塩・味噌・醤油・酢

2017年10月 2日 (月)

止まらない、北海道のおかき

こういう類は口にしないのだけれど、たまに食べたくなります。食べ始めると止まらない。その衝動は年に1回か2回くらい。そういう衝動がまったくない年もあります。
 
商品名を出してしまうと、北海道の「北菓楼」<【註】「きたかろう」と読みます>という菓子会社が製造販売している「北海道開拓おかき」。味は、「甘エビ」「帆立」「秋鮭」「いか」「昆布」「柳だこ」「たらこ」「北海シマエビ」で、原材料は、北海道で獲れたそれぞれの魚介類や昆布、北海道産のもち米、および、北海道産のミネラルの多い自然海塩。
 
ぼくが好きなのは一種類、「北海道開拓おかき・えりも昆布」だけです。あとの味には興味がない。袋詰めで、170g。税込みで440円。9月29日に買ったものの賞味期限は10月29日、ひと月です。(写真)
 
原材料名を正確に記載すると「えりも昆布」バージョンの場合、「もち米、植物油脂、食用米油、昆布、醤油、食塩」。食べ始めると止まらないのは、もち米と塩・醤油と昆布味のバランスに加えて、揚げ物だから。植物油と米油が食べている人の手を動かせ続けます。
 
飛行場の売店で詰め合わせをお土産に買う場合もあります。けっこう喜ばれます。
 
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2017年8月17日 (木)

ルッコラとバジルとアボカドのサラダ

人間にとっては涼しくて心地いい札幌の8月はまったく文句を言う筋合いではないのですが、夏野菜や秋に収穫を迎える農産物にとってはやや涼しすぎるかもしれません。晴れの日が多く雨は降っても適度なので、気温は彼らにとって全般的にギリギリ手前といったところでしょうか。
 
このところの涼しさのせいか、アブラナ科の葉野菜・ハーブであるところのルッコラの葉が、6月下旬から7月末にかけてほどは、大きくなりません。さらに、ルッコラが、日中の長さ、陽の長さに敏感に反応するタイプだとすると、夏至から二か月近く経過した8月の中旬は、彼らにとってはそろそろ店仕舞いの準備の時期かもしれません。もう一回種蒔きができるかと考えていたのですが、無理なようです。
 
一方、シソ科のバジルは元気です。脇芽管理をきちんとしているのでどんどんと増えてきます(関連記事は「シソ科は摘芯」、「バジルの摘芯、脇芽と新芽」)。バジルは、ルッコラとは涼しさや日照時間の長短に対する反応が明らかに違います。
 
自家栽培のルッコラと自家栽培のバジルが毎晩のサラダの主要素材です。これらに買ってきた中南米産のアボカドを加えて亜麻仁油でドレッシングし、軽く塩を振りかけるととても贅沢なサラダができあがります。
 
8月の下旬以降は、ルッコラの替わりにどんな葉物野菜を使うか思案中。なくてもいいのですが。

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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2017年7月25日 (火)

自家製味噌の楽しみ

現在我が家で熟成中の味噌は、サイズの違いはありますが、甕(かめ)の数にして11個。大部分が常滑焼の甕です。一番古い仕込みが2013年2月のもの、それから2014年2月のもの、そして2015年の1月から3月にかけて仕込んだもの、いちばん新しいのは2016年3月に仕込んだものです。
 
熟成中の在庫が十分にあるので、特に2015年1月から3月にかけて作ったものが、我が家の消費量との関係で潤沢にあるので、今年(2017年)は作りませんでした。
 
味噌は2年以上寝かせたのを食べます。よく熟成させたのを味噌汁や酢味噌などに使うわけです。現在、使っているのは2015年1月に仕込んだもの、つまり2年半寝かせたものです。2年以上寝かせると角が取れてきます。まろやかになる。辛さに旨味がでます。
 
大豆は北海道産と決めてありますが、コメ麹は、年によって入手先が違う場合がありあます。無農薬栽培や有機栽培のコメ農家が手掛けたコメ麹を買うようにしています。コメ農家が自分でコメ麹を作ることは稀なので、その農家がそのコメを知り合いの麹業者に委託してコメ麹にしてもらったものが理想的です。しかし、必ずしもそういう具合にはいきません。
 
2013年ものには当分手をつけないと決めてあり(いちばんの楽しみはあとに残しておく)、順番からすると2014年ものを料理に使うはずなのですが、2015年ものがたくさんあるのと、2015年ものは特別注文風のコメ麹を使っているので、その仕上がりが気になっていたからです。
 
