イモ類

2017年1月 5日 (木)

サトイモ(里芋)はやっぱりセレベス

このお正月に久しぶりに「セレベス」の薄味の煮つけを堪能しました。産地は鹿児島県。
 
イモにはいろいろな種類がありますが、世界での生産と消費の縄張りが広いものを三つ選ぶと、ジャガイモとヤムイモやタローイモということになります。サツマイモはマイナーな存在です。ジャガイモの原産地は南米アンデス山脈からメキシコ、ヤムイモやタローイモの原産地は東南アジアです。
 
イモは、日本では、その出身地ないし伝来の経由地が名前に残っているので愉快です。ジャガタラ(ジャカルタ、インドネシア)からやって来たイモなのでジャガイモ、薩摩から来たのでサツマイモ、その前は琉球なので琉球イモ、サトイモ(里芋)の一種であるセレベスはセレベス島(インドネシア)から渡ってきたのでセレベス。
 
和風料理には里芋です。和風飲み屋の定番で肉ジャガというのもありますが、ジャガイモは基本的に洋風料理が似合います。和風向きではない。タローイモは熱帯アジアの主食ですが、タローイモの栽培北限が日本で、そのタローイモのひとつが里芋です。
 
和風料理と相性のいい里芋をある基準で二つに分けてみます。ひとつは、「固くて、ぬめぬめしていて、下茹で(したゆで)が必要なタイプ」、もうひとつは、「柔らかくて、ぬめぬめが少なくて、下茹でが不要なタイプ」。ここで話題のセレベスは後者です。我が家はセレベスが好みですが、セレベスは残念ながら札幌だとなかなか手に入らない。
 
蛇足ですが、セレベスと別の種類の里芋の写真を並べてみます。
 
Photo 里芋( セレベス)
 
Non_tm セレベスでない種類

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2016年11月 7日 (月)

北海道産の「さつまいも」

恵庭(えにわ)という札幌のすぐ南側の地域で生産された「さつまいも」が並んでいたので少量を衝動買いです。北海道でさつまいもを生育している農家があることは知っていましたが、実際に小売店の棚で見かけたのは初めてです。焼き芋にして味を確かめたいと思い一袋だけ購入しました。
 
「鳴門金時」や「紅あずま」といった栽培の歴史があり名の知れた品種ではありません。「シルクスイート」という新しい品種です。ある種苗会社が2つの品種を交配させて開発し、2012年から販売を開始したそうです。焼き芋にして食べてみると、少し水っぽいくらい柔らかくて甘い。つまり、ホクホク感はない。その甘さは、鳴門金時が和三盆の甘さなら、シルクスイートは白砂糖の甘さです。
 
北海道ではイチゴも生産されています。先日、小売店の店頭で、温和な表情と懐かしい色合いの北海道産イチゴが穏当な値段で並んでいました。最近はブランド名のついた高付加価値イチゴが全盛で、そういうひどく高価なイチゴはいったいだれの口に入るのかと不可解なのですが、ぼくの見た北海道産イチゴにそういう不可解はありません。
 
クリスマスケーキに必要なイチゴは日本ではすべて輸入でした(なにしろ日本のイチゴ栽培ではクリスマスは季節外れなので)。しかし、できたら国産のイチゴを使いたいという需要は根強くあった。そういう需要向けに北海道産のイチゴが出荷されていきます。
 
北海道産の「さつまいも」にもそういう季節のイベントの引き合いがあるといいのですが、「鳴門金時」や「紅あずま」と収穫時期が重なっているので、なかなかむつかしいかもしれません(ちなみに、九州、四国など暖かい地域では9月~11月、中国、近畿、東海、中部、関東甲信越では9月下旬~11月中旬、北海道、東北、新潟、北陸のような寒い地域や高冷地では9月下旬~10月下旬くらいが「さつまいも」のおおざっぱな収穫時期)。
 
