女性

2021年2月 5日 (金)

別にどうということもない発言内容だと思うのですが・・

2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会における森喜朗会長の長い挨拶の一部がテレビでも活字媒体でも取り上げられて、どういうことになっているかというと、「社会に逆行、波紋広げる森喜朗氏発言」(毎日新聞)という主旨の報道になっているようです。発言の一部を切り取り、それを、マスメディアの主張に照らし合わせてプラス方向ないしはマイナス方向に報道するというのはそういうメディアの抜けない癖です。似たような雰囲気の海外の報道にしても、日本から特派員や契約記者が英文で、あるいは日本語記事を英訳して同じ方向の原稿を送るのでしょう。今回もそうなのか。

その毎日新聞の記事をもう少し長く引用すると、「日本のスポーツ界は女性進出が遅れ、国が指針を出して各競技団体へ女性役員の増加を求めている。国際オリンピック委員会(IOC)も男女平等への取り組みを強化し、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会も「多様性と調和」がコンセプトの一つ。トップに立つ森喜朗会長の発言は、一連の流れに逆行しており、波紋を広げている」という具合です。

こういうときは、手に入るのならその40分の発言の全体を聴くか、文字起こしがされている場合は全文を読めばいいのですが、幸い「日刊スポーツ」に文字起こしされた全文が「発言全文 1」と「発言全文 2」に分かれて掲載されていました。

その「問題発言」とされた部分(「註」太字にした)を、その前後も少し含めてそのまま引用してみます。

『・・・いろいろ考えましたが、いずれにしてもみんな力を合わせて山下会長を守っているのだと安心しました。しかし、演説をしたのは山下さん。私もいろんな話の間、すばらしい山下さんのリーダーシップ、あらためて、大いに評価をし、これからもオリンピックに向けてしっかり頑張っていただきたいと。ご協力を賜ります。

これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。そんなこともあります。

私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方ばかり、ですからお話もきちんとした的を射た、そういうご発言されていたばかりです。

長くなって恐縮です。山下さんが、私に最初にあいさつしろと。こう言うもんですから。私は長くなるよ、と。議事進行にご迷惑になるからと。というよりは私の立場を考えて、何か先にしないと失礼になると事務局は考えたと思う。そういう考えは無用です。ここに来れば、みんな同じなんです。・・・』(そのまま引用)

女性に関してもそれなりにバランスの取れた(バランスを取ろうとした)発言です。もっとも、女性解放思想の推進者という意味でのフェミニストは彼の発言に苛々するかもしれません(ちょうど環境問題の活動家がどんな環境問題にもバランスを崩して苛々するように)。かりに「女性」を「若い国会議員」や「教職経験者」に置き替えてみると問題発言部分はどうなるか。「教職経験者」と置き替えてみます。

『これはテレビがあるからやりにくいんだが、教職経験者理事を4割というのは、教職経験者がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。教職経験者がいま5人か。教職経験者は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、教職経験者はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。そんなこともあります。

私どもの組織委にも、教職経験者は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方ばかり、ですからお話もきちんとした的を射た、そういうご発言されていたばかりです。』

かりにこの発言に違和感や反論があっても、これはある個人の経験にもとづく意見です。そういう意見があってもかまわない。女性の気持ちが、女性の立場がと、めくじらを立てる類の話ではないと思います。


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2020年12月28日 (月)

冷蔵庫の部品探しとその注文で、複数の女性に助けられた

冷凍冷蔵庫の「庫内灯」がある夜に急に暗くなりました。暗くなったといっても真っ暗ではなく、いつもの半分くらいかそれ以下の明るさになったということです。2個ある庫内灯のうちの1個の寿命がどうも尽きたという雰囲気です。

作りがとてもしっかりとしている冷蔵庫で十数年使い続けています。毎日いっぱい食べる野菜や冷凍食材(市販の加工冷凍食品ではなく自家製の冷凍食材)の出し入れなどの使い勝手もよくて、これ以上の機能のものになかなか巡り合えないというのが配偶者の評価です。

