ヘルシーエイジング

2017年11月17日 (金)

ココアは発酵食品

 
「我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。」のココアゼリーがここでの話題です。
 
我が家のゼリーのベースは「寒天」(かんてん:テングサとオゴノリが原料)です。寒天を水で煮溶かしたものに、甘みをつけたコーヒーやココアを混ぜて、軽く熱を加えながらゆっくりと混ぜて、ゼリーを作ります。それを、たとえば、食べやすいサイズのガラス容器に順番に注いで、冷蔵庫で冷やせば、出来上がりです。
 
_ 寒天
 
寒天は食物繊維がいっぱいだし、甘みを抑えた寒天ゼリーなので、中年以上のデザートには向いていると思います。
 
ココアが発酵食品なら、そこには酵母、乳酸菌、酢酸菌などの微生物が生きているはずです。今回、ココアゼリーの甘味付けには黒砂糖を利用しました。ココアに黒砂糖を加えて、かき混ぜました。黒砂糖は発酵微生物のゴハンになります。
 
はたして、しばらくすると、ぶくぶくとココア溶液が泡立ってきました(写真)。眠っていた微生物が活動し始めたようです。小学校の理科の実験みたいですが、なかなかに楽しかった。確かにココアは発酵食品でした。
 
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2017年11月13日 (月)

苦いチョコレートはおいしい発酵食品

ある食品会社の、あるブランド名のチョコレートには、カカオ濃度(製品中のカカオ分)が95%のものと86%のものと72%の3種類があります。
 
95%のものだと、チョコレート1箱(60g)のなかに含まれるカカオポリフェノールが2,088mg(2g)。糖質は60g中に7.0g。95%と86%と72%を食べ比べると、断然に95%です。95%には「非常に苦いチョコレートです」と注意書きがありますが、ぼくにはちょうどいい。86%や72%は甘すぎる。
 
95%チョコの商品パッケージの表に「1枚でポリフェノール174㎎ 1箱で2088㎎」と印刷してあるように、チョコレートには、フリーラジカル(活性酸素がその代表)と戦う抗酸化物質のポリフェノールが豊富に含まれています。(関連記事は「活性酸素と脂肪酸(その1)」)
 
カカオ100%のチョコレートを食べたことがありますが、100%となると、ほとんど健康食品の趣きです。でも、このタイプがお好きなかたは有力な継続購入者(リピーター)になるかもしれません。
 
チョコレートやココアはカカオ豆を微生物(酵母、乳酸菌、酢酸菌など)で発酵させて作った発酵食品です。チョコレートは発酵したお菓子として楽しみ、ココアは発酵した飲み物として味わいます(「チョコレート・ココアは発酵食品」 科学と生物 Vol. 49 No.8, 2011)。
 
我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。
 

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2017年11月 9日 (木)

納豆が人気だそうです

大豆を発酵させた加工食品(ないし調味料)には、日本では、味噌と醤油と納豆があります。納豆は、納豆菌で大豆を発酵させたものですが、インドネシアにはテンペというテンペ菌で大豆を発酵させた食べものがある。テンペのほうが納豆よりもクセ(臭いとネバネバ)がない。最近は国産テンペも手に入ります。
 
納豆とテンペを始めて目にした食文化の違う外国人がいるとします。さあ召し上がれと言われて、こんなものを食べて大丈夫なのだろうか、大丈夫だとしてはたしてどうやって食べるのだろうか、ということに関して躊躇と迷いが少ないのが納豆よりもテンペだと思います。
 
納豆が売れているそうです。「納豆の販売額が急成長している。全国納豆協同組合連合会(納豆連)の推計によると2016年の市場規模は、前年比16%増の2140億円と過去最高を記録。健康ブームに加え、国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さが、成長を後押ししている。国産の使用量は、3年で倍増した。」(日本農業新聞 2017年7月16日)
 
その人気は持続し「納豆の人気が高まり、2017年の消費額は過去最高を記録した16年をさらに上回る勢いとなっている。安くて栄養豊富な点が節約志向にマッチし、最近は高めの商品も健康重視の女性らに売れている。」(茨城新聞 2017年11月8日)
 
大豆は、どういう方法で調理されても、かつては健康食材とされていました。その背景には、グローバル市場のほとんどの大豆が、除草薬や殺虫剤への強い抵抗性を植え付けられた遺伝子組み換え大豆に移行したというわりに最近のビジネス事情がありました。その事情は現在も引き続き存在しています。大豆は健康食材という方向のマーケティングプロモーションなしでは、遺伝子組み換え大豆をグローバルに大量流通させられない、というわけです。
 
しかし、だんだんと食べものと健康の関係についての研究者や一般の人たちの知見が深くなるに従い、大豆は、健康食品から、たとえば反栄養素(サポニンやフィチン酸といった自然毒素であるところの反栄養素)を含んだできるだけ食べないほうがいい食材へと、その位置づけが変化してきました。
 
