経営とマーケティング

2017年8月10日 (木)

ランドセルとバックパック

カラフルで高価そうなランドセルのテレビコマーシャルが流れています。この時期に予約しておかないと来春の入学式には間に合わないそうです。
 
夏休みで子供を連れて帰省した時に、おじいちゃんとおばあちゃんは可愛い孫のために奮発するのでしょう。「お父さん、今、注文しておかないとだめなの」と、母親が実父であるおじいちゃんに頼んでいる光景が浮かびます。最近の高級炊飯器はとれも高価ですが、人気のランドセルもそれくらい値が張るらしい。
 
「ランドセルって不思議な言葉だな、もともとはどこの言葉だ?」と、ずっと以前にお世話になったにもかかわらず、そういう感想をもらすと、そばから、「もともとはオランダ語ですって」「そうかも」
 
本棚の隅に初版が昭和34年の「オランダ語 常用 6000語」の第5版(大学書林、昭和51年)があるので(どうしてそういうものを持っているのかについては説明しませんが)、それをもってきました。ランドセルに該当するあたりの単語を探します。
 
「ransel  (男性名詞) 背嚢、ランドセル; 殴打」 とありました。納得です。
 
背中に背負うバッグなので背嚢(はいのう)ですが、小学生バージョンがオランダ語源のランドセル、登山やハイキング用がドイツ語源のリュックサック、そして青年用や大人用(含、ビジネスマン用)は英語でバックパックと、標準的な形と名称が違ってきました。
 
スポーツ用品メーカーのロゴが入ったバックパックには街路や電車や地下鉄でよく出会います。教科書などをいっぱい詰めたバックパックを床に置いてそこから本を出し入れしている医学系や医療系の大学生を電車の中で見かけることもあります。
 
小学生のランドセルはかわいらしくていいのですが、電車の中でバックパックに遭遇するといささかうんざりです。東京の通勤電車ではバックパック所持者は胸側に保持したりしてとても気をつけているらしいですが、札幌の電車や列車では、まだそこまでは至っていない(混雑度が相対的に低いということもありますが)。
 
JR北海道の主要駅の構内には、日本語と英語と中国語とハングルで、バックパックは他の乗客の迷惑になるので、背中に背負ったまま車内に入らないことという大きな絵がついた注意書きが貼ってあります。ぼくのみるところ、あまり効き目はないようです。

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2017年8月 9日 (水)

露地もの野菜の夏は一瞬

実際には一瞬というわけではありませんが、露地もの夏野菜の出荷期間が短いことに違いはありません。
 
近くの小売店の「ご近所野菜コーナー」や「有機野菜コーナー」はご近所の農家で収穫された夏野菜がいっぱいです。ご近所というのは、札幌市内、および札幌から1時間くらいまでの距離の農家のことです。なかでも、緑と黄色のズッキーニやスナップエンドウなどは、在庫一掃セールのような感じで並んでいます。
 
特定の農家の特定の種類の野菜の収穫期間、出荷期間は長くありません。とくにズッキーニやキュウリは頃合いの収穫時期を逃すと、お化けズッキーニやお化けキュウリになり、味の分かった消費者は手を出しません。値引きの札が貼られます。もったいないなとは思いますが、仕方ない。

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2017年8月 2日 (水)

愉快な宣伝メール

以前、それなりに店舗数のあるその花屋(というのか園芸店というのか)を、ちょっとした贈り物で利用したことがあり、そのときに登録してあったメールアドレスに愉快な宣伝メールが届きました。
 
こういう場合は、「花」の先行手配と超短期の在庫管理が大変だとは思いますが、お店はこういうイベントには慣れているし、贈呈対象者数は、ほぼ一定なので、どういう花がどれくらい必要かという統計的な計数管理は比較的簡単だと思います。
 
全国からの問い合わせや注文に対し、「ご注文受付の専任スタッフが、長年の経験と実績に基づき」「同価格帯最大級でひと際目立つ胡蝶蘭」を勧めてくれるそうです。華やかで大きくて高価な胡蝶蘭(だけ)がお届け対象なので、その分だけ手配と管理の複雑さは減少します。
 
以下、届いたメールから必要部分を引用してみます。
 
■□─────────────────────────
~組閣・就任のお祝いにはひと際目立つ胡蝶蘭を!~
 
●●●●オンラインショップメールマガジン
 
2017.08.01号___________________■□
 
日頃より●●●●をご利用いただき、誠にありがとうございます。
8月に入りいよいよ夏も本番を迎えようとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、今週末には第4次安倍内閣の組閣人事が予定されていますが、お祝いの手配はお済みでしょうか?就任のお祝いといえば、圧倒的な人気の胡蝶蘭がお勧めです。
 
