魚介類

2018年3月12日 (月)

対面販売の魚売り場

魚介類はあるデパ地下の対面販売の魚売り場、と決めています。たいていは待遇者と一緒です。海が荒れて北海道も九州も不漁なときはそういうわけにいきませんが、たいていは一週間分をまとめて買い込みます。
 
まとめて買ったものは、刺身はその日か次の日に片づけますが、出番まで冷凍にするのもあるし、塩麹や醤油麹や味噌などに漬け込んで日持ちさせるのもある。白身魚を昆布や酢で締めるのも悪くありません。
 
土曜日の遅めの午後にその魚売り場の対面販売用の一画に行くと、鰆(さわら)の切り身が六切れ並んでいました。
 
時刻を考えると売れ残りに近づいていたという言い方が適当かもしれません。水揚げ地は福岡県です。六切れといっても、ひとつはカマ相当部分です。姿のいい四切れあればいいので、その四切れを買おうとすると、「六切れ全部どうですか」と顔見知りのベテランの女性店員から声がかかりました。「いいですよ」と答えます。
 
大きめのお皿に載せてラップしたパッケージに書かれた値段は四切れ分です。カマ部分とその他の一切れが売れ残っても困るので売る方としてはそういうサービスになるのですが、こちらもそういう場合は柔軟に対応します。こういうのが積もると、まあ、お互いにいい関係ができあがります。
 
ある日にある魚に興味を示すと「今日は、これは脂の乗りがイマイチなのでお勧めじゃないです。刺身なら別の魚にしてください」。別の日に、大きな赤カレイの大きな切り身を見ていたら「今日はこの赤カレイがお勧め。活締めです。」実に新鮮そうな身の色で、値段もとても穏当でした。
 
対面販売の魚売り場ではそういう楽しみに出合えます。今風に言うと、結局はコスパのいい買い物ができるようです。

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2018年3月 9日 (金)

山葵(わさび)と山わさび

上の緑が「山葵(わさび)」、下のベージュが「山わさび」です。山わさびを漢字で書くと「山山葵」となって紛らわしいので「山わさび」と表記する習慣らしい。
 
写真の山葵も山わさびも、以前、冷蔵庫に保管中のものを取り出して撮ったものなので、色がくすんでいます。m(_ _"m)
 
Photo
 
「山わさび」とは「ホースラディッシュ」「西洋わさび」のことで、ローストビーフを食べるときに薬味としてよく使われます。東ヨーロッパの生まれですが、明治時代に北海道に導入され、現在では北海道の特産品になっています。
 
山葵(わさび、「本わさび」ともいう)は、たとえば伊豆・天城のように湧き水を利用した石の段々畑風のわさび田で育てますが、山わさびは畑で栽培します。畑の多い北海道向きです。山葵は保存がききませんが、山わさびは農家の倉庫で保存ができます。必要な時に必要な分だけ、洗浄しカットして出荷する。
 
山葵を、たとえば、ファストフードばかり食べていて刺身の味がよくわからないであろうタイプの外国人のために英語に訳すときには、面倒なので horseradish としてしまいますが、両者は似て非なるものです。実際には似てもいない。
 
しかし、似ているところはあって、卸すには、どちらも鮫皮が最適だということです。
 
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いろいろな料理と合いますが、やっぱり、魚介類には「山葵」、肉類には「山わさび」ということでしょうか。野菜だけのサラダには、どっちでしょう?

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2018年2月 5日 (月)

古い節分と新しい節分

大阪の商売人が、「それ」を節分の消費拡大プロモーションイベントとして考え出したのが、ぼくの記憶だと20年くらい前です。「それ」とは、恵方巻という名前の太巻きのことです。節分に特定の方角を向いて目を閉じて最後までまるかじりするとご利益があるそうです。どなたが考え出したか知りませんが、うまいマーケティングです。
 
コンビニがそれに飛びついて需要を大幅に拡大して時節の人気商品となったので、デパートやスーパーも遅れて参入しました。最近のデパ地下などでは1本が5千円から1万円の、ゴーカケンランな海鮮恵方巻も販売されているらしい。
 