北海道では収穫できなかった「さつまいも」の「焼き芋」をまねたお菓子もあります。ただし、主原料は「豆」、「大福豆(おおふくまめ)」という名の白いインゲン豆です。最初に作った方はよほど焼き芋が食べたかったのでしょう。
 
インゲン豆関連の記事は「いんげん豆と大豆」、「碁石(ごいし)のような白花豆」。

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2016年9月 7日 (水)

台風とタマネギと農産物貨物列車

下の図は「朝日新聞デジタル」(2016年9月4日)のある記事から引用したものです。その記事は以下のような記述で始まっています。「台風10号の豪雨は、秋の味覚にも大きな打撃を与えた。ジャガイモなどの一大産地である北海道・十勝地方で農地が広範囲で冠水し、流通網も寸断された。食卓への影響が懸念されている。」
 
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北海道での収穫量・出荷量が多くて、かつ、北海道の全国に占めるその割合(シェア)が非常に高い野菜にはジャガイモ(シェア66%)、タマネギ(シェア61%)、カボチャ(シェア59%)、ニンジン(シェア32%)などがあります。
 
今回の複数の台風(7号・11号・9号・10号)で被害の大きかった十勝地方(帯広・芽室・音更・幕別など)や上川地方(和寒・名寄・富良野など)やオホーツク地方(北見・網走など)はそうした野菜の産地です。ニンジンのようにすでに出荷が始まっているのもありますが、これからが旬です(下の図参照)。
 
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(大根が囲まれていますが、特に意味はありません。)
 
北海道でタマネギ収穫量が、例年だといちばん多いのは北見ですが、その北見のタマネギ畑も相当が冠水してしまったそうです。全国2位の生産量を誇る佐賀のタマネギも今年は「べと病」というタマネギの成長を阻害する病気の影響で不作です。タマネギ好きの消費者としては、値段が高止まりしていてどうも落ち着きません。
 
北海道の鉄道流通網も打撃を受けています。道東から本州へ向かうJR根室線は複数の橋が流され、復旧のめどは立っていないらしい。タマネギやジャガイモなどを運ぶ貨物列車も運休しています。
 
ちなみに、北海道と青森をつなぐ青函トンネルは、新幹線専用ではなく、新幹線と貨物列車が共用しています。以前に書いたブログ記事「北海道新幹線の乗車率と他の新幹線の乗車率、羽田-札幌便の搭乗率」に次のような一節があります。
 
「青函トンネルを新幹線といっしょに通過する貨物列車はJR(JR貨物)にとって高収益ビジネスであるはずで、しかも、旬の季節には北海道の三大農産物であるところのジャガイモ・タマネギ・ニンジンなどの農産物が北海道から本州に臨時便で大量搬送されていく。だから、そういう意味では、新幹線は貨物列車の隙間を、貨物列車の速度で走らせてもらっていることになる。」
 
道央からの農産物貨物列車が運休中です。北海道新幹線は、当面は、青函トンネル内をいくぶんかの貸し切り状態で運行することになるのでしょう。

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2016年3月 2日 (水)

土付き野菜は人気がない、そして、そのひとつとしてのヤーコン

土のついた野菜はどうも人気がありません。だから、スーパーやデパ地下やコンビニの野菜売りに並んでいるのは、ゴボウも大根もニンジンもレンコンもサツマイモも、それぞれきれいに洗ってあります(あるいは、土がついていない状態になっています)。

しかし、土付き野菜がデフォになっている流通チャネルもあります。土がついたまま販売されている土付き野菜(といってもたいていは根菜類ですが)を思いつくままに書いてみると、ゴボウ、大根、ニンジン、ジャガイモ、里芋、それからヤーコンなどがあります。

土付き野菜を水洗いしようとすると、「(亀の子)たわし」がないと埒(らち)があきませんが、「たわし」を常備している家庭は、ぼくの知っている範囲では、主婦や世帯主の年齢に関係なく少ないようです。

