きのこ・筍

2017年3月 8日 (水)

酒の肴には、「きのこ」の蒸し焼き

半日ほど天日干しした原木栽培の「生しいたけ」の軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態 (upside-down) で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて味わうと、じつに陶然とした心持になります。酒の肴に最適です。
 
それに近いことを採りたての「エリンギ」で試してみました。採りたてというのは、正午に収穫したのを午後7時に食べたという意味です。写真が収穫直前のエリンギの様子。産地直送という言葉がありますが、蒸し焼きにしたエリンギは、工場直送というか、正確には見学会で訪問した「きのこ」工場からの直接持ち帰りです。
 
エリンギ全体をしっかりと手で支えながら、もぞもぞと動かして生育ベッド(容器)から取り外し、収穫が完了。透明な袋に詰めて自宅に持って帰りました。
 
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縦に食べやすい大きさに切ったエリンギを蒸し焼きし、軽く塩をふり、スダチもユズもない季節なのでレモンで代用(瀬戸内の国産レモンは12月から1月が旬)。それでもある程度陶然とした気分になります。酒はぬる燗の純米酒。

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2017年3月 6日 (月)

「きのこ」の工場

松茸は自然に生えているのを採ってくる(しかない)ので別格の領域の「きのこ」だとしても、ぼくたちが普段よく食べる種類の他の「きのこ」はたいていは工業生産対象品目です。原木栽培の「しいたけ」は手工業という雰囲気がありますが(もっとも、原木栽培は「原木」が福島原発事故で発生した放射性物質に汚染されてその生産量は激減しました)、菌床栽培の「しいたけ」「しめじ」「えのき」「エリンギ」「まいたけ」などは相当に自動化された工場でつくられる工業生産品に近い。そういう印象です。
 
ある企業の苫小牧の「きのこ」工場を見学する機会があったので、先週の土曜日に参加してみました。窓のない二階建ての建物がいくつか広がる工場敷地に入ると、そのあたりに「きのこ」の匂いが充満しているのにすぐに気づきます。
 
「きのこ」の生産工程は大きく二つに分けると培養工程と生育工程ですが、当初想定していたよりも収穫までには日数がかかるようです。「ぶなしめじ」が90日、「エリンギ」が45日、「まいたけ」が35日。1ヶ月くらいで回転しているものだと思っていましたが、勘違いでした。けっこう日にちが必要です。
 
工場内はたしかに工業製品の自動化工場に近いイメージです。しかし、話を聞いていて分かったのは、「きのこ」という生きものが相手なので、「標準的な『きのこ』製品」を作るためには、生育段階における酸素や温度や湿度や光のコントロールにけっこう人間の感性による微調整が必要だということです。
 
部品の標準化が十分に徹底していないころの日本の生産技術のひとつにベテラン職人の感性を活用した「擦り合わせ」というものがありました。それぞれ微妙に違う部品を「擦り合わせ」ることによって、標準仕様・標準機能をもった最終製品に仕上げていくという職人技術です。「きのこ」の生産、とくに生育工程のなかで「規格内」製品にそろえるためには職人の感性を活用した仕上げプロセスが不可欠のようです。
 
菌床栽培とは「きのこ」の菌を「床(ベッド)」で育てることですが、その工場では「培養ベッド」に「コーン・コブ・ミール」を使っているそうです。「コーン・コブ・ミール (Corn Cob Meal)」とは、トウモロコシの穂軸の粉末、つまり、トウモロコシの実をとってしまった後の芯を乾燥させて細かく砕いたもの、のことです。下の写真だと、透明な容器の中に詰まっている薄茶色のものがそれです。
 
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「そのトウモロコシは国内産ですか、北海道のトウモロコシも含まれますか?」という質問には、「外国からの輸入です。国内産ではまかなえません。タイから輸入しています。米国などから輸入する方が簡単ですが、遺伝子組み換えでないトウモロコシが欲しいので、タイ産のコーン・コブ・ミールを使っています。」
 
アジアのB-to-B市場向けの取引サイトなどを覗いてみると、中国やタイ、ベトナムやインドネシアなどで作られたコーン・コブ・ミールがけっこう売りに出されています。有意義な見学会でした。
 
やや古いデータですが、米国と世界の遺伝子組み換え(GM)作物の作付比率は以下の通りです。ご参考まで。
 
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2015年5月 8日 (金)

木の芽

山椒(さんしょう)の若芽を木の芽と呼びます。山椒は小粒でもぴりりと辛い、の山椒です。野菜売り場では、プラケースや経木(きょうぎ)の箱に入れて売っていることが多いのですが、ポットに土付きで販売していることもあります。ポット入りに出合ったので、いちばん元気そうなのを選んで買ってきました。

