農業ビジネス

2019年8月30日 (金)

平飼い有精卵が選り取り

ある農家の「平飼い有精卵」の6個入りパックのなかに、手書きの文章をコピーして短冊風(あるいは栞風)にカットしたのが入っていました。そのまま引用します。
 
「朝夕はずいぶんと涼しくなってまいりましたね。先日農場で蛍を見つけました。蛍を見ていると環境に負荷の少ない取り組みを応援してくれているようにも思えました。このような取り組みができるのも皆さんのお陰です。本当にありがとうございます。(農場名)(代表者名)」
 
平飼いとは、下の写真のような飼い方のことです。北海道の農家は広いので鶏を地面で遊ばせておく。狭い団地のようなケージには閉じ込めない。写真は上の農家のウェブサイトからお借りしました。
 
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農家によって何を鶏の飼料(エサ)にするかはそれぞれに差がありますが、北海道で暮らすことのありがたいところは、ご近所野菜売り場の中の鶏卵コーナーの棚に「平飼い有精卵」が5種類ほど並んでいることです。5種類というのは5つの違う鶏卵農家からやって来たのがそこで買い手を待っている、という意味です。
 
たとえば、下のラベルの鶏卵を出荷している農家では、鶏用の飼料は
 
「北海道産を主体とした(一部国産を含む)米、大豆、牡蠣(カキ)殻、魚粉などの自家配合飼料と青草・野菜などを食べて育ちました」となっています。コメも大豆も牡蠣も魚も青草も野菜も全部北海道産が手に入ります。野菜なんかは自分で栽培するし、青草もそのあたりに自生しています。
 
北海道産以外の国産飼料は一部は含まれるかもしれませんが、外国産(たとえば米国産)のトウモロコシや大豆はまったく含まれていない。だから、消費者はラベルを読んで自分が鶏に食べてほしいという種類のエサで育った平飼い有精卵を買えばいい。本質的なことではありませんが、コメをよく食べる鶏の黄身の色は淡くなり、ニンジンや黄色いトウモロコシをよく食べると黄身はオレンジ色になります。
 
Photo_20190830080901
 
いろいろと不可思議な政治文脈で「食べて応援」という言葉が溢れていたことがありましたが(今でも一部そうですが)、そういう文脈ではなく、消費者目線の非常に真っ当な意味でこういう鶏卵農家の卵は「食べて応援」だと思われます。


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2019年8月 9日 (金)

日本の食料自給率は37%で穀物自給率は28%、サウジアラビアの穀物自給率は7%

3日前に次のような報道がありました。

「農林水産省は6日、2018年度のカロリーベースの食料自給率が前年度より1ポイント低下の37%だったと発表した。天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したためで、コメの記録的な凶作に見舞われた1993年度と並ぶ過去最低の水準となった。政府は2025年度に45%にする目標を掲げているが、達成が遠のいた。」(共同通信)

「天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減少したためで」というのは苦しい言い訳で、小麦と大豆の国内自給率は以前から低いので、わざわざ小麦や大豆を持ち出すのもどうかと思います。四半期GDPがマイナスになったのを雨のせいにするのと同じです。

農水省のウェブサイトにお邪魔すると、品目別自給率の例として

「小麦の品目別自給率(平成30年度)
=小麦の国内生産量(76.5万トン)/小麦の国内消費仕向量(651.0万トン)=12%)

と小麦がとりあげられていました。

昭和40年から平成30年までの総合食料自給率の推移は以下の通り。

4030

OECD諸国の2018年(日本は2018年度)の食料自給率を比較したのが以下のグラフです。以前と同じパターンです。

2018-2018

ぼくは、食べ物は(他の財や産品と違って)自給したほうがいい(国のレベルでの地産地消)、という意見の持ち主ですが、諸般の事情でそういうわけにいかない国もあります。例えばサウジアラビア。2010年3月に「穀物自給率「ゼロ」をめざす国」というブログ記事を書きました。そこから一部を引用します。

