植物と花

2020年7月 7日 (火)

七月の声を聞くと立ち葵

六月の末には開花までまだしばらく時間がかかりそうな風情だったのが、七月の声を聞くと一斉に咲き始めました。立ち葵です。不思議なくらい季節の推移と同期しています。立ち葵は日本中で見られる夏の花だとしても、ぼくはかってに七月上旬の札幌の花と決めています。それにしても去年と同じ場所から葉を伸ばし開花します。

七月上旬は、見上げるような高いところは夏至の花であるところの「ニセアカシア」の遅く咲く質(たち)の白い花で、人の背丈くらいの高さは歩道や道路際の植栽場の白や赤や淡いピンクや濃いピンクの立ち葵です。まれに黒いのもある。地面に近いところは紫のラベンダー。統一感はありませんが、にぎやかです。その賑やかさが初夏らしい。

こういう言い方は申し訳ないけれど、立ち葵は鬱陶しいくらいにたくさんの数の花を咲かせます。以前は遠慮というものを少しは身に着けてほしいとも思っていましたが、最近は心置きなくどうぞと、ぼく自身の気持ちが少しずつ変わってきました。立ち葵の旺盛を諦め気味に称賛する気持ちになってきたのかもしれません。夏はこれくらい盛んなほうが、短い夏の札幌らしい。

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2020年6月25日 (木)

アカシアは夏至の花

アカシア(正確にはニセアカシア)は札幌では夏至の花です。ぼくが勝手にそう決めました。やや黄色味を帯びた白い地味な花です。

「正確にはニセアカシア」と書きましたが、こういう場合の「正確には」という表現もいい加減なものです。植物分類上の名前がたまたまニセアカシアで、そういう場合は似たような植物が他にあってそれが本家のアカシアということになるのでしょう。てんとう虫とてんとう虫だましがいるように。植物や昆虫にとってはいい迷惑です。

ニセアカシアは札幌では本数の多いほうの街路樹で、1万9000本あまり植えられているので、街路を歩けば、6月下旬には写真のような花が咲いたのに出会えます。桜と同じで、全部が一斉に花開くのではなくて、早いのと遅いのがあり、二週間くらいはその地味な花を楽しめます。遅くなるとだんだんと黄色味が強くなってくるようです。

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2020年5月22日 (金)

もうひとつのテイクアウト風ビジネス

下の写真は植えたばかりのハーブ野菜です。左がバジル、右が青紫蘇。近所の花屋さんで購入しました。

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その花屋さんは業務用需要専門で、一般消費者相手に花を小売するといういわゆる花屋さんビジネスはごくわずか。ビジネスの中心はホテルや専用の式場で行われる結婚式や結婚披露宴におけるフラワーアレンジメント需要に丁寧なコンサルティングで対応することです。そのわずかな一般消費者相手の商売のひとつが正月飾りで、我が家の玄関の正月飾りはそのお店のお世話になっています。

結婚式ビジネスそのものが頭打ちになってきたということがそもそもの背景にあったとも想像できるのですが、今回の新型コロナ騒動の休業要請等で、結婚式や結婚披露宴そのものが、従って花の需要が急激に少なくなったのでしょう。気がついたらジャスミンやラベンダーといった季節の鉢植えと黒いポットに入った野菜の苗も販売し始めていました。小売りの範囲を広げたとも言えるし、テイクアウトビジネスに乗り出したとも解釈できます。テイクアウトは食べ物屋とは限らない。

で、タネをいつものタネ専門店にネット注文したばかりですがそれはそれで今後必要なので、バジルと青紫蘇の苗をホームセンターなどよりは高い値段で買って応援です。ボリュームのある野菜にバジルと青紫蘇とそれから(これはタネから栽培中の)ルッコラと組み合わせて自家製の塩麹風味のドレッシングを振りかけるとそれなりの野菜サラダができ上がります。


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2020年5月19日 (火)

リラ冷え

札幌では5月中旬から下旬にかけて肌寒い日があります。薄いコートがないと外を歩けないくらいの肌寒さです。室内でも重ね着をする。そういう寒さを「リラ冷え」と呼んでいます。