季節の間は香り調味料として利用し続けるために、大きな素焼きの住居に移し替えます。

日常の和風料理には不可欠な素材で、吸い物、豆腐、白味噌と混ぜて木の芽味噌、それを使った筍(たけのこ)の木の芽和えなど使い途は多いです。

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上が木の芽。下は「ぴりりと辛い」山椒の実(ご参考まで)。

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2014年1月 6日 (月)

慈姑(くわい)は丸ごと焼いて食べるに限る

慈姑(くわい)は、いつの頃からか、お正月料理限定の食材になってしまいました。誰かマーケティングの上手でもいたのかもしれません。調理法は、たいていは、芽を大切にした八方剥きの煮物です。それはそれでじつに微妙な味わいで美味しいのですが、それだけではもったいない。

消費需要がお正月前に集中します。供給側もそのあたりに出荷のピークを合わせるのでしょう。短い時期に需給が逼迫するので、慈姑農家にとっては結構なことですが、決して安い食材ではありません。収穫時期はお正月を挟んでもっと長いはずなので、僕のような慈姑好きには残念ではあります。

僕のいちばん好きな慈姑(くわい)の食べ方は、丸ごと焼いて、それに塩をつけて食べることです。配偶者もこの食べ方が気に入っているようです。その味は、たとえてみれば、わかりやすい甘さの全くないところの柔らかい焼き栗(くり)で、大人向きの微妙な甘さと苦さが混淆しています。

オーブンで180℃、30分。熱が通り香ばしい感じになったら、オーブンから取り出し、熱いので芽の部分を指でつまむようにして持ち、塩をつけてそのまま食べます。皮も何もそのまま全部です。渋い味わいを堪能できます。焼いた丸ごとを最大に楽しもうとすれば、一緒に日本酒です。

簡素で野趣のある酒の肴を二つだけ選べと云われたら、この丸ごと焼いた慈姑(くわい)と、原木栽培のシイタケの蒸し焼き(半日ほど天日干しした生シイタケの軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて食べる)を、僕は推奨します。(慈姑の時期と供給量が限られているように、原木栽培のシイタケも、もともと生産量が少ないうえに最近は原木の放射性物質汚染で入手が難しいのが残念ですが・・)。

慈姑(くわい)の味を表現する際のたとえにした栗なるものにはなんの興味もないので、だから、栗は、栗きんとんでもマロンクリームでもマロングラッセでもなんでも全部女子供に任せるので、その代わりに、1月の終わりくらいまでは、穏当な値段の慈姑(くわい)を買ってきて(そういうのが売り場にあればの話ですが)、丸ごと焼いたのを酒の肴にもっと食べたい。

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慈姑(くわい)の生産は、その90%が福山(広島県)と越谷(埼玉県)に集中しています。京都では生産量はわずかですが京野菜のひとつです。我が家で、年末から年始にかけて煮物と丸焼きにしたのは、広島県で栽培されたものです。

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2013年4月24日 (水)

島根産の原木で育てた乾しシイタケ

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ある野菜などの宅配サービス業者の商品紹介に以下のようなものがありました。おそらく、このチャネル以外でも、よく売れていると思います。

「『島根産 乾ししいたけ』島根産の原木のみを使用。肉厚で調理に便利な香信(こうしん)」

シイタケには形状の違いで「どんこ(冬菇)」と「こうしん(香信)」の2種類があり、2種類といってももともとは同じものですが、こんもりと丸いのが「どんこ」、傘が開いたのが「こうしん」。寒い時期にゆっくりと育てると「どんこ」になる確率が高いそうです。どちらも生のものと乾燥させたものが手に入りますが、乾燥して傘の表面がきれいにひび割れた「どんこ」がいちばん値が張るようです。しかし、乾燥した「こうしん」もおいしい。

「原木栽培のシイタケが窮地」で書いたように原木栽培のシイタケが、あいかわらず続く放射性物質汚染で窮地に陥っています(関連記事は「迷ったら食べものは安全サイド(2013年・春)。原木栽培のシイタケは外気の下で、クヌギやミズナラなどを「ほだ木」として使う天然に近い栽培方法なので、「ほだ木」も、その「ほだ木」で育ったシイタケも被曝します。「ほだ木」は必ずしも地産地消ではなく、主要生産地から各地に流通するので、それを知っている消費者は原木シイタケに対して慎重です。

だから、そういう時期に「『島根産 乾ししいたけ』島根産の原木のみを使用。肉厚で調理に便利な香信(こうしん)」というような商品が登場すると、シイタケ好きな料理人や主婦は買わずにはおかないはずです。

