畜産物など

2017年5月12日 (金)

食用油脂のことなど

必ずしもそうとは言えないとは思うのですが、いちおう、長生きの方がそうでないのよりもいいことだということにしておきます。
 
食用油脂、とくに植物油や植物油を使ったマヨネーズのような加工食品は食品会社のマーケティングがとても盛んな領域なので、ときどきはそのマーケティングメッセージの内容を眉に唾をつけて見ることも必要です。食用油脂に関して参考になった本のひとつが「油の正しい選び方・摂り方―最新 油脂と健康の科学」です。8年ほど前に、食用油脂の雑駁な知識の整理のために読んでみました。今もときどきの参照目的のために本棚においてあります。
 
その本の著者がある雑誌(「通販生活」)のインタビューで食用油脂について語っていました。アップデート情報もあったので興味深く読ませてもらいましたが、その骨子は、記事のタイトル通りで「『バターやラードなどの動物油より、サラダ油などの植物油のほうが体にいい』は間違いです。」
 
その方のお勧めの食用油脂は、
 
□飽和脂肪酸であるところの「動物性脂肪」を多く含む「バター」と「ラード」
□多価不飽和脂肪酸であるところの「αリノレン酸(オメガ3系)」を多く含む「エゴマ油(シソ油)」「アマニ油」「魚油(DHA・EPA)」。
 
多価不飽和脂肪酸であるところの「リノール酸(オメガ6系)」を多く含む「ごま油」「大豆油」「コーン油」「紅花油(サフラワー油)や、トランス脂肪酸がいっぱい入っている「マーガリン」を推奨していないのは当然としても、一価不飽和脂肪酸であるところの「オレイン酸(オメガ9系)」を多く含む「オリーブ油」や「菜種油」「キャノーラ油」「(高オレイン酸型の)ヒマワリ油」などもおすすめ対象ではありません。
 
コレステロールに関する箇所では「体に悪いどころか、コレステロ ールは人間に欠かせない成分です。・・・略・・・細血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究も一 部にはあります。しかし、研究対象の集団に偏りがあり、心臓病のリスクが強調され過ぎています。そもそも心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。」と語っています。
 
「血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究」(者)は、血圧の高さと循環器系疾患の関連を妙に強調する人たちと似ています。血圧を下げる薬を飲んで(飲み続けて)心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。しかしながら、最近ではまた、血圧は130未満というのが勢いを盛り返してきたみたいです。「『収縮期血圧が147以下』で『拡張期血圧が94以下』なら高血圧を気にしなくてもいい」という一般健常者にとって実際的なガイドラインはどこかに隠れてしまいました。
 
 

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2017年2月 6日 (月)

酒粕の季節

日本酒は収穫されたばかりの米(コメ)を使って作り、基本が新酒(ヌーボー)です。だから、酒の副産物であるところの酒粕(さけかす)が一般消費者へ販売される時期は、たいていは、毎年11月から3月のどこかです。
 
買いやすいのは11月から1月。例外もありますが、入手可能な期間が限定されています。一般家庭では、味噌は自分で作れても、日本酒は作れない。したがって酒粕は買うしかありません。
 
酒粕の利用方法(以前は業界用語だったのがスマートフォンの登場で急に一般用語になった言葉を借りると「アプリ」)は、大きく分けて二つです。
 
ひとつは甘酒。酒粕で作る簡易版の甘酒です。
 
もう一つは食材の粕漬け。白身魚の切り身や、鶏のモモ肉などを漬け込んでおきます。味付けと数日間の短期保存機能を兼ねています。頃合いを見て、たとえば、焼いて食べると実に旨い。塩焼きや煮つけでは出ない深い香りが楽しめます。

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2017年1月16日 (月)

エゾ鹿の肩ロース肉でシチュー

北海道ならではの贅沢かもしれません。「肩ロースで柔らかいからローストにしたらおいしいと思いますよ」と恰幅のいい肉屋の親父さんにローストを勧められたのですが、肉の野性の風味や相対的な硬さなどを考えてメニューはシチューを選びました。エゾ鹿肉です。
 
じっくりと肉を煮込むタイプの料理であるところのビーフシチューは、たとえば「すね肉」のような硬い部位の大きなかたまりを使うというのが相場ですが、それと同じことをエゾ鹿肉の肩ロースでやってみました。下の写真のように「リーン」(脂の少ない)な、赤みの肉で、値段は牛肉と比べるととても穏当です。我が家では牛肉も赤身で脂肪分の少ない「リーン」なものが好みですが、鹿肉の脂質量(脂肪分)は牛肉の10分の1です。森林を走りまわっているので、メタボな霜降りにはなりようがない。
 