●●●●が自信を持ってお勧めする、同価格帯最大級でひと際目立つ胡蝶蘭を、多数ご用意してございます。蘭を扱って100年超。確かな品質で数多くの方々に支持されてきた証しです。
 
ぜひお気軽にご相談ください。
 
■ 組閣 就任祝い ●●●●の胡蝶蘭
■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
■立札を無料でお付けいたします。
■ご注文受付の専任スタッフが、長年の経験と実績に基づきお届けのご手配をいたします。
■議員会館・事務所などご指定場所へお届け致します。

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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2017年7月31日 (月)

地元の花火大会は地元の景気指標

先週の金曜日に地元で花火大会がありました。打ち上げ場所は札幌市中心部に近い河川敷なので、すぐそばの大きな公園がいちばんの見物場所らしい。花火は、空に広がる光の色彩と同時に聞こえてくるドンという大きな爆発音がいちばん刺激的です。しかし、最近雨後の筍のごとく増えてきた背の高い建物に視界を邪魔されないところなら、札幌の中心部のいろいろな場所からビール片手に花火の光と音を楽しめます。
 
時間は午後7時半くらいから8時半くらいまでの1時間でしたが、今回驚いたのは、いつもよりもお金がかかっているらしいことです。花火の数がともかく多い。途切れがほとんどない。大玉の大きさと華やかさは、たとえば去年よりも、圧倒的にレベルが高いし、その数も圧倒的に多い。少し驚いた。
 
この花火大会の主催者は新聞社やテレビ局だそうです。公共的な性格を持った主催者もそれなりのお金を出すのでしょうが、こういうイベントはそれ以外に協賛金というものがあります。つまり、デパートや地元の商店街で客商売に従事している人たち、札幌の観光ビジネスに関係している企業等からの寄付です。そういうお金がずいぶんと集まったのに違いない。札幌の観光景気は底堅くて右肩上がりなのでしょう。結構なことです。
 
公園で花火見物もいいのですが、ぼくが道外や外国からの観光客で、早めの夕食の後、その時間帯に藻岩山の展望台にツアーバスで案内されていたなら、それも素晴らしい花火体験だったと思います。

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2017年7月28日 (金)

日本人は少数民族?

大げさな話ではありません。札幌近郊の観光地での話です。しかし、グローバルな現象は、個別地域でも相似形で観察できることが多いということの一例であるのかもしれません。
 
シャコタン・ブルーと獲りたてのウニ」の続きです。ぼくたちが参加したバスツアーは、一組の香港からの中国人ご夫妻を除いて乗客全員が日本人でしたが、積丹半島という観光地では、ぼくたちは少数民族でした。
 
ツアーといっても、目的地についたら集合時間まではバラバラ行動なので、勝手に歩き回るのですが、そこで聞こえてくる言葉から、その場所における優勢民族と少数民族が判別できます。優勢な言語は中国語、続いて朝鮮語、それからけっこうな差があって日本語、ときおり英語。日本語は、その日の積丹半島の観光スポットに関しては劣勢原語でした。
 
札幌のデパートや繁華街では、たとえば7~8年前は、着ているものと身に付けているもので、その人たちが東アジアのどの国から来たらしいかということが簡単に判断できました。そこに話声の大きさという要素が加わると、その判断は推量から確信に変わったものです。
 
それが最近では、わからなくなりました(話声の大きさは相変わらずのグループにも相変わらずお目にかかりますが、それはさておき)。以前の日本もそうでしたが、国民所得の大きさが(たとえブランドを誇示するものであっても)日常の衣類の落ち着きにまで反映されるには10年(ないしそれ以上)という単位の時間がかかります。
 
積丹半島という夏の観光地でも、たとえば、積丹ブルーの海岸へと通じる狭い道を行きかう人たちの話し言葉がなければ、東アジアという限定付きですが、その人たちの国籍が分かりにくくなりました。顔つきで判断できる場合もありますが、それは例外的か、あるいは東アジアという範囲を越えた場合です。
 
札幌デパ地下の和風菓子の売り場で、たとえば、白い普通の大福餅の売り場の待ち行列の中にいたら、すぐ前の親子連れの話す言葉が中国語でいささかびっくりしたというような経験も増えてきました。
 
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2017年7月27日 (木)

