利はあります。


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2019年8月30日 (金)

平飼い有精卵が選り取り

ある農家の「平飼い有精卵」の6個入りパックのなかに、手書きの文章をコピーして短冊風(あるいは栞風)にカットしたのが入っていました。そのまま引用します。
 
「朝夕はずいぶんと涼しくなってまいりましたね。先日農場で蛍を見つけました。蛍を見ていると環境に負荷の少ない取り組みを応援してくれているようにも思えました。このような取り組みができるのも皆さんのお陰です。本当にありがとうございます。(農場名)(代表者名)」
 
平飼いとは、下の写真のような飼い方のことです。北海道の農家は広いので鶏を地面で遊ばせておく。狭い団地のようなケージには閉じ込めない。写真は上の農家のウェブサイトからお借りしました。
 
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農家によって何を鶏の飼料(エサ)にするかはそれぞれに差がありますが、北海道で暮らすことのありがたいところは、ご近所野菜売り場の中の鶏卵コーナーの棚に「平飼い有精卵」が5種類ほど並んでいることです。5種類というのは5つの違う鶏卵農家からやって来たのがそこで買い手を待っている、という意味です。
 
たとえば、下のラベルの鶏卵を出荷している農家では、鶏用の飼料は
 
「北海道産を主体とした(一部国産を含む)米、大豆、牡蠣(カキ)殻、魚粉などの自家配合飼料と青草・野菜などを食べて育ちました」となっています。コメも大豆も牡蠣も魚も青草も野菜も全部北海道産が手に入ります。野菜なんかは自分で栽培するし、青草もそのあたりに自生しています。
 
北海道産以外の国産飼料は一部は含まれるかもしれませんが、外国産(たとえば米国産)のトウモロコシや大豆はまったく含まれていない。だから、消費者はラベルを読んで自分が鶏に食べてほしいという種類のエサで育った平飼い有精卵を買えばいい。本質的なことではありませんが、コメをよく食べる鶏の黄身の色は淡くなり、ニンジンや黄色いトウモロコシをよく食べると黄身はオレンジ色になります。
 
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いろいろと不可思議な政治文脈で「食べて応援」という言葉が溢れていたことがありましたが(今でも一部そうですが)、そういう文脈ではなく、消費者目線の非常に真っ当な意味でこういう鶏卵農家の卵は「食べて応援」だと思われます。


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2019年8月28日 (水)

小腹が空いたら個別包装の小ぶりな切り餅と甘酒

北海道はぼくたちが炊いて食べる普通のコメ(粳米、うるち米)の一大生産地ですが、糯米(もち米)の主要生産地でもあります。「はくちょうもち」や「きたゆきもち」が代表的な品種で、北海道のやや北部の上川(かみかわ)地区が生産の中心地です。細かくは名寄、風連、士別。
 
赤飯(おこわ)が好きな東京の知り合いから、最近は北海道産の「もち米」を使っていると聞きました。ご近所のスーパーマーケットの棚に最近は北海道産が常に並んでいるからだそうです。
 
小腹が空いたら、個別包装の小さなサイズの切り餅が便利です。原料は当然のことながら北海道産のもち米。小さな切り餅を横に二つに割り、グリルだと4分くらいで表に淡い焦げ目がつくのでひっくり返して2分弱。湯を沸かしている間に焼きあがります。ぼくは、自家製の味噌少々といっしょに食べるのが好きで、それに自家製の甘酒(をミキサーで細かくしたの)が加わるとちょっと贅沢なおやつになります。
 
大根の季節の「べったら漬け」には甘酒が必須なので甘酒はよく作ります。甘酒に使うのは一般的には「うるち米(白米)」と「米麹」ですが、「うるち米」でなく「もち米」を使ったほうが柔らかい甘さになるので、最近はもっぱら「もち米」バージョンの甘酒です。
 
以前にも書いたことですが甘酒は夏の季語で、「べったら漬け」には「コメのつぶつぶ」のままの甘酒を使い、「甘酒」という名の飲みものとして楽しむときはミキサーで「つぶつぶ」を小さく砕きます。その方が飲みやすい。

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2019年8月27日 (火)