鹿肉料理は、いわゆるジビエ(狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣のこと)料理です。北海道では野生の鹿が増えすぎて、畑の農産物や森林植生(たとえば、木の芽や樹の皮)を食い散らかすのでそれを防止するために狩猟しています。どこでもいいのですが、たとえば、知床方面などを旅行してみると、エゾ鹿による森林植生の荒れがよくわかります。
 
クジラと同じです。クジラは今では増えすぎて、大食漢の彼らはイワシなどの海の小魚の相当部分を食べています。世界の海を泳いでいるクジラが胃袋に入れる魚の量と、世界中のヒトが1年あたりに食べる魚の量が同じくらい(クジラ類の魚消費量は人類の魚消費量0.5倍から3倍の間)という推計もあります。
 
北海道産の調理用トマトで作った自家製トマトソースが活躍しました。関連記事は「調理用トマト「なつのしゅん」と、2016年版のトマトソース」。
 
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2016年10月 4日 (火)

ドライエイジド・ポーク(熟成乾燥豚肉)

牛肉などの肉を枝肉のまま吊るして熟成肉を作る方法は古くからあって、牧畜文化や家畜文化の浸透した国や地域ではおなじみの光景です。映画などでも効果的なシーンとして熟成中の枝肉の映像が利用されることがある。この方法は枝枯らし熟成法というそうです。
 
一方、ドライ熟成法、あるいはドライエイジング(Dry Aging)という肉の熟成方法もあります。ドライエイジング(乾燥熟成)とは、お肉を、温度が1℃前後で湿度が70%前後の熟成庫の棚に裸の状態で並べて強い風を送り、表面を乾燥させながら肉固有の臭みを飛ばして熟成させていく方法です。熟成により、肉は柔らかく、味は水分が15%ほど飛ぶので濃厚になる。
 
ドライエイジド・ビーフ(Dry Aged Beef、乾燥熟成牛肉)にはときどき出合いますが、ドライエイジド・ポーク(Dry Aged Pork、乾燥熟成豚肉)にはあまりお目にかかれません。しかし、両方を控えめな量で一般消費者に販売しているお肉屋さんも札幌にはあります。おいしいので、どちらかを、ときどきですが、継続的に購入しています。お店の方の話によれば、牛肉(北海道産)の熟成期間は3週間、豚肉(北海道産)は熟成日数が10日間。
 
北海道には、明治以降ですが、豚肉の文化があります。豚肉の焼き鳥とか豚肉の丼です。熟成乾燥牛肉や熟成乾燥豚肉を、肉の味をそのまま生かした感じの焼肉ドン風で食べるとけっこう幸せな気分になります。
 
蛇足ですが、「広辞苑」によれば「やきとり(焼鳥)」とは「鳥肉に、たれ・塩などをつけてあぶりやいたもの。牛・豚などの臓物を串焼きにしたものにもいう。『―で一杯やる』」。

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2016年7月19日 (火)

北海道産のラム肉

北海道はラム肉を使った「ジンギスカン料理」がとても好きな土地で、花見にジンギスカン、夏の海水浴場で泳がずにジンギスカンです。後者の例は、夏とはいえ水の冷たい北の海岸なので、まあそういうものかと納得できるとしても、満開の桜の下で羊の肉のバーベキュー風というのは、はじめてそういうものに遭遇した時には、桜の花びらの色と焼ける肉の匂いの組み合わせにいささか驚きました。
 
ラム肉とは生後1年未満の子羊の肉のことですが、北海道のジンギスカン料理で消費されている羊肉は、たいていは、ニュージーランドやオーストラリアからの輸入品です。コストパフォーマンスが良いのでそうなったとも言えますが、そもそも北海道は羊肉の生産地ではない。北海道での羊肉の生産量は非常に少ないので、地元の需要量・消費量をまったくまかなえない。「アンジー」(ANZ: Australia and New Zealand)からの輸入に頼らざるを得ないというのが実態です。(だから、そういう環境の中で、ジンギスカン料理を北海道の疑似ソールフードに仕立て上げた方たちのマーケティングセンスは相当なものです。)
 
だから「北海道の羊肉はさすがにおいしいですね。昨晩は○○でジンギスカンを堪能しました。」と、たとえば東京から来られた方にお褒めをいただいた時には、返答に窮する場合もあります。
 