2015年ものは、2015年1月~3月の仕込みから1年後に天地返しをして、熟成具合を確かめてみたところ、思ったよりも発酵が緩やかでした。大丈夫かなと心配していたのですが、それから順調に発酵が進んだらしく(その麹の性格かもしれません)、丸2年が経過したときに様子を確かめてみると、匂いと色艶のすばらしい味噌ができあがっていました。これならすぐに食べても大丈夫です。しかし、しばらく熟成を続けてから食べ始めました。
 
今の甕が空になったら、次は2014年ものか、続けて2015年ものか、思案中です。

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2017年7月24日 (月)

大豆を食べよう、大豆は食べるな

大豆はそのままでは毒なので、東アジアの人たちは、未成熟の種子を枝豆として食べたり、成熟した種子を煮物にしたり、あるいはもっと時間をかけて加工したり発酵させたりして食べものとして長い間つき合ってきました。加工食品、発酵食品とは、豆腐、湯葉、厚揚げ、豆乳ヨーグルト、味噌、醤油、納豆などのことです。インドネシア発祥のテンペという納豆みたいな食品もあります。
 
とくにITに詳しいわけでもない一般の人々にインターネットが普及し始めたのは1995年以降です。ブラウザーの進歩やスマートフォンなどの登場もあり、この20年余りで、インターネットは日常生活の必需品、というかとくに意識せずに接している生活機能の一部になりました。食べものの世界でも、20~30年で世界は相当に変わります。
 
SOYINFOCENTERという、大豆(とくに歴史的な視点から見た大豆というもの)に関してはほぼどんな情報でも提供している独立系のサイトがあります。その情報をお借りすると、大豆の歴史は以下のように要約できます。
 
「大豆は紀元前11世紀に中国の東北部で栽培され始め、それから3000年間、その大部分は、豆腐や醤油、豆豉(トウチ:塩漬け発酵乾燥黒大豆)や味噌や納豆、豆乳のような加工食品として利用されてきた。ただし、一部は、そういう処理はされずに枝豆や煮豆として食された。」
 
「大豆が油として利用されたのは、中国の記録では紀元980年が最初である。油は照明用に、油(の搾り)粕(かす)は中国南部でサトウキビ畑用の窒素肥料として使用された。」
 
「それ以外の大豆の「近代的な」使われ方が始まったのは1908年の英国で、大豆油は石鹸に、油粕は家畜の餌に利用された。そういう大豆利用の西洋風パラダイムが世界に拡大したのは1942年以降である。」
 
SOYINFOCENTERの記述をもとに、それ以外の情報も加えて、食用農産物としての大豆の歴史を経済史風に整理してみると、以下のようになります。
 
■紀元前11世紀~1907年:東アジアに生産と貿易が集中(生産拠点である中国東北部を中心に中国南部、そして朝鮮と日本)
 
■1908~1930年:欧州への中国東北部(古い用語では旧満州)産大豆の輸出が拡大
 
■1931~1941年:米国の大豆生産が急増する一方、中国東北部の輸出が激減
 
■1942~1955年:米国が世界最大の大豆生産国へと成長
 
■1956~1969年:東アジアの大豆生産が減少し、米国の輸出が増大
 
■1970年以降   :南米諸国と米国との競争が激化。米国で大豆など主要作物における遺伝子組み換え商業栽培を開始(1996年)。ブラジルで遺伝子組み換え大豆栽培認可(2003年)。遺伝子組み換え大豆の作付けが米国で80%に達する(2003年)。日本でも遺伝子組み換え大豆を使った食品の販売が始まる(2003年)。
 
主に発酵食品として3000年間ヒトの口に入ってきた大豆が、20世紀後半の50年間で、ヒト用の大豆油と家畜・家禽用の飼料のデフォになり、またこの20年で遺伝子組み換え作物のデフォにもなりました(米国における遺伝子組み換え大豆の作付比率は、現在は90%以上)。同時に大豆は、タンパク質が豊富な畑の牛肉であり(つまり健康食品であり)、大豆油も健康的なn-6系植物油としてひとびとの人気を集めてきました。
 
そしてその人気と並列して、この10年で安全・安心な食べものを求める人たち、あるいは健康に敏感な人たちの間で大豆離れ、大豆油離れの波も広がってきました。食べものの世界でも10年間で「常識」と「知見」はけっこう変化します。
 
