魚介類

2017年10月24日 (火)

漬物雑感

「タクアン」は仕込みが終わったので、あとは順調に発酵が進むのを待つだけです。新鮮な白菜や大根が出回る時期は、「白菜の浅漬け」か大根の「べったら漬け」が我が家の漬物の定番です。
 
「白菜、塩、輪切りの鷹の爪」にしっかりと重石をかけて数時間から1日程度、常温の涼しい場所や冷蔵庫に置いておけばおいしい「白菜の浅漬け」ができ上がります。簡単です。
 
縦に二つに切った、頃合いの大きさの「大根」の切り身を塩漬けにしたのを、わずかな塩と唐辛子と柚子を加えた甘酒に、五日から一週間くらい漬けこんでおくと、「べったら漬け」ができ上がります。軽い塩味と軽い甘みが協調した、タクアンなどとは方向のちがう軽快な感じの漬物です。
 
ただ、「べったら漬け」には、甘酒が必要で、甘酒は麹と白米で作ります。作り慣れると簡単ですが、やや敷居が高い準備作業かもしれません。その工程は、「①うるち米をお粥(かゆ)にする。②お粥を60℃に冷ます。③そこに麹を入れて混ぜる。④そのあと60℃に近いそれ以下の温度で10時間ほど発酵する(ヨーグルトをつくるための電気式容器などを利用すると便利)。⑤でき上がる。」です。
 
タクアンなど冬の漬物を準備する時期に、気の利いた小売店の野菜売り場などに立ち寄るのはけっこう楽しいものです。通常販売しているものの3倍くらい大きい白菜がいくつもどんと置いてあったり、10本入りの箱売り青首ダイコンの箱が積み重ねられています。お店によっては札幌大球という巨大なキャベツが並んでいる。漬物関連コーナーは、塩、麹、鷹の爪、クチナシなど必需品で埋まっています(クチナシの黄色が必需品かどうかは別にして)。
 
我が家は、ニシン漬けなど魚介類を素材とする漬物は苦手なので作りません。しかし、以前、松前町に宿泊した時に旅館で出された「松前漬け」(素材は、数の子、スルメ、昆布)がとてもおいしくて、すぐそばの漬物屋でその長持ちしない松前漬けを冷蔵便で自宅まで送ってもらったことがあります。それほど旨かった。デパートなどで売っている袋詰めにした添加物がいっぱいの松前漬けには食欲がわきません。
 
考えてみると、松前漬けの材料は、それが江戸後期に松前藩で生まれた当時は、ニシン(数の子)もスルメイカも昆布も塩も大量に獲れた安価な食材だったので、ぼくたちが白菜の浅漬けを作るように、松前周辺の家庭ではとても気軽に松前漬けを漬け込んでいたのでしょう。

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2017年10月 6日 (金)

活けジメの秋鮭

この時期には珍しい、旬の「時不知(時知らず)鮭」以上に、とてもきれいな色合いの鮭の切り身が、あるデパ地下の魚売り場に並んでいました。2~3本分の分量だと思います。食欲を刺激するような色合いなので、そばに近づきました。
 
手書きのポップには「宗生(そうき)、宗谷の活けジメ秋鮭」と書いてあります。活けジメの秋鮭とは珍しい。というか、ぼくは初めてです。秋鮭は好みではありませんが、この色合いは何かを感じさせます。切り身を二つ買いました。
 
買った帰った後、念のために宗谷漁業協同組合のサイトで調べてみると、次のように書いてあります。
 
『宗谷産「活けジメ鮭」は、日本最北端の宗谷岬沖で水揚げし、船上で活きの良い鮭を厳選して水槽で保管し鮭の身体を休ませ、筋肉疲労を取り除いた後に鮭にストレスを与えずに短時間で放血及び神経抜き処理を行ないます。短時間で処理することにより、肉質の緊張や萎縮を抑え、その身は鮮やかなサーモンピンクとなり、魚独特の臭みもなく、白子に至るまで血液がもたらす赤点が取り除かれます。』
 
生産量が少ないのでホテルやレストランの業務用需要に対応するのが精いっぱいで、一般市場には出回らないらしい。
 
こういうのはシンプルなほうが味がそのまま出るので、晩ごはんに塩焼きです。脂はのっていませんが、とても自然な癖のない味で、いくらでも食べられそうです。けっこうでした。
 