ヤーコンはフラクトオリゴ糖やポリフェノール豊富な健康食品でもあるのですが、今ひとつ人気が出ない。ぼくも食わず嫌いだった頃を思い出して、その理由を調べてみると、

・日本での歴史が浅いのでなじみがない。日本に初めて導入されたのは1984年。北海道でも本格的に栽培が開始されたのは平成になってからです。だから、そもそも知名度が低い

・見た目がパッとしない。色も形もとても地味で野菜売り場で目立つ根菜類ではない

・土付き状態でないと傷んでしまう。しかし、土付き野菜は家庭では敬遠される

・薄切りにするとナシや大根のように瑞々しいのだが、ヤーコンに豊富に含まれるポリフェノール(つまり、アク)のせいで切ったあとすぐに黒くなる

・見かけは茶色いサツマイモだが、ヤーコンのおいしい調理方法(サラダ、ジュース、酢のもの、キンピラ、ケンチン汁など)は、サツマイモとはずいぶんと違う。「なんだこいつは、見かけ倒しだな」

ということになりそうです。

しかし、「亀の子たわし」が常備品であるところの我が家では、ヤーコンがお気に入りなので、細々と応援を続けるつもりです。こういうのを「食べて応援」と云います。

__btm 新しいタイプの「亀の子たわし」

2ea_a ヤーコン

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2016年2月29日 (月)

再び、ヤーコンは飽きない

たとえばゴボウのキンピラだと、使う調味料は、醤油と日本酒と味醂(みりん)です。ヤーコンをキンピラにする場合は、醤油と日本酒だけで十分です。味醂を加えると甘くなりすぎる。しゃきしゃき感も楽しめます。

甜菜糖(砂糖大根)が甘いのはオリゴ糖(種類はラフィノース)が含まれているためですが、ヤーコンにもオリゴ糖が含まれています(種類はフラクト)。

タマネギにもオリゴ糖が含まれており、生のタマネギをフライパンで時間をかけてキツネ色に炒めて作ったオニオンスープにはタマネギの自然な甘さが凝縮しています。モノの本で調べてみると、ヤーコン100gあたりのオリゴ糖含有量は多くて(8.0g)、タマネギの3倍近い。

いろいろと試してみると、写真のような焦げ茶のサツマイモ風からは想像できない実力、和風の料理への幅広い対応力を持っているようです。

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2016年2月25日 (木)

通信販売とジャガイモ

通信販売のトラブルに関するセミナーが札幌市内であったので参加しました 数十名の聴衆のうち、半分は地方自治体の消費生活センターなどに勤務して消費者支援業務に従事している専門家の方、あとの半分は通信販売が好きな(あるいは、好きだけれども何となく痛い目や疑わしい目に合ったことがあるかもしれない)消費者です。こういう組み合わせの聴衆を相手にする講師は、話しの焦点の合わせ方が難しいので大変です。

ぼくは、消費生活アドバイザーなので前者の一員ですが、通販なしの生活は、最近は考えられないので、後者の一員でもあります。通信販売(とくにカタログ販売)で面白いと思うのは、まずデパートなどでは売っていないもの、どこで買っていいのかわからないものを商品化してあることです。一例がリラックス・パンツ。休日に自宅で穿く楽なズボンです。腰回りにゴムが入っている。素材はコットン。冬用と夏用がある。体を締め付けない。こういうのは、デパートの部屋着コーナーでもお目にかかれない。商品企画力に感心します。

通信販売は、消費者保護のために特別にグルーピングされた特定商取引のひとつです。PCやスマホを使ってインターネットで本や衣類を買うのも通信販売、商品カタログで果物や各地の特産品を購入するのも通信販売ですが、他の特定商取引に該当する訪問販売・電話販売や英会話学校と違い、通信販売には、(たとえば8日間の)クーリングオフ期間というのがありません。消費者がその場で売り手・提供業者に焦(あせ)らされてよく考えずに、あるいはその場の切迫した雰囲気で買ってしまうのではなく、自分で時間をかけ納得してから注文するのでクーリングオフ(血が上った頭を冷やすこと)の対象外です。テレビ通販という通信販売の中には顧客の購買意欲の刺激という点でいかがわしいのもありますが(「今から10分以内にご注文いただけたら」云々、「これは本日限りの特別価格です」云々、など)、ここでは立ち入りません。