暗いと使いづらいので対処方法を求めてA4サイズの取扱説明書を読むと、庫内灯の注文は『(冷蔵庫の)品番をご指定のうえ、お買い上げの販売店でお求めください』とあるだけで、冷蔵庫の品番は取説に書いてあるからいいとしても、肝心の庫内灯の品番についてはどこにも記載がありません。

当該メーカーの「お客様相談センター」に電話しました。取説には夜8時まで対応とあったのでまだ間に合うと考えたのですが、2~3年前から応対時間は夕方の6時までに変更されていたので、相談は翌朝に持ち越されました。

電話がつながりません。コロナ対策でコールセンタのブース数を間引きして減らしているのか、しばらくお待ちをという録音音声が繰り返されるばかりで目的の窓口の入り口に到達できません。製品窓口から入るかサービス窓口に行くか迷ったのですが、当該部品は品番のついた一般販売対象品らしいので製品窓口を選びました。しかしつながらない。ひたすら我慢して静かに待ちます。やっと担当女性とつながったので、事情を丁寧に説明し、壊れた庫内灯の品番を教えてくれるようお願いしました。

少し時間がかかるがいいか、ということなので、しばらくこのまま待っていると答えました。

「思ったより時間がかかりそうです、折り返しお電話させていただくということでもよろしいでしょうか?」
「大丈夫ですよ、では、お電話お待ちしております」

すぐには呼び出し音が鳴るという雰囲気ではなかったので、そのメーカーのウェブサイトのサポート画面で若い女性の「AI」が支援してくれるらしいサポートチャットを使ってみることにしました。結果はすぐに行き詰ってしまい、最後に「もっと頑張って勉強してちゃんと答えられるようにします」というメッセージが現れ、つまりは予想通りでした。でも「AI」だそうです。

電話が鳴ったので、出てみると先ほどの女性でした。今度は、庫内灯の品番調査に予想以上に時間がかかりそうなので、それでもいいかという話です。いい、と答えると、「本日中には必ずご連絡します」「じゃあ、同じ電話番号にお願いします。ぼくが出ない場合は誰かこの話を分かった人が必ず出ますから」

忙しいのに変な客につかまってしまってダメじゃないかと上司や上席から注意されている彼女の姿を想像して心配していました。2時間くらいたって、また呼び出し音です。その女性でした。今度はその庫内灯に関する情報が彼女の口から手際よく発出されます。

おたくのオンラインストアではこの部品を買えるか、と尋ねると、オンラインストアではその部品は扱っていないので、街の電気店か家電量販店に注文してくれという返事です。パートナーとのビジネス構造がそういう風になっているのでしょう。
「どうも、そうするしかありませんね。」
「申し訳ございません。・・・もしも、庫内灯のねじ込み部分が固くなって取り外しが難しい場合は修理相談窓口にご相談ください」と最後に親切なアドバイスが追加されました。

先日ハイブリッド型の加湿器を購入した家電量販店の総合受付に電話して、電灯やLED電球などの販売窓口に電話を回してもらいました。可能ならその場でその庫内灯を注文するつもりです。受話器を取ったのはきびきびとした声の女性でした。

事情を説明し、その庫内灯の在庫はあるか、ない場合はメーカーから取り寄せることは可能かといったことを尋ねたら、彼女は端末かなんかで少し調べている様子で「その庫内灯はうちでは現在は販売終了になっています。でもメーカーから手に入るかどうか調べてみますので、あとでお電話させていただいてもよろしいですか」

1時間ほどして電話がかかってきました。量販店の彼女です。「先ほどの庫内灯ですがお取り寄せ可能です。今、ご注文なさいますか。年末なので、入荷が年明けになるかもしれませんが、それでもよろしいですか」
冷蔵庫の庫内灯は1個は活きているのでしばらくはそれでしのげます。
「それでお願いします。ただし、もう1個も風前の灯火かもしれないので、2個まとめて取り寄せてください」
「承知しました。入荷次第ご連絡いたします」