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2017年9月21日 (木)

マグロの赤身とトロ

札幌市内のデパートの魚売り場では、ときどきは、大間や戸井など津軽海峡をはさんだ漁港で獲れたクロマグロを解体販売しています。値の張る上物は築地に流れていきますが、頃合いの手ごろなサイズが穏当な値段で地元の消費者に届けられるということです。同じ津軽海峡のクロマグロですが、漁港のブランド格差が値段にきちんと反映されています。
 
こういう解体販売で面白いのは、大トロは別にして、赤身も赤身とトロの中間も、それから中トロも、それぞれの切り身にほぼ同じ値段の値札がついていることです。さて、どれにしましょう?
 
厚生労働省の健康維持基準では、DHAおよびEPAの目標摂取量は1日1g(1,000mg)以上が望ましい、となっています。下の表は「日本食品標準成分表」から、ぼくたちにおなじみの「青魚」のDHAとEPAを抜き出したものです。
 
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クロマグロ一人前の量を80gとして、クロマグロの赤身でその量を摂取しようとすると、サプリメントの広告で頻繁に使われているメッセージになります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(赤身)で例えると約9人前以上」。
 
「クロマグロの赤身」でなく、「脂身、すなわちトロ」(ここでは中トロか大トロかの区別はとくには気にしない)なら0.3人分、生で食べられるサバは手に入りにくいので「まさば」を焼いたものなら0.5人分、「あじ」の開きを焼いたものなら0.6人分、「ぶり」は刺身か照り焼きかで違ってきますがどちらにせよ「1日1g」のためには0.4人分から0.5人分で十分です。つまり、マグロのトロならひとり三切れもあれば十分です。三人家族なら柵をひとつ買って三人で分けたらこと足ります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(脂身)で例えるとたった三切れ」。
 
クロマグロの解体即売会などで素性のはっきりとしたトロを安く売っていたらお買い得です。

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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2017年7月27日 (木)

シャコタン・ブルーと獲りたてのウニ

積丹(シャコタン)の海の青さと、お昼ごはんにはすぐそばの海の獲りたてムラサキウニを楽しむ日帰りバスツアーがあったので、配偶者と参加しました。余分なもののないとてもシンプルな構成です。シンプルなので、つまり贅沢です。
 
バスツアーは、団体行動の制約はありますが、目的地域への往復4時間あまりの意味のない移動のための運転をしなくてすむので助かります。こういうツアーの他の欠点はおしゃべりな添乗員です。しかし、今回の添乗員は、必要事項以外は口を開かないタイプの人だったので助かりました。
 
天気はほぼ快晴。よく晴れていないと海の青や碧や緑の深みが味わえません。
 
なかに中国人のご夫婦が一組いらっしゃいました。香港からだそうです。数年前に積丹を観光した時は雨でひどい目に合ったらしい。確かに積丹半島は、とくに海の青の綺麗な海岸へ向かう岸壁沿いの狭い道は風雨の日は危なくて歩けません。船に乗ろうにも船が出ない。そもそもそういう日はシャコタン・ブルーが存在しない。海は重いグレーです。で、二度目の積丹観光だそうです。二度目はすばらしい天気なのでまた来てよかったとのこと。
 
昼食は、そばの海で獲りたてのムラサキウニのウニ丼。配偶者がウニを好きになったのは、保存用のミョウバンを使っていない生のウニを北海道で食べてからです。ミョウバンを添加されたウニをおいしいと思ったことは一度もなかったそうです。しかし、ホンモノのウニ(殻から取り出したばかりのウニか、あるいは海水と同じ濃度の塩水につけてある「塩水ウニ」)を口にしたときに、ウニとはこんなにおいしい食べ物だったのかと思ったそうです。それからウニが好きになった。
 
ツアーパンフレットの紹介文をお借りすれば「下のご飯が全く見えないくらいに敷き詰められた」ムラサキウニを、まずそのままで、それからワサビをわずかにつけて味わいます。ご飯も半分くらいは食べます。残りの少しをワサビ醤油で。一緒に出されたワカメの佃煮にも味付けを確かめる感じで箸をつけます。
 
 
2017_c
 
2017 ウニ漁の磯船
 
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2017年7月 4日 (火)

