野菜と果物

2019年11月26日 (火)

柚子のポン酢

中部地方の知り合いから、無農薬のたくさんの柚子(ゆず)と熟成させた尾張味醂をいただきました。柚子は小ぶりですが果汁に満ち溢れています。すぐに使わない手はありません。
 
まず、適当な数の柚子の皮をおろし器で薄く摺り下ろしたのを、米粉・バター・卵・甜菜糖にいっしょに混ぜ込んで柚子風味のパウンドケーキを焼きました。「適当な数の」と書きましたが、それなりの量の柚子の皮を丁寧に摺り下ろすのは根気作業です。配偶者が担当します。
 
次に、パウンドケーキを焼いている間に並行してポン酢作りです。1リットル弱のポン酢を作ります。工程は簡単ですが、やはり根気作業が混じります。
 
柚子の搾り汁を500ccくらい作ります。それに醤油と、150ccくらいの味醂からアルコールを飛ばして半分くらいの量にしたのを合わせ、そこに鰹節と昆布を加えて950ccくらいのポン酢にします。
 
小ぶりな柚子だったので、スダチなどを絞るのに適したサイズの搾り機で次々と絞っていきます。これも根気作業で、これはぼくの担当です。夕方に開始した作業だったので、250ccくらい搾れたところで、冷やの日本酒を軽く引っ掛けて元気づけです。
 
こうやってポン酢を用意しておくといろいろ重宝です。作業中の写真を何枚か並べてみます。

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2019年11月22日 (金)

四年物や五年物の自家製梅干し

我が家の梅干しはとても伝統的な作りで、つまり長期間にわたって常温保存できるように塩分濃度は17~18%です。最近デフォ状態の減塩梅干しとは一線を画しています。梅は当初は和歌山や奈良の南高梅を使っていたのを龍神梅に切り替え、また南高梅に戻りました。
 
長期間保存というのはどういうことかというと、たとえば下の写真。2015年8月初めに仕込んだ(天日干しを完了して常滑焼の甕に保存した)龍神梅なので、四年三カ月物の梅干しです。現在、毎日朝ご飯に漬物のひとつとして食べています。一個だと多すぎるのでひとり一個の半分です。漬物は今なら「べったら漬け、白菜の浅漬け、ニンジンの糠漬け、梅干し、昆布の佃煮」を少しずつ組み合わせます。
 
20150802a  
 
次の写真は、2018年9月上旬に食べる前に撮影したもの。この梅干しの仕込みが2013年の夏なので、その時に五年物の南高梅です。17~18%で常温保存してあれば五年くらいはどうということもありません。
 
5-a-20132018
 
塩分濃度が17~18%といっても、質の良い自然海塩を使ったのを長期間寝かせてあると、塩辛さに丸みやまろやかさが加わります。時間の関数です。自家製梅干しを作り続けることの欠点は、市販の梅干しがまずくて食べられなくなることです。天日干しと昔ながらの塩分濃度を謳う梅干しでも、たいていは干しが足りなくておいしいと思えるのは少ないようです。


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2019年11月 8日 (金)

「おもちゃかぼちゃ ご自由にお持ちください。食べれませんのでご注意を!!」

11月になると午後4時半だと既に日没なので、都合の良いもっと遅い夕方(たとえば6時半)に時速6㎞の速足歩きという運動(らしきもの)をしようと思ってもそのあたりは真っ暗なので気分が萎えます。で、その代わりに、日の出は6時過ぎなので5時半ごろに起き出してその時刻に35分から40分ほどいつものコースを冷たい空気の中を歩いてみました。

途中、ある花屋さんの前を通ったときに、橙色のカボチャがワゴンにいっぱい並んでいるのが目に入りました。近づいてみると「おもちゃかぼちゃ ご自由にお持ちください。食べれませんのでご注意を!!」(原文のママ)という手書き看板と、橙色のカボチャが2つの荷台にどさっと置かれていました。なぜかこの朝はスマホを持っていたので立ち止って撮影。早起きは三文の得、といいますが、こういう光景に出会ったことが三文の得みたいなものです。

