2017年11月14日 (火)

札幌のイチョウ並木

北海道大学のイチョウ並木は「どうだ」というような押し出しの良さで豪華だけれど(「北海道大学とイチョウ並木とマーケティング」)、前日の雨でなかば散ってしまったこの通りのイチョウ並木も捨てがたい。こちらのほうのやや控えめな風情が好きなかたも少なくないと思います。
 
北海道大学のイチョウがその黄色をまわりの空間にまき散らしているころ、この通りのイチョウはまだ緑の葉をつけていました。こういう種類による時間差があるので、イチョウの秋を近隣で順番に比較的長い間満喫できます。
 
この通りのイチョウから黄色が消えてしばらくしたら、白いものが枝に積もる季節に入ります。
 
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2017年10月25日 (水)

近所の秋と街の稜線

稜線(りょうせん)とは、峰から峰へと続く線、山の尾根のことです。しかし、街にも稜線(りょうせん)があり、複数の建物の屋根の連なりや、オフィスビルが連続するなかで街の稜線を楽しむこともできます。ビルとビルの間に適度な空間があり、ビルの高さが暗黙の了解で調和している場合には、夜明け前や夕刻の稜線は美しい。昼間も、建物の稜線を背景に、街路樹や植物園の樹々を前景にすると、場所によっては、構図のきれいな秋の札幌を堪能できます。
 
札幌市内も、ここ数年はその中心部に高層のオフィスビルや高層の集合住宅が次々と現れるので、地方経済的にはご同慶の至りですが、穏やかだった街の稜線に乱れが生じてきました。街の稜線設計家、稜線管理係といった職業でもあって、そういう職業が機能していれば別ですが、そういうことは起こりそうもありません。
 
ずいぶんと以前、東京では新宿の十二社(じゅうにそう)通りが好きだといった香港生まれの中国人がいました。その理由を聞くと、その一画は東京らしくなく、建物の高さがそろっているからだと答えました。
 
台風が急に雪を連れてきたので、短い秋を覚悟したのですが、雪は一日だったので、札幌はゆったりとした秋です。落葉樹の葉の色づきが少し加速されたくらいの影響にとどまりました。街の稜線がだんだんと楽しめなくなったので、眼は街路樹に向かいます。秋の木漏れ日が気分をなごませてくれます。
 
Photo

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2017年7月10日 (月)

2年ぶりの遊歩道のサクランボ

この、実桜(ミザクラ)や桜桃(オウトウ)と呼ばれる樹には、去年はどういうわけかまったく実がならなかったと記憶しています。街路樹の一本として植わっているだけで、サクランボ農家のように手入れがされるわけではないので、どの年に実をつけるかは決めていないのかもしれません。あるいは、1年おきと決めているのかもしれない。
 
果物コーナーでパック詰めの地元のサクランボが目立つようになったので、ひょっとしてと、その樹の下に潜り込んで上を見上げたら、赤いサクランボが眼に入りました。この時期のサクランボ園のそれとは違い、鈴なりからはほど遠い状態なのですが、順番に数えていくとそれなりの数にはなります(すぐ下の写真)。地面にはわずかしか落ちていません。
 
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2年前、その樹に登ってサクランボを採っていた小学生の女の子3人組から、「おじさん、わたしたちもう食べきれないから、残ったのをあげる」とお裾分けをいただいたことがあります。市販のものに負けない味でした。それが下の写真(もらったのを洗った直後)。
 
Photo 2年前に女の子からもらったサクランボ
 
今年は彼女らに会えないかもしれません。小学校高学年だった女の子のその後の2年間は、たとえば母親というような存在からのじわじわとした圧力もあるので(「女の子でしょう」)、彼女らに、もう木登りをしない年齢になったと思わせるには十分に長い時間です。
 

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2017年6月20日 (火)

遊歩道の白樺

札幌駅から隣の駅まで、風情のある遊歩道が続いています。途中、自動車道路に横切られて信号待ちなどする個所もいくつかありますが、春から秋にかけては種類の違う緑がいっぱいでその横や下を気持ちよく散策できます。
 
JRが鉄道を高架にするときに、以前に地上に線路があったあたりを樹木の多い遊歩道にしたらしいのですが、歩くときに伝わってくる設計者の意図がぼくは大好きです。札幌駅に近い方から順に「紅葉の道」、「さくらの道」、「木の実の道」、そして「白樺の道」の4つの区画があり、案内板の内容を引用すると、各区画の樹木類は
 