シャコタン・ブルーと獲りたてのウニ

積丹(シャコタン)の海の青さと、お昼ごはんにはすぐそばの海の獲りたてムラサキウニを楽しむ日帰りバスツアーがあったので、配偶者と参加しました。余分なもののないとてもシンプルな構成です。シンプルなので、つまり贅沢です。
 
バスツアーは、団体行動の制約はありますが、目的地域への往復4時間あまりの意味のない移動のための運転をしなくてすむので助かります。こういうツアーの他の欠点はおしゃべりな添乗員です。しかし、今回の添乗員は、必要事項以外は口を開かないタイプの人だったので助かりました。
 
天気はほぼ快晴。よく晴れていないと海の青や碧や緑の深みが味わえません。
 
なかに中国人のご夫婦が一組いらっしゃいました。香港からだそうです。数年前に積丹を観光した時は雨でひどい目に合ったらしい。確かに積丹半島は、とくに海の青の綺麗な海岸へ向かう岸壁沿いの狭い道は風雨の日は危なくて歩けません。船に乗ろうにも船が出ない。そもそもそういう日はシャコタン・ブルーが存在しない。海は重いグレーです。で、二度目の積丹観光だそうです。二度目はすばらしい天気なのでまた来てよかったとのこと。
 
昼食は、そばの海で獲りたてのムラサキウニのウニ丼。配偶者がウニを好きになったのは、保存用のミョウバンを使っていない生のウニを北海道で食べてからです。ミョウバンを添加されたウニをおいしいと思ったことは一度もなかったそうです。しかし、ホンモノのウニ(殻から取り出したばかりのウニか、あるいは海水と同じ濃度の塩水につけてある「塩水ウニ」)を口にしたときに、ウニとはこんなにおいしい食べ物だったのかと思ったそうです。それからウニが好きになった。
 
ツアーパンフレットの紹介文をお借りすれば「下のご飯が全く見えないくらいに敷き詰められた」ムラサキウニを、まずそのままで、それからワサビをわずかにつけて味わいます。ご飯も半分くらいは食べます。残りの少しをワサビ醤油で。一緒に出されたワカメの佃煮にも味付けを確かめる感じで箸をつけます。
 
 
2017_c
 
2017 ウニ漁の磯船
 
2017_a

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2017年7月24日 (月)

大豆を食べよう、大豆は食べるな

大豆はそのままでは毒なので、東アジアの人たちは、未成熟の種子を枝豆として食べたり、成熟した種子を煮物にしたり、あるいはもっと時間をかけて加工したり発酵させたりして食べものとして長い間つき合ってきました。加工食品、発酵食品とは、豆腐、湯葉、厚揚げ、豆乳ヨーグルト、味噌、醤油、納豆などのことです。インドネシア発祥のテンペという納豆みたいな食品もあります。
 
とくにITに詳しいわけでもない一般の人々にインターネットが普及し始めたのは1995年以降です。ブラウザーの進歩やスマートフォンなどの登場もあり、この20年余りで、インターネットは日常生活の必需品、というかとくに意識せずに接している生活機能の一部になりました。食べものの世界でも、20~30年で世界は相当に変わります。
 
SOYINFOCENTERという、大豆(とくに歴史的な視点から見た大豆というもの)に関してはほぼどんな情報でも提供している独立系のサイトがあります。その情報をお借りすると、大豆の歴史は以下のように要約できます。
 
「大豆は紀元前11世紀に中国の東北部で栽培され始め、それから3000年間、その大部分は、豆腐や醤油、豆豉(トウチ:塩漬け発酵乾燥黒大豆)や味噌や納豆、豆乳のような加工食品として利用されてきた。ただし、一部は、そういう処理はされずに枝豆や煮豆として食された。」
 
「大豆が油として利用されたのは、中国の記録では紀元980年が最初である。油は照明用に、油(の搾り)粕(かす)は中国南部でサトウキビ畑用の窒素肥料として使用された。」
 
「それ以外の大豆の「近代的な」使われ方が始まったのは1908年の英国で、大豆油は石鹸に、油粕は家畜の餌に利用された。そういう大豆利用の西洋風パラダイムが世界に拡大したのは1942年以降である。」
 
SOYINFOCENTERの記述をもとに、それ以外の情報も加えて、食用農産物としての大豆の歴史を経済史風に整理してみると、以下のようになります。
 
■紀元前11世紀~1907年:東アジアに生産と貿易が集中(生産拠点である中国東北部を中心に中国南部、そして朝鮮と日本)
 