通信販売でいちばん多いのが、返品や交換のトラブルです。通販業者は、クーリングオフがないかわりに、返品や交換の条件をわかりやすく説明することが義務付けられています。

したがって、こういうセミナーで紹介の多い事例が、セット商品や掃除機・健康器具などの使い勝手(こんなに重たい掃除機は使いこなせない)に起因するトラブル、あるいは化粧品や健康食品を一度だけ買うつもりが消費者がそれと気づかずに定期購入になっていたというトラブルなどですが、ぼくはそういう事例紹介を聞きながら、ある農家直送の農産物にまつわるトラブルのことを思い出していました。

ジャガイモには、味や食感は別にして、剥きやすいジャガイモとそうでないジャガイモがあります。「インカの目覚め」というジャガイモは、その形状は「メイクイーン」の小型タイプですが、つるっとしていて皮が剥きやすい。一方、つるっとしていなくて、でこぼこなタイプのジャガイモは庖丁でもピーラーでも剥きにくい。

「男爵」や「メイクイーン」ようなポピュラーな種類なら共通の商品知識というのを前提にできますが、つるっとしていても想定していたよりもずいぶんサイズが小さいように見える、あるいは、つるっとしていると思っていたのに届いたのは剥きにくそうなでこぼこ風だった。通信販売で北海道の農家からはじめて買った種類のジャガイモがそのどちらかだと普通の消費者はいささかうんざりしてしまいます。だから、なかには「こんなのはジャガイモとは言わない。」という理由で返品を要求してくる消費者もいる。農家もそういう場合は農産物生産者としての矜持があるのでムッとなる。「そういうことなら、最初から近所のスーパーに並んでいるのを買ってくれたらよかったのに。」なかには「冷凍ジャガイモでも食ってろ。」とふてくされる農家もいるかもしれない。

だから、農産物によっては、たとえば、アスパラガスやメロンの様にサイズ別に価格をきちんと設定してある高価格農産物もありますが、丁寧に育てたとはいえ普通のカボチャやジャガイモとなると、農家直販の場合は、明らかな規格外は別としても、そういう管理は難しい。カボチャやジャガイモも場合は日持ちがするのでいいとしても、トマトやミニトマトとなると返品後の扱いがややこしい。だから「返品や交換の条件をまえもってわかりやすく説明しておく必要がある」というわけです。

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2016年2月15日 (月)

ヤーコンは飽きない

ある農産物がメイジャーかマイナーかは、それが消費の現場で農産物名一般(たとえば、コメ)だけで呼ばれているならマイナー、そうではなくて、個別の銘柄名(たとえば、ゆめぴりか、つや姫、それから、龍の瞳など)で呼ばれているならメイジャー、だろうと思います。

ジャガイモもヤーコンも、ともに南米アンデス生まれですが、たとえばジャガイモが、ただジャガイモという名前で野菜売り場に並ぶことは、北海道では、まずはあり得ない。男爵、メイクイーン、北あかり、レッドムーン、インカのめざめ、マチルダなどと表示していないと消費者は納得しない。親切に「ジャガイモ(北あかり)」とは書きません。ちょうど「魚(アジ)」と書かないのと同じです。しかし、ヤーコンは北海道でもヤーコンです。個別銘柄表示までには至りません。メイジャーとマイナーの違いが出ています。

しかし、我が家では、今やヤーコンがメイジャーで、ジャガイモがマイナーです。もともとジャガイモは我が家ではメイジャーではなかったのですが、そのマイナー化現象が顕著になってきました。理由は、ジャガイモは洋風料理向きで、肉じゃがのような和風もありますが、基本は油やバターがないと始まらないからです。