現在は、大豆生産国の政策とバイオ企業のマーケティングと人々の安心な食や健康に対する関心と無関心が入り混じって、「大豆を食べよう」と「大豆は食べるな」と「大豆食品は選択的に食べよう」が併存しています。
 
 
◇ ◇ ◇
 
ちなみに、紀元前11世紀以前はどうだったのか。大豆が栽培され始めたのは紀元前30世紀という記録もあるらしい。紀元前11世紀は華北を統一した周王朝の時代です。紀元前30世紀は殷王朝が成立するはるか以前です。
 
農作に適していない痩せた土地がある。大豆はそういう痩せた土地でも、窒素吸収力が強いのでよく育つ。育つだけでなく、その土地を豊かにする。つまり、もともとは、痩せた土地を豊かにするための作物として大豆が栽培されたらしい。(なお、大豆が、痩せた土地で手をかけなくともよく育つという事実は日本の東北地方や北海道の記録でも確認できる。)
 
しかし、固有の毒性から大豆は、2000年間は、食用の対象ではありませんでした。大豆が食材になるのは、誰かが大豆を発酵させて食べることを考えついた紀元前11世紀からです。強いアクをもった根菜類のアク抜き方法を開発して食べ始めるということもそうですが、食べものに関しては、たとえば発酵といった調理方法のブレイクスルーが突然発生します。その結果、21世紀の我が家でも北海道産の大豆を使った自家製味噌を作り続けることができるわけです。

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2017年7月11日 (火)

食べたくてしかたがない、やっつけたくてしかたがない

防御本能から相手をやっつけるというのは、やっつける程度にもよりますが、不可思議な行為ではありません。しかし、これが、正義のために敵をやっつける、神様(ないしは、そういうもの)のために敵を抹殺するとなるとどうなるか。そういう行為もぼくたちはそれなりに納得してしまいます。昔も今も頻繁に目にする光景です。
 
どうしてそういうことが繰り返されるのか、そして、そういうことに違和感を抱かないのということを、それなりにきれいに説明してくれるのが、ポール・マクリーンのいう「脳の三層構造(ないし三位一体型の脳)」です(下がその絵。ただし、ここでは「魚類脳」という余分なものを追加してある)。
 
「人類は苦悩している。自然は人類に三つの脳を授けたが、それらは構造がひどく異なるにもかかわらず共に機能し、たがいに通じ合わなければならないという代物だ。この三つの脳のうち最古のものは基本的に爬虫類の脳であり、二番目が下等哺乳類から受け継いだ脳である。そして三番目は後期哺乳類から発達した脳で、それが人類を異様に『人類的』にしてきたのである。」つまり、「本能脳」と「情動脳」と「知性脳」という育ちと構造の違う三つの脳が辻褄合わせをしながらなんとか共生しているのが「ヒト」だということです。
 
Photo
先日、伝統的な大豆の発酵食品であるところの「味噌・醤油・納豆」の人体への悪影響について気になる記述があるらしいというので、それを確かめるために「最強の食事」(デイヴ・アスプリー著、栗原百代訳)を読んでみましたが(関連記事は「味噌と醤油とヒスタミン」)、その本の中で、上述の「三位一体型の脳」モデルが参照されていました。
 
著者の考え方の文脈におけるこの絵のポイントは、知性脳と情動脳と本能脳の三つにバランスよくエネルギーを補給しないと、知性脳は疲弊してしまい、情動脳と本能脳の暴走を知性脳は食い止められないということです。「低脂肪、低カロリー」の健康ダイエットは、知性脳をまっさきにエネルギー切れにするし、いわんや、そのあたりのオメガ-6系の植物油たっぷりのファストフードにおいておや、です。「食後のスイーツは別腹」という知性脳の判断も、要は、不適当な食べもので刺激された情動脳と本能脳の突進を、不適当な食べもので判断力の衰えた知性脳が食い止められなかった結果だ、ということです。
 
古い脳にはプラス面とマイナス面があります。内臓感覚や植物感覚にもとづいた宇宙リズムとの共振といった微細な感覚は、新しい脳にはない古い脳の持つプラス面です。マイナス面は、大きくは、自分の神と同じ神を信じない人たちを「献身的に」殺していく宗教戦争であり、イデオロギーによる大量粛清などです。小さくは、我々におなじみの、突然に湧き上がる不合理な激情です。たとえば、「ふとわれに返ったときには、大型容器のアイスクリームを半分も平らげてしまっている」(最強の食事)という事態です。
 