同時に、味噌・醤油・納豆のような大豆を発酵させた食品・食材はその限りではない、いやその逆だ、との認識も広がりました。長い発酵過程で反栄養素は大幅に減少するので消化システムに悪影響がないどころか、腸内の善良な微生物叢を活性化させるので発酵食品の良さをそのまま享受できるという認識の変化です。そこに、遺伝子組み換えでない国産大豆が加わります。
 
「国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さ」や「高めの商品も健康重視の女性らに売れている」ということは、消費者にそういう知見が広まってきて、つまりは、アジアの食文化の伝統的な知恵が再認識されているということです。けっこうなトレンドだと思います。
 
日本の家庭には、糠漬けやタクアンといった発酵食品が身近にあります。欧米で、ドイツ生まれのザワークラウトを楽しむのといっしょです。納豆の好きな「健康重視の女性」が糠漬けでも作り始めるともっといいのですが、どうなるでしょう。
 
ぼくの好きな納豆の食べ方は、塩と亜麻仁油です。亜麻仁油を軽くかけ、塩をパラパラと振って、よくかき混ぜて朝ごはんの時にいただきます。付属のタレなどは使わない。
 

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2017年9月22日 (金)

ブロッコリーやカボチャは硬めに蒸して

なんというのか、底に小さい穴がたくさん開いた白い陶器の皿、かりにそれを蒸し皿と呼ぶとします。その蒸し皿を、落し蓋も兼ねるステンレスの蒸し台の上に載せて、蒸します。対象は、ブロッコリーやカボチャ。
 
蒸した野菜は、硬めの仕上がりがおいしい。全体に熱がよく通っているのだが、少し歯ごたえがある状態。パスタのアルデンテです。ボーとしていると、その状態を逃がしてしまうので、注意深く付き合います。
 
カボチャなら小さめのひときれ、ブロッコリーなら小さく切った茎の部分を齧ってみたら、もう大丈夫なのか、あと少しか、わかります。
 
白い陶器の蒸し皿を取り出し、それがスポッと収まる白い陶磁器の皿上に載せます。ドレッシングは自家製の塩麹。ご飯の時だけでなく、小腹がすいた時のおやつにもなります。
 
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2017年9月21日 (木)

マグロの赤身とトロ

札幌市内のデパートの魚売り場では、ときどきは、大間や戸井など津軽海峡をはさんだ漁港で獲れたクロマグロを解体販売しています。値の張る上物は築地に流れていきますが、頃合いの手ごろなサイズが穏当な値段で地元の消費者に届けられるということです。同じ津軽海峡のクロマグロですが、漁港のブランド格差が値段にきちんと反映されています。
 
こういう解体販売で面白いのは、大トロは別にして、赤身も赤身とトロの中間も、それから中トロも、それぞれの切り身にほぼ同じ値段の値札がついていることです。さて、どれにしましょう?
 
厚生労働省の健康維持基準では、DHAおよびEPAの目標摂取量は1日1g(1,000mg)以上が望ましい、となっています。下の表は「日本食品標準成分表」から、ぼくたちにおなじみの「青魚」のDHAとEPAを抜き出したものです。
 
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クロマグロ一人前の量を80gとして、クロマグロの赤身でその量を摂取しようとすると、サプリメントの広告で頻繁に使われているメッセージになります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(赤身)で例えると約9人前以上」。
 
「クロマグロの赤身」でなく、「脂身、すなわちトロ」(ここでは中トロか大トロかの区別はとくには気にしない)なら0.3人分、生で食べられるサバは手に入りにくいので「まさば」を焼いたものなら0.5人分、「あじ」の開きを焼いたものなら0.6人分、「ぶり」は刺身か照り焼きかで違ってきますがどちらにせよ「1日1g」のためには0.4人分から0.5人分で十分です。つまり、マグロのトロならひとり三切れもあれば十分です。三人家族なら柵をひとつ買って三人で分けたらこと足ります。「驚くことにその量はクロマグロの刺身(脂身)で例えるとたった三切れ」。
 
クロマグロの解体即売会などで素性のはっきりとしたトロを安く売っていたらお買い得です。

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2017年9月 7日 (木)

食べものや体における「無用者の系譜」

唐木順三の著書に「無用者の系譜」というのがあります。出版社の短い紹介文をお借りするとその内容は、「業平、一遍、秋成等から荷風に至る無用者に独自の視点を当て日本文化の底辺を探る」「業平、一遍、芭蕉、荷風ら、『文人』を追って、日本文化の底辺をさぐる」というものです。
 
