2018年4月25日 (水)

アピオスという油がいっぱいの小さなイモ風野菜

ご近所野菜のコーナーに「アピオス」があったので買ってみました。完全無農薬栽培と表記してあります。「アピオス」は無農薬栽培に向いているみたいです。
 
「アピオス」とは、最近は割にポピュラーな小イモ風の野菜ですが、マメ科に分類されています。原産地が北米のつる性植物で、肥大した根茎を食べます(写真)。最初に青森県に入って来たらしい。ポピュラーといっても、我が家で食べるのは今回が初めてです。
 
塩茹でして、野菜サラダの食材のひとつとして、たとえばアスパラやレタスの隣に並べるとおいしそうです。皮ごと茹でます。
 
茹でるときは端の固い部分だけ切り落とします。ホクホク感があり、上品な甘さです。確かに野菜サラダに向いた食材でした。パッケージには素揚げもお勧めとあります。素揚げだとビールが進むに違いない。お好みでどうぞ。
 
調理後は、鍋と包丁とシンクが「アピオス」の油でベトベトになるのでご注意ください。調理時に、知らずに、無理に皮を剥こうとすると手と包丁が油で悲劇的な状態になるかもしれません。でも、美味しいです。
 
Photo
           調理前のアピオス
 
ある種苗会社のの説明をそのまま借用すると、「アピオス」は「北米原産のマメ科ホドイモ属の植物です。つる性植物で小芋が土のなかで育ちます。花は芳香のある紫色の花を咲かせます。根は1~2mと長く、数珠つなぎのように3cm程のラグビーボール形小芋をたくさんつけます。つるは2.5mほどに伸び、緑のカーテンに向きます。」

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2018年4月 2日 (月)

味噌汁と具

朝は味噌汁です。味噌汁は、味噌と出汁と具が決め手ですが、味噌は自家製で、現在使っているのも常滑焼の甕で3年以上寝かせたものです。1年くらいだと若い。2年経つとそれなりに落ち着いてきます。しかし、3年間熟成した旨みにはかなわない。出汁はよく寝かせた市販の干し昆布を丁寧に引き、(ス―プストックという言葉に倣えば)出汁ストックを作っておきます。
 
味噌汁は具の選択が悩ましい。
 
基本は海藻や野菜やキノコですが、海藻はたとえば乾燥ワカメなどはストックしておけるし、シメジのようなキノコも今は工場の通年生産品なので簡単に手に入ります。味噌汁の旨さは味噌と出汁のコラボなので、具にはワカメや豆腐などがあればそれで十分で、それ以上は味の邪魔という考え方があります。説得力がある考え方ではあるのですが、しかしそれだけではもの足りません。季節を運んでくる野菜がいっしょに欲しい。
 
だから、季節に応じて、近所の野菜売り場や地元の野菜通販で手に入るものが具になりますが、基本は地産地消。でも、地産地消という考え方にこだわっているのではなく、地元に美味しい野菜があるので結果としてそうなっているというわけです。しかし、畑が寒さに覆われ、雪に埋もれてしまう冬は、雪の下ダイコンや雪の下ニンジン、あるいは雪の下キャベツなどの越冬野菜を除けば、地元の野菜はなくなってしまうので、そういう場合は、温暖な地域の味噌汁向きの野菜に我が家まで旅をしてもらう。
 
余計なことですが「地産地消」というのはよくわからない言葉です。「地」をどの程度の地理的な広がりと考えるかで、「地」の範囲は大きく変わってきます。歩いて1時間以内という「地」もあれば、「札幌近郊」というのも「地」、北海道も「地」、日本も「地」、地球も「地」です。最初に地産地消を言い出したひと、あるいは、なんとなく地産地消と言っている人たちにとって「地」とはなにかを聞いてみたい気もします。
 
この1年はめぐる季節に応じて入手可能な「野菜」をつぎつぎと試してみました。味噌汁の具としての向き不向きはありますが、思いつくままに書き並べてみると、小松菜、大根、絹サヤ、スナップエンドウ、カボチャ、タマネギ、さつまいも、ジャガイモ、モヤシ・・。
 