我が家でも自家製の恵方巻を食べました。といっても、卵焼きとインゲンと守口漬けが具のすべてです。黄色と緑と赤茶色が白いご飯と黒い海苔に巻かれただけの素朴な太巻きです。まるかじりはしません。座って方角と関係なくいただきます。これが、我が家の新しいほうの節分。いちおうトレンドを取り入れます。
 
写真は、その時使った巻き簾(まきす)。前回この巻き簾を使ったのは、出汁巻き玉子を作ったとき。
 
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古いほうの節分は柊(ひいらぎ)。これを玄関に飾ります。今年は近所で売っていたそうで、配偶者が買ってきました。配偶者は、節分というと、豆まきと柊です。関連記事は「節分と柊(ひいらぎ)」。
 
写真は今年の役目を終えた柊(ひいらぎ)の飾り。
 
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2018年1月18日 (木)

イトヨリのソテーに橙(だいだい)を絞る

北海道の魚は、「アンコウ・カジカ・カレイ・ヒラメ・サケ・サンマ・シシャモ・ソイ・タラ・ニシン・ハタハタ・ハッカク・ホッケ・イワシ」など地味な色のものが多い。例外は紅いキンキ(キチジ)とメヌケです。
 
北海道を離れると、ノドグロ(アカムツ)という脂ののった赤い美味しい魚がいます。それ以外の色のきれいな魚のひとつがイトヨリで、札幌でもときどきは対面販売の魚売り場で見かけます。先日、それなりに大きなサイズのイトヨリを見かけたので買ってきて、バターでソテーです。仕上げに橙(だいだい)を絞りました。結構な按配です。
 
日本のポン酢用の柑橘類には、柚子(ゆず)やスダチがあり、ここに橙(だいだい)を入れてもいいのですが、生産量は橙が極端に少ない。橙は風前の灯の状態です。
 
柚子には一般家庭でも(一般家庭の場合は主にポン酢を通して)、全国のどんな和風の料理屋でもお目にかかれますが、スダチは関西の料亭・料理屋には広く出回っているものの、関東だと少し値の張る料亭や料理屋に限定されているかもしれません。橙になると、伝手(つて)がないと入手が困難です。
 
下は、その橙。ポン酢だけでなく、ジュースにもジャムにもなります。
 
20172018

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2018年1月17日 (水)

ファスト・フードとしての蕎麦・寿司・天ぷら・鰻

ある程度以上の規模のデパートなら、食堂フロアの品揃えの上で必需品(必需店)は「蕎麦・寿司・天ぷら・鰻」の4つだそうです。それらを中心に、それら以外をそろえる。この4つがないと、デパート側も客側も落ち着かないのでしょう。最近はこの4つのセットにこだわらないデパートもありますが、たいていは見かけます。
 
考えてみたら、この4つは、そもそもの出発が、江戸時代の屋台のファスト・フードです。小腹が空いたときに食べるということもあったかもしれないし、独身で料理をしない職人や商人が消費都市であるところの江戸でいっぱい働いていて、ファスト・フードを消費した。今は、この4つは、お手軽なものから、とても高価・高級で敷居の高そうなものまで幅広くそろっていますが、ファスト・フードとはそもそも外で食べるものです。
 
だから、高級店がそれなりに多いといっても、この4つはファスト・フードの伝統を持ち続けることを運命づけられているのか、時代変化を考慮して、手に入りにくい「鰻」の替わりに手に入りやすい「牛肉ハンバーガー」を配置すれば、「蕎麦・寿司・天ぷら・ハンバーガー」は、街中や駅ビルのお店で、気軽に手軽に食べられます。店によっては、屋台でなくても立ち食いもできる。
 
最近は、ファスト・フードとはジャンク・フードの謂(いい)であることが多いのですが、日本における出発点は、ファストではあってもジャンクという内容ではまったくなかったようです。だから「蕎麦・寿司・天ぷら・鰻」は、今でも食堂フロアで健在です。

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2017年12月21日 (木)

にぎやかな丸いおにぎり、シンプルな三角のおむすび

日本の美意識と食文化とコメの新たな融合、などというおおげさな表現を使ってみたくなるほど気に入ったのが、「パッカンおにぎり」です。どなたが立ち上げたか、「パッカンおにぎり」の専用サイトもあるので、「パッカンおにぎり」がどういうものかをご存じないかた、上手な作り方を知りたい方は、そのサイトをクリックしてみてください。なかなかに楽しい。
 