■「紅葉の道」は「イタヤカエデ・カツラ・ヤマモミジ・アカナラ・ツツジ・ニシキギ」
 
■「さくらの道」は「エゾヤマザクラ・ソメイヨシノ・ヤエザクラ・ウツギ・ツツジ」
 
■「木の実の道」は「ナナカマド・イチョウ・ヤマグワ・エゾノコリンゴ・ニシキギ・ハマナス・アキグミ・エゾニワトコ」
 
■「白樺の道」は「シラカバ(並木)」
 
となっています。つまり、札幌の落葉広葉樹の優美と絢爛を季節に応じて堪能できます。下の写真は、先週末午後の「シラカバ並木」の一本です。雪の降り積もる時期は楽しくありませんが、それ以外は週末の散策目的にかなった遊歩道だと思います。
 
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2017年6月12日 (月)

楡(ニレ)という落葉広葉樹

札幌は他の都市と比べて緑や樹木が多い町ではありません。中心街のすぐそばが低い山ですし、緑や街路樹の豊かな地域もありますが、かたよりがあって、平均的には緑や樹木は少ない(と、思います)。街路樹に多いのは、イチョウ、ナナカマドやニレのような落葉広葉樹です。雪の多い地域では、樹木は葉が落ちる種類でないと冬が越せません。
 
札幌駅から徒歩で10分くらいのところに「北海道大学植物園」があります。大学の植物園らしく研究用の草本園もありますが、ぼくがこの植物園を好きなのは、開園以前の原生林をそのまま保存してあるからです。そこには、原生林の面影を色濃く残すハルニレやイタヤカエデ、ミズナラ、ハンノキ、ドロノキなどの落葉広葉樹林が広がっています。この植物園の落葉広葉樹林の中に佇んでいるとほっとします。東アジアの照葉樹林文化がぼくにも強く刻まれているに違いない。
 
写真はハルニレ(春楡)の樹です。英語だとエルム(Elm)。背の高い樹で葉は暑い時期には鬱蒼と茂ります。その日は、遅い午後に影が長く伸びて二本の美しいシルエットになりました。
 
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2017年5月17日 (水)

新しい緑と古い緑

街路樹の柔らかい新緑が楽しめる時節になりました。写真は「エゾモミジ」です。この時期の樹々の緑色はその色合いが日々変化するので、ぼんやりとしているとその柔らかさをめでる頃合いを逃がしてしまします。
 
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小さい鉢に入っていたのを買ってきて、鉢を大きなものに取り換えながら8年以上お世話になってきた観音竹(「竹」という名前がついているがヤシ科の植物)を先日、処分しました。定期的に間引きはするのですが、成長力が強いので鉢の容量が限界のようです。葉の先の様子から判断すると根詰まりを起こしているに違いない。
 
これ以上大きい鉢は重くてぼくの手に負えないし、葉の掃除も大変なので、思い切って処分することにしました。頑丈なタイプの剪定鋏でバシャっバシャっと切っていきます。頃合いの大きさと長さに切りそろえて、燃えるゴミにしました。
 
今まで観音竹があった場所は何もない空間になりました。その空間を別の何かで埋めるか、それとも余分なもののない見通しのよさを、さらに、楽しむか。
 
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2017年4月20日 (木)

赤紫の樹の芽と、黄緑の樹の葉

この二日間雨が降り続きました。外を歩く人間は傘とコートが必要なのでちょっとうんざりですが、発芽準備中の樹々にとっては歓迎の降雨です。雨の結果、植物園や街路の樹々は汚れがとれてきれいになり、芽の数を急に増やし始めました。遠目には赤紫のぼんやりとしたかたまりが急にいくつも空中に浮かんできたと映ります。
 
あと10日もすれば、その赤紫が一斉に黄緑に変化するのですが、気の早いのは、下の写真の左半分のように、他との横並びなどは眼中になく、すでに、いつのまにか赤紫の芽を黄緑の葉に変えています。
 
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芽を葉に変える、芽が葉に変わると書きましたが、ぼくたちは、たいていは、寒い冬が暖かい春になり、赤紫のかたい芽が柔らかい黄緑の葉になるというように、時間の均等な連続性に基づく変化を自然に(あるいは勝手に)意識しています。だから、上の写真のような景色を目にすると、右半分の赤紫には現在であると同時に現在のなかの過去を、左側の黄緑には現在であると同時に現在の中の未来を見ることになります。
 
しかし、そうでないものの見方もあります。緑の葉は緑の葉として、昏いところから常に新しく顕れ続けるのであり、赤い芽が葉になるのではない。春は春として形のない潜在態から瞬間瞬間に新しく生まれ出ているのであり、冬が春になるわけではない。刺激的な見方です。そういう見方でこの写真の光景を眺め直したりもします。