「第62回さっぽろライラックまつりは、大通会場は令和2年5月20日(水)~31日(日)の12日間、川下会場は令和2年5月30日(土)、31日(日)の2日間で開催を予定していたところですが、現在全国的に拡大している新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、来場者や関係者の皆様の健康・安全を第一優先に考え、大通、川下両会場ともに中止することを決定いたしました。」(主催者の発表)

今年のライラックまつりは中止です。ライラックは札幌市の市の木です(ついでに市の花はスズラン)。市の木なので、季節になると、公園に限らず近所のそのあたりの歩道や道路際で、あるいは家庭の庭先で、紫や濃淡の具合がいろいろなピンクの花を咲かせます。白いのも少しいる。

この記事を呼んでらっしゃるかたがわざと混乱するような書き方をここまでしてきたのですが、「リラ」と「ライラック」は同じものです。しかし「リラ冷え」とは言いますが「リラ祭り」とは言わない。「ライラックまつり」とは称しますが「ライラック冷え」という表現は使わない。何故かは知らない。習慣です。

リラはフランスでのこの木の呼び名です。この木の英語名がライラックです。フランスで「リラの咲くころ」と言うのはいちばん気候の良い時期のことだそうですが、緯度の高い、湿気のない札幌だとその気持ちが手に取るように実感できます。「リラ冷え」くらいの寒さが混じる方が外気は心地いい。

軽やかなソメイヨシノタイプの桜が終ると、重い感じの八重桜とそれなりに華やかな桜桃が続き、そのあとライラックが桜よりは長い間咲き続けます。

下に、リラ冷えを感じさせる早朝の街路樹のライラックと、ライラックと同じ時期かたいていはそれよりも前に咲き終わる家庭鑑賞用の白い羽衣ジャスミン(近所の花屋で買ったもの)を並べておきます。

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2020年5月15日 (金)

能と居眠りとフリージャズ

札幌では二か月近く前からStay Homeの霧が立ち込めていて晴れそうでいてなかなか晴れません。その霧の中で過ごすにはいい機会なので「能」を集中的に観てみました。「井筒」「葵上」「実盛」「安達原(黒塚)」「砧」「道成寺」「俊寛」などです。以前からも能はその時々の興味と必要に応じてDVDやテレビ放送などで観ていましたが、これほど集中的には時間を使わなかった。

能楽堂に出かけるわけにはいかないので(札幌にはないとしても)、以前から持っていたDVDや今回購入したDVD、かつてテレビ放送されたのを録画しておいたのを続けて再生します。インターネットに曲の全部がまとまって(あるいは分割されて)アップロードされているのもあり、それらも利用します。そうすると同じ曲でも複数の能楽師や囃子方や狂言方の演技の違いをその場で続けて楽しめます。

とまれ、詩や和歌が詠うものであるように、能は舞うもの謡うもので、音声表現されたシテ・ワキの科白や地謡の言葉としての存在感と、笛と小鼓・大鼓という楽器の持つ浸透力の強さを改めて認識することになりました。

先日ある能関連の本を読んでいたら、一般的な観客として能を観賞するとはどういうものかを実に的確にまとめた一節に出会いました。その一節を以下に引用します。

「能楽堂に行って聞くともなしに能の囃子(はやし)を聞いていると、段々眠くなってくる。(中略)時々薄目を開けて舞台を見ると、さっきと同じところにシテが座っている。また目を閉じてしばらくすれば能は終わっている。これがお能の鑑賞である。」(多田富雄「死者との対話-能の現代性」

たしかに能の囃子とゆったりとした科白を聞いていると夢幻能タイプでも歴史物語風でもいつの間にかウトウトしてきます。しかし「霊」や霊的なものが主人公のものであってもウトウトとは縁遠い曲もあって、六条御息所の「生霊」が登場する「葵上」や男性にすげなくされた女性の「死霊」が登場する「道成寺」などはウトウトする暇がない。