カボチャはおいいしいけれど、ぼくには甘すぎて味噌汁の雰囲気が壊れてしまう。モヤシは季節の隙間で他に何もないときは最後の手段として便利ですが、味噌汁が青っぽく、水っぽくなる。美味しい小松菜や絹サヤ、タマネギあたりが落ち着きがいいようです。
 
キノコ類は、定番のシメジやナメコ以外に、最近は「木耳(キクラゲ)」を楽しんでいます。
 
201804 
白い木耳(白キクラゲは漢字では「銀耳」と書くそうです)
 
 

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2018年3月 7日 (水)

種子法の廃止

「種子法(主要農作物種子法)」という、一般にはあまりなじみのない法律が来月に廃止されます。
 
「主要農作物種子法」は、第二次世界大戦後の食糧の増産のためには、優れた穀物種子の生産・普及は国・都道府県が主導して進める必要があるという趣旨で昭和27年に制定された法律で、その対象は「稲・麦・大豆」です。しかし、平成30年(2018年)の4月に廃止されます。
 
農林水産省のウェブサイトから、廃止の背景と理由をまとめた資料を以下に引用します。
 
201804__
 
この資料にある民間ノウハウというのは、どこの国のどういう民間のノウハウを指しているのか判然としませんが、要は、この法律の存在意義がなくなったということのようです。
 
「米(コメ)」は別にしても、下のグラフ(ソースデータは農水省「食料需給表」)からわかるように、「種子法」の66年間の存在にもかかわらず、あるいは「種子法」の存在とは関係なく、「小麦」も「大豆」もその自給率は継続的にとても低い。
 
うどん用の小麦はほとんどがオーストラリアなどからの輸入だし、大豆も国産大豆の国内大豆消費量に占める割合は、数%程度です(ただし、豆腐や納豆や味噌として食べる食品用の大豆の自給率は20%くらいあります、あるいはわずか20%しかないとも言える)。外国産大豆は、大部分が遺伝子組み換えなので、食品用でもそういうタイプの大豆が大量に輸入されています。

つまり、この法律は、制定目的の遂行のためには、あまり役には立たなかったみたいです。
 
__2013
 

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2018年1月30日 (火)

ついでに、白味噌

2018年の手前味噌は「玄米麹の味噌」でしたが、普通の味噌(ここでは白味噌との対比で赤味噌と呼びますが)の製造途中で、ついでに白味噌を作ってみました。白味噌は、西京(さいきょう)味噌とも呼ばれる甘い風味の簡易熟成の味噌です。デパ地下では「鰆(さわら)の切り身の西京漬け」などを売っている。
 
赤味噌用に大豆を茹でてミンチしたのを、50℃になるまで冷やしている間にその一部をもらいます。ミンチしたのが250gくらいだともともとの大豆(の乾燥重量)は100gなので、それと200gの「白米麹」、および、30gの塩、それに大豆の煮汁を200gを入れて混ぜ合わせます。甘い白い味噌なので、麹は「白米麹」で、その量は大豆の2倍です(赤味噌は、大豆と麹が1対1)。
 
混ぜ合わせたのを、60℃で8時間ほど発酵させます。そういう発酵のための便利な電気式の容器が世の中にはあって、普段は、我が家では甘酒づくりなどでも愛用しています。そうすると白味噌の出来上がりです。容器に移して、冷蔵庫で保存します。
 
赤味噌と違って味噌汁などに毎日使う味噌ではないので、下の写真程度の量が二つあればけっこう重宝します。
 
20180127 ミキサーにかける前
 
201801
      ミキサーにかけた後の白味噌
 

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2018年1月29日 (月)

2018年は玄米麹で味噌づくり

今年は大豆は例年通り北海道産の有機栽培大豆、麹(こうじ)は数年ぶりに島根産の有機玄米麹、塩はいつものミネラル分の多い自然海塩です。大豆は4kg、麹も4kg、塩は1.8kg(塩は大豆ないし麹1kgに対して450g)。我が家の1日の大豆処理量は、鍋などの事情で最大2.5kgなので、1日に2kgずつ、週末の2日間を使って味噌づくり(の最初の段階)を完了しました。
 