「サウジアラビアは雨はほとんど降らないし、地下水も砂漠にまだ緑があった頃の雨水がたまったものですが、地下水は小麦生産などに今まで大量に消費してきたのでそのツケがたまって、今世紀なかばに石油よりも早く枯れてしまうとのこと。瑞穂(みずほ)の国の日本とは事情が違います。

そういう背景から、水を大量に使う小麦のような農作物は減産を続けて2016年までに国内生産を打ち切り、それ以降、穀物はすべて輸入。ただし、農業がないとさすがに困るので、あまり水を使わないもの、つまり温室野菜栽培や酪農、養鶏などの付加価値の高い農業へ転換するそうです。

穀物がないと国民は飢え死にしてしまいますから、そういう国のとる手段のひとつは、外国に農耕地や農場を確保し、それを自国の穀物供給基地にすることです。サウジアラビアの場合だと、上記報告書によれば、アフリカのスーダン、エチオピア、タンザニア、エジプトあたりでことが進行中です」

そのサウジアラビアがどうなったか

サウジアラビアにおける農業・水産業・食品産業の概況及び市場について」(野村総合研究所 2018年2月19日)によると、2015年のサウジアラビアの穀物自給率は6.8%だそうです。自国が所有するところの外国の穀物供給基地からの流入量も輸入とカウントされるので、実質的な穀物自給率は6.8%よりも高いはずですがこの資料では詳細は不明です。日本の2018年の穀物自給率は最初の折れ線グラフにあるように28%です。

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2018年8月27日 (月)

北海道の、生産量がとても少ない、おいしいカボチャ

北海道には、たとえば色だと濃い緑から灰白色に近い薄い緑まで様々な種類のカボチャ(南瓜)が生産されており、全体の生産量(収穫量)も非常に多いので、カボチャの季節になると今年はどのカボチャを喩しむか、どういう調理方法で楽しむか、といろいろと考えることになります。

客観的なデータに言及すると、日本のカボチャの収穫量は、平成28年(2016年)は、185,300トン。そのうち、北海道の収穫量は飛び抜けて多くて 82,900トン、シェアは 44.7%です。2番目が鹿児島県で、収穫量は 9,130トン、シェアは 4.9%。3番目が茨城県で収穫量は 8,090トン、シェアは 4.4%(農水省データ)。

つまり、北海道では様々な銘柄のカボチャがそれぞれに少なからず生産されている。といっても、カボチャの評論家は別かもしれないけれど、次から次へと違った銘柄を食すわけにはいきません。だから、この濃い緑の小ぶりな硬いカボチャを2年前までは知りませんでした。「大浜みやこ」というカボチャです。

「どのカボチャがお勧め?」と2年前にある野菜売り場のベテラン女性に尋ねたことがあります。「わたしなら絶対にこれですね」と勧められたのが「大浜みやこ」。値段は高い。一般のカボチャの2倍くらいです。

「みやこ」という種類のカボチャが札幌市の北西部で栽培され始め、それが品質維持努力でブランド化して「大浜みやこ」になったらしい。品質維持努力の中には、出荷対象品の厳しい選別も含まれる。有体に言えば、姿形の美しくないのは、「大浜みやこ」としては出荷されない。こういうところは「夕張メロン」と似ています。だからでしょう、売り場で出合う「大浜もやこ」は、色艶の鮮やかな美人だけのようです。

その「大浜みやこ」の平成29年の年間収穫量は129トン。とても少ない。さきほど触れた北海道のカボチャの年間収穫量のわずか 0.15%です。特定のチャネルでしかお目にかかれない。

このカボチャは小ぶりで硬い。主婦泣かせの(主婦とは限りませんが)硬いカボチャはたいていはうまいのですが、このカボチャも硬い。硬くておいしい。おいしくて甘い。最近はトマトでも他の野菜でも「甘い」と「おいしい」とが同義語になる傾向が強すぎてぼくなんかはちょっとうんざりですが、「大浜みやこ」は甘いがおいしい。