ヤーコンは和風料理向きです。我が家の定番であるケンチン汁の具に向いている。キンピラもおいしい。サラダでも楽しめる。カレーにも便利。煮崩れしません。ヤーコンは飽きない。

2ea_a ヤーコン

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2016年2月 3日 (水)

ヤーコンという不思議な根菜類は使い勝手が良い

このヤーコンという名のキク科の根菜類はサツマイモと間違いそうな形をしています。サツマイモは鳴門金時も紅あずまも赤紫色ですが、ヤーコンは、茶色からこげ茶色です。出荷は11月から2月。今が旬です。獲り立てよりも少し寝かせておいた方が美味しくなる。野菜売り場に、少しずつですが、毎日のように並んでいます。

中には、長芋ほどではないにしても長くなるのがあり(そんな具合にその農家が育成したのでしょう)、そういう場合は、レンコンや長芋やゴボウの切り売りではありませんが、一本を二つか三つに切った状態で袋詰めして売っている場合も多い。

ヤーコンはアンデス高原生まれで冷涼な気候を好みます。乾燥に強い。病害虫にも強い。日本での生産地は、北海道と香川、それから長野など。キクイモと同じで日本での生産地は思ったよりも広い。どうも全国区の根菜類です。ただしマイナーなのであまりというか、ほとんど知られていない。

香川県でヤーコンと云うので調べてみたら満濃(まんのう)池のある町で生産されているらしい。満濃池は空海が治水した灌漑用の大きな池です。乾燥に強いヤーコンの特性が活かされているのだと思います。

さて、どんな種類の根菜類かというと、大根とレンコンの両方の良さをいくぶんずつ兼ね備えたような感じの便利な食べものです。オリゴ糖が豊富なところは、砂糖大根(甜菜糖)に似ている。

生は水に軽く晒してサラダとして楽しめる。そのあたりは普通の大根と同じです。ケンチン汁の具としても重宝です。汁の熱が加わって美味しくなるところは大根に似ているとも云えるし、煮崩れしないところはレンコンに近いとも云えます。レンコンのキンピラはゴボウとは別種の捨てがたい味わいを持っていますが、ヤーコンはキンピラにも向いています。最初は配偶者もぼくも食わず嫌いだったのですが、だんだんと好きになってきました。

ヤーコンは皮が薄いので、タワシで泥を取り去る時に、あまりゴシゴシしないようにします。下の写真は、泥を水洗いしたすぐ後のヤーコンです。なお右側の写真は北海道有機市場のホームページからお借りしました。

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2015年3月23日 (月)

さつまいもとジャガイモ、雑感

「食料自給力」という指標といっしょに農林水産省から先日提示されたいくつかの食事メニューのうち、カロリー重視の「イモづくし献立」は、以下のようなものです。ぼくにはユーモアが感じられて結構面白い。(関連記事は「『貧乏人はイモを食え』という見出しでもつけてみますか?」) 

最近は戦争や戦前に傾斜した発言をする方も目立つので、この「イモづくし献立」は第二次世界大戦中やその後の食糧難だった時代を人々に思い起こさせる(あるいは調べさせる)農水省のブラックユーモアを兼ねているのかもしれません。

□朝食: お茶碗一杯のごはん、浅漬け2皿、焼きいも2本
□昼食: 焼きいも2本、サラダ2皿、粉吹きいも1皿
□夕食: 焼きいも2本、粉吹きいも1皿、野菜炒め2皿、焼き魚1切

焼きいもは「さつまいも」を焼いたものです。鳴門金時のような甘いさつまいもの焼きいもはホカホカおやつとしては最適ですが、朝・昼・夜と毎回ご飯がわりに2本ずつ食べることになると甘いがゆえに相当に辛い。ケーキやお菓子が主食といったタイプの女性は割に平気かもしれません。しかし、聞いてみないとよくわからない。70年代後半から人気のお米は甘い濃厚タイプが多いので、そのあたりの嗜好の変化をこの献立は組み込んでいる。もしそうなら面白い。