北海道北部にある士別(しべつ)というところは、数少ないラム肉(サフォーク種)の産地です。そのくせのないラム肉に、札幌のある小売店の肉売り場で出合いました。こういう機会はあまりない。値段は安くはない。しかし、その場で購入しました。さっと火を通し、塩味で食べます。高タンパクで、高ミネラルで、低脂肪。おいしくいただきました。
 
エゾシカ肉もそうですが、一般流通の少ない地元の肉は、こういう偶然の出合いを大切にしないとなかなか味わえません。

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2016年5月17日 (火)

米(と小麦と肉と魚の)のひとりあたりの年間消費量の推移

米穀安定供給確保支援機構」によれば、2015年度(2015年4月~2016年3月)の国民ひとりあたりの月間コメ消費量は、4,386グラムで、14年度と比べて3.7%少なくなったそうです。ひとりあたり月間平均消費量が4,386グラムということは、年間消費量だと52.6キログラムになります。60㎏(の壁)を大幅に割り込んでしまいました。コンビニ弁当などの「中食」消費は増えたものの、自宅で炊いたご飯(お米)の消費量が減少し、結果として逓減傾向にあったコメ消費がそのままその傾向を継続、ということです。

米、および小麦の年間消費量の推移を1965年(昭和40年)から2015年(平成27年)まで、あらためて眺めてみると、以下のような具合です(下の折れ線グラフ)。「米を60㎏と小麦を30㎏」というのがぼくの最近の記憶にある日本人ひとりあたりの年間消費量だったのですが、「米50㎏、小麦35㎏」という組み合わせに接近しつつあるみたいです。

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米と小麦という二つの主要穀物の消費量合計が90㎏から85㎏に接近しているということは、炭水化物の消費量が減少しているということですが、それでお腹がすいてないとすれば、その代わりに肉や魚や野菜をいっぱい食べているのか。

1985年と2010年の日本人ひとりあたりの肉と魚の消費量を比較すると、肉の消費量は34kgから48㎏へと確かに増加していますが、魚は70㎏から54㎏へと減少です(下の図表、データはFAO)。

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「米+小麦+肉+魚」のひとりあたり年間消費量を足し合わせてみると

1985年が、米74.6㎏+小麦31.7㎏+肉34㎏+魚70㎏=合計210.3㎏
2010年が、米59.5㎏+小麦32.7㎏+肉48㎏+魚54㎏=合計194.2㎏

つまり、単純な重量比較では、2010年は1985年よりも食べる量が8%減少したことになります。

ぼくの売り場での観察によれば、野菜の好きな家庭も多いけれども、そうでない人はもっと多い。若い調理系男子は買い物カゴに野菜も多いのですが、若い女性の買い物かごは加工食品とお菓子とジュース類が中心です。つまり、210㎏と194㎏の16㎏の差を野菜消費量を増やして埋めているというのは考えにくい。

手軽でカロリーが多くて食が進むところのマヨネーズたっぷりの焼きそば弁当やツナマヨおにぎり、あるいはお菓子みたいなものがますます好まれているのかもしれません。オランダ人ではありませんが、ジャガイモ(フライドポテト)が主食の一部になっている可能性は高い。トウモロコシ由来のジャンクフーズもあります。あまり健康にいい食事とは思われませんが、それは、まあ、別の話です。

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2016年4月26日 (火)

TPPとニュージーランドの酪農に関する雑感

TPP協定の第三十章が「最終規定」ですが、その本文(和訳)の最後のあたりは次のようになっています。

「第三十・七条 寄託者
1 この協定の英語、スペイン語及びフランス語の原本は、ここにこの協定の寄託者として指定されるニュージーランドに寄託する。・・・後略・・・」

「第三十・八条  正文
この協定は、英語、スペイン語及びフランス語をひとしく正文とする。これらの本文の間に相違がある場合には、英語の本文による 。以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。二千十六年二月四日にオークランドで、英語、フランス語及びスペイン語により作成した。」

各国代表が署名に集まったオークランドはニュージーランド最大の都市。TPPの最初の4か国はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイなので、ニュージーランドが協定の寄託者(Depositary、書類を預かる人) および署名地に選ばれたのでしょう。