新しい調理方法をいろいろ考えても、一般家庭ではカボチャの食べ方はそれほどは変化しません。蒸すか煮るか揚げるか。上手が揚げた天ぷらは魅力的ですが、ぼくがいちばん好きなのは、やはり蒸したカボチャ。良質な塩を軽く振りかける。そのシンプルな調理法が生み出す味わいが結局は深い。だから飽きない。

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2018年1月15日 (月)

晩ごはんに「さつまいも」

週末の夕方、小腹が空いたので、配偶者といっしょに「さつまいも」の焼きいもを食べることにしました。「鳴門金時」(写真)です。そういう場合は、普通は、1本を二人で分けるのですが、二人ともとてもおなかが空いたという感じだったので、ひとり1本になりました。さすがに形のよい「鳴門金時」で、甘くてホカホカして美味しい焼き芋でした。
 
で、その後、どういうことになったかというと、晩ごはんは、サラダと魚料理と野菜料理と味噌汁のみ。ご飯(コメ)は無理でした。
 
「さつまいも」は、江戸中期に、飢饉対策として関東地方でも栽培されはじめたそうです。「さつまいも」は漢字で書くと「薩摩芋」。薩摩藩(鹿児島県)で栽培が盛んだったので「薩摩芋」です。それまでは、唐芋(からいも)や甘藷(かんしょ)や琉球藷(りゅうきゅういも)などと呼ばれていました。鹿児島への輸入経路や流通経路がわかります。なお、「さつまいも」の原産地は、メキシコなど、中南米です。
 
以前、農林水産省が食料自給率・食料自給力を上昇させる方法を考察する際に、その一環として「いも」を中心にした食事メニューを提示したことがあります(2015年3月)。そのメニューとは以下のようなものです。なかなかに興味深い。
 
□朝食: お茶碗一杯のごはん、浅漬け2皿、焼きいも2本
□昼食: 焼きいも2本、サラダ2皿、粉吹きいも1皿
□夕食: 焼きいも2本、粉吹きいも1皿、野菜炒め2皿、焼き魚1切
 
蛇足的な説明を加えると、「焼きいも」とは普通は「さつまいも」の焼きいもで、「粉吹きいもの」とは普通は「ジャガイモ」です。「さつまいも」を「甘藷(かんしょ)」と呼ぶなら、「ジャガイモ」は「馬鈴薯(ばれいしょ)」です。
 
芋尽くしの、一日を経験してみてはいかがでしょうか。関連記事は「ジャガイモとオランダ人、あるいは世界の4大主食(その3)」。
 
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2017年9月 7日 (木)

食べものや体における「無用者の系譜」

唐木順三の著書に「無用者の系譜」というのがあります。出版社の短い紹介文をお借りするとその内容は、「業平、一遍、秋成等から荷風に至る無用者に独自の視点を当て日本文化の底辺を探る」「業平、一遍、芭蕉、荷風ら、『文人』を追って、日本文化の底辺をさぐる」というものです。
 
ヒトや食べものにも無用者の系譜があります。無用者、役立たずと思われてきたものが、実際には、われわれの「科学的な」知性・知見の外側でとても重要な役割をはるかに以前から演じてきたらしいということです。
 
三大栄養素とは「脂質」と「タンパク質」と「炭水化物」で、以前はそれ以外は関心の対象外でした。それに、「ビタミン」と「ミネラル」が加わって五大栄養素となり、その後、無用者の系譜に属していた「オリゴ糖類(おなかの環境を整える)」「食物繊維類」「ペプチド類(血圧の上昇を抑える)」「ファイトケミカルと総称されるポリフェノール類やカロテノイド類(抗酸化作用で炎症を予防する)」が、表舞台に登場してきました。
 