また遺伝子組み換えトウモロコシの輸入ですか

以下のようなニュースが眼に入りました。

『日本、米産トウモロコシ輸入へ=米中対立の余波-首脳会談』

『トランプ米大統領と安倍晋三首相は(8月)25日の日米首脳会談で、日本が米国の余剰トウモロコシを購入することで一致した。米中の貿易摩擦が激化する中、米国産穀物の対中輸出は厳しい状況となっており、日本企業が代わりに引き受ける形となる。トランプ大統領は安倍首相が米国産トウモロコシを輸入することに同意したと指摘。安倍氏は民間企業に対する輸入支援措置を検討する意向を示した。トランプ氏によれば、日本のトウモロコシ輸入は「数億ドル(数百億円)規模」に上るという。』(時事通信 2019/08/26)

世界の四大主食は、米、小麦、トウモロコシ、そして、イモですが、それらは、生産量も生産消費地域も以前からだいたいきれいに棲み分けがされていて、その状態は現在もあまり変わらない。

つまり、世界の地域的なかたまりごとに、

・「米を炊く、ないしは蒸す」
・「小麦粉でパンやナンを焼く」
・「すり潰したトウモロコシでトルティーヤを焼く」
・「乾燥させたイモの粉を粥や団子風にして食べる」

といった主食文化がそれぞれに独立するような感じで存在しています。それぞれの年間生産量と主な生産消費地をまとめると(以下の年間生産量に関してはFAOSTAT 2012より)

・米         年間生産量は約7億トン 主な生産消費地はアジア
・小麦      年間生産量は約7億トン 主な生産消費地は欧米と中近東
・トウモロコシ 年間生産量は約9億トン 主な生産消費地は中南米
・イモ       年間生産量は約7億トン 主な生産消費地はアフリカ

トウモロコシに限ってもっと新しいトウモロコシの年間生産量を参照すると、ほぼ11億トンです(USDA/FASの2018/2019年度予測値)。国別の年間生産量とそのシェアは、

・米国             3億7152万トン 33.8%
・中国             2億5600万トン 23.3%
・ブラジル        9450万トン  8.6%
・アルゼンチン   4250万トン  3.9%
・ウクライナ      3500万トン  3.2%
・世界計         10億9991万トン

その四大主食はヒトが食べるものですが、その四つのうちでヒト以外にもとても人気なのが家畜や家禽(鶏など)の飼料に使うトウモロコシです(それから大豆)。

そのトウモロコシの生産量が圧倒的に多いのが(上の数字からわかるように)米国と中国。中国は自国生産分だけでは自国需要に間に合わないので米国から輸入しています。米国はトウモロコシのような自分ではとくには食べない穀物を輸出目的で生産するのが好きな国です(コメと同じです、もっとも、トウモロコシは近ごろはファストフード店ではよく使われていますが)。

で、今回、いつものように、『米中の貿易摩擦が激化する中、米国産穀物の対中輸出は厳しい状況となっており、日本企業が代わりに引き受ける形となる』となったわけです。

トウモロコシの季節」で書いたような北海道産のおいしいトウモロコシ(トウキビ)とは違って、米国産のトウモロコシは80%以上が、米国産の大豆は90%以上が遺伝子組み換え品種です。だから今回の合意の結果米国から入ってくる数百億円規模のトウモロコシもすべて遺伝子組み換えです。輸入後にそれが加工食品の一部として直接ヒトの口に入るのか(コーン油、コーンスターチ、コーンミール、コーンシロップなど)、飼料として家畜や家禽の胃袋に入った後間接的に牛肉や豚肉や鶏肉としてヒトの体内に入るのかはわかりませんが、まあ、そういうことです。ヒトの身体は食べたものや、食べたものが食べたもので作られます。

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蛇足ですが、米国ホワイトハウスのウェブサイトで今回の二人の会談内容についての発言(Remarks by President Trump and Prime Minister Abe of Japan After Meeting on Trade | Biarritz, France)に目を通すと、上に引用した記事には書かれていない安倍首相の不思議な発言に出合います。