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2016年3月 8日 (火)

北海道は、まだ、光りの春

午前6時より前に空が明るくなり始めるのを見るのは嬉しいものです。春の接近を実感できるからです。そういえば、さる教養溢れるオバサンから「利口ぶって漢字を書き散らかしているけれど、学識の程度はまだまだね」と揶揄されたある平安時代のオネーサンも、春はあけぼの、と書きました。春は光に宿るようです。札幌のような冬の長い場所では、とくに陽の光に敏感になります。

ある農業グループが、消費者直送の農産物に添付するために発行している2月21日付のニューズレターの中に以下のような一文がありました。「2月は光の春と言われるように、日差しも明るく、日も長くなってきましたね。畑はまだ雪の下でも、苗の準備はもう始まります。」

その農業グループとは関係のないあるトマト農家のトマト苗の栽培スケジュールは、たとえば以下のようです。春が光に宿りはじめる2月と3月から苗の栽培が始まります。

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下の写真は2月下旬の朝の様子ですが、雪が降り積もったばかりなのでまだ冬というのか、それとも朝の光にはすでに春が現れているといるのでもう春と呼ぶのか。

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2015年11月30日 (月)

家庭でも便利な「まな板削り」サービス

我が家で現在使っている幅の広い方のまな板は横幅が44㎝で厚さが3㎝のヒノキの一枚板です。毎日使っていると、しっかりと手入れをしていても(だから、黒ずむなどと云うことはないのですが)、やがて、平らで滑らかで安定した木の広がりの上で食材を切るというまな板の基本機能にも限界が近づいてきます。畳だけでなくまな板も新しい方が気分が良いので新品に買い替えるのもいいのですが、畳も表替えするように、まな板も表面を削るとなじんだ板の寿命が延びます。

そういうサービスを札幌市内の遠くないところで納得のいく料金で提供しているところはないかとさがしていたらありました。しかし、下に引用した宣伝文句に見られるように業務用まな板の表面削りをやっているところです。

「まな板のメンテナンスが利用される理由はここにあります。
 ・新しいまな板を買うとまた経費がかかる・・・
 ・洗ってもキズが深くて汚れが落ちない!
 ・保健所が入ったら困る・・・」

思い切って電話をかけてみました。家庭で使っているまな板でもやってくれるのかどうか。こういうのは配偶者ではなくぼくの方が得意です。男の声だったので先方はてっきり業務用だと思ったみたいです。

通常は料理店などに出かけてその場で削るそうですが、家庭用はそうはいきません。朝、自宅までまな板を(おそらく何かのついでに)引き取りに来て、その日の夕方までには作業場で削って新品同様になったのを届けてくれます。料金は横幅が44㎝だと全部で(削り代金+引き取り&お届けサービス)2,700円(消費税込み)です。新品の値段が4,000円~5,000円以上くらいならメンテナンスの意味があります。業務用需要でけっこう忙しいらしく、作業は一週間後でした。

まな板は、檜(ヒノキ)や榧(カヤ)の一枚板でないとどうも落ち着きません。

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2015年9月 2日 (水)

少し智恵が足りないかもしれないシンジュ(神樹)

たくさんのタネ(種)をつけるのは植物としてはいいことですが、その自分のタネがぶら下がるところの自身の枝の強さに無頓着でタネをふさふさにつけすぎてしまうという不思議な傾向が、「シンジュ」という落葉広葉樹にはあるようです。

台風の間接的な影響で強い風の吹いた日の翌日に、シンジュのタネが枝付きのまま、地面の草むらにいっぱい落下しているのを見つけました。写真は小枝ですが、もっと大きな枝ごと地面に横たわっているのもあります。これではタネは竹トンボになれません。シンジュ(神樹)という大げさな名前(Tree of Heavenの翻訳名だそうです)の割には、少し智恵が足りないようです。もう一つの控えめな名前のニワウルシ(庭漆)の方が向いています。

しかし、本当は不思議な傾向ではなく、タネの生存率を計算しつくした上での意識的な枝ごとの落下かもしれません。言葉を換えれば、自然を利用した自発的な間引きです。タネが多すぎるので、この程度の風で落下してしまうような弱いのは、落下しても仕方ない。強いのを竹トンボの候補として残す、そういう作業のひとつだと考えると、まあ、納得がいきます。しかしそう考えても、どこか無駄なことをわざわざやっているという雰囲気があって、やはりちょっと変わった落葉高木(こうぼく)です。

関連記事は「続・緑色のシンジュの種、あるいは、竹トンボのもとがいっぱい」と「緑色のシンジュの種」。

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