原木栽培の生シイタケの蒸し焼き(半日ほど天日干しした生シイタケの軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態 <upside-down> で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて食べる、そういう簡素で繊細で贅沢な蒸し焼き)を、そういえば、けっこう長い間食べていません。当分の間無理だと思います。

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2012年5月 8日 (火)

原木栽培のシイタケが窮地

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すべての原木栽培がおいしいというつもりはありませんが、原木栽培と菌床栽培のシイタケの香りや味わいの違いを納得しようと思ったら、半日ほど天日干しした生しいたけの軸をカットし、短くなった軸の部分を上にした状態 (upside-down) で軸に塩をのせて蒸し焼きにし、じわっとなった傘の内側にスダチかユズをかけて召し上がることをお勧めします。そのとき陶然とした気持ちにしてくれるシイタケとそうでないシイタケがあり、そこで原木ものと菌床ものの差があきらかになります。

原木栽培のシイタケが、あいかわらず続く放射性物質汚染で窮地に陥っています。

菌床栽培のシイタケやその他の菌床栽培のキノコ類は、空調施設完備の工場で、つまり常に快適な温度と湿度が維持された環境で周年(通年)栽培されており、だからほとんど工業生産品といえるかもしれません。

しかし、原木栽培のシイタケは外気の下で、クヌギやミズナラなどを「ほだ木」として使う天然に近い栽培方法なので、「ほだ木」も、その「ほだ木」で育ったシイタケも被曝します。福島第1原子力発電所から150キロ~200キロメートルも離れた原木シイタケ生産地域でも、「国の基準値」を超える放射性セシウムがあいかわらず検出されているようです。そういう場合は当然のことながら、出荷ができない。また、「ほだ木」は必ずしも地産地消ではなく、主要生産地から各地に流通するので、それを知っている消費者は原木シイタケに対してより慎重になっている。それも原木シイタケの事態を深刻にしています。(【註】キノコ類は放射性セシウムを蓄積しやすい。放射能汚染された食品例として、チェルノブイリ事故調査の時にもキノコはよく登場した。2012年4月からの「国の基準値」は、シイタケが一般食品と同じで100ベクレル/kg、原木そのものは50ベクレル/㎏。)

現在、測定結果を公表して検査済みの原木栽培シイタケを出荷しているところは、僕の知る限り非常に限られています。原木シイタケの安全・安心を測定データで伝えることがなかなかできないので、消費者の財布は、外気被曝のない(あるいは、ほとんどない)地域で生産された菌床栽培シイタケにだけその口を開くことになる。

原木シイタケの生産量は国内のシイタケ生産量全体の18%くらいです。つまり、原木シイタケ生産者は付加価値の高い農産物を自分の商品として選択した人たちです。だから、同じシイタケといっても普及品の菌床栽培に切り替えることはなかなかに難しい。かりに切り替えたとしても、同じ場所でシイタケを栽培している限り、大気の流れは露地も工場も一緒に包み込むので「きれいな」シイタケを栽培することが難しい。他の付加価値農産物の生産がそこで可能でも、同じ場所で露地栽培を継続するなら、あいかわらず放射性物質を運んできている(と、原木やシイタケの検出結果から判断できる)大気の流れを、その新しい付加価値農産物も避けようがない。従って、残る選択肢は、他所へ移住して農業を続けるか、現在の場所で農産物生産以外の仕事に就くか、あるいは自分でそれを始めるか。

放射性物質汚染で窮地に陥った原木シイタケ生産者を支援するには、損害賠償の処理を速めることが緊急に必要だと思われますが、肝心の賠償支払いのプロセスが停滞している。

当分の間は、原木栽培のシイタケの蒸し焼きで陶然とした気分になることが難しそうです。

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2012年2月14日 (火)

「ドライトマト」と「干しえのき」

野菜やシイタケに限らず、干した食材をよく使います。天日干しすることにより旨味が増すからです。保存も効く。

日本で生産されるトマトのほとんどはそのまま食べておいしい生食トマトです。サラダなどによく使われるし、ミニトマトなどは子供のお弁当の華になる。熱を加える調理を前提としたイタリヤやトルコやカリフォルニアの加工用トマトとは、栽培の方向が少し違う。だから、日本でのトマトビジネスの本業は、生のトマトの生産と販売。付加価値を出そうとすると、たいていは、生の良さを生かした方向のトマトジュースに進むようです。そして、トマトジュースの延長線上に、次の段階の付加価値商品としてトマトピューレやトマトケチャップが出てくる。地中海性気候のトマト産地のようにドライトマトを作るのが目的でトマトを生産しトマトを干すという発想は稀薄です。しかし、例外はあります。