しかし、もっとややこしいのは、いい食べものを食べて知性脳と情動脳と本能脳の三つにバランスよくエネルギーを補給すれば、小学校のクラスで見られるイジメみたいなもの、たとえば「ボクは良い子で強い子なので核兵器を持ってもいいけれど、キミは悪い子で弱い子なので核兵器を持っちゃだめだよ。クラスのほかの子もそう言っているよ。約束を守らないとイジメちゃうよ。」がなくなるかというと、必ずしもそうではないらしいということです。

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2017年7月 5日 (水)

大豆と大豆を使った食品に関する複数の考え方

食べものを含む特定の対象物に対する常識、あるいは考え方、あるいは知見は時とともに変化します。常に進歩とは言えませんが、そういう方向に変化することを、ぼくたちは、いちおうは期待しています。そして、たいていは、別々の時期に生まれた異なった複数の考え方や知見が、おのおのの勢力範囲を徐々に変えながら、同時に存在しています。食品としての大豆に関してもその図式が当てはまるようです。
 
(グループ1)大豆は健康食品であり、伝統食である。
 
・大豆はタンパク質の豊富な健康食品である。「畑の牛肉」と呼ぶ人もいる。
 
・大豆が健康食品と考えているのは日本人だけでなく、たとえば多くの米国人もそう考えている。米国のスーパーマーケットではTOFUは人気食品のひとつ。赤ちゃん用の粉ミルクがありますが、大豆の粉ミルクというのも米国では需要が高い。
 
・大豆は、とくに加工食品や発酵食品は、ぼくたち日本人の食生活からは切り離せない。大豆がないと、豆腐も厚揚げも味噌も醤油も納豆も作れない。
 
 
(グループ2)発酵食品以外の形で大豆を食べると、健康を害する場合がある。大豆はほとんどが遺伝子組み換えなので、それも問題である。
 
・米国で生産されている大豆の90%以上が遺伝子組み換え。遺伝子組み換えということは、除草剤や殺虫剤に耐性があるような具合に(そんなものを噴霧されてもどうということもないように)遺伝子を組み換えられているということ。大豆を食べるということは、よほど注意していないとそういう不思議な農産物、あるいはそういう不思議な農産物をエサにして育てられた家畜を食べるということ。これは人類史上初めての経験なので、どういう風な影響が出るかは誰もよくわからない。
 
・大豆油はn-6系のリノール酸を多く含む植物油のひとつ。つまり、日本人が揚げ物や加工食品(ドレッシングやマヨネーズ)を通して過剰に摂取している油のひとつです。消費量は抑えた方が健康的。
 
・大豆は、納豆や味噌や醤油のような大豆を発酵させた食品は別だが、サポニンやフィチン酸といった自然毒素であるところの反栄養素を含んでいる。この反栄養素は、タンパク質の消化酵素の働きを阻害する。
 
・大豆に含まれるイソフラボンは女性に悪影響を与える。
 
・大豆粉ミルクは、大豆に含まれるエストロゲンが赤ちゃんの健康を危機にさらす。
 
・大豆油、豆乳、豆乳を使ったヨーグルトやチーズ、大豆で作った「もどき牛肉」、大豆タンパク、大豆粉ミルクなどにはMSG(グルタミン酸ソーダ、グルタミン酸ナトリウム)が含まれていることが多いので食べないほうがいい。
 
・食品表示法では「【アレルギー物質を含む食品の原材料表示について】(食品衛生法に基づく)」という項目で下記の原材料の表示を義務付けている。その理由は「近年、乳幼児から成人に至るまで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増えてきました。アナフィラキシーショックも年々増加しています。・・・食物アレルギーでは、極微量でも発症することから、加工食品1kgに対して数mg以上含まれる場合、表示されることとなります」。
 
 必ず表示しなくてはならない特定原材料は「卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに」、それから表示が勧められている20品目は「いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉」で、大豆は20品目のうちのひとつ。
 
 
(グループ3)大豆は、発酵させてあっても、悪影響を被る人がいる。
 
・グループ2では、健康にいい食べもの、安全・安心な食べものとされている「大豆の発酵食品」(つまり、味噌や醤油や納豆など)も、発酵過程で生成された生体アミン(ヒスタミンやチラミンなど)がそれを食べた人に炎症やアレルギーなどの悪影響を及ぼすことがあるので、それらに敏感なかたは大豆発酵食品も避けた方がいい(関連記事は「味噌と醤油とヒスタミン」)。
 