腸内フローラというきれいな名前がつけられた腸内微生物叢や腸内細菌叢。これも無用者の系譜の一員でした。これに(アンチバイオティクスに対抗して)「プロパイバイオティクス」(たとえば乳酸菌やビフィズス菌など、「善玉菌」とも呼ばれている)という名前がつけられ、「オリゴ糖」などが「善玉菌」の食べものという意味で「プレバイオティクス」と称されるようになり、市民権を獲得しました。(ちなみに、生体内の微生物の総体(微生物叢)は英語でマイクロバイオーム(microbiome)。)
 
DNAの総体をゲノム(genome)といいます。ぼくたちにとってはおなじみの用語です。ゲノムの全部が遺伝子であるわけではなくて、ゲノムの中で「遺伝情報を持ったDNA」(つまり遺伝子)は、量としては数%~10%くらい、残り(残りという言い方は、残りに属するDNAにとっては失礼な話ではありますが)であるところの90%は遺伝情報とは直接の関係のない、存在理由がいまだによくわからないところのあるDNAです(だから、ジャンクDNAなどと呼ぶ礼を失した研究者もいます。)つまり、いまのところ、無用者の系譜に連なっているようです。
 
「体という自然」や「生命」には実質的な無駄やジャンクが存在しないとすると、ぼくたちのまわりに無用者の系譜がそれなりに存在するというのは、ヒトの身体や食べもの関して要はその存在理由や働きがいまだによくわかっていないものがいっぱいあるということです。
 
ぼくが遺伝子組み換え作物や遺伝子組み換え食品を避けるのは、それがたいていはRound-upという除草剤や殺虫剤やRound-up Readyと呼ばれているRound-upに抵抗性を持ったトウモロコシや大豆に関連しているからです。
 
そういう薬剤やそういう薬剤に抵抗性を持った穀物や豆は、たとえば腸内微生物叢や腸内細菌叢を殺してしまう。控えめに言っても、長期的にどういう悪影響を生体内の微生物叢に及ぼすのかほとんどわかっていない。換言すれば、「無用者の系譜」との関連がまったくわからないし、生産者側も認可する側もそれを公表しない。知らぬ間にひそかに「ジャンクDNA」の構成にダメージを与え続けているかもしれません。「君子危うきに近寄らず」です。

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2017年7月24日 (月)

大豆を食べよう、大豆は食べるな

大豆はそのままでは毒なので、東アジアの人たちは、未成熟の種子を枝豆として食べたり、成熟した種子を煮物にしたり、あるいはもっと時間をかけて加工したり発酵させたりして食べものとして長い間つき合ってきました。加工食品、発酵食品とは、豆腐、湯葉、厚揚げ、豆乳ヨーグルト、味噌、醤油、納豆などのことです。インドネシア発祥のテンペという納豆みたいな食品もあります。
 
とくにITに詳しいわけでもない一般の人々にインターネットが普及し始めたのは1995年以降です。ブラウザーの進歩やスマートフォンなどの登場もあり、この20年余りで、インターネットは日常生活の必需品、というかとくに意識せずに接している生活機能の一部になりました。食べものの世界でも、20~30年で世界は相当に変わります。
 
SOYINFOCENTERという、大豆(とくに歴史的な視点から見た大豆というもの)に関してはほぼどんな情報でも提供している独立系のサイトがあります。その情報をお借りすると、大豆の歴史は以下のように要約できます。
 
「大豆は紀元前11世紀に中国の東北部で栽培され始め、それから3000年間、その大部分は、豆腐や醤油、豆豉(トウチ:塩漬け発酵乾燥黒大豆)や味噌や納豆、豆乳のような加工食品として利用されてきた。ただし、一部は、そういう処理はされずに枝豆や煮豆として食された。」
 
「大豆が油として利用されたのは、中国の記録では紀元980年が最初である。油は照明用に、油(の搾り)粕(かす)は中国南部でサトウキビ畑用の窒素肥料として使用された。」
 