とくに「道成寺」の「乱拍子」などは名手のプレイするモダンジャズないしはフリージャズに近い。山下洋輔トリオの、ピアノとアルトサックスとドラムスがお互いに相手にどう反応し合って次にどう展開していくのかその両者(ないしは三者)の緊迫感に、ジョン・コルトレーンの「マイ・フェイバリット・シングズ」におけるソプラノサックスの官能性が加わったような世界を、道成寺におけるシテの舞と謡と小鼓と笛は、能舞台空間に創り出します。

今回観ることができなかったのが金春禅竹(こんぱるぜんちく)作の「芭蕉」。舞台は中国。(バナナの親戚であるところのつまり植物の)芭蕉の精が女性となって、僧侶の読経を、夜毎、そっと聴きに来るという内容の能です。しかし生の無常をずっと感じ続けてきたらしいその女性は、冴えわたる月光の下、静かにゆったりとした舞を舞い、舞いの後は、吹き荒ぶ秋風とともに消え去ってしまいます。僧侶の前には破れた芭蕉の葉だけ残されていたそうです。

この「芭蕉」の名演を収録したDVDがあれば欲しいと思っているのですが残念ながらこの曲は人気がないのかどこにも見あたらない。能のDVDには古い名演の録画が多い。しかし音楽やオペラや映画のDVDと違ってともかく値段が半端なく高い。

関連記事は《「井筒」と「死者への七つの語らい」》。


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2020年5月14日 (木)

桜桃(サクランボの樹)・補遺

桜桃はその実であるサクランボに目がいってしまい、札幌では八重桜と時期が重なりながら桜桃の花を今まではとくには意識したことがなかったので、今年は新しい流儀のお花見です。桜桃は桜というよりも梅に近い。見方によっては華やかだけれど、重い雰囲気の八重桜のそばだと白い控え目な花となります。

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サクランボの産地であるところの山形県・寒河江(さがえ)市のウェブサイトには「さくらんぼ大百科事典【さくらんぼの歴史】」と題する箇所があり、そこから一部を引用すると、桜桃が日本で初めて植えられたのは北海道南部だったようです。そこからすぐに山形に桜桃が移植され栽培が始まった。

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七飯(ななえ)町は、函館の北側にある町ですが、そこから、余市、仁木、札幌とサクランボが伝わってきた。そういう歴史を背景に、誰かの明確な意思のもとで、札幌の街路樹の一本としてサクランボの樹が植えられた。と考えると、散歩の途中になぜ桜桃があるのかも腑に落ちます。

「札幌市街路樹種別一覧」によると札幌市内には「サクラ類」が9100本あります。この「類」のなかに「桜桃」が含まれているとしても、具体的な本数はわからない。


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2020年5月11日 (月)

遅咲きの八重桜と満開の桜桃を楽しむ

札幌だとお花見が始まるゴールデンウィークにさしかかるあたりは、今年は、スマホを片手にそばをさっと通り過ぎるだけでお花見にはわずかな時間しか割けませんでした。ゆっくりと桜という空気ではどうもなかったからです。その頃が満開であるところのソメイヨシノは今やすっかりと葉桜になってしまいました。葉桜の若い緑は花びら以上に目に沁みるにもかかわらず、葉桜見物というのはどうも人気がない。

というわけで、一昨日(先週の土曜日)に、人通りが閑散としたあたりを配偶者とゆっくりと散歩しながら、葉桜見物も兼ねて、一週間から十日遅れのお花見です。遅咲きの「八重桜」がそれなりに目に入り、ちょうど六分から七分咲きくらいの按配で濃い目の色合いの花が枝に溢れていました。

それから、その存在が札幌市内では珍しいところの「桜桃(おうとう)」が満開に近い状態で白い花を咲かせているのにも出合いました。桜桃も含めて、お花見です。北海道でも果樹栽培の盛んな仁木や余市(ウイスキーの生産地でもある)では7月にサクランボ狩りが楽しめるので、そのサクランボ園から車で2~3時間の距離であるところの札幌の一部で桜桃に遭遇しても別に驚くことではありません。