北海道の大豆には「音更大袖(おとふけおおそで)」「トヨムスメ」「トヨコマチ」「ユキホマレ」「ゆきぴりか」などがあります。北海道の大豆は、味噌・醤油・納豆には向いていますが、豆腐向きではありません。豆腐がふわふわと柔らかい。普通に硬くしようとすると豆乳がいっぱい要るので値段が高くなる。豆腐適性(固まりやすく硬い豆腐ができる)は、九州生まれの「フクユタカ」や長野生まれの「エンレイ」にはかないません。しかし味噌や納豆となると話は違ってきます。
 
玄米麹は、白米麹よりも、味噌の香りがいい。コクも出るので、長期熟成向きです。2013年2月に仕込んだ玄米麹味噌は、少しずつ、まだ楽しんでいます。おいしい。
 
下の写真は、塩切りした(つまり、塩と混ぜ合わせた)玄米麹。これと、ミンチした茹で大豆(蒸し大豆がいいのだが、一般家庭では無理)を混ぜ合わせて、味噌玉をつくります。(味噌玉については【味噌づくりの工程】参照)
 
__20180126
 
甕に詰め、ゆっくりと熟成させるために、3年間は暗冷所で寝かせます(最初の天地返しは、6か月後)。おいしく食べるのは従って、2021年の春以降ということになります。
 
以下が「味噌づくりの工程」。工程そのものは、シンプルです。
 
【味噌づくりの工程】
 
・大豆と麹と塩を用意する。その割合は、大豆が1kgの場合、大豆1kg、麹1kg、塩450g
 
・よく水洗いした大豆を前の晩から底の深い大鍋で十分に水に浸しておく
 
・その大豆を柔らかくなるまで、吹きこぼれに注意しながら、煮る(プロは大豆を蒸しますが、自宅では量が多い場合は蒸すという作業は無理)
 
・モノづくりの工程にはクリティカルパスというのがあるが、我が家の味噌作りのクリティカルパスは、鍋で煮るという工程。深い大鍋を総動員しても一日の最大処理量は大豆2.5kg。だから作業量は一日2kgまでとする
 
・熱で柔らかくなった大豆をミンサーにかけてミンチにする(ミンサーは強い焼酎で雑菌消毒しておく)
 
・米麹と塩を、大きなボールなどで上述の割合できれいに混ぜ合わせたのを、並行して用意しておく(塩は一部分、後の工程のためにとっておく)
 
・大豆のミンチを、麹菌が活発に活動できる50℃まで冷ます
 
・その大豆と米麹と塩を混ぜ合わせる
 
・味噌玉をつくる
 
・度数40度以上の強い焼酎で雑菌消毒した甕(我が家は常滑焼)に、次々に味噌玉を投げ入れる(こうすると空気が中に入らない。酸化防止になる)
 
・全体を平らに整える
 
・とっておいた塩を薄くかぶせ、大きめに切った幅広の干し昆布をその上に敷く(干し昆布を敷くのは、北陸地方の智恵。それを拝借。こうするとカビない。昆布の風味も楽しめる)
 
・重石をかける(我が家では、常滑焼の大きめの中蓋を重石にしている)
 
・上蓋をする
 
・大きめのポストイットに、大豆の投入量や麹の種類、仕込み年月日などを書き、上蓋に貼り付ける
 
・天地返しまで、暗冷所で静かに寝かせる
 
・天地返しで、発酵中の味噌の天(上)と地(下)を混ぜ合わせ、甕全体の発酵状態を平準化する(発酵に偏りが出ないようにする)
 
【以上】

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2017年11月17日 (金)

