植物と花

2021年2月24日 (水)

冬のシャクナゲ

シャクナゲ(石楠花)は常緑広葉樹です。奈良の室生寺などでは手入れのされたその常緑広葉樹の姿を数多く堪能できます。しかしシャクナゲは比較的に温かい地域だけが好きというわけではなく、札幌のような雪の多い寒冷地にまで分布しています。シャクナゲの原種は亜寒帯から熱帯山地に分布し、ネパールや中国の雲南省にも多くの種が存在しているそうなので、札幌もそれなりに好みの土地のひとつなのかもしれません。

落葉広葉樹は雪の季節には雪の重みで倒壊しないように葉を落としますが、常緑広葉樹は葉をつけたまま越冬します。だから雪の地域ではシャクナゲの葉にも雪が積もります。

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雪は気温が氷点下にならなくても降るので、ただ雪が降ったくらいではシャクナゲの葉は広葉樹らしさを失いません。しかしもっと寒さが厳しくなって氷点下5~6℃やマイナス10℃の凍りつくような日々が続くと、シャクナゲは広葉樹らしい幅広の葉を針葉樹のように細くしぼませて寒さを乗り切ります。人が身をこごめて寒さに対応するようなもので、植物の生活の知恵です。

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そして、ぼくたちにはまだコートが必需な時期でも、高い山地も大丈夫な「しゃくなげ」にとって心地よい温度になると、それまで細く閉じていた葉を、本来の広葉樹に戻って葉の表面積を大きく広げます。

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冬の間観察していると、シャクナゲは葉を細く閉じたり広く開いたりしながら、温度差を乗り切っているようです。

 


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2020年12月25日 (金)

冬至です、これから日が長くなります

2020年は、12月21日(月曜日)が冬至です。その日は過ぎました。季節の移り変わりを約15日ずつに分けた二十四節気では、2020年の冬至は12月21日(月曜日)から2021年1月4日(月曜日)までです。ぼくたちは今、冬至の真ん中くらいにいます。

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   この絵はブログ「暮らし歳時記」より引用させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

ぼくは長日植物に似たところがあり彼女らの動きに共感するので、冬至を通過すると、さらに強くなる寒さに耐えるというのを別にすれば、あとは明るい夏至に向かって進んで行くだけなので、総体的に元気になります。

夏至に季節のお祭りをするのなら、その出発点であるところの冬至に季節のお祝いがあってもおかしくはありません。夏至を祝う習慣のある北欧では冬至もお祝いの対象です。しかし、「文明開化」的な役割を演じることが大好きな――つまり結構おせっかいな――宗教であるところのキリスト教の浸潤で、クリスマスと同じような時期にある冬至のお祝いの影が薄くなってしまいました。日本にも、それほど古くはないけれども、穏やかな冬至のお祝いがあって、「柚子湯」がそれですし、カボチャ(南瓜)を食べるというのもそのお祝いの別のひとつです。クリスマスのケーキよりは、カボチャを蒸したのやスープやカボチャを使ったお菓子のほうがぼくは好きです。

新型コロナウィルスは寒い季節に元気が増すみたいです。人間界は、その変異種の発生などにも驚いて、緊急ワクチン承認だ、再ロックダウンだ、時短営業だ、流通と経済の活性化だと賑やかですが、人類との付き合いの長いウィルス君にとっては「そう恐がらずに仲良くやろうぜ、持ちつ持たれつさ」くらいの気分かもしれません。

 


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2020年12月 7日 (月)

小股の切れ上がった色白のレンコン

以前はじめて熊本に行ったときにそれまで実際には食べたことのなかった「からしレンコン」を忘れずに買い求めました。誰がこういうレンコンの食べ方を考案したのでしょうか。しかし、ぼくにとっては珍しい酒の肴ではあっても、配偶者は「からしレンコン」を自宅で作りたいとは思わないようです。