Photo_20191106155701
 
花屋さんなので、ハロウィーンかなにかの飾りつけに使ったあとの余りものなのでしょう。「おもちゃかぼちゃ」とは、例の目と口が彫られた橙色のパンプキンもその一部ですが、観賞用や飾りつけ用のぺポカボチャのことです。食べられません(飢え死にしそうなら食べてもいいかもしれない)。
 
ぼくたちが、普段、煮たり蒸したり焼いたり天婦羅にしたりスープにしたりして味わうカボチャはスクオッシュ(細かくはウィンタースクオッシュ)というタイプで、写真の橙色とは種類が違います。
 
日本のカボチャは米国では「Kabocha Squash」と呼ばれていていて、たとえば料理好きが集まる小売店の野菜売り場ではカボチャ・スクオッシュ以外にいろいろな種類のスクオッシュが並んでいます。
 
日本の都道府県でカボチャ(スクオッシュ)の出荷量がいちばん多いのは北海道で、その割合は全国の出荷量の約60%。です。8月から12月まで賞味できます。しばしば食べるにもかかわらず、ずーと解決策が見つからないのが、カボチャが簡単に縦に2分割できるような「大げさでない道具」。どこかにないものでしょうか。

ところで、
ペポカボチャのひとつにソーメンカボチャというのがあります。金糸瓜(きんしうり)ともいいますが、ウリ科カボチャ属なので、ウリとカボチャと両方の名前で呼ばれることになったのでしょう。これは、花屋さんのカボチャとは違って、食べられます。ズッキーニもペポカボチャの仲間で、これも当然食べられます。
 
ソーメンカボチャは楕円形の黄色いカボチャです。皮は厚く固く、皮を剥くのにとても苦労します。種を取って身(果肉)を茹でると、あらあら不思議、身が繊維状にほぐれて金色の糸になります。この糸はシャキシャキしていて調理してもシャキシャキ感はなくなりません。洋風でも和風でも食べられますが、三杯酢や麺つゆで食べるとその雰囲気からして「ソーメンのようなカボチャ」になり、金色の糸に着目して洋風に調理すると(たとえば洋風スープ)まさに「金糸瓜スープ」なので、それぞれの呼称を使い分けたくなります。


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2019年11月 6日 (水)

大根を天日干しするのは10月最後の週という主婦の知恵

タクアンを作るためにする大根の天日干しは札幌では10月最後の週にするのがよい、とは、10年ほど前に知り合いの漬物ベテラン主婦から教えてもらった地元の知恵です。彼女は60本から70本くらいの大根を軒下に干し漬け込んでいました。
 
漬け物好きな家族が多いとそれくらいの本数は必要ですが、ひと冬の家庭の漬物需要には70本くらいでは不足なので、彼女はタクアン以外にニシン漬けなども作ります。ニシン漬けは身欠きニシンをキャベツ、ダイコン、ニンジンなどと合わせて塩と米麹(およびザラメと鷹の爪)で漬け込んだものです。雪の下ダイコンや雪の下キャベツという冬季の野菜の保存方法はあるにせよ、冬には新鮮な野菜がなくなってしまうかつての北海道では、漬け物というのは便利な野菜の供給源だったのでしょう。
 
タクアンのために大根を気持ちよく天日干しするには、適度な涼しさと日中の暖かい陽光、乾いた空気という条件が揃って、一週間から十日ほど続く必要があります。今年は突然の雨の襲来もなく、時期外れの台風もなく、十日間安心して干せました。夜中の急な雨から大根を屋内に退避させる、夜間に屋外に置いたまま大きなポリ袋で覆って降り込む雨を防御するといった作業は不要でした。
 
天気予報によると、11月8日くらいに札幌でも今年最初の雪がちらつくかもしれないそうです。そうなると天日干しにはやや寒すぎる。だから札幌では10月最後の週がよい、ということになります。ときどき、小雪のちらつく中で大根を干してある家庭を眼にすることがあり、頑張っているとは思うものの、それでは頃合いには乾かない。


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2019年11月 5日 (火)

天日干しした大根を漬け込む、タクアンになるのは2カ月後

10日ほど天日干しした大根を漬けこみました。漬け込んでから2か月と少し経ったころが、つまり正月飾りをはずすころがタクアンとして食べごろになるのでそのころから食べ始めて、朝食だけだと5月の連休あたりまで楽しめます。
 