最初の写真が六分から七分の「八重桜」、二番目が満開の「桜桃」です。今年もお花見ができました。

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2020年5月 8日 (金)

歩道に散り落ちた桜の花びら

ひっそりとお花見」の続きです。

歩道や遊歩道に散り落ちた桜の花びらの景色が好きで、毎年その風情を撮影しています。その風情がいちばん味わえるのは晴れた日に強めの風で花びらが舞い落ちたその直後から数時間以内です。はらはらと比較的広い範囲に花びらが散り拡がったのも結構ですし、風で歩道際に吹き寄せられたのが一直線になって伸びているのも悪くない。桜は、その季節に、咲いたときと舞い落ちたときの二回楽しんでいます。

しかし、春の冷たい雨が歩道の花びらを濡らしてしまうとその桜色が急に白っぽく色褪せてしまい、一部は薄茶色に変色するので、枝の上だけでなく歩道の上でも桜の命は短いようです。

そういう定点鑑賞の場所をいくつか、長めの散歩でカバーできる範囲で持っていたとしても、今年はStay Home等で一ヶ所しか行けなかったので、下に並べたうちの最初の写真は今年の撮影ですが二番目の写真は以前のものです。

こうやって比べてみると、落ちた花びらにも桜の種類による色合いの差がよく出ています。

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2020年5月 1日 (金)

ひっそりとお花見

札幌もやっと桜です。ゴールデンウィークの入り口なので開花時期は例年の通りで、人間界の騒動とは関係なく花開きました。昨日は晴れていて午後の気温が20℃近くなったので配偶者とひっそりとお花見です。春から秋のいつのも散歩コースというか、もっと暖かくなると運動(速足で歩くという運動)をするコースのうち桜の樹のあるあたりを選んでゆっくりと歩を進めます。古人なら、腰に一瓢を携えて西南に杖を曳く、とでもなったでしょうか。

ぼくたちの散歩及び運動コースは、普段の週末の遅い午後から夕方にかけてでもすれ違う人は少ない。昨日もいつものように出会う人は少なかったのですが、ここ数日では珍しい午後の陽気だったので散歩を楽しんでいる親子連れやご夫婦の姿が目に入りました。ほとんど全員が不織布や布(市販のものか手作り布)のマスクをしています。ガーゼのアベノマスクは、配布が途中で頓挫したみたいなので、まったく見かけません。予算委員会でもアベノマスクと同タイプを着用している閣僚は安倍首相を除いては皆無で、皆さん、アベノマスク風マスクの機能性についてよくご存じらしい。

どこもそうかもしれませんが、札幌も、ソメイヨシノ以外を楽しめます。下の写真はその午後出会った桜たちです。4枚目は「梅に鶯」ではなく「桜に雀」です。地面に眼を遣ると、黄色いタンポポが咲き始めています。レンギョウの黄色も眼に入ります。

散歩のあとは、野菜の買い出しです。

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2020年2月18日 (火)

鉢植えのラベンダーと2月の雪

富良野の手入れのいい農園のでも近所の道路際の植栽場で手入れとは縁のなさそうなのでもラベンダーは毎年夏に紫の花を咲かせるので、つまり雪と寒さの中を元気に冬越しするので、だから自宅の鉢植えのラベンダーも手入れさえよければ長生きするはずです。

冬になり身近から「緑」が消えてしまうのは残念なので、他の鉢植えは片付けてもラベンダーの鉢植えだけは残してあります。下の写真はこの夏にフラワーフェスティバルかなんかで購入した北海道産のラベンダーの先日の雪の日の様子です。雪の中で凛としているのはなかなかにいい。

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ただ鉢植えだと、植えてから数年すると元気がなくなるようです。これはしかたない。下の雪のラベンダーは2016年2月下旬の撮影で、このラベンダーはその年の秋に、最後の花を咲かせた後、5年か6年の寿命が尽きました。毎年きれいな薄紫の花でぼくたちの眼を楽しませてくれていましたが。

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          2016年2月下旬

同じラベンダーの2013年7月の薄紫の花。
古い画像も残しておくものです。20130714b1-tm


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