「それ以外の大豆の「近代的な」使われ方が始まったのは1908年の英国で、大豆油は石鹸に、油粕は家畜の餌に利用された。そういう大豆利用の西洋風パラダイムが世界に拡大したのは1942年以降である。」
 
SOYINFOCENTERの記述をもとに、それ以外の情報も加えて、食用農産物としての大豆の歴史を経済史風に整理してみると、以下のようになります。
 
■紀元前11世紀~1907年:東アジアに生産と貿易が集中(生産拠点である中国東北部を中心に中国南部、そして朝鮮と日本)
 
■1908~1930年:欧州への中国東北部(古い用語では旧満州)産大豆の輸出が拡大
 
■1931~1941年:米国の大豆生産が急増する一方、中国東北部の輸出が激減
 
■1942~1955年:米国が世界最大の大豆生産国へと成長
 
■1956~1969年:東アジアの大豆生産が減少し、米国の輸出が増大
 
■1970年以降   :南米諸国と米国との競争が激化。米国で大豆など主要作物における遺伝子組み換え商業栽培を開始(1996年)。ブラジルで遺伝子組み換え大豆栽培認可(2003年)。遺伝子組み換え大豆の作付けが米国で80%に達する(2003年)。日本でも遺伝子組み換え大豆を使った食品の販売が始まる(2003年)。
 
主に発酵食品として3000年間ヒトの口に入ってきた大豆が、20世紀後半の50年間で、ヒト用の大豆油と家畜・家禽用の飼料のデフォになり、またこの20年で遺伝子組み換え作物のデフォにもなりました(米国における遺伝子組み換え大豆の作付比率は、現在は90%以上)。同時に大豆は、タンパク質が豊富な畑の牛肉であり(つまり健康食品であり)、大豆油も健康的なn-6系植物油としてひとびとの人気を集めてきました。
 
そしてその人気と並列して、この10年で安全・安心な食べものを求める人たち、あるいは健康に敏感な人たちの間で大豆離れ、大豆油離れの波も広がってきました。食べものの世界でも10年間で「常識」と「知見」はけっこう変化します。
 
現在は、大豆生産国の政策とバイオ企業のマーケティングと人々の安心な食や健康に対する関心と無関心が入り混じって、「大豆を食べよう」と「大豆は食べるな」と「大豆食品は選択的に食べよう」が併存しています。
 
 
◇ ◇ ◇
 
ちなみに、紀元前11世紀以前はどうだったのか。大豆が栽培され始めたのは紀元前30世紀という記録もあるらしい。紀元前11世紀は華北を統一した周王朝の時代です。紀元前30世紀は殷王朝が成立するはるか以前です。
 
農作に適していない痩せた土地がある。大豆はそういう痩せた土地でも、窒素吸収力が強いのでよく育つ。育つだけでなく、その土地を豊かにする。つまり、もともとは、痩せた土地を豊かにするための作物として大豆が栽培されたらしい。(なお、大豆が、痩せた土地で手をかけなくともよく育つという事実は日本の東北地方や北海道の記録でも確認できる。)
 
しかし、固有の毒性から大豆は、2000年間は、食用の対象ではありませんでした。大豆が食材になるのは、誰かが大豆を発酵させて食べることを考えついた紀元前11世紀からです。強いアクをもった根菜類のアク抜き方法を開発して食べ始めるということもそうですが、食べものに関しては、たとえば発酵といった調理方法のブレイクスルーが突然発生します。その結果、21世紀の我が家でも北海道産の大豆を使った自家製味噌を作り続けることができるわけです。

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2017年3月21日 (火)

札幌のタマネギと昭和10年頃の野菜倉庫

明治の初めに玉ねぎが日本で最初に上陸した地が札幌です。「札幌黄(さっぽろき)」とは、明治時代から栽培され続けてきた札幌のローカルなタマネギのことです。もともとは米国生まれのイエローグローブダンバースという品種ですが、札幌でローカライズされました。日本の伝統種・固定種と定義できるような種類の玉ねぎです。姿は腰高の球形で、美人。大量流通向けのタイプではないので現在では生産量は非常に少ない。
 