9日から10日間天日干しした34本の大根をなんとなく大きさ順に並べてみました。全部が「へ」の字以上に撓み、小ぶりでよく干せたのは両端をつまんで折り曲げると気持ちよく「つ」の字になります。
 
20191103-10
 
大根34本の総乾燥重量は<11.5kg>だったので、塩と米糠(こめぬか)と米麹(こめこうじ)と鷹の爪の投入量は、以前の記事でも触れましたが、以下のようになります。
 
・塩は大根の総乾燥重量の4%で460g
・米糠は大根の総乾燥重量の20%で2.3kg
・米麹は200g(市販の麹の一袋が普通は200gなのでそれをその量だけ使う)
・鷹の爪は掌(てのひら)いっぱいくらい(ヘタを切り取りタネも取り除く)
 
塩と米麹(こめこうじ)と米糠(こめぬか)と赤い鷹の爪をいっしょに混ぜ合わせ薄茶の粉を作っておきます。この準備がないと漬け込み工程(この薄茶の粉で干した大根をサンドイッチ状態にする)はさきに進めません。最後に使う日本酒(純米酒)も同時に用意しておきます。日本酒は発酵の呼び水として使います。
 
大根を、薄茶色の粉でサンドイッチにするように一層ずつ、一斗樽(19リットルのホーロー容器)にすき間なく詰めていくと、複数の大根の層ができあがります。今年は写真のように34本のサイズが大小長短いろいろだったのでそのほうが、同じようなサイズのものだけよりも、複数の大根を組み合わせてひとつの層を作るのが簡単です。
 
一番上にかぶせる薄茶の粉は多めにします。
 
詰め終わったら、大根の上に大きなポリ袋かなんかを敷き、足のサイズが容器に対して余裕のある配偶者がその上に立ち、足で踏み固めて、全体を落ち着かせます。配偶者は年に一回のこの作業がけっこう気に入っています。
 
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大根は干して「へ」や「つ」の形になったといっても水分は残っているので、多めの重石をかけておけば、全体が湿ってきて徐々に発酵が始まりますが、その呼び水として日本酒を使います。上から一合程度を軽くムラなく注いで表面をしっとりとさます。数日間室内に置き、発酵が順調に推移していることが確認できたら戸外に出し、食べ終わるまではずっと戸外のままです。
 
最初の2~3本を取り出すのは来年のお正月明け。全部を食べ終わるのはおそらくゴールデンウィーク明けあたりです。


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2019年10月28日 (月)

天日干し3日経過の大根と4日経過の大根が合わせて34本

タクアンにするために天日干し中の大根、昨日(日曜)の午後の様子です。
 
大根は今年は全部で34本。34本の生産農家は3軒で、購入の順に書くと、8本の有機栽培と10本の慣行栽培と16本の慣行栽培の大根です。大根を見るとどこの農家のものかはすぐにわかる。同じ青首大根とはいえ、品種が違うので、それぞれに特徴があります。
 
去年のように全部を同じ農家の有機栽培で揃えたかったのですがそうもいかない。しかし、タクアン向きの小ぶりなものやほっそりとしたものが結構手に入りました。
 
10日間ほど干すと、「く」の字や「つ」の字に折り曲げられるほどには大根は乾燥するはずです。
 
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タクアンづくりに必要なものは、漬け込み容器の一斗樽(いっとだる、我が家では実際には19リットル入りの業務用ホーロー容器を利用)、天日干しした大根、塩、米糠(こめぬか)、米麹(こめこうじ)、そして、鷹の爪です。それぞれの使用量は次の通り。
 
・大根: (かりに)乾燥重量を34本で8.0kg(とすると)
・塩:   乾燥重量の4%で320g
・米糠:  乾燥重量の20%で1.6kg
・米麹:  200g(市販の麹の一袋が普通は200g)
・鷹の爪: 掌(てのひら)いっぱいくらい(カビると嫌なのでヘタは切り取り、タネも取り除いておく)
 
塩と米麹(こめこうじ)と米糠(こめぬか)と赤い鷹の爪をいっしょに混ぜ合わせ薄茶の粉を作っておきます。同時に純米の日本酒も用意しておきます。


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2019年10月24日 (木)