これでおそらく一件落着です。けっこう時間がかかりました。でも、AI女性は別にして、賢い働く女性とのやりとりが楽しい一日でした。


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2020年12月22日 (火)

なんとなく定期的に庖丁を研ぐ

庖丁を研ぐのは僕の役割です。晩ごはんの準備中に野菜などを切るのを見ていて、そろそろかなと感じたら、翌日の早朝にその庖丁を研ぐことにしています。プロのようにもっと頻繁に磨けばいいのでしょうがそうもいかない。

庖丁を研ぐと配偶者の査定が待っています。以前ぼくが彼女の料理に毎晩評点を付けたように、実際にその日に食べる各種の野菜などを切ってみてその切れ味を評価するわけです。

「たまには『?』のときもあるけれど、今日は90点」

90点というのは結構な高評価です。80点以上で合格らしい。85点だとそれなりにいい切れ味に仕上がっている。そういうニュアンスでの90点です。

研ぎ終わったとあと、刃先を指先や指の腹でゆっくりと触ってその滑らかさを確かめるのはなかなかにいい気分です。

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2020年12月16日 (水)

ひょっとしてコリアン女子オープンゴルフ?

三日目、四日目と乱れてしまった「シブコ君」が優勝できなかった全米女子オープンゴルフに関する雑感です。

全米女子オープンゴルフの決勝ラウンドで上位20人くらいがプレーするのをテレビの生中継で深夜に見ていると、これはひょっとしてコリアン女子オープンゴルフではないのかという印象になりました。コリアン女子オープンなので、地元の朝鮮系のプレーヤーが多いのは当然だとして、そこに米国や日本、タイやスウェーデンのすぐれた選手が混じってしのぎを削っているという構図です。

女子ゴルフに関しては、なぜこんなに朝鮮系のプレーヤーが世界で強いのかその理由について云々するのはここでの趣旨ではありません。現象を眺めて感心しているだけです。ゴルフでは朝鮮系男子にも強い選手がいますが、それは、日本人女子プロテニス選手では大坂なおみさんが強いという事実に似て、彼が卓越しているというだけで、上位を複数の朝鮮系プレーヤーが席捲するというような事態ではありません。

朝鮮系で同姓同名の選手が複数いる場合は、数字の2とか3とかを名前のあとに追加してそれぞれを区別するというやりかたにも、理屈はわかるとして、デジタル処理には合理的だとしても、いささか驚きです。

それにしてもこのコースにはすぐそばの池やクリークに転げ落ちてしまうような作りの砲台(お椀型)グリーンがたくさんあり、巨大なグリーンは大きいというところが「らしい」としても、なぜこれがテキサスのヒューストンに作られたのかというのをぼんやりと考えるのも興味深いかもしれません。

かつてビジネストリップでサンアントニオやオースティンという古い町や、そしてダラスに滞在したことはあり、そういう都市では郊外のすぐ向う側が荒涼とした大地なので、街中に水路や川という湿気のある自然を配置するのが地元の洗練された文化のようです。そういうことが同じテキサスにある、このヒューストンのゴルフ場の大きくて傾斜があって悪意を秘めたような砲台グリーンと隣り合わせてに存在している小川や池の存在理由の説明になるような気もしています。


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2020年9月17日 (木)

「面倒くさい人ね」

どちらかというと少々手垢のついたような表現でも、久しぶりに耳にすると新鮮に響く場合があります。

ある知的で穏やかな中年女性が、行動に鬱陶しいところがあり発言にまとまりを欠くところの別の中年女性のことを評して先日つぶやくように使ったのが「面倒くさい人ね」でした。洞察力に満ちたひとことです。それ以外の表現だと別の中年女性の鬱陶しさをきちんと蔽えない。

この表現はぼくが最近は耳にしていなかったというだけで以前からよく使われています。彼女のつぶやきを通してその表現を聴いたのが久しぶりだったせいか、あるいは、こちらの方がよりそうかもしれませんが、中年女性ともうひとりの中年女性という大人の女性の関係性において、相手の深層を描写するその言葉が正鵠(せいこく)を射ていたためか、とても説得力のあるひとことでした。