レンコンの収穫量は茨城が圧倒的に多くて、それに徳島と佐賀が続きます。だから札幌の野菜売り場で頻繁に、というか定番状態で、お目にかかるのは茨城産のレンコンです。

ときどきは佐賀のレンコンに出会えますが、小売店の野菜売り場で徳島産のレンコンに遭遇するのは新しい彗星にぶつかるように珍しい(カウンター席の天ぷら屋に入れば大丈夫ですがそういうのはここでは対象外です)。不思議なことに、札幌では、生産量のとても少ない加賀レンコンとの遭遇確率のほうが徳島レンコンよりも高い。

ぼくの独断だと、色白で小股の切れ上がった感じなのが徳島産のレンコン。姿がすっきりとしていて、食べた時のしゃきしゃき感がとてもいい。淡口(うすくち)醤油の煮物は結構な味わいで、酢のものやキンピラも悪くない。分類上はキンピラの一種になると思いますが、レンコンと牛の挽肉のスパゲティなんかもなかなかです。下の写真は徳島レンコンで、現地から取り寄せたものです。それなりの贅沢ではあります。

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茨城産はちょっと色黒で肉厚、ぼくの感性では(茨城レンコンには申し訳ないけれど)あまり美人ではない。札幌では手に入りやすいやすいのだけれども、だからあまり食欲が湧かない。

一方、加賀れんこんは色白で肌理(きめ)細かくてもっちりしている。加賀レンコンは家では煮物ですが、プロの手になる懐石料理などで味わいたい種類です。

それから、天ぷら。レンコンの天ぷらは油の新鮮な天ぷら屋のカウンターで色白の揚げたてを食べたい。しかし、現在はそういう欲求をぼくも抑え込んでいます。もともと外食をあまりしないというのもありますが、マスクを取ったり外したりというのでは美味しいはずもない。天ぷら屋さんとレンコンには申し訳ないと思いますが。


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2020年10月 5日 (月)

札幌の秋は「ななかまど」の赤

札幌では、「ななかまど」の実は、9月中旬以降雪が降り始めたあとまでも継続して、さまざまな色合いの赤を提供してくれます――札幌に限ったわけではないとしても――。その期間が長いのは「ななかまど」という樹の生命力が強いということがあり、色合いの豊富さは彼らに種類の差や個体の差があるからです。

実の色は濃い赤から、朱色に近い赤、橙色に近い赤などがあり、葉の色も濃い緑から淡い感じの黄緑までいろいろなので、それらの組み合わせの妙を街中の通りや植栽場や公園で堪能できます。

歩いているときに姿のきれいな女性が佇んでいるのを見かけた感じで「ななかまど」の鮮やかな赤や風情のある赤に出会うと、立ち止まってしばらく眺めてしまいます。

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2020年9月 3日 (木)

枝を手折(たお)る

先日のブログ記事「桜狩り、サクランボ狩り、紅葉狩り」で、次のように書きました。

《「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」は、折り取られた桜の花枝がそのあたりを歩く(あるいはそのあたりで舞う)人たちの頭髪や帽子(冠)にさされたのがたくさん見られたほうが背景としてはいちばん感じが出ます。もっとも最近は、自宅の庭の桜以外でそんなことをすると少々ややこしいことになってしまう恐れもありますが。》

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」は古今集と伊勢物語の中の歌なので、十世紀初めの日本では春のお祝いや喜びに花の咲いた桜の枝が人々の手で折り取られていたらしい。

以下は「方丈記」からの引用です。蛇足ですが、鴨長明はその歌が新古今に十首も入集(にっしゅう)された歌人でもあり十二世紀後半から十三世紀初めにかけての方です。

「かへるさには、折につけつつ桜を狩り、紅葉(もみじ)をもとめ、わらびを折り、木の実を拾いて、かつは仏にたてまつり、かつは家づとにす」(帰り道は、季節に応じて、春なら桜の枝、秋なら紅葉(もみじ)の枝を手折り、ワラビを折ったり、木の実を拾ったりして、それらを仏前にも供え、土産にもする)