ご近所大根でタクアンの準備

タクアンを作るためにまず大根を干すとして、札幌では大根を干し始めるのは、適度な寒さと低い湿度と日中の暖かい陽光が組み合わさるところの10月最後の週かその少し前です。寒すぎてもよくありません。今年は10月下旬にも台風の影響があるかもしれないので予定通りに作業が進行するかどうかやや不透明ですが準備にとりかかりました。
 
ある有機栽培農家の大根を先日10本購入しました。その農家が出荷する大根とは今年最初の出会いです。去年のタクアンはその農家の大根でとても美味しかったので今年も迷わずそこのものを選びます。初回購入の10本のうちいちばん太い3本は「べったら漬け」にまわし、残りの7本をタクアン用ダイコン(の一部)とします。タクアン用には大根が20数本必要です。
 
その農家の大根はもともとがタクアン用には最適とは言えない種類の青首大根なので、つまり望ましいサイズよりも太くて丸々としているので(だから料理すると美味しい)、干すにも時間がかかります。すらっとした白首大根は近所では手に入りません。
 
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タクアン用の最初の10本。ただし、太い3本は「べったら漬け」に使います。
 
近所の小売店チャネルでは20数本を一度に確保するのが難しいので、去年からそうしたように、全部の本数がまとまってから一斉に干すというのはやめて、7~8本ずつ購入し、順番にその本数だけ干していきます。そういうふうにやっても全体を何とかほぼ均一に干せるものです。
 
翌日に、別の2軒のご近所農家で栽培された小ぶりな大根が並んでいたので、カゴに入っていたのを全部(といっても9本でしたが)購入。左の2本と右の7本では見た目にも栽培農家が違う感じがします。16本になりました。2本か3本の単位で麻紐で結び、さっそく天日干しです。
 
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米麹と塩の手配は済んでおり、糠(ぬか)は漬け込みに間に合うように熊本のものを取り寄せます。タクアンのような常温保存ができる食品は、梅干しや味噌と同じで非常時にも活躍します。


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2019年10月 3日 (木)

「味キャベツ」

簡単な食べものです。なぜそんな名前になったのか不明ですが、メニューには「味キャベツ」とあります。居酒屋風の店で出会いました。パリパリのキャベツを葉がしっかり重なる感じにザクッと切ったのを、細切りの塩昆布と組み合わせたものです。
 
季節外れに暑いので普段は飲まないビールを頼んだ時に、待ち時間のほとんどない肴としてそれを注文してみました。その店のは胡麻油が少しかかっていましたが、こういう場合の植物油は食欲を刺激します。油の刺激を無鉄砲に進めるとテレビコマーシャルの「なんでもマヨネーズ」になってしまいますが、それはさておき。
 
キャベツがパリパリと美味しいし、キャベツと細切り塩昆布とビールの組み合わせがなかなかに結構です。結構ではあっても相手がビールだとやや不満なので、相手を日本酒に替えて自宅で試してみたくなりました。
 
そう云えば食べている最中に、何年か前に一度その「味キャベツ」を札幌で家庭料理としてごちそうになったことがあって、それをすっかり忘れていたのを急に思い出しました。他にごちそうが並んでいたので印象が薄くなり、普段の記憶から消えていたのかもしれません。
 
北海道はジャガイモ・タマネギ・ニンジンほどではないにしても、キャベツの地元供給量にまったく不足はないので、露地栽培ものは4月から11月まで楽しめます。

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2019年10月 2日 (水)

美味しい生の野菜は酒の肴でも美味しい

美味しい野菜はやっぱり美味しいということなのですが、食べた本人がいささか驚きました。季節の心地よさも味わいを後押ししたかもしれません。
 
日本酒は燗が好みですがその夜は冷やで飲もうとしてその肴が欲しいと思い、冷蔵庫の野菜室の中で野菜用保存袋に入れて置いた新鮮なキュウリをひとつと、それから、適当な長さに切って揃えてあった何本かのこれも新鮮なセロリの茎から一本、これも保存袋から取り出しました。水で洗って水分を切りそのまま酒の肴にします。
 