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2020年9月 9日 (水)

徒然草の中の枕草子、源氏物語や紫式部日記

「方丈記」はさてこれかどうなるのだろうというところでお終いなので、いささか肩透かしを食った気分になるエッセイです。もう一度読もうという気分になりにくい。それに対して、「徒然草」はまた気が向いたら気に入ったところをパラパラと(あるいは丁寧に)読み返してみるかという心持ちになります。有職故実(ゆうそくこじつ)に言及したような段や教科書に載るような内容の段と再び喜んでお付き合いするかどうかはわからないにしても。

「徒然草」を頭から順に読んでみると教科書向きの、つまり、教育官僚好みだと思われるような段は少なからずあって、これは教科書には採用されるかどうかはわからないけれど、第百六段<高野(かうや)の証空上人(しようくうしやうにん)、京へ上りけるに、細道(ほそみち)にて、馬に乗りたる女の、行きあひたりけるが、口曳きける男、あしく曳きて、聖ひじりの馬を堀へ落してげり>なんかもそのひとつです。

それから教科書向きであるかどうかは関係なく、ページを繰っていくと、世に言われる兼好法師らしさの溢れた第七十五段<つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるゝ方(かた)なく、たゞひとりあるのみこそよけれ>や第七十六段<世の覚(おぼ)え花やかなるあたりに、嘆(なげき)も喜びもありて、人多く行きとぶらふ中に、聖法師(ひじりほふし)の交(まじ)じりて・・・>に出会うことになりますし、さらに進むと、第百四十三段<人の終焉(しゆうえん)の有様のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、たゞ、静かにして乱れずと言はば心にくかるべきを、愚(おろ)かなる人は・・・>や第二百二十九段<よき細工(さいく)は、少し鈍(にぶ)き刀を使ふと言ふ。妙観(めいくわん)が刀はいたく立たず>が待っています。

しかしそういうのとは違った匂いを持つ文章も少なくなくて、たとえば第百三十七段<花は盛りに、月は隈(くま)なきをのみ、見るものかは>は、<(月影の)椎柴(しひしば)・白樫(しらかし)などの、濡ぬれたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身に沁みて・・>といった感じで枕草子風の香りを漂わせた段だし――「らしい」辛口や無常観が満載だとしても――、第百三十九段の<花は、一重(ひとえ)なる、よし。八重桜は、奈良の都にのみありけるを、この比ぞ、世に多く成り侍はべるなる。吉野の花、左近(さこん)の桜、皆、一重(ひとえ)にてこそあれ。八重桜は異様(ことやう)のものなり。いとこちたく、ねぢけたり。植ゑずともありなん。遅桜(おそざくら)またすさまじ。虫の附きたるもむつかし>は枕のパロディーを意図したのでしょうか。

また、第百四段<荒れたる宿(やど)の、人目(め)なきに、女の憚る事ある比(ころ)にて、つれづれと籠(こも)り居たるを、或人、とぶらひ給(たま)はむとて・・・>や第百五段<北の屋蔭に消え残りたる雪の、いたう凍(こほ)りたるに、さし寄(よ)せたる車の轅(ながえ)も、霜いたくきらめきて・・・>には源氏物語風の創作の趣きがあります。

それから、第百段<久我相国(こがのしやうこく)は、殿上(てんじやう)にて水を召しけるに・・・>や第百一段<或人(あるひと)、任大臣の節会(せちゑ)の内辨(ないべん)を勤(つと)められけるに・・・>や第百二段<尹大納言(ゐんのだいなごん)光忠卿(みつただきやう)、追儺(ついな)の上卿(しやうけい)を勤められけるに・・・>は情景と対象人物を眺める眼が、紫式部日記の著者の視線を連想させます。