 
以上、現在、世界に同居している「大豆や大豆食品に関する複数の考えかた」をまとめてみました。このブログの身近な読者からそういうリクエストがあったからです。個人メモ的な記事です。
 
【註】国産大豆の国内大豆消費量に占める割合、つまり自給率は、5%~6%程度です。大豆は、日本では、煮豆惣菜として食べたり、豆腐や油揚げという形で食卓に並べたり、味噌・醤油・納豆といった発酵食品に加工して口に入れています。植物油の原料としても大豆は大量に使います。
 
内訳をみると、食品用(豆腐や味噌や納豆として食べる)の自給率は21%くらい。油糧用(植物油用)の自給率は0%。つまり、大豆は大部分が米国などから輸入されています。油糧用(植物油用)の大豆消費量は食品用の約3倍なので、総体的な自給率は5%程度になります(農水省データ)。

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2017年7月 4日 (火)

味噌と醤油とヒスタミン

醤油や味噌といった大豆の発酵食品は体に良くないらしい、という趣旨の文章にインターネットで出合いました。この手のインターネット上の記事というのは眉唾も多いのですが、その記事が参考にしてしていたのが「最強の食事」という2015年9月に発売された翻訳本でした。配偶者に聞くと、読んだことはないけれども本の紹介記事でその存在は知っているという。で、その本を買って、醤油・味噌関連の部分だけでも丁寧に読んでみることにしました。
 
読んでみようと思った理由は味噌や梅干しやタクアンや糠漬けはすべて自家製であり、味噌だけでなく納豆や醤油も好きなぼくとしては、その根拠が気になったからです。(なお、原著は「The Bulletproof Diet」というタイトルで2014年12月に米国で出版されています)。
 
斜め読みなので見落としがあるかもしれませんが「最強の食事」(日本語版)における発酵大豆(の害悪)に関する記述は、以下の2カ所です。『・・・』が引用部分。
 
ところで、この本は、やたらに参照データというかデータ参照の多い書物で、日本語版では、参考資料一覧URLから関連資料を見ることになっています。
 
(1)第1章(日本語版45~46ページ)
 
『ヒスタミンその他の生体アミンは、野菜や種子などの植物性か、ブタや魚といった動物性かにかかわらず、タンパク質を細菌が分解するときに形成される。食物由来のヒスタミンの最大の供給源は、発酵大豆である。僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こしたが、食事から生体アミンを排除したところ症状はなくなり、集中力が高まった。』 (下線は「高いお米、安いご飯」による)
 
やたらにデータ参照、資料参照が多い書物なのですが、上記下線部分に関してはそういうものはありませんでした。
 
(2)第8章(日本語版226ページ)
 
『アジア料理によくある味噌、納豆、醤油などの発酵大豆は、発酵過程で反栄養素が低減されるので、通常の大豆とはまったく違う。それでもまだ高濃度のヒスタミンなどの生体アミンや真菌代謝産物、グルタミン酸ナトリウム(*18)を含む場合がある。』
 
こちらに関しては、【註】(*18) があり、関連の論文を2つ参照できるのですが(2009年の醤油関連がひとつ、2012年の味噌関連がひとつ)無料で参照できるのはAbstractだけで、それ以上は論文購読料が必要だし、醤油の著者と味噌の著者が違う。味噌・醤油・納豆をいっしょにまとめたタイプの、できたら日本人によって数年以内に書かれた調査資料がないかと探していたら、以下が見つかりました。
 
農水省 消費・安全局の調査報告書(2012年)で、タイトルは「大豆発酵食品中のヒスタミン及びチラミン濃度の調査及び経口暴露の推定」です。報告書の目的(そのまま引用)は、以下の通り。
 
【目的】 ヒスタミン(Him)やチラミン(Tym)は、動植物体内のヒスチジンやチロシンが、脱炭酸酵素により分解されて生成するアミンである。 HimやTymは、食品の腐敗以外にも、食品の製造工程において脱炭酸酵素を産生する細菌等により生成するため、チーズ、ワイン等の発酵食品に含まれている場合かおる。ヒトが食品を経由してHim又はTymを過剰に摂取した場合、急性的にアレルギー様症状が起きる可能性かおる。そこで、日本人が摂取する量・機会が多い大豆発酵食品(しょうゆ、みそ及び納豆)を対象に、Him及びTym濃度を調査し、経口暴露量を推定した。
 