そのままと言っても、キュウリは生の一本を四つくらいに手でバキンと割って不揃いな割口に自家製味噌をつけて食べる予定です。
 
セロリも、二十センチ少々の長さの茎を手で食べやすい長さにパキッと折って、折ったのに軽く塩でもつけて食べるつもりです。繊維の歯ごたえを楽しみます。
 
セロリからです。ふと気が変わり、塩なしでそのまま齧ってみました。これが美味い。そのままで日本酒のいい「アテ」になりました。やや冷たい茎の歯ごたえと苦味がその日本酒と折り合い、けっこうな按配でした。
 
次はキュウリです。両端をわずかに切り落とした一本のまん中あたりを手で二つに折り割き、それぞれをまた二つに割ります。皿に用意した手前味噌を折り割き口に少しつけて、冷やと交互に味わいます。
 
キュウリと味噌の組み合わせを肴とするのは、居酒屋のモロキュウほどではないにしてもお酒を嗜む家庭ではそれなりに定番です。しかしふと思いついたセロリがこれほど冷やの日本酒に合うとは思いませんでした。
 
キュウリもセロリも露地栽培の新鮮なご近所野菜です。美味しい生の野菜は酒の肴にしてもそのまま美味しいということのようです。

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2019年9月10日 (火)

日本梨(ナシ)の味わい

北海道では「幸水」や「豊水」のような日本梨はほとんど栽培されていません。「幸水」や「豊水」は寒さに弱いからです。その代わりというのも変ですが、西洋梨が、余市や仁木、増毛といったサクランボやリンゴ、ミニトマトの栽培が盛んな地域で生産されています。また余市では「身不知(みしらず)」という名の中国梨も栽培されているそうです。
 
日本梨は熟したものを収穫します。収穫直後の日本梨の果実は美味しい。一方、西洋梨はいくぶん未熟な状態の果実を収穫し、それを追熟して食べ頃を待ちます。つまり、収穫直後の西洋ナシはまったく美味しくない。日本梨は、したがって、サクランボ狩りやブドウ狩りと同様に梨狩りという、もぎたてをその場で味わうという主旨の季節のイベント(あるいは販売キャンペーン)が成立しますが、西洋梨の場合はそういうものが成立しません(それらしいものは作れるとしても)。
 
札幌で日本梨を楽しもうと思ったら、北海道以外の地域の梨を買い求めるしかありません。そこで、熊本産の十分に大きい「豊水」と、神奈川産のとても大きな「豊水」を食べ比べてみました。同じ「豊水」でしたが、味わいはずいぶんと違っていました。
 
たまたま食べたものが「熊本・豊水」と「神奈川・豊水」の標準的な味わいであるかどうかはわかりませんが、ここではそういうことにして話を進めると、「神奈川産」は配偶者やぼくには甘過ぎました。食べているとき、食べ終わった時の印象は「ただ甘い梨」。子供や酸っぱいのが嫌いな子供舌の大人が喜ぶに違いない単調に甘い味で、アップルパイに例えると砂糖を使ったアップルパイです。
 
「熊本産」は甘さとほのかな酸っぱさが混交した日本の梨らしいけっこうな風味です。アップルパイに例えると、砂糖は一切使わない、「紅玉」そのものの甘さだけを引き出したアップルパイです。
 
ところで冒頭の段落に書いた、余市の「身不知(みしらず)」という中国梨ですが、「千両梨」とも呼ばれていて(「千成瓢箪」のぶら下がったイメージからの連想でしょうか)、「JAよいち」のウェブサイト情報によれば
 
「この千両梨という梨は明治時代にここ、余市町で偶然実生を発見されたひょうたん型の梨です。」
 
「あまりにも豊産性で果実が大きく手間があまりかからないことから一時期は道内でもたくさん作られるようになったのですが、あまりにもたくさん量が増えすぎて価格が下落してしまい、また和梨の人気が増えた影響もあって千両梨をつくる人は年々減少していきました。今ではほとんどがここ、余市町でしか生産されておらず・・・」
 
「洋梨とは違い青みがあるうちに食べるのが美味しく、シャキシャキとした食感にサッパリとした甘みが特徴で、またコンポートやジャムなんかにもピッタリな梨です」
 
だそうです。砂糖で味付けをすると楽しい種類のようです。1個が400gくらいの大きさです。試しにいかがですか?


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