ココアは発酵食品

 
「我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。」のココアゼリーがここでの話題です。
 
我が家のゼリーのベースは「寒天」(かんてん:テングサとオゴノリが原料)です。寒天を水で煮溶かしたものに、甘みをつけたコーヒーやココアを混ぜて、軽く熱を加えながらゆっくりと混ぜて、ゼリーを作ります。それを、たとえば、食べやすいサイズのガラス容器に順番に注いで、冷蔵庫で冷やせば、出来上がりです。
 
_ 寒天
 
寒天は食物繊維がいっぱいだし、甘みを抑えた寒天ゼリーなので、中年以上のデザートには向いていると思います。
 
ココアが発酵食品なら、そこには酵母、乳酸菌、酢酸菌などの微生物が生きているはずです。今回、ココアゼリーの甘味付けには黒砂糖を利用しました。ココアに黒砂糖を加えて、かき混ぜました。黒砂糖は発酵微生物のゴハンになります。
 
はたして、しばらくすると、ぶくぶくとココア溶液が泡立ってきました(写真)。眠っていた微生物が活動し始めたようです。小学校の理科の実験みたいですが、なかなかに楽しかった。確かにココアは発酵食品でした。
 
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2017年11月13日 (月)

苦いチョコレートはおいしい発酵食品

ある食品会社の、あるブランド名のチョコレートには、カカオ濃度(製品中のカカオ分)が95%のものと86%のものと72%の3種類があります。
 
95%のものだと、チョコレート1箱(60g)のなかに含まれるカカオポリフェノールが2,088mg(2g)。糖質は60g中に7.0g。95%と86%と72%を食べ比べると、断然に95%です。95%には「非常に苦いチョコレートです」と注意書きがありますが、ぼくにはちょうどいい。86%や72%は甘すぎる。
 
95%チョコの商品パッケージの表に「1枚でポリフェノール174㎎ 1箱で2088㎎」と印刷してあるように、チョコレートには、フリーラジカル(活性酸素がその代表)と戦う抗酸化物質のポリフェノールが豊富に含まれています。(関連記事は「活性酸素と脂肪酸(その1)」)
 
カカオ100%のチョコレートを食べたことがありますが、100%となると、ほとんど健康食品の趣きです。でも、このタイプがお好きなかたは有力な継続購入者(リピーター)になるかもしれません。
 
チョコレートやココアはカカオ豆を微生物(酵母、乳酸菌、酢酸菌など)で発酵させて作った発酵食品です。チョコレートは発酵したお菓子として楽しみ、ココアは発酵した飲み物として味わいます(「チョコレート・ココアは発酵食品」 科学と生物 Vol. 49 No.8, 2011)。
 
我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。
 

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2017年11月 9日 (木)

納豆が人気だそうです

大豆を発酵させた加工食品(ないし調味料)には、日本では、味噌と醤油と納豆があります。納豆は、納豆菌で大豆を発酵させたものですが、インドネシアにはテンペというテンペ菌で大豆を発酵させた食べものがある。テンペのほうが納豆よりもクセ(臭いとネバネバ)がない。最近は国産テンペも手に入ります。
 
納豆とテンペを始めて目にした食文化の違う外国人がいるとします。さあ召し上がれと言われて、こんなものを食べて大丈夫なのだろうか、大丈夫だとしてはたしてどうやって食べるのだろうか、ということに関して躊躇と迷いが少ないのが納豆よりもテンペだと思います。
 
納豆が売れているそうです。「納豆の販売額が急成長している。全国納豆協同組合連合会(納豆連)の推計によると2016年の市場規模は、前年比16%増の2140億円と過去最高を記録。健康ブームに加え、国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さが、成長を後押ししている。国産の使用量は、3年で倍増した。」(日本農業新聞 2017年7月16日)
 
その人気は持続し「納豆の人気が高まり、2017年の消費額は過去最高を記録した16年をさらに上回る勢いとなっている。安くて栄養豊富な点が節約志向にマッチし、最近は高めの商品も健康重視の女性らに売れている。」(茨城新聞 2017年11月8日)
 