草庵に一人で住んでいた彼も、季節の折々には、出先からの帰り道に、ワラビを摘み木の実を拾い、そして桜や紅葉の枝を手折っていました。時間の範囲を控えめに言って九世紀の後半から十三世紀の前半くらいまでは、季節の手折りは、自然の草木と人との当時の関係が滲み出たとても自然な行為だったようです。

今年はなかったにしても、たいていは桜の樹の下の宴会で酔っ払って枝を折り取るオジサンやオニーサンという存在が登場しますが、自然保護にうるさいおばさんもそういうオジサンの行為に対して目くじらを立てることもないのかもしれません。

 


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2020年9月 2日 (水)

札幌のホップの実

札幌(およびその近郊)らしいお酒と言えばビールとウイスキーです――最近はワインも加わりましたが。

以前、「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー、うまいビールの合言葉」という記憶に残るテレビコマーシャルがありました。ドイツのミュンヘンは北緯48度にあり、札幌は北緯43度、米国のミルウォーキーも北緯43度に位置しているので、北緯45度前後で造られたビールは美味いということらしいです。それを否定する証拠もないので、とりあえずそうしておきます。しかし北緯45度あたりで醸造されたビールだけがうまいというわけではありません。サンフランシスコは北緯37度ですが、サンフランシスコのAnchor Steam Beer (アンカー・スチーム・ビア)はとても美味い。その濃い味が後を引きます。

さて北緯43度の札幌ですが、その中心部にある大通り公園では、夏から秋にかけて、いろいろな草花に混じって、ビールの味わいには不可欠なホップもいっしょにアーチに這わせて育てられています。下の写真は昨日のそのホップですが、すでに淡い緑の実がたくさんついているのがわかります。こういう風景を見ると、北緯45度前後の都市とビールの美味さを関連付けるというのはけっこう上手いやり方だったように思われます。

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札幌だと、ホップは自宅でも大丈夫です。ぼくもかつて夏の観葉植物として育てたことがあります。長く伸びていく蔓をどう這わせるかがやっかいですが、それとなんとか折り合いをつけると次の写真のような実がなってくれます。

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2020年8月20日 (木)

桜狩り、サクランボ狩り、紅葉狩り

「狩る」とは、ぼくたちの間で継続されている意味は、一般的には、鳥や獣を追い出して捕えるということと、花や木を愛でるために探し求めることです。

「狩る」行事といえば、すぐに思いつくそのひとつは、「桃狩り」「サクランボ狩り」「梨狩り」「リンゴ狩り」などです。「狩る」ということなので実際に木の枝から採る、切り取るという作業が含まれるはずで、だから、ぼくたちは実際にそういう作業をして、出向いたその場(果樹園など)で季節の果実のいくぶんかを味わうのが恒例になっています。

もうひとつの「狩る」は、「桜狩り」、「紅葉(もみじ)狩り」などで、現在の上品な辞書的な意味は「桜花を訪ね歩いて鑑賞すること」あるいは「山野に紅葉をたずねて鑑賞すること」ですが、「狩る」という語を含むので、今よりも人の数も少なくてもっとおおらかな時代には、人びとは、たとえば、桜の枝を折り取り、髪にさしてのどかに遊びたわむれたのでしょう。桜が舞い落ちる毛氈(もうせん)や茣蓙(ござ)の上で、桜の簪(かんざし)の女性を相手にお酒でいい気分になっている花見客の姿も容易に想像できます。

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」は、折り取られた桜の花枝がそのあたりを歩く(あるいはそのあたりで舞う)人たちの頭髪や帽子(冠)にさされたのがたくさん見られたほうが背景としてはいちばん感じが出ます。もっとも最近は、自宅の庭の桜以外でそんなことをすると少々ややこしいことになってしまう恐れもありますが。

秋は、桜ではなく、紅葉(色づいた「楓」)の葉や小枝を髪や帽子にさすことになります。その場合、どんな歌が似合うでしょうか。色づいていない下の写真の様な「楓(かえで)」を一葉、散歩の途中で隣を歩いている人の帽子に飾るというのも、のどかでいいかもしれません。「世の中にたえて楓のなかりせば秋の心はのどけからまし」。