味噌と醤油とヒスタミン

醤油や味噌といった大豆の発酵食品は体に良くないらしい、という趣旨の文章にインターネットで出合いました。この手のインターネット上の記事というのは眉唾も多いのですが、その記事が参考にしてしていたのが「最強の食事」という2015年9月に発売された翻訳本でした。配偶者に聞くと、読んだことはないけれども本の紹介記事でその存在は知っているという。で、その本を買って、醤油・味噌関連の部分だけでも丁寧に読んでみることにしました。
 
読んでみようと思った理由は味噌や梅干しやタクアンや糠漬けはすべて自家製であり、味噌だけでなく納豆や醤油も好きなぼくとしては、その根拠が気になったからです。(なお、原著は「The Bulletproof Diet」というタイトルで2014年12月に米国で出版されています)。
 
斜め読みなので見落としがあるかもしれませんが「最強の食事」(日本語版)における発酵大豆(の害悪)に関する記述は、以下の2カ所です。『・・・』が引用部分。
 
ところで、この本は、やたらに参照データというかデータ参照の多い書物で、日本語版では、参考資料一覧URLから関連資料を見ることになっています。
 
(1)第1章(日本語版45~46ページ)
 
『ヒスタミンその他の生体アミンは、野菜や種子などの植物性か、ブタや魚といった動物性かにかかわらず、タンパク質を細菌が分解するときに形成される。食物由来のヒスタミンの最大の供給源は、発酵大豆である。僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こしたが、食事から生体アミンを排除したところ症状はなくなり、集中力が高まった。』 (下線は「高いお米、安いご飯」による)
 
やたらにデータ参照、資料参照が多い書物なのですが、上記下線部分に関してはそういうものはありませんでした。
 
(2)第8章(日本語版226ページ)
 
『アジア料理によくある味噌、納豆、醤油などの発酵大豆は、発酵過程で反栄養素が低減されるので、通常の大豆とはまったく違う。それでもまだ高濃度のヒスタミンなどの生体アミンや真菌代謝産物、グルタミン酸ナトリウム(*18)を含む場合がある。』
 
こちらに関しては、【註】(*18) があり、関連の論文を2つ参照できるのですが(2009年の醤油関連がひとつ、2012年の味噌関連がひとつ)無料で参照できるのはAbstractだけで、それ以上は論文購読料が必要だし、醤油の著者と味噌の著者が違う。味噌・醤油・納豆をいっしょにまとめたタイプの、できたら日本人によって数年以内に書かれた調査資料がないかと探していたら、以下が見つかりました。
 
農水省 消費・安全局の調査報告書(2012年)で、タイトルは「大豆発酵食品中のヒスタミン及びチラミン濃度の調査及び経口暴露の推定」です。報告書の目的(そのまま引用)は、以下の通り。
 
【目的】 ヒスタミン(Him)やチラミン(Tym)は、動植物体内のヒスチジンやチロシンが、脱炭酸酵素により分解されて生成するアミンである。 HimやTymは、食品の腐敗以外にも、食品の製造工程において脱炭酸酵素を産生する細菌等により生成するため、チーズ、ワイン等の発酵食品に含まれている場合かおる。ヒトが食品を経由してHim又はTymを過剰に摂取した場合、急性的にアレルギー様症状が起きる可能性かおる。そこで、日本人が摂取する量・機会が多い大豆発酵食品(しょうゆ、みそ及び納豆)を対象に、Him及びTym濃度を調査し、経口暴露量を推定した。
 
その報告書からこの記事に必要な部分を引用し編集すると以下のようになります。なお、Himとはヒスタミン、Tymとはチラミンのことです。
 
2012
 
当該報告書の【考察】は以下の通り。一部を除き、そのまま引用。
 
『【考察】 大豆の発酵工程でもHim、Tymが生成することが確認された。ただし、ワーストケースにおける各食品からの推定暴露量は、健康被害が報告されている最小量より低かった。これら大豆発酵食品のみの摂取によって、Him、Tymを原因とする健康被害が発生する可能性は通常低いと考えられる。』
 
味噌や納豆は、それらにとても敏感なひとは別ですが、気にするレベルではなさそうです。醤油も摂取量という意味では気にする必要はないと思います。しかしながら、その報告書を見ると、普通の醤油にはヒスタミンやチラミン含有量がけっこう高いものもあるようです。
 