 
B2_2 札幌黄と札幌黄の白玉
 
札幌駅から北西に20分ほど電車に乗ると、石を積み上げて作った「組積造(そせきぞう)」の野菜倉庫が残っている地域があります。(地震に強いタイプの建築方法ではありませんが。)
 
札幌北区役所が設置した「篠路(しのろ)駅周辺の倉庫群」という倉庫わきの案内版によると、「昭和10年(1935年)、札沼線の開通により篠路駅は野菜出荷の基地となり、にぎわいを見せた。周辺には石造りの野菜倉庫が立ち並び、全国に向けて玉ねぎなどが送り出された。現在も駅周辺には数棟の倉庫が一群をなしており、市内の他の地域には見られない独特の雰囲気をかもしだしている。 建築年:昭和10年頃、構造:石造・ブロック造など」
 
その「玉ねぎ」とは「札幌黄」のことなので、その頃が「札幌黄」が最も華やかな時期だったのでしょう。倉庫のひとつは、現在は自動車修理工場となって活躍中の様子です。
 
Img_0728_rev_10_
 
Img_0731_2_10
 
写真は、現在は自動車修理工場となっている昭和10年頃に建てられた野菜倉庫と、その他の野菜倉庫群

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2016年9月27日 (火)

北見のタマネギ

以下は「台風とタマネギと農産物貨物列車」という少し前の記事の一部です(『・・』部分)。
 
『北海道での収穫量・出荷量が多くて、かつ、北海道の全国に占めるその割合(シェア)が非常に高い野菜にはジャガイモ(シェア66%)、タマネギ(シェア61%)、カボチャ(シェア59%)、ニンジン(シェア32%)などがあります。

今回の複数の台風(7号・11号・9号・10号)で被害の大きかった十勝地方(帯広・芽室・音更・幕別など)や上川地方(和寒・名寄・富良野など)やオホーツク地方(北見・網走など)はそうした野菜の産地です。ニンジンのようにすでに出荷が始まっているのもありますが、これからが旬です。』
 
例年、北海道のタマネギが旬の時期には、北見地方のある農家のものを贔屓にしています。先週末に、その農家のタマネギをある小売店で箱買いしました。箱の中には印刷された小さな挨拶文が置かれており、以下はその一部を引用したものです。
 
「・・・本年8月中旬より、北見地方は度重なる台風の被害を受けました。当園の畑も甚大な水害を被り、収穫がかなり遅くなると共に、すでに湿害(皮腐れ・根腐れ)が多く出ている事から、例年に比べ大幅な減収になる事が予想されます。選別はすべて人手により万全を期しておりますが、湿害は見た目には非常に判断し辛いものも多い為、当該玉ねぎが入っておりました場合は何卒ご理解、ご容赦頂けますよう、お願い申し上げます。」
 
我が家で買ったタマネギは、配偶者とぼくの目には、すべてとても元気そうだと映りました。食べて応援です。「食べて応援」という、状況によってはいささか気になるフレーズも、こういう文脈では、違和感なく使えます。

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2016年9月12日 (月)

「台風とタマネギと農産物貨物列車」補遺、あるいは、北海道産野菜の季節別の移出量

「台風とタマネギと農産物貨物列車」という先週のブログ記事で「北海道での収穫量・出荷量が多くて、かつ、北海道の全国に占めるその割合(シェア)が非常に高い野菜にはジャガイモ(シェア66%)、タマネギ(シェア61%)、カボチャ(シェア59%)、ニンジン(シェア32%)などがあります。」と書きました。
 