第百七段<女の物言ひかけたる返事(かへりごと)、とりあへず、よきほどにする男はありがたきものぞ」とて、亀山院の御時、しれたる女房ども・・・>は、文体をそれらしいものに変えて、紫式式部日記の後半のどこかにそれとなく紛れ込ませてもそのまま通りそうです(と、勝手に妄想しています)。

以下は、その第百七段の原文と現代語訳ですが、この(谷崎潤一郎ではなく与謝野晶子を思わせる)現代語訳は「徒然草 (吉田兼好著・吾妻利秋訳)」というウェブサイトから引用させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

◇第百七段(原文)

 「女の物言ひかけたる返事(かへりごと)、とりあへず、よきほどにする男はありがたきものぞ」とて、亀山院の御時、しれたる女房ども若(わか)き男達の参(まゐ)らるる毎(ごと)に、「郭公(ほととぎす)や聞き給へる」と問ひて心見られけるに、某(なにがし)の大納言(だいなごん)とかやは、「数ならぬ身は、え聞(き)き候(さうら)はず」と答へられけり。堀川内大臣殿は、「岩倉(いはくら)にて聞きて候ひしやらん」と仰(おほ)せられたりけるを、「これは難なし。数ならぬ身、むつかし」など定め合(あ)はれけり。

 すべて、男をば、女に笑はれぬやうにおほしたつべしとぞ。「浄土寺(じやうどじの)前関白殿(さきのくわんぱくどの)は、幼くて、安喜門院(あんきもんゐん)のよく教(をし)へ参(まゐ)らせさせ給ひける故に、御詞(おんことば)などのよきぞ」と、人の仰せられけるとかや。山階(やましなの)左大臣殿は、「あやしの下女(げぢよ)の身奉るも、いと恥(は)づかしく、心づかひせらるゝ」とこそ仰(おほ)せられけれ。女のなき世なりせば、衣文(えもん)も冠(かうぶり)も、いかにもあれ、ひきつくろふ人も侍(はべ)らじ。

 かく人に恥(は)ぢらるゝ女、如何(いか)ばかりいみじきものぞと思ふに、女の性(しやう)は皆ひがめり。人我(にんが)の相(さう)深く、貧欲(とんよく)甚(はなは)だしく、物の理(ことわり)を知らず。たゞ、迷(まよひ)の方(かた)に心も速く移り、詞(ことば)も巧(たく)みに、苦しからぬ事をも問ふ時は言はず。用意あるかと見れば、また、あさましき事まで問(と)はず語(がた)りに言ひ出(い)だす。深くたばかり飾れる事は、男(をとこ)の智恵(ちゑ)にもまさりたるかと思えば、その事、跡(あと)より顕(あら)はるゝを知らず。すなほならずして拙きものは、女なり。その心に随(したが)ひてよく思はれん事は、心憂うかるべし。されば、何かは女の恥(は)づかしからん。もし賢女(けんぢよ)あらば、それもものうとく、すさまじかりなん。たゞ、迷(まよひ)を主(あるじ)としてかれに随(したが)ふ時、やさしくも、面白くも覚ゆべき事なり。

◇第百七段(現代語訳、吾妻利秋訳)

 「突然の女の質問を、優雅に答える男は滅多にいない」らしいので、亀山天皇の時代に、女達は男をからかっていた。いたい気な若い男が来るたびに、「ホトトギスの声は、もうお聴きになって?」と質問し、相手の格付けをした。のちに大納言になった何とかという男は、「虫けらのような私の身分では、ホトトギスの美声を聞く境遇にありません」と答えた。堀川の内大臣は、「山城国の岩倉あたりでケキョケキョ鳴いているのを聞いた気がします」と答えた。女達は「内大臣は当たり障りのない答え方で、虫けらのような身分とは、透かした答え方だわ」などと、格付けるのであった。