その報告書からこの記事に必要な部分を引用し編集すると以下のようになります。なお、Himとはヒスタミン、Tymとはチラミンのことです。
 
2012
 
当該報告書の【考察】は以下の通り。一部を除き、そのまま引用。
 
『【考察】 大豆の発酵工程でもHim、Tymが生成することが確認された。ただし、ワーストケースにおける各食品からの推定暴露量は、健康被害が報告されている最小量より低かった。これら大豆発酵食品のみの摂取によって、Him、Tymを原因とする健康被害が発生する可能性は通常低いと考えられる。』
 
味噌や納豆は、それらにとても敏感なひとは別ですが、気にするレベルではなさそうです。醤油も摂取量という意味では気にする必要はないと思います。しかしながら、その報告書を見ると、普通の醤油にはヒスタミンやチラミン含有量がけっこう高いものもあるようです。
 
だから、そういうものに敏感なかたや大豆アレルギーのあるかたには、普通の醤油でなく、小麦と塩が主原料の(つまり、大豆を使っていない)「白醤油」という手もあります。白醤油はレンコンなどを煮たときの色が上品に仕上がります。(白醤油の欠点は甘いことですが、甘味料入りの甘いタイプの大豆醤油が好きな地域もあるので、何とも言えない。)
 
「最強の食事」の著者は『僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こした』と書いてあり、醤油をいっぱいつけて寿司をたらふく食べたのか、醤油を適量つけて寿司をたらふく食べたので、結果として醤油摂取量が急激に増加したのかわかりません。シリコンバレーには旨い寿司屋も多いので(カリフォルニア産のおいしいジャポニカ米と地元と近隣で獲れる新鮮な魚介類とカリフォルニア産のソイソース<醤油>がそこにある)、大豆に弱いかもしれないインテリな巨漢が寿司に醤油をいっぱいつけてたらふく食べるというのは不思議な光景ではありません。
 

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2017年5月29日 (月)

外側パリパリ内側しっとりの米粉パン

米粉パンはグルテンなしでは膨らみませんが、熊本産のミズホチカラという米粉用のコメから作られた米粉は、米粉に製粉するときのデンプンの損傷が少ないため、グルテンなしでも膨らむらしい。でも、最初の、少なめの米粉でやった実験なので期待したほどうまくいきませんでした。
 
ミズホチカラ(ご飯として炊くとパサパサでおいしくないそうです)からは、お菓子用の米粉とパン用の米粉が作られています。パン用に大きめの粒度で製粉した米粉でパンを焼いてみました。グルテンは入れません。オイルも使いません。塩少々。砂糖少々(酵母のエサとして)。適量の水。道具は、ある家電メーカーのホームベーカリー。
 
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たとえてみると、和風のフランスパン。外側表面がパリパリで、中はしっとり。外側のパリパリは、どうも煎餅のパリパリ感に近い。だから、評価は、最初の実験なので期待したほどうまくいかなかった、ということにしました。でも、ぷわっと膨らんでいないという意味で格好はよくないけれど、おいしい食べ物であることには違いない。米粉の量を普通にまで増やし、オイルを少し加え、水の量を調整してやれば、期待通りの結果になるだろうと思います。

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2017年5月23日 (火)

酒粕でクラッカー

酒粕(さけかす)でパウンドケーキとクラッカーを、配偶者が作ってくれました。
 
酒粕は日本酒を絞った絞り粕のことですが、どこまで絞るかは酒蔵や日本酒のタイプによって違います。今回使った酒粕はあまり絞らない酒蔵の酒粕だったので、パウンドケーキからはお酒の匂いが立ち上り、お酒に弱い人なら確実に酔っぱらってしまいます。
 
クラッカーは、酒粕100gに対して米粉が200gという割合が基本で、そこに全粒粉(小麦粉)と塩を足します。砂糖類は入れない。お気に入りのフードプロセサで生地をつくり、生地を薄くのばし、あとでパリッと切り離せるようにカッターで点々の切り込みをいれ、オーブンで焼いて点々に沿って切り離すと、大人の風味のクラッカーのできあがりです。こちらは、加熱でお酒は残っていません。
 
このクラッカーはおやつにも向いていますが、お酒の肴としてもけっこう便利です。胡椒を加えてもいいし、バジル風味も面白い。塩のシンプルさがいちばんではありますが。
 
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関連記事は「酒粕でお菓子、酒粕で甘酒」。
 

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