だから、そういうものに敏感なかたや大豆アレルギーのあるかたには、普通の醤油でなく、小麦と塩が主原料の(つまり、大豆を使っていない)「白醤油」という手もあります。白醤油はレンコンなどを煮たときの色が上品に仕上がります。(白醤油の欠点は甘いことですが、甘味料入りの甘いタイプの大豆醤油が好きな地域もあるので、何とも言えない。)
 
「最強の食事」の著者は『僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こした』と書いてあり、醤油をいっぱいつけて寿司をたらふく食べたのか、醤油を適量つけて寿司をたらふく食べたので、結果として醤油摂取量が急激に増加したのかわかりません。シリコンバレーには旨い寿司屋も多いので(カリフォルニア産のおいしいジャポニカ米と地元と近隣で獲れる新鮮な魚介類とカリフォルニア産のソイソース<醤油>がそこにある)、大豆に弱いかもしれないインテリな巨漢が寿司に醤油をいっぱいつけてたらふく食べるというのは不思議な光景ではありません。
 

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2017年6月23日 (金)

キス(鱚)

「キス」は、てんぷら屋の定番ですが、見かけも味もすべてが繊細な魚です。
 
透き通ったような「キス」を開いたのが目につきました。あるデパートの魚売り場です。長崎からやってきたようです。札幌でも旬の時期にはキスは手に入ります。美しかったので、迷わず購入。足がはやい種類なので、その夜に南蛮漬けでいただきました。
 
見た目が悪く外側の色は食欲をそそらないが身の色と味は全くその逆の魚というのがいます。北海道だと、たとえば「青ソイ」です。脂がのったのを刺身で食べると甘味があり実においしい。北の魚はそういう意味では損をしている。インドネシアやシンガポールの東南アジアの魚も大きくて、日本人には、見た目が悪い。しかし、食べるとおいしい。
 
とても美人でおいしいのですが、北の魚に慣れた札幌の消費者にはピンクと黄色で派手過ぎるのか、あまり人気がないのが「イトヨリ」です。対面販売の魚屋のオニーサンから「この魚ってどういう風に食べたらおいしいのでしょうね」と尋ねられたこともあります。刺身がいちばんおいしい。しかし、札幌まで流通してきたのは火を通すしかありません。
 
「キス」は、そういう意味ではわかりやすい魚です。ただし、勝手なことを言えば、子供に食べさせるのはもったいない。

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2017年5月24日 (水)

魚の切り身のマーケティング

なかなかに気の利いたポップメッセージに出会いました。場所はさるデパ地下の魚売り場、丸ものの対面販売のコーナーではなく、パックにした切り身を並べてあるエリアです。
 
商品名(魚の種類)、産地(水揚げ地)、値段、消費期限など、食品表示関連の法律で決められている項目だけをラベルに記載というのが、ぼくが記憶している限り、このお店のやり方でした。丸ものの対面販売のコーナーでは、たとえば厚紙にその魚の宣伝文句を書けますが、切り身パックに関しては、目玉商品を除き、普通はそんな場所がない。
 
どこかの地域のお店でそれをやり、お客の評判がよかったので取り入れたのか、それともそのお店が始めたのかわかりませんが、商品ラベルにポップ(宣伝文句)を入れたところがなかなかにいい。
 
「時さけ」というのは、もともと「時不知(ときしらず)さけ」と呼ばれていた(今でもそう呼ばれていますが)鮭で、なぜ「時不知」かというと、鮭は秋に大量に収穫されそういう鮭は「秋さけ」と総称されています。秋ではなく春に水揚げされる鮭なので「時しらず」と呼ばれるようになったそうです。
 
味は、断然「時不知」です。だから、この時期の鮭は、本当は、時を知らないのではなく、(ヒトにとっておいしい)時を知っている鮭ということになります。「時さけ」と呼ぶのは理にかなっています。鮭は秋、ということにとらわれている人たちには、「生時さけ(北海道産)〈今が旬!!〉」というのはポップだけではなく啓蒙メッセージの役割も兼ねています。
 
それから、黒カレイの簡単でおいしい食べ方をよく知らない、たとえば、奥さんになったばかりの女性や独身男女には「くろがれい(紋別産)〈お煮付がおすすめ〉」というのは、とてもシンプルで訴求力のあるアプリケーション(調理)ノートです。
 