こういうブームを通じて、コメのベース需要というか、コメの追加需要が生まれてきます。パカンと口を開いたおにぎりになにを挟んでもいいのですが、和風家庭料理の基本となるようなおかずも多く使われているみたいなので、そういう意味での伝統維持効果、食育効果も期待できる(コンビニやスーパーで買ってきた総菜をそのまま利用するお母さんもいらっしゃるとは思いますが、それはそれとして)。
 
 下の「パッカンおにぎり」の写真はインターネットから勝手にお借りしました(当該おにぎりの作者にはこの場を借りてお礼申し上げます)。具は「右上から時計回りに、焼き鮭+大葉、人参とゴボウのきんぴら、オクラの梅かつお和え、ツナマヨ、唐揚げの甘酢あん」だそうです。スライスチーズか何かをくりぬいて作ったのでしょうか、眼がかわいらしい。子供は大喜びするに違いない。
 
Photo
 
先日、手ごろなお正月料理用の「田作り(ごまめ)」などを買いに配偶者とあるデパ地下を歩いていたら、特別栽培米の2kg袋の品揃えが豊富な米屋さんが、売り場の隣におにぎりのイートインコーナーを作ってありました。ターゲット層は、そこで少量のコメを買ったついでに食べていく主婦層か、米屋のおにぎりを小腹の空いたころに少量だけ賞味したい女性のようです。
 
ここに限らず、デパ地下のイートインコーナーでパンやケーキを食べている中年かそれよりももう少し年齢層が上の女性客は、最近はけっこう多い。
 
ここのおにぎりは、伝統的なつくりの海苔つき三角(△)おにぎりで、1個が200円前後。梅や昆布やオカカは190円台、焼き鮭やタラコはそれよりも10円ほど高い。具は20種類くらい。おいしそうな味噌汁は250円。小腹がすいたらワンコイン、ということです。
 
おコメ好きは、丸いパッカンおにぎりでも、シンプルな三角(△)おにぎりでも、どちらでもお好みで。

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2017年10月24日 (火)

漬物雑感

「タクアン」は仕込みが終わったので、あとは順調に発酵が進むのを待つだけです。新鮮な白菜や大根が出回る時期は、「白菜の浅漬け」か大根の「べったら漬け」が我が家の漬物の定番です。
 
「白菜、塩、輪切りの鷹の爪」にしっかりと重石をかけて数時間から1日程度、常温の涼しい場所や冷蔵庫に置いておけばおいしい「白菜の浅漬け」ができ上がります。簡単です。
 
縦に二つに切った、頃合いの大きさの「大根」の切り身を塩漬けにしたのを、わずかな塩と唐辛子と柚子を加えた甘酒に、五日から一週間くらい漬けこんでおくと、「べったら漬け」ができ上がります。軽い塩味と軽い甘みが協調した、タクアンなどとは方向のちがう軽快な感じの漬物です。
 
ただ、「べったら漬け」には、甘酒が必要で、甘酒は麹と白米で作ります。作り慣れると簡単ですが、やや敷居が高い準備作業かもしれません。その工程は、「①うるち米をお粥(かゆ)にする。②お粥を60℃に冷ます。③そこに麹を入れて混ぜる。④そのあと60℃に近いそれ以下の温度で10時間ほど発酵する(ヨーグルトをつくるための電気式容器などを利用すると便利)。⑤でき上がる。」です。
 
タクアンなど冬の漬物を準備する時期に、気の利いた小売店の野菜売り場などに立ち寄るのはけっこう楽しいものです。通常販売しているものの3倍くらい大きい白菜がいくつもどんと置いてあったり、10本入りの箱売り青首ダイコンの箱が積み重ねられています。お店によっては札幌大球という巨大なキャベツが並んでいる。漬物関連コーナーは、塩、麹、鷹の爪、クチナシなど必需品で埋まっています(クチナシの黄色が必需品かどうかは別にして)。
 