TPPへの参加を表明している国で、酪農が圧倒的に強いのがニュージーランドです。米国などもまったくかなわない。たとえば、牛乳の生産コストは、日本はニュージーランドの4倍高く、米国はニュージーランドの2倍くらい高い。しかし、平らな地面が見渡す限り広がるような国ではない。どうやっているのか。

酪農専門家の資料(酪農学園大学 荒木和秋教授の資料など)を参照すると、ニュージーランド酪農の特徴は、以下の通りです。

・牛を牧草地をローテーションしながら通年放牧、したがって牛舎は持たない
・牧草に依存した季節繁殖、配合飼料は使わない、冬季は休む
・利益を圧迫する機械設備は所有しない、契約で外注サービスを利用
・利益を生まない施設(サイロや牛舎)は持たない

たいていの米国や日本の酪農家が好きな「立派な牛舎で、濃厚な配合飼料」というのとはずいぶんと違った方向を向いています。農家のコスト意識が強く、牛は放牧地でのびのびと暮らせて幸せそうです。

北島と南島からなるニュージーランドの国土面積は約27万平方キロメートルで、日本よりも狭い。日本(約38万平方キロメートル)の71%です。お隣の巨大なオーストラリアと比べるととても狭い。しかし、主要産業は、農業(牧畜・酪農)と林業です。牧畜と酪農のための広い放牧地はどこにあるのか?

United Kingdomという括りでの英国における牧草地は、長い時間をかけて雨や風と折り合いをつけたような具合に仕上がっていますが、ニュージーランドの牧草地は、とても自然な感じとけっこう無理をしている不自然な感じが共存しているような印象です。観光目的でない写真を見るとそう思う。

国土に占める牧草地の割合を確かめたかったので、ニュージーランド統計局 (Statistics New Zealand) のサイトを訪問しました。2012年現在の数字でいうと、

・牧草地(ただし、森林を開墾して牧草地に転化したもの)の割合は39.8%
・もともとは原生の草むらでそれが牧草地になったものの割合は8.6%
・原生林の割合は23.8%
・植林の割合は7.5%
・残りの20.3%が、裸地や湖水、農地や住宅地など。

ニュージーランドは、もともとは、つまりマオリがニュージーランドを発見したころは国土の85%が森林(原生林)だったそうなので、国土の60%以上の面積に相当する森林(原生林)がなくなったということになります。森林(原生林)が開墾されて、牧畜や酪農のための牧草地へと変貌したわけです。

【註】ちなみに、FAOの国別・森林率推計(2013年)によれば、日本の森林率(国土に占める森林面積の割合)は68.5%、ニュージーランドのそれは38.5%。ニュージーランドでは原生林が伐採・開墾されすぎたので、植林をするようになった。FAOの森林の定義は少し広いのかもしれない。

ニュージーランド人と何度か仕事をしたことがありますが、農業や酪農といったものとはまったく無関係な分野だったし、その場所もニュージーランドからは隔たったところだったので、ヒトの数よりヒツジの数が多い国の人という以上の印象はありませんでした。性格の温和な人が多そうだというのがその時の印象です。

しかし、こういうタイプの、つまり、MBAの教科書に載っているような合理化・効率化の方向とは位相のずれたタイプの原価や経費の削減方法に長けているとは意外でした。ただ、原生林の相当部分を消滅させ続けてきたツケ(たとえば、山から森林がなくなると近隣の海は痩せる)がどうなっているのか、酪農との帳尻合わせという意味で、気になるところではあります。

北海道も明治以降、森林が開墾されて畑地になりました。現在進行中のものや、開墾されて間もない畑地もあります。以下(『・・・』部分)は、数年前(2009年5月)にぼくが書いた「北海道東北部の開墾地」に関する雑文から一部を引用したものです。ぼくにとってはいいものを見たという意味で印象的な光景でした。

『タマネギで有名な北見市から石北峠に向かう道路は、無加川(むかがわ)という川に沿って伸びていますが、この道路に沿って、正確には川に沿って、いかにも開墾地という光景が広がっています。どれほど前に開墾したのでしょうか。バスの窓から見た景色です。川の名前は、その場で、手元の地図で調べました。

奥行きが60~100メートルくらいの幅の畑作地が川に沿って、程よい区切りをつけながら、延々と続きます。畑作地のすぐ向こうは、高さ10メートルくらいの白樺の密集した林です。白樺林を切り倒して、開墾したのでしょう。木を切り倒すのは勢いでできそうな気もしますが、残った木の根っこを掘り起こして耕作地にするには結構な量の作業と忍耐が必要だと思われますが、その忍耐の量が伝わってきます。