彼によれば「現在、日本の農産物に害虫被害が出ているので、トウモロコシのような農産物を緊急輸入する必要がある」そうです(淡い黄色を付けた部分)。ひょっとすると彼は、「遺伝子組み換えでない農産物は害虫に弱いので、遺伝子組み換え技術によって害虫耐性をもった米国のトウモロコシを緊急輸入することが必要である」とおっしゃりたかったのかもしれません。害虫耐性を持った農産物とは、それを食べた虫が死んでしまうような仕立ての農産物のことです。

PRESIDENT TRUMP: Perhaps you may want to discuss the additional purchase of all of that corn, because we have a tremendous amount right now.  (中略)  So perhaps you could say a couple of words just about the hundreds of millions of dollars of corn — existing corn — that’s there, that you’ll be buying.

PRIME MINISTER ABE: (As interpreted.) So with regard to the potential purchase of American corn, in Japan we are now experiencing inspect pest on some of the agricultural products. And there is a need for us to buy certain amount of agricultural products. And this will be done by the Japanese private sector. That means that Japanese corporations will need to buy additional agricultural products. And we believe that there is a need for us to implement emergency support measures for the Japanese private sector to have the early purchase of the American corn.


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2019年8月 9日 (金)

日本の食料自給率は37%で穀物自給率は28%、サウジアラビアの穀物自給率は7%

3日前に次のような報道がありました。

「農林水産省は6日、2018年度のカロリーベースの食料自給率が前年度より1ポイント低下の37%だったと発表した。天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したためで、コメの記録的な凶作に見舞われた1993年度と並ぶ過去最低の水準となった。政府は2025年度に45%にする目標を掲げているが、達成が遠のいた。」(共同通信)

「天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したためで」というのは苦しい言い訳で、小麦と大豆の国内自給率は以前から低いので、わざわざ小麦や大豆を持ち出すのもどうかと思います。四半期GDPがマイナスになったのを雨のせいにするのと同じです。

農水省のウェブサイトにお邪魔すると、品目別自給率の例として

「小麦の品目別自給率(平成30年度)
=小麦の国内生産量(76.5万トン)/小麦の国内消費仕向量(651.0万トン)=12%)

と小麦がとりあげられていました。

昭和40年から平成30年までの総合食料自給率の推移は以下の通り。

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OECD諸国の2018年(日本は2018年度)の食料自給率を比較したのが以下のグラフです。以前と同じパターンです。

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ぼくは、食べ物は(他の財や産品と違って)自給したほうがいい(国のレベルでの地産地消)、という意見の持ち主ですが、諸般の事情でそういうわけにいかない国もあります。例えばサウジアラビア。2010年3月に「穀物自給率「ゼロ」をめざす国」というブログ記事を書きました。そこから一部を引用します。

「サウジアラビアは雨はほとんど降らないし、地下水も砂漠にまだ緑があった頃の雨水がたまったものですが、地下水は小麦生産などに今まで大量に消費してきたのでそのツケがたまって、今世紀なかばに石油よりも早く枯れてしまうとのこと。瑞穂(みずほ)の国の日本とは事情が違います。

そういう背景から、水を大量に使う小麦のような農作物は減産を続けて2016年までに国内生産を打ち切り、それ以降、穀物はすべて輸入。ただし、農業がないとさすがに困るので、あまり水を使わないもの、つまり温室野菜栽培や酪農、養鶏などの付加価値の高い農業へ転換するそうです。

穀物がないと国民は飢え死にしてしまいますから、そういう国のとる手段のひとつは、外国に農耕地や農場を確保し、それを自国の穀物供給基地にすることです。サウジアラビアの場合だと、上記報告書によれば、アフリカのスーダン、エチオピア、タンザニア、エジプトあたりでことが進行中です」

そのサウジアラビアがどうなったか

サウジアラビアにおける農業・水産業・食品産業の概況及び市場について」(野村総合研究所 2018年2月19日)によると、2015年のサウジアラビアの穀物自給率は6.8%だそうです。自国が所有するところの外国の穀物供給基地からの流入量も輸入とカウントされるので、実質的な穀物自給率は6.8%よりも高いはずですがこの資料では詳細は不明です。日本の2018年の穀物自給率は最初の折れ線グラフにあるように28%です。

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