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2017年5月12日 (金)

食用油脂のことなど

必ずしもそうとは言えないとは思うのですが、いちおう、長生きの方がそうでないのよりもいいことだということにしておきます。
 
食用油脂、とくに植物油や植物油を使ったマヨネーズのような加工食品は食品会社のマーケティングがとても盛んな領域なので、ときどきはそのマーケティングメッセージの内容を眉に唾をつけて見ることも必要です。食用油脂に関して参考になった本のひとつが「油の正しい選び方・摂り方―最新 油脂と健康の科学」です。8年ほど前に、食用油脂の雑駁な知識の整理のために読んでみました。今もときどきの参照目的のために本棚においてあります。
 
その本の著者がある雑誌(「通販生活」)のインタビューで食用油脂について語っていました。アップデート情報もあったので興味深く読ませてもらいましたが、その骨子は、記事のタイトル通りで「『バターやラードなどの動物油より、サラダ油などの植物油のほうが体にいい』は間違いです。」
 
その方のお勧めの食用油脂は、
 
□飽和脂肪酸であるところの「動物性脂肪」を多く含む「バター」と「ラード」
□多価不飽和脂肪酸であるところの「αリノレン酸(オメガ3系)」を多く含む「エゴマ油(シソ油)」「アマニ油」「魚油(DHA・EPA)」。
 
多価不飽和脂肪酸であるところの「リノール酸(オメガ6系)」を多く含む「ごま油」「大豆油」「コーン油」「紅花油(サフラワー油)や、トランス脂肪酸がいっぱい入っている「マーガリン」を推奨していないのは当然としても、一価不飽和脂肪酸であるところの「オレイン酸(オメガ9系)」を多く含む「オリーブ油」や「菜種油」「キャノーラ油」「(高オレイン酸型の)ヒマワリ油」などもおすすめ対象ではありません。
 
コレステロールに関する箇所では「体に悪いどころか、コレステロ ールは人間に欠かせない成分です。・・・略・・・細血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究も一 部にはあります。しかし、研究対象の集団に偏りがあり、心臓病のリスクが強調され過ぎています。そもそも心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。」と語っています。
 
「血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究」(者)は、血圧の高さと循環器系疾患の関連を妙に強調する人たちと似ています。血圧を下げる薬を飲んで(飲み続けて)心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。しかしながら、最近ではまた、血圧は130未満というのが勢いを盛り返してきたみたいです。「『収縮期血圧が147以下』で『拡張期血圧が94以下』なら高血圧を気にしなくてもいい」という一般健常者にとって実際的なガイドラインはどこかに隠れてしまいました。
 
 

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2017年2月24日 (金)

油の力で食べる、あるいは、食べさせる

油(植物油)は、舌を刺激し食欲を増進させる力を持っています。その効果的な応用例のひとつが「マヨネーズ」です。
 
マヨネーズを自分で作ってみるとよくわかるのですが、75%から80%は油(植物油)です。大量の植物油に卵(卵黄)と酢と塩を加えてよくかき混ぜると、マヨネーズができあがります。香辛料を使うかどうかはお好み次第です。だから、適当な料理や加工食品にマヨネーズをかけると、何でも一応は喉を通るようです。マヨネーズ味を売りにしたおにぎりなども人気です。
 
イギリスで定番のフィシュアンドチップスは、フライドフィッシュ(材料はタラのような北の白身魚)とフライドポテト(材料はジャガイモ)が一つのお皿に盛られたもの、つまり簡単な揚げ物で、これも油の力で食欲を増進させるタイプの食べものです。
 
そういう意味では、アジのフライは日本版のフィッシュアンドチップスかもしれません。ただしこちらは、揚げたジャガイモの代わりに生の刻みキャベツやちぎったレタスなので、油そして油というのではありません。アジには「たたき」という方法もありますが、アジは足が速いし、生ではそれほど魅力的な魚ではないので、開いて作るフライが定番になったのでしょう。
 
と考えてくると、フライドポテトにマヨネーズをつけて食べるとどうなるか。食欲が加速度的に刺激されることになります。ビールのコマーシャルに出てきそうな光景です。健康的な食べものとは思えませんが、それはまた別の話です。

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