規格外トマトや熟しすぎたトマトを捨てるのはもったいない。それらを捨てずに付加価値商品を作り出そうということでドライトマトを製造しているトマト産地が日本にもあります。大玉トマトを10等分程度にカットしてドライトマトにしているのが熊本、ミニトマトをとても薄くスライスして乾燥させているのが愛媛。ともに生食トマトが原料でそれをそのまま上品に乾燥させたものなので、外国産の地中海性気候のドライトマトとは外見もパッケージ形態も食味も違います。欧米の女性と日本の女性が違うくらいに違う。

商品地図にしてみると、以下のような具合です。

Photo

実際の商品の写真は、左が大玉トマトのドライ(熊本)、右がミニトマトのドライ(愛媛)。パスタ料理やスープにはそのまま両方使えるし、ドライトマト・パンにも両方使える。ただし、大玉トマトの方はパンの時には小さくカット。

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     大玉トマトのドライ              ミニトマトのドライ

最近、ある野菜売り場で配偶者の荷物持ちをしている時に見つけたのが、「干しえのき」。キノコの「えのき」を乾燥させたもので、北海道産です。干しシイタケはおなじみですが、干しえのきは初めてでした。直感がおいしいに違いないと言ったので、配偶者に声をかけ、購入しました。

干しシイタケと違って戻さなくてよい。そのままで結構いい出汁が出る。トッピングのように少し載せるだけでうどんの具材のひとつになるし、味噌汁の具にもなる。賞味期限は常温保存で10か月。日持ちがするので便利です。

北海道の占冠(しむかっぷ)村の産。占冠(しむかっぷ)村は南富良野の南に位置する山村で、フキ・わらび・うどなどの数多くの山菜が自生しており、キノコ栽培も盛ん。

最近の料理する主婦の好む流れのひとつが「手間がかからない」「簡単で便利でおいしい」。この「干しえのき」は最初の商品認知のプロセスをうまくこなせば、その流れに乗れる可能性が高いと思います。下がその写真。

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               干しえのき

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2011年10月19日 (水)

原木栽培の原木、菌床栽培のオガ

日本の「きのこ」の中で我が家でいちばんのお気に入りは「シイタケ」です。マツタケは高いので食べないとしても、他のおいしい「きのこ」にはホンシメジやブナシメジ、エノキ、エリンギなどがありますが、いちばん使い勝手がいいのがシイタケかもしれません。もっとも、洋風料理にはいわゆる茶色や白のマッシュルームということになりますが。

乾(ほし)シイタケも生のシイタケもどちらも好みです。しかし、どちらにせよシイタケはやはり原木(げんぼく)栽培に限ります。菌床(きんしょう)栽培だと日本では、ごく一部を除けば、生シイタケしか商品化されていません。菌床栽培の生シイタケは原木栽培の好きな人には物足りない。これは懐との相談になりますが、味と香りと食感を求めるなら、購入数量を減らしても原木栽培でしょう。

シイタケには形状の違いで「どんこ(冬菇)」と「こうしん(香信)」の2種類があり、2種類といってももともとは同じものですが、こんもりと丸いのが「どんこ」、傘が開いたのが「こうしん」。寒い時期にゆっくりと育てると「どんこ」になる確率が高いそうです。どちらも生のものと乾燥させたものが手に入りますが、乾燥して傘の表面がきれいにひび割れた「どんこ」がいちばん値が張るようです。しかし、乾燥した「こうしん」もおいしい。

乾シイタケの主要生産地は九州で、生産量の多い順に、大分、宮崎、熊本、それから愛媛と岩手。生シイタケは主要生産地がとびとびで、多い順に、徳島、北海道、岩手、そして群馬、栃木と続きます。なお、国内生産量は乾シイタケが平成21年に3,597トン(乾燥シイタケなので軽い)、生シイタケは平成21年の国内生産量が75,016トン(林野庁統計)。

原木栽培とは、クヌギやナラといった広葉樹を一定の長さに切りそろえたものに穴をあけそこにシイタケ菌を植え付けると、木が菌の栄養分となってシイタケが育ちます。菌床栽培はクヌギやナラの丸太を使うのではなく、栄養添加物を加えたオガ(おが屑のオガ)がシイタケ菌の寝床になります。

原木やオガはシイタケ栽培の必需材料ですが、シイタケ農家が必ずしも自己生産・自家調達できるとは限りません。シイタケ栽培農家が自己所有の裏山でクヌギやナラを調達できればよいのですが、原木の自己調達比率は40%、菌床(オガ)の場合は自家生産比率は49%です(平成21年、林野庁統計)。つまり、原木はその60%、オガは51%がどこか他の地域から購入されていることになります。