そのようなことをぼんやりと考えながらバスに揺られていると、まさに今開墾中の区画が現れました。木は切り倒してありますが、木の切り株はまだそのままです。開墾を中止して打ち捨てられた一画かなとも思いましたが、そこだけが別扱いということは、その一角までの、そして、周囲の雰囲気からしてなさそうです。1~2ヵ月後にはできたての耕作地になっていることでしょう。』

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2016年3月 1日 (火)

米麹(こめこうじ)雑感

我が家では米麹(こめこうじ)をよく使います。米麹を使うのは、タクアン作りや味噌の寒仕込みといった特定の時期だけではありません。

まず「べったら漬け」。地元の大根が流通している季節で、涼しい時期や寒い時期は、米麹が必需品です。「べったら漬け」を作るからです(北海道の大根の旬は6月から10月、冬は雪の下に貯蔵した「雪の下大根」が流通)。暑い季節は「糠漬け」、涼しい季節、寒い季節は「べったら漬け」が日常的な我が家の漬物の棲み分け図です。

「べったら漬け」は北海道ではあまりポピュラーではないのですが(つまり、隣近所でそれを作る主婦や女性をほとんど見かけない)、準備プロセスがちょっと面倒くさいのがその原因かもしれません。「べったら漬け」には「甘酒」が必要です。甘酒は「米麹」で作りますが発酵させるので、いくぶん時間がかかります。

その工程は以下の通り。

・うるち米をお粥(かゆ)にする。
・お粥を60℃に冷ます。
・そこに麹(こうじ)を入れて混ぜる。
・そのあと60℃で10時間発酵する。
・甘酒ができ上がる。

こうして作った甘酒は、上品ですがけっこうな甘さになる。コメというものが持っている本来の甘さを実感できます。

さて、タクアンや味噌の仕込みの時期には米麹が大量に店頭に並びますが、時期を外れると店頭からさっと消えていきます。米麹は他の用途にも使えるので多めに買い、使うまでは小分けして冷凍保存しておきます。

他の用途とは、塩麹や醤油麹のことです。生の魚や生の鶏肉・豚肉などの下味付けといえば、塩麹や醤油麹が便利です。これは一年中使える。塩麹や醤油麹を作るのにも米麹が不可欠です。

だから、多めに購入し保存してあってもすぐに足りなくなる。そういう場合は、地元の麹屋さんに北海道産米を原料にした業務用の乾燥麹を別途、注文することになります。業務用なので一定量以下では買えませんが、その一定量も我が家のような使い方をしていると一年以内に確実に消費しつくします。

蛇足ですが、流通網を流れる発酵食品は、殺菌という目的のためと、出荷後にそれ以上発酵して味が変化しないように、製造の最後の工程で高い熱を加えて発酵を止めてあります。雑菌も死にますが、同時に麹菌や乳酸菌も死んでしまいます。だから麹菌を利用した加工食品に限りませんが、乳酸菌食品や乳酸菌飲料なども乳酸菌が元気に活動しているのを食べたい方は、自宅で作るのを好まれるようです。

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黒米をわずかに混ぜて桜色にした夏の甘酒。ちなみに、甘酒は夏の季語。
 
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2015年11月13日 (金)

マーケティングの基礎部分の地味なお手伝い

配偶者もぼくも北海道フードマイスターなので、その資格保持者だけを対象にした案内がフードマイスターの管理運営組織からメールや紙媒体で定期的に届きます。案内の内容が、北海道産の食材や調味料も含むところの加工食品のマーケティングの地味なお手伝いである場合には、都合のつく限り、二人で参加するようにしています。交通費も自腹のお手伝いで、つまり手弁当です。

マーケティングのお手伝いといっても、消費者目線や流通目線で対象食品を評価し意見を提供することが主な内容です。当該食品を気に入ったか、味はどうか、パッケージングは魅力的か、見た瞬間に棚から手に取ってみたいか、食品添加物に不安感・違和感はないか、値段は適当か、それを実際に購入したいか、実際に購入するとしても「北海道物産展」のようなイベント空間なら購入するのか、それとも日常生活で繰り返し購入してもよいという意味で購入するのか、食品提供者はどういう顧客層を想定しているのか、自分の消費者感覚と照らし合わせた場合そういう顧客層は本当にいるのか、食品提供者の想定している以外の顧客層は存在するか、そう思う場合それは誰か、自分で買いたい場合も含めて供給者が想定している流通チャネルへの消費者のアクセスは簡単か・・・などなど。