■1908~1930年:欧州への中国東北部(古い用語では旧満州)産大豆の輸出が拡大
 
■1931~1941年:米国の大豆生産が急増する一方、中国東北部の輸出が激減
 
■1942~1955年:米国が世界最大の大豆生産国へと成長
 
■1956~1969年:東アジアの大豆生産が減少し、米国の輸出が増大
 
■1970年以降   :南米諸国と米国との競争が激化。米国で大豆など主要作物における遺伝子組み換え商業栽培を開始(1996年)。ブラジルで遺伝子組み換え大豆栽培認可(2003年)。遺伝子組み換え大豆の作付けが米国で80%に達する(2003年)。日本でも遺伝子組み換え大豆を使った食品の販売が始まる(2003年)。
 
主に発酵食品として3000年間ヒトの口に入ってきた大豆が、20世紀後半の50年間で、ヒト用の大豆油と家畜・家禽用の飼料のデフォになり、またこの20年で遺伝子組み換え作物のデフォにもなりました(米国における遺伝子組み換え大豆の作付比率は、現在は90%以上)。同時に大豆は、タンパク質が豊富な畑の牛肉であり(つまり健康食品であり)、大豆油も健康的なn-6系植物油としてひとびとの人気を集めてきました。
 
そしてその人気と並列して、この10年で安全・安心な食べものを求める人たち、あるいは健康に敏感な人たちの間で大豆離れ、大豆油離れの波も広がってきました。食べものの世界でも10年間で「常識」と「知見」はけっこう変化します。
 
現在は、大豆生産国の政策とバイオ企業のマーケティングと人々の安心な食や健康に対する関心と無関心が入り混じって、「大豆を食べよう」と「大豆は食べるな」と「大豆食品は選択的に食べよう」が併存しています。
 
 
◇ ◇ ◇
 
ちなみに、紀元前11世紀以前はどうだったのか。大豆が栽培され始めたのは紀元前30世紀という記録もあるらしい。紀元前11世紀は華北を統一した周王朝の時代です。紀元前30世紀は殷王朝が成立するはるか以前です。
 
農作に適していない痩せた土地がある。大豆はそういう痩せた土地でも、窒素吸収力が強いのでよく育つ。育つだけでなく、その土地を豊かにする。つまり、もともとは、痩せた土地を豊かにするための作物として大豆が栽培されたらしい。(なお、大豆が、痩せた土地で手をかけなくともよく育つという事実は日本の東北地方や北海道の記録でも確認できる。)
 
しかし、固有の毒性から大豆は、2000年間は、食用の対象ではありませんでした。大豆が食材になるのは、誰かが大豆を発酵させて食べることを考えついた紀元前11世紀からです。強いアクをもった根菜類のアク抜き方法を開発して食べ始めるということもそうですが、食べものに関しては、たとえば発酵といった調理方法のブレイクスルーが突然発生します。その結果、21世紀の我が家でも北海道産の大豆を使った自家製味噌を作り続けることができるわけです。

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2017年7月14日 (金)

アボカドと脂肪酸成分表

たまには手元の「日本食品標準成分表」や「脂肪酸成分表」に目を通すのもいいものです。記憶がリフレッシュされます。
 
森のバターと呼ばれることもあるアボカドは、分類上はイチゴやミカンと同じ果実です。野菜ではありません。ある小売店の野菜・果物売り場では、リンゴの近くでレモンの隣に、メキシコ産のアボカドを並べてあるので、係の人がそういうことをしっかりと意識しているのでしょう。
 
アボカドは確かにバター風味ですが、その脂肪酸構成と風味を合わせると、以下のように表現できます。
 
アボカド = 牛のフィレ肉 + オリーブ油
 
脂肪(中性脂肪)の主要構成要素である脂肪酸は、酸化されないもの、酸化されにくいもの、酸化されやすいものに分けられます。酸化されやすいものは加熱料理向きではありません。そういう観点で脂肪酸を並べてみると
 
・飽和脂肪酸(通常環境では酸化されない。パルミチン酸やステアリン酸など。バターやラードに非常に多く含まれる。加熱料理向き。)
 
・一価不飽和脂肪酸(酸化されにくい。オレイン酸など。オリーブ油やアボカド油に大量に含まれる。加熱料理やドレッシングなど応用範囲が広い。)
 
・n-3系の多価飽和脂肪酸(酸化されやすい。亜麻仁油や紫蘇油に多く含まれるα-リノレン酸や、青魚やマグロのトロに多く含まれるEPA/DHAなど。)
 
・n-6系の多価飽和脂肪酸(酸化されやすい。リノール酸など。大豆油やキャノーラ油や調合サラダ油に多く含まれる。)
 