量を勘案してもっと要約すると「ジャガ(イモ)・タマ(ネギ)・ニンジン」ということになります。
 
北海道産野菜の(2013年の)季節別の移出量をきれいにまとめたグラフに新聞紙上で出合ったので引用させていただきます(データソースは北海道開発局)。蛇足ですが、移出量とは北海道から他の地域への国内移出量のことです。保存のきくジャガイモやタマネギは翌年の春まで出荷されていきますが、夏野菜の移出は8月、9月、10月に集中します。だから、農業関係者は、現在、野菜の複数の移送手段の確保に懸命です。
 
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2016年8月 5日 (金)

グローバル化する食と、自家製の梅干し

食のグローバル化とは、世界中の人たちが同じようなもの・似たようなものを食べるようになることで、つまりは、食べものが均質化するということです。
 
食や農業は、人々が自分の生活地で生き延びるためのローカルな営みでした。しかし、農業が経済化し、ここに農産物輸出国の活動とグローバル経済を基盤とするアグリビジネスの活動が加わると、世界中の人が同じような食材を同じような調理法で食べるようになります。これが食のグローバル化です。グローバル化の進んだ食材や料理は細かい品質差異を気にしなければ手に入れ易く、同時に他に奪われやすいという性格を持っています。
 
一方、地域独自性を維持した食材や料理はその逆の性格をそなえています。ある文化圏は別の文化圏のよくわからない食べ物ををわざわざ口にすることに興味がない。各国で個別に発展した発酵食品などがその典型です。
 
自宅で作る、主な基礎加工食品や漬け物の類は以下の通りです。冬から季節の順にならべてみます。グローバル化した食べものとその逆の性格の食べものはその中にどれほどあるか、確認する気になりました。
 
◇冬(12月から2月)
 ・橙(だいだい)のマーマレード
 ・橙(だいだい)のポン酢
 ・べったら漬け(この漬物をご存知ない方は【「べったら漬け」に関する註】をご覧ください)
 ・味噌(仕込み、大豆は北海道産、食べるのは2年以上寝かせてから)
 
◇春(3月から5月)
 ・べったら漬け
 ・ラッキョウの甘酢漬け(ただし、毎年ではない)
 
◇夏(6月から8月)
 ・梅干し(仕込み、食べるのは1年半から2年ほど寝かせてから)
 ・梅ジャム
 ・実山椒の塩漬け
 ・しば漬け(乳酸発酵バージョン)
 ・バジルソース(バジルは自宅で栽培)
 ・トマトソース(近所の農家で栽培している調理用トマトを使う)
 
◇秋(9月から11月)
 ・スダチのポン酢
 ・柚子胡椒(ゆずこしょう)
 ・タクアン(仕込み、食べるのは翌年の年明け以降)
 
【「べったら漬け」に関する註】:縦に二つに切った大根のまとまった大きさの切り身を塩漬けにしたのを、わずかな塩と唐辛子と柚子を加えた甘酒(できたら自家製のそれ)に、五日から一週間くらい漬けこんでおくと、「べったら漬け」ができ上がります。軽い塩味と軽い甘みがコラボした、タクアンなどとは方向のちがう軽快な感じの大根の漬物です。
 
自宅で作る主な基礎加工食品や漬け物の類には、橙のマーマレードや梅ジャム、バジルソースやトマトソースなどグローバル的な雰囲気の食べもの、つまり興味を持った他国に奪われる(あるいは、逆に他国から同じものや代替品が流入してくる)可能性のある食べものもあります。しかし、あとは、主食であるところの安心なジャポニカ米や安心な魚やチキンのような地元の動物蛋白と野菜が身近にあれば、それらを補完する基礎加工食品として、そういうことを気にせずに暢気にかまえていられるものばかりです。
 
我が家で手掛ける加工食品の中では仕込みまでの必要工数がいちばん多く、また天候や陽射しなどへの気遣いがとくに多いのが梅干しです(タクアン用大根の天日干しにも気を使いますが)。作業が面倒くさいと感じられるときには、そういうことも考えます。
 
下の写真は梅の土用干しの二日目。
 
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