我が家は、ニシン漬けなど魚介類を素材とする漬物は苦手なので作りません。しかし、以前、松前町に宿泊した時に旅館で出された「松前漬け」(素材は、数の子、スルメ、昆布)がとてもおいしくて、すぐそばの漬物屋でその長持ちしない松前漬けを冷蔵便で自宅まで送ってもらったことがあります。それほど旨かった。デパートなどで売っている袋詰めにした添加物がいっぱいの松前漬けには食欲がわきません。
 
考えてみると、松前漬けの材料は、それが江戸後期に松前藩で生まれた当時は、ニシン(数の子)もスルメイカも昆布も塩も大量に獲れた安価な食材だったので、ぼくたちが白菜の浅漬けを作るように、松前周辺の家庭ではとても気軽に松前漬けを漬け込んでいたのでしょう。

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2017年10月 6日 (金)

活けジメの秋鮭

この時期には珍しい、旬の「時不知(時知らず)鮭」以上に、とてもきれいな色合いの鮭の切り身が、あるデパ地下の魚売り場に並んでいました。2~3本分の分量だと思います。食欲を刺激するような色合いなので、そばに近づきました。
 
手書きのポップには「宗生(そうき)、宗谷の活けジメ秋鮭」と書いてあります。活けジメの秋鮭とは珍しい。というか、ぼくは初めてです。秋鮭は好みではありませんが、この色合いは何かを感じさせます。切り身を二つ買いました。
 
買った帰った後、念のために宗谷漁業協同組合のサイトで調べてみると、次のように書いてあります。
 
『宗谷産「活けジメ鮭」は、日本最北端の宗谷岬沖で水揚げし、船上で活きの良い鮭を厳選して水槽で保管し鮭の身体を休ませ、筋肉疲労を取り除いた後に鮭にストレスを与えずに短時間で放血及び神経抜き処理を行ないます。短時間で処理することにより、肉質の緊張や萎縮を抑え、その身は鮮やかなサーモンピンクとなり、魚独特の臭みもなく、白子に至るまで血液がもたらす赤点が取り除かれます。』
 
生産量が少ないのでホテルやレストランの業務用需要に対応するのが精いっぱいで、一般市場には出回らないらしい。
 
こういうのはシンプルなほうが味がそのまま出るので、晩ごはんに塩焼きです。脂はのっていませんが、とても自然な癖のない味で、いくらでも食べられそうです。けっこうでした。
 
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2017年9月21日 (木)

マグロの赤身とトロ

札幌市内のデパートの魚売り場では、ときどきは、大間や戸井など津軽海峡をはさんだ漁港で獲れたクロマグロを解体販売しています。値の張る上物は築地に流れていきますが、頃合いの手ごろなサイズが穏当な値段で地元の消費者に届けられるということです。同じ津軽海峡のクロマグロですが、漁港のブランド格差が値段にきちんと反映されています。
 
こういう解体販売で面白いのは、大トロは別にして、赤身も赤身とトロの中間も、それから中トロも、それぞれの切り身にほぼ同じ値段の値札がついていることです。さて、どれにしましょう?
 
厚生労働省の健康維持基準では、DHAおよびEPAの目標摂取量は1日1g(1,000mg)以上が望ましい、となっています。下の表は「日本食品標準成分表」から、ぼくたちにおなじみの「青魚」のDHAとEPAを抜き出したものです。
 
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クロマグロ一人前の量を80gとして、クロマグロの赤身でその量を摂取しようとすると、サプリメントの広告で頻繁に使われているメッセージになります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(赤身)で例えると約9人前以上」。
 
「クロマグロの赤身」でなく、「脂身、すなわちトロ」(ここでは中トロか大トロかの区別はとくには気にしない)なら0.3人分、生で食べられるサバは手に入りにくいので「まさば」を焼いたものなら0.5人分、「あじ」の開きを焼いたものなら0.6人分、「ぶり」は刺身か照り焼きかで違ってきますがどちらにせよ「1日1g」のためには0.4人分から0.5人分で十分です。つまり、マグロのトロならひとり三切れもあれば十分です。三人家族なら柵をひとつ買って三人で分けたらこと足ります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(脂身)で例えるとたった三切れ」。
 
クロマグロの解体即売会などで素性のはっきりとしたトロを安く売っていたらお買い得です。

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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