シイタケの好きな家庭は、今後しばらくは、去年までとは違った商品選択や意思決定が必要かもしれません。

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2011年6月16日 (木)

人間が心地よい気温、野菜が元気な気温

日中の気温、あるいは最高気温が20℃を超えると、たとえばそれが週末の午後なら1時間ほどぷらぷらと散歩でもしてみるかという気分になります。20℃未満だとそういう気持ちは湧いてきません。5月中旬~下旬から育て始める紫蘇やエゴマやトマトも同じで、日中の外気温が20℃未満だと元気がなく生きることに興味なしという風情、しかし20℃を幾分かでも超えはじめると背は伸び始め、葉は突然大きくなり、まあ、現金なものです。

ということから、僕は勝手に20℃をヒトや野菜などの活動「閾値」(いきち、あるいは、しきい値)と考えています。人と野菜も生き物なので温度のような基本的なものに対する感性にとくに差があるわけではないというプリミティブな考え方です。

ちなみに、札幌と日本の主要各都市の月別【最高】気温(1981年から2010年までの平均値)は以下のようになっています(「さっぽろお天気ネット」より)。日曜のぶらぶら散歩に向いた時期は、札幌では6月から9月、5月と10月はその日の天気によってということです。

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春夏野菜も同じで5月下旬から10月上旬までが元気な期間といえそうです。北海道の代表的な野菜や果物(それから、キノコ類も)の旬の時期をその期間と重ねあわせてみると以下のようになります。

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キノコは秋の味覚で、だから天然のものしかないマツタケや天然もののシイタケは秋が収穫時期です。しかし、マツタケを除くと、キノコ類は今はいつでも野菜売り場に並んでいて、ホンシメジのようなものを別にすれば各種が手軽に楽しめる価格帯のものばかりです。

シイタケには原木栽培と菌床栽培があり、原木栽培はミズナラなどを「ほだ木」として使う天然に近い栽培方法なので周年栽培とはいきませんが、菌床栽培のシイタケやそれ以外のキノコ類は、空調施設完備の工場で、つまり常に快適な温度と湿度が維持された環境で周年(通年)栽培されており、だからほとんど工業生産品といえるかもしれません。野菜農家が、工場栽培とまではいかないまでも暖房の効いたハウスで、春夏野菜が終った寒い時期の収入源として商品ポートフォリオのひとつに菌床栽培のシイタケなどを組み入れるといったことが実際によく行われています。

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2011年4月14日 (木)

露地物のシイタケ

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露地物(ろじもの)のシイタケとは、原木(げんぼく)栽培のシイタケのことです。

野菜売り場の一角には発砲スチロールかなんかのお皿にパックされたシイタケがおそらく毎日並んでいると思いますが、そこに行くと原木(げんぼく)栽培のシイタケと菌床(きんしょう)栽培のシイタケの2種類が目につくはずです。たしか平成18年から原木栽培か菌床栽培かのラベル表示が義務付けられたと記憶しています。

キノコは天然栽培のマツタケなどを除くとほとんどが人工栽培ですが、人工栽培には原木栽培と菌床栽培があり、原木栽培とは、伐採した広葉樹(原木)の木の養分と水だけで屋外でキノコを育てる天然に近い栽培方法、菌床栽培は空調設備のある施設内で、おがくずに栄養分を混ぜ込んだものでキノコを育てる方法です。原木栽培をしているキノコは、今ではシイタケくらいです。エノキやナメコなどの他の人気キノコは、まず菌床栽培。

だから、原木栽培は手間がかかり重労働、菌床栽培の方が楽で栽培効率が良い。しかし、味はとうぜん原木栽培で、原木栽培のシイタケを蒸し焼きしたのを塩とスダチ(ないしユズ)で食べると相当に幸せな気分になれます(詳しくは「原木栽培の生シイタケ」)。

日本全体での原木栽培のシイタケの生産比率は15%~20%、菌床栽培は80%~85%。

福島県の一部の地域で、露地物の原木シイタケから基準値を超える放射性物質が検出されたので出荷停止になったそうです。新聞記事などによれば福島県の露地栽培(原木栽培)のシイタケの比率は福島県全体の2%くらいという話ですが、放射性物質は、露地物の原木栽培のシイタケを汚染したら、近所の菌床栽培の施設内にもえり好みせずに忍び込むので、両方作っている農家は、両方を処分しているとのことです。お気の毒ですが、しかたないと思います。

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