生産量が少ないので、せっかくのおいしくて良質な商品も大きな流通チャネルからの引き合いには対応できない、というのは醸造食品などの蔵元によく見られる事態ですが、そういうことが議論される場合もあります。

今まで参加したのは、職業や経歴や背景がさまざまな10人の北海道フードマイスターが、特定の食品製造会社の特定の商品(群)について2時間程度で、当該商品を手に取り試食をし、そのあと開発や営業の担当者といろいろ討議するといった性格のものでしたが、先日は30社の食品がそれぞれのブースに並んでいる「『北の味覚、再発見!!』展示・試食・商談会」という小規模ですが歴史の長い催し物に出席しました。

参加した北海道フードマイスターは都合に合わせて午前の部と午後の部に分かれ、それぞれが数個のブースを受け持ちブースで味見し食品担当者と話し、あるいは話し込み、感想や意見や評価をワークシートに書きこんでいきます。

個別商品の詳細にはここでは触れませんが、初めて口にした加工食品について感想をひとつ。牛乳の豆腐です。

牛乳ではなく豆乳を乳酸菌で発酵させたのが「豆乳ヨーグルト」ですが、「牛乳豆腐」はその逆のパターンです。つまり、搾りたての牛乳にニガリを打ち、柔らかい豆腐状に仕立てたもの。豆乳ヨーグルトは、自分で豆乳を作るか豆乳をお店で買ってくるかは別にして、一般家庭でも好みの植物性の乳酸菌保有媒体を使って作れますが、牛乳豆腐は酪農家でないとまず不可能。酪農農家は、以前からひそかに自家製牛乳豆腐を楽しんでいるらしいです。牛乳豆腐は、どうも、即席和風チーズですね。

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2015年9月 7日 (月)

顔が見える農家、生産や栽培の日常が見える農家

数年間ほど、ラグビーボールかアメリカンフットボール用のボールを小さくしたような形のミニトマトを大きめのプランターで作っていたことがあります。このミニトマトは背が高くなるタイプで、そういう環境だと上へ上へと伸びていく茎とのお付き合いは趣味のアマチュアにはなかなかにやっかいでした。旬の間にある程度の数を確保するのは比較的簡単でしたが、どうも味に深みが出ません。

我が家に限ったことではないのですが、たいていのアマチュアは味が期待に達しなくても、我慢して自家栽培ミニトマトを毎日食べます。だから、その時期は、ミニトマトの生産農家の販売量がその前後よりもやや落ち込むことになるそうです。「おいしくてもまずくても、自分の作ったものは食べますから。」ミニトマトの大きな生産農家と話をしていた時に出た話題のひとつです。

近所の二年ほど前から野菜の品ぞろえが良くなってきたある小売店の野菜売り場には、近隣農家で生産されたご近所野菜のコーナーと、別の近隣農家が栽培した有機野菜のコーナーがあり、赤いミニトマトも一人用ないし二人用のパック詰めや家族向けの袋詰めが並んでいます。商品ラベルにはカタカナ表記の生産者名も含めた生産農家の名前がそれぞれ「墨痕鮮やかに」印刷されてあるので、農家の名前と野菜の種類と味の組み合わせが、消費者のデータベースにだんだんと蓄積されていきます。

お気に入りの農家のミニトマトを朝食用に購入しました。甘くて、味が濃い。洗ってヘタを取り、いくつかを縦に二つに切れば、それだけで朝のサラダになります。

北海道や九州には有機農産物の生産者の組合があります。それぞれに得意な農産物と得意な季節があるので、不足分はお互いに都合しあっています(たとえば、レンコンや里芋)。そこの農産物を買うと、箱の中には必ず組合員であるところの農家の紹介レターが入っており、そのペラものでその農家の得意な農産物や農産物生産に関する考え方や栽培方法へのこだわりなどがわかります。 

面白いのはある農家の放し飼いの鶏の卵。10個入りパックが購入単位なのですが、その厚紙製のパックの中に、月替わりの小さなニューズレター(大きさからするとニューズメモ)が入っていて、そこには、カボチャの季節には自分で栽培しているカボチャくずを、基本飼料以外に、いっぱい食べさせるので卵の黄身はオレンジ色に、コメを多めに食べさせる時期には黄身は白っぽくなる、といったことが鶏の様子の簡単な描写と一緒に書かれています。

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