脂肪酸ほど、その評価の推移、その毀誉褒貶の移り変わりが激しいものも珍しいようです。栄養学というものにおける知見が多くの学者のおかげでどんどんと進歩しているとも云えますし、栄養学というのはまだ未成熟なところのある学問だとも云えますし、ヒトの生というのは、形而上的なことを別にしても、あるいは分析に分析を重なても総体的にはまだまだよくわからないところのあるものだとも云えます。
 
たとえば、数十年前は、n-6系の脂肪酸を多く含むところの「植物油」を摂取することが健康のもとのように考えられていました。しかし、そういう(当時の)知見とその知見を利用した企業のマーケティングプロモーション活動の結果、揚げ物(フライ)やファストフードやサラダドレッシングやマヨネーズなどの摂取過剰で不健康が蔓延し、しばらく前から、n-6系の摂取を抑え、その代わりにn-3系を増やして両者のバランスをとることが推奨されるようになってきました。
 
バターやラードも同じで、n-6系植物油がもてはやされ始めた頃は、悪の枢軸のような扱いを受けていましたが、現在では、(製品の原料にもよりますが)バターやラードに含まれる飽和脂肪酸はとてもヒトの健康に貢献しているという風に認識が変わってきました。
 
マーガリンも評価の逆転現象が発生した加工食品のひとつで、健康を促進するために植物油で作られたけっこうな食材だという以前の評価から、トランス脂肪酸を含んだ健康を阻害するどうしようもない食材だという現在の評価へと、その評価がひっくり返ってしまいました。
 
そういう文脈で、アボカドを眺めてみると、さきほど 「アボカド = 牛のフィレ肉 + オリーブ油」だと書きましたが、アボカドに含まれる脂肪酸の割合は、「成分表」によれば
 
・飽和脂肪酸(=バターなど):         20%
・一価飽和脂肪酸(=オリーブ油など):   67%
・n-3系多価飽和脂肪酸(=亜麻仁油など):  1%
・n-6系多価飽和脂肪酸(=大豆油など):  12%
 
なので、少しだけn-6系が多いのですが、現在の知見では、非常にバランスのよい食べもの(ほとんど野菜のような果物)です。ドレッシングは自家製でシンプルなものにして、サラダで、2~3種類の葉物野菜や軽く蒸したブロッコリーと一緒に生で食べるのがいちばんおいしいようです。

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2017年7月12日 (水)

勝手なプロ野球ファン

プロ野球ファンは勝手です。多くの人がそうかどうかは知りませんが、ぼくはどうもそうなので、そういうことにしておきます。アンケート調査が必要な話ではありません。
 
地元の球団を応援しています。しかし、先発投手は誰が出てきても気持ちよく毎回のように点を取られる、ある内野手が1塁に投げるボールは山なりで、別の内野手は簡単なゴロを取り損なう、打者は三振か内野ゴロか内野フライか迫力のない外野フライで、その結果が7-0や8-1といった試合が続くと、地元の球場に足を運ぶ元気はなくなります。もっとも、ぼくは球場でお金を使うタイプのファンではないので、ぼくやぼくの連れが行かなくても球団の売り上げに変化はありません。
 
現場で見るというのはやはり楽しいもので、ぼくは、日本ハム時代のダルビッシュの投球は何度も見たし(そのなかには、ラミレスにライトにフェンスをわずかに超えたライナー性のホームランを打たれて1-0で負けた試合も含まれます)、楽天時代の岩隈やカープ時代の前田健太も見ています。西武時代の涌井も、160キロを投げた巨人時代のクルーンのボールも楽しみました。そういう現場の興奮は捨てがたい。
 
しかし、そういう興奮に近づくにはファンにも元気が必要で、今の地元の球団に対してはそういう元気は湧いてきません。唯一の関心の対象だった小柄でがっしりとした体つきの4割打者の打撃も6月上旬の途中から急に見られなくなったので、今は球場に足を運ぶ理由もとくには見当たりません。ぼくが、揃いのユニフォームを着てワイワイと応援するのが好きなタイプなら話は別ですが、残念ながらそういう行為に興味はありません。
 
テレビ画面に大写しになった地元球団の打者の眼には生気がありません。こんな眼だと三振だなと思っていると、2ストライク後にバットを振らずにスタスタとベンチに戻っていくことも多い。打者の眼に生気が戻ってきたら球場に足を運んでもいいかもしれません。あるいは、メイジャーリーグの遊撃手のような守備レベルの内野手があと二人くらい現れたら、そうしてみるかもしれません。

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