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2020年7月 7日 (火)

七月の声を聞くと立ち葵

六月の末には開花までまだしばらく時間がかかりそうな風情だったのが、七月の声を聞くと一斉に咲き始めました。立ち葵です。不思議なくらい季節の推移と同期しています。立ち葵は日本中で見られる夏の花だとしても、ぼくはかってに七月上旬の札幌の花と決めています。それにしても去年と同じ場所から葉を伸ばし開花します。

七月上旬は、見上げるような高いところは夏至の花であるところの「ニセアカシア」の遅く咲く質(たち)の白い花で、人の背丈くらいの高さは歩道や道路際の植栽場の白や赤や淡いピンクや濃いピンクの立ち葵です。まれに黒いのもある。地面に近いところは紫のラベンダー。統一感はありませんが、にぎやかです。その賑やかさが初夏らしい。

こういう言い方は申し訳ないけれど、立ち葵は鬱陶しいくらいにたくさんの数の花を咲かせます。以前は遠慮というものを少しは身に着けてほしいとも思っていましたが、最近は心置きなくどうぞと、ぼく自身の気持ちが少しずつ変わってきました。立ち葵の旺盛を諦め気味に称賛する気持ちになってきたのかもしれません。夏はこれくらい盛んなほうが、短い夏の札幌らしい。

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2020年6月25日 (木)

アカシアは夏至の花

アカシア(正確にはニセアカシア)は札幌では夏至の花です。ぼくが勝手にそう決めました。やや黄色味を帯びた白い地味な花です。

「正確にはニセアカシア」と書きましたが、こういう場合の「正確には」という表現もいい加減なものです。植物分類上の名前がたまたまニセアカシアで、そういう場合は似たような植物が他にあってそれが本家のアカシアということになるのでしょう。てんとう虫とてんとう虫だましがいるように。植物や昆虫にとってはいい迷惑です。

ニセアカシアは札幌では本数の多いほうの街路樹で、1万9000本あまり植えられているので、街路を歩けば、6月下旬には写真のような花が咲いたのに出会えます。桜と同じで、全部が一斉に花開くのではなくて、早いのと遅いのがあり、二週間くらいはその地味な花を楽しめます。遅くなるとだんだんと黄色味が強くなってくるようです。

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2020年5月22日 (金)

もうひとつのテイクアウト風ビジネス

下の写真は植えたばかりのハーブ野菜です。左がバジル、右が青紫蘇。近所の花屋さんで購入しました。

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その花屋さんは業務用需要専門で、一般消費者相手に花を小売するといういわゆる花屋さんビジネスはごくわずか。ビジネスの中心はホテルや専用の式場で行われる結婚式や結婚披露宴におけるフラワーアレンジメント需要に丁寧なコンサルティングで対応することです。そのわずかな一般消費者相手の商売のひとつが正月飾りで、我が家の玄関の正月飾りはそのお店のお世話になっています。

結婚式ビジネスそのものが頭打ちになってきたということがそもそもの背景にあったとも想像できるのですが、今回の新型コロナ騒動の休業要請等で、結婚式や結婚披露宴そのものが、従って花の需要が急激に少なくなったのでしょう。気がついたらジャスミンやラベンダーといった季節の鉢植えと黒いポットに入った野菜の苗も販売し始めていました。小売りの範囲を広げたとも言えるし、テイクアウトビジネスに乗り出したとも解釈できます。テイクアウトは食べ物屋とは限らない。

で、タネをいつものタネ専門店にネット注文したばかりですがそれはそれで今後必要なので、バジルと青紫蘇の苗をホームセンターなどよりは高い値段で買って応援です。ボリュームのある野菜にバジルと青紫蘇とそれから(これはタネから栽培中の)ルッコラと組み合わせて自家製の塩麹風味のドレッシングを振りかけるとそれなりの野菜サラダができ上がります。


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