 いつでも男は、女に馬鹿にされないよう教育を受けなければならない。「関白の九条師教は、ご幼少の頃から皇后陛下に教育されていたので、話す言葉もたいしたものだ」と、人々は褒め称えた。西園寺実雄左大臣は、「平民の女の子に見られるだけで心拍数が上昇するので、お洒落は欠かせない」と言ったそうである。もしもこの世に女がいなかったら、男の衣装や小道具などは、誰も気にしなくなるだろう。

 「これほど男を狂わせる女とは、なんと素敵な存在だろう」と思いがちだが、女の正体は歪んでいる。自分勝手で欲深く、世の中の仕組みを理解していない。メルヘンの世界の住人で、きれい事ばかり言う。そして都合が悪くなると黙る。謙虚なのかと思えば、そうでもなく、聞いてもいないのに下らないことを話し始める。綺麗に化粧をして化けるから、男の洞察力を超越しているのかと思えば、そんなこともなく、化けの皮が剥がれても気がつかない。素直でなく、実は何も考えていないのが女なのだ。そんな女心に惑わされ、「女に良く見られたい」と考えるのは、涙ぐましくもある。だから女に引け目を感じる必要はない。仮に、賢い女がいたとしよう。近付き難さに恋心も芽生えないだろう。恋とは女心に振り回されて、ときめくことを楽しむものなのである。


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2020年8月20日 (木)

桜狩り、サクランボ狩り、紅葉狩り

「狩る」とは、ぼくたちの間で継続されている意味は、一般的には、鳥や獣を追い出して捕えるということと、花や木を愛でるために探し求めることです。

「狩る」行事といえば、すぐに思いつくそのひとつは、「桃狩り」「サクランボ狩り」「梨狩り」「リンゴ狩り」などです。「狩る」ということなので実際に木の枝から採る、切り取るという作業が含まれるはずで、だから、ぼくたちは実際にそういう作業をして、出向いたその場(果樹園など)で季節の果実のいくぶんかを味わうのが恒例になっています。

もうひとつの「狩る」は、「桜狩り」、「紅葉(もみじ)狩り」などで、現在の上品な辞書的な意味は「桜花を訪ね歩いて鑑賞すること」あるいは「山野に紅葉をたずねて鑑賞すること」ですが、「狩る」という語を含むので、今よりも人の数も少なくてもっとおおらかな時代には、人びとは、たとえば、桜の枝を折り取り、髪にさしてのどかに遊びたわむれたのでしょう。桜が舞い落ちる毛氈(もうせん)や茣蓙(ござ)の上で、桜の簪(かんざし)の女性を相手にお酒でいい気分になっている花見客の姿も容易に想像できます。

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」は、折り取られた桜の花枝がそのあたりを歩く(あるいはそのあたりで舞う)人たちの頭髪や帽子(冠)にさされたのがたくさん見られたほうが背景としてはいちばん感じが出ます。もっとも最近は、自宅の庭の桜以外でそんなことをすると少々ややこしいことになってしまう恐れもありますが。

秋は、桜ではなく、紅葉(色づいた「楓」)の葉や小枝を髪や帽子にさすことになります。その場合、どんな歌が似合うでしょうか。色づいていない下の写真の様な「楓(かえで)」を一葉、散歩の途中で隣を歩いている人の帽子に飾るというのも、のどかでいいかもしれません。「世の中にたえて楓のなかりせば秋の心はのどけからまし」。

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2020年8月14日 (金)

美容室で散髪

散髪の為に美容室を利用するようになって20年になります。主に男性客が利用するいわゆる理髪店(ないし理容店)で、そこの親父さんと世間話をしながら髪を切ってもらうというのもなかなかにリラックスできる時間帯ではありますが、どちらかというと女性客のほうが多くて、男性顧客の年齢層も理髪店よりは若い美容室も慣れてしまうといいもので、もはや理髪店には後戻りできません。

配偶者もぼくもそろって同じ美容室のお世話になるのがなんとなくの習わしです。髪にこだわるかたはお気に入りの同じヘアスタイリストを追い求めて、その人が店を変わったら、あるいは自分で開業したら行きつけ店も新しくするというパターンがあるみたいですが、ぼくたちにそんな思い入れはなくて、要は散髪なので美容室は近所にあって、大きくなくても中が広くて、担当してくれるかたが(オーナーであっても従業員であっても)信頼できる技術と雰囲気の人であればまったく問題ありません。