大豆は、どういう方法で調理されても、かつては健康食材とされていました。その背景には、グローバル市場のほとんどの大豆が、除草薬や殺虫剤への強い抵抗性を植え付けられた遺伝子組み換え大豆に移行したというわりに最近のビジネス事情がありました。その事情は現在も引き続き存在しています。大豆は健康食材という方向のマーケティングプロモーションなしでは、遺伝子組み換え大豆をグローバルに大量流通させられない、というわけです。
 
しかし、だんだんと食べものと健康の関係についての研究者や一般の人たちの知見が深くなるに従い、大豆は、健康食品から、たとえば反栄養素(サポニンやフィチン酸といった自然毒素であるところの反栄養素)を含んだできるだけ食べないほうがいい食材へと、その位置づけが変化してきました。
 
同時に、味噌・醤油・納豆のような大豆を発酵させた食品・食材はその限りではない、いやその逆だ、との認識も広がりました。長い発酵過程で反栄養素は大幅に減少するので消化システムに悪影響がないどころか、腸内の善良な微生物叢を活性化させるので発酵食品の良さをそのまま享受できるという認識の変化です。そこに、遺伝子組み換えでない国産大豆が加わります。
 
「国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さ」や「高めの商品も健康重視の女性らに売れている」ということは、消費者にそういう知見が広まってきて、つまりは、アジアの食文化の伝統的な知恵が再認識されているということです。けっこうなトレンドだと思います。
 
日本の家庭には、糠漬けやタクアンといった発酵食品が身近にあります。欧米で、ドイツ生まれのザワークラウトを楽しむのといっしょです。納豆の好きな「健康重視の女性」が糠漬けでも作り始めるともっといいのですが、どうなるでしょう。
 
ぼくの好きな納豆の食べ方は、塩と亜麻仁油です。亜麻仁油を軽くかけ、塩をパラパラと振って、よくかき混ぜて朝ごはんの時にいただきます。付属のタレなどは使わない。
 

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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2017年7月25日 (火)

自家製味噌の楽しみ

現在我が家で熟成中の味噌は、サイズの違いはありますが、甕(かめ)の数にして11個。大部分が常滑焼の甕です。一番古い仕込みが2013年2月のもの、それから2014年2月のもの、そして2015年の1月から3月にかけて仕込んだもの、いちばん新しいのは2016年3月に仕込んだものです。
 
熟成中の在庫が十分にあるので、特に2015年1月から3月にかけて作ったものが、我が家の消費量との関係で潤沢にあるので、今年(2017年)は作りませんでした。
 
味噌は2年以上寝かせたのを食べます。よく熟成させたのを味噌汁や酢味噌などに使うわけです。現在、使っているのは2015年1月に仕込んだもの、つまり2年半寝かせたものです。2年以上寝かせると角が取れてきます。まろやかになる。辛さに旨味がでます。
 
大豆は北海道産と決めてありますが、コメ麹は、年によって入手先が違う場合がありあます。無農薬栽培や有機栽培のコメ農家が手掛けたコメ麹を買うようにしています。コメ農家が自分でコメ麹を作ることは稀なので、その農家がそのコメを知り合いの麹業者に委託してコメ麹にしてもらったものが理想的です。しかし、必ずしもそういう具合にはいきません。
 
2013年ものには当分手をつけないと決めてあり(いちばんの楽しみはあとに残しておく)、順番からすると2014年ものを料理に使うはずなのですが、2015年ものがたくさんあるのと、2015年ものは特別注文風のコメ麹を使っているので、その仕上がりが気になっていたからです。
 
2015年ものは、2015年1月~3月の仕込みから1年後に天地返しをして、熟成具合を確かめてみたところ、思ったよりも発酵が緩やかでした。大丈夫かなと心配していたのですが、それから順調に発酵が進んだらしく(その麹の性格かもしれません)、丸2年が経過したときに様子を確かめてみると、匂いと色艶のすばらしい味噌ができあがっていました。これならすぐに食べても大丈夫です。しかし、しばらく熟成を続けてから食べ始めました。
 
今の甕が空になったら、次は2014年ものか、続けて2015年ものか、思案中です。

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