粉吹きいもは、茹でたあと火にかけて水気を飛ばした「ジャガイモ」を塩・胡椒などで味付けしたものです。甘い焼いもだけでは嫌になるのでいろいろと考えた組み合わせだと思いますが、「粉吹きいも1皿」ではなく「ジャガイモ1皿」という表現が独り歩きすると、おそらくラードで揚げたフライドポテトやバターやマヨネーズをいっぱいのせたジャガイモを食べる人が多くなるので、油脂類の消費が増え、このメニューの意図とは違った方向に行ってしまうような気もしています。

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2015年3月20日 (金)

「貧乏人はイモを食え」という見出しでもつけてみますか?

以前、といっても60年以上も前の話ですが、新聞の見出しの上では「貧乏人は麦を食え」という答弁をしたことになった大蔵大臣がいらっしゃいました。蛇足ですが、その麦とは麦ごはんに入れる大麦のことで、パンやケーキやお菓子に使う小麦のことではありません。

農林水産省が「食料自給率」と「食料自給力」に関して新たなガイドラインを出しました(2015年3月17日「食料・農業・農村基本計画(原案)」と補足資料)。食材の輸入を一切せず、国内の農地をフル稼働した場合に、どの程度の食料を供給できるのかを示すものを「食料自給力」と呼んでいます。ただし、現在、花やタバコを栽培している畑でも食べものを作るという仮定のもとでの話です。

要は、この数年間38%~39%で推移しているカロリーベースの「食料自給率」を50%にするのはとても無理でありその他の思惑もあって45%に引き下げたらしいのですが、それだけだとみっともないので、知恵を出したのでしょう。その知恵とは、「ともかく必要カロリーが摂取できたらいいじゃないの」という献立を国民の参考のために提示することで、管理栄養士がそれを見たら目くじらを立てて怒るに違いない以下のようなものです。揶揄するわけではありませんが、60数年前の大蔵大臣にならってひとことでいうと「日本人はイモを食え」あるいは「貧乏人はイモを食え」。

□朝食: お茶碗一杯のごはん、浅漬け2皿、焼きいも2本
□昼食: 焼きいも2本、サラダ2皿、粉吹きいも1皿
□夕食: 焼きいも2本、粉吹きいも1皿、野菜炒め2皿、焼き魚1切

焼きいもとは普通はサツマイモの焼きいもで、粉吹きいもの材料はジャガイモなので、ジャガイモの生産量がサツマイモの生産量よりも断然多いのだが両者のバランスは大丈夫かといったことはとりあえず気にしないことにして、要は、どうだ、というくらいイモを食べたらカロリー補給だけは大丈夫。だから、カロリーベースの食料自給率は100%を達成できるというわけです。肉や卵は舌が味を忘れない程度の頻度で食卓に出ることになっています。

ぼくの勝手な計算では、ぼくたちの食事内容をコメを増やすような方向で変化させ、同時に肉類と油脂類を減らしていけば、食料自給率50%は十分に達成可能ですが、肉とパンと油っぽい料理が好きな方にはうんざりするような選択肢です。しかし、そういう方でも、毎日がサツマイモとジャガイモよりはいいかもしれません。

イモといえば、数年前に「ジャガイモとオランダ人、あるいは世界の4大主食(その3)」という記事を書きました。オランダも日本と同じで(家畜のエサなどの輸入問題があり)穀物自給率がとても低いのですが、オランダ人の主食はパン(小麦)とジャガイモです。とにかくジャガイモをびっくりするくらいいっぱい食べる。そういうことを考え合わせると、今回の農林水産省の「イモづくし」献立は、ぼくには、それなりのユーモアが感じられて面白いと思いました。

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