7月までお世話になっていた美容室が別の場所に引っ越すので今までの場所では閉店ということになりました。新しいお店の場所が、ぼくたちの考えるところの近所であれば迷うことなくそこに通い続けたはずですが、そこはぼくたちにとっては近所ではなかったので、近所に新しいお店を探すことになりました。

候補店を二~三調べました。訪問して中の広さや雰囲気を肌で感じたり、直にお話しして直感的にその人と合いそうかどうかも確かめます。

8月になってすぐに新しい美容室のお客になりました。オーナーとパートナーという感じの経験豊富な中年女性二人でやっている小さな、しかし広々とした感じのお店です。理髪店の親父さんとの世間話も捨てがたいとしても、ベテラン・スタイリストである女性オーナーとの散髪中の会話もなかなかに興味深いものがありました。通い続けると思います。

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2020年7月14日 (火)

「ぴえん超えてぱおん」

「ぴえん超えてぱおん」や「ぴえん通り越してぱおん」というのが女子中学生や女子高生に(現在進行形ないしは現在完了形で)人気の言葉だと聞いて、わずかに解る気もしますが総体的に意味不明なので知り合いの女性にその意味を聞いてみました。その女性はおおまか年齢分類だと、アラフォーをすでに過ぎたかたです。

彼女によれば「ぴえん」とか「ビエン」というのは彼女が女子高校生時分からあって「ぴえーん」や「ビエーン」と長く伸ばすのもありで、悲しみの表現だそうです。お願いして「ぴえん」と「ぴえーん」を事例研究風に発音してもらうと確かに、辛いとか悲しいとか嫌だとかいう気分に対応する「泣いている」状態を表す単語だということが理解できました。

彼女によれば(「ぴえん」を超えた)「ぱおん」も、彼女は実際の使用経験はないにしても音的には悪くないとのことなので、またお願いしてジャズのように即興演奏をやってもらうと「ぱおーん」と泣いてくれました。その「風合い」になるほどと納得。「ビリー・ホリデイみたいですね。」

こういう知り合いがいるとなかなか便利です。


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2020年6月15日 (月)

6月に啓蟄(けいちつ)?

先週の金曜は札幌でも夏を感じさせる陽気で、6月半ばなので日も長い。まだまだ昼間の明るさの夕方6時ころに配偶者と速足散歩をしたのですが、それなりに多くのジョガーやウォーカーとすれ違いました。啓蟄(けいちつ)状態です。それなりに多くといっても、一週間前に比べるとやや多いというだけで、実際は「疎」に近い。まあ、そういうところを選んでいるので。

啓蟄は陽暦だと3月5日前後で「冬籠りの虫が這い出てくる」という意味ですが、陽気と新型コロナが一時的にでも終息しつつあるという何となくほっとした気分の相乗効果で、そうなったのでしょう。

こちらはウォーキングシューズを履いてただ歩くだけなのでエラそうなことは言えないのだけれど、きれいなフォームで走り抜けていくジョガーやランナーはとても少ないようです。たまにきれいなフォームが向こう側から接近してくると、すれ違ったあとも、後ろ姿を観察しています。

速足散歩をしているときに危険なのは、これも啓蟄状態の光景のひとつなのか、後ろから走ってきてすぐそばを速度を落とさずに走り抜けていく自転車です。

十人に二人くらいは速度を落としてぼくたちに声をかけて追い越していきますが、残りは結構危険運転です。そしてこれは声を大にして言いますが、そういう危険運転の主はたいていは女性です(中には乱暴な若い男子学生風も混じっていますが)。だから、女性の運転する自転車は、若い女性の自転車も、以前若かった女性の自転車も、信用していません。走る凶器に近い。いわんや、電動自転車に乗った中年女性においておや。


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