ヒトや食べものにも無用者の系譜があります。無用者、役立たずと思われてきたものが、実際には、われわれの「科学的な」知性・知見の外側でとても重要な役割をはるかに以前から演じてきたらしいということです。
 
三大栄養素とは「脂質」と「タンパク質」と「炭水化物」で、以前はそれ以外は関心の対象外でした。それに、「ビタミン」と「ミネラル」が加わって五大栄養素となり、その後、無用者の系譜に属していた「オリゴ糖類(おなかの環境を整える)」「食物繊維類」「ペプチド類(血圧の上昇を抑える)」「ファイトケミカルと総称されるポリフェノール類やカロテノイド類(抗酸化作用で炎症を予防する)」が、表舞台に登場してきました。
 
腸内フローラというきれいな名前がつけられた腸内微生物叢や腸内細菌叢。これも無用者の系譜の一員でした。これに(アンチバイオティクスに対抗して)「プロパイバイオティクス」(たとえば乳酸菌やビフィズス菌など、「善玉菌」とも呼ばれている)という名前がつけられ、「オリゴ糖」などが「善玉菌」の食べものという意味で「プレバイオティクス」と称されるようになり、市民権を獲得しました。(ちなみに、生体内の微生物の総体(微生物叢)は英語でマイクロバイオーム(microbiome)。)
 
DNAの総体をゲノム(genome)といいます。ぼくたちにとってはおなじみの用語です。ゲノムの全部が遺伝子であるわけではなくて、ゲノムの中で「遺伝情報を持ったDNA」(つまり遺伝子)は、量としては数%~10%くらい、残り(残りという言い方は、残りに属するDNAにとっては失礼な話ではありますが)であるところの90%は遺伝情報とは直接の関係のない、存在理由がいまだによくわからないところのあるDNAです(だから、ジャンクDNAなどと呼ぶ礼を失した研究者もいます。)つまり、いまのところ、無用者の系譜に連なっているようです。
 
「体という自然」や「生命」には実質的な無駄やジャンクが存在しないとすると、ぼくたちのまわりに無用者の系譜がそれなりに存在するというのは、ヒトの身体や食べもの関して要はその存在理由や働きがいまだによくわかっていないものがいっぱいあるということです。
 
ぼくが遺伝子組み換え作物や遺伝子組み換え食品を避けるのは、それがたいていはRound-upという除草剤や殺虫剤やRound-up Readyと呼ばれているRound-upに抵抗性を持ったトウモロコシや大豆に関連しているからです。
 
そういう薬剤やそういう薬剤に抵抗性を持った穀物や豆は、たとえば腸内微生物叢や腸内細菌叢を殺してしまう。控えめに言っても、長期的にどういう悪影響を生体内の微生物叢に及ぼすのかほとんどわかっていない。換言すれば、「無用者の系譜」との関連がまったくわからないし、生産者側も認可する側もそれを公表しない。知らぬ間にひそかに「ジャンクDNA」の構成にダメージを与え続けているかもしれません。「君子危うきに近寄らず」です。

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2017年8月25日 (金)

活性酸素と脂肪酸(その2)

脂質とは「あぶら」のことですが、この「あぶら」はヒトの中にもあれば、食べものの中にもあります。「あぶら」をここでは「脂質」と表現します。脂質は、炭水化物やタンパク質とならぶ三大栄養素の一つです。ちなみに、常温で液体の食用あぶら(植物系が多い)を「油」、常温で固体の食用あぶら(動物系が多い)を「脂」、まとめて、「油脂」と呼んでいます。
 
「脂質」を分類すると「ステロイド(コレステロール)」「脂肪(中性脂肪)」「リン脂質」「糖脂質」の4つに分かれます。食べものに含まれる脂質でも、ヒトの身体の中にある脂質でも、9割以上が「脂肪(中性脂肪)」です。
 
ぼくたちが健康診断・メタボ診断の結果などでお目にかかる「中性脂肪」というのは、「トリアシルグリセロール(またはトリグリセリド Triglycerides)」と呼ばれていて、次のような構造をしています。(絵は農水省ウェブサイトの「トランス脂肪酸」説明ページからお借りしました。)
 
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この「脂肪酸3本+グリセリン(最近はグリセロールといいます)」は、それが食べものの中にあっても、ヒトの体内にあっても、「脂肪」や「中性脂肪」と呼ばれています。
 
「中性脂肪」(トリアシルグリセロール)は、果糖・砂糖などの糖質(炭水化物)や動物性脂肪を主な原料として肝臓でつくられます。食事でこれらを多く摂りすぎると、皮下脂肪の主成分として蓄積されます。ヒトの体が活動するとき、第一のエネルギー源となるのは、一般的には、ブドウ糖(グルコース)ですが、不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解されて血液中に放出されエネルギーとして使われます。
 
「中性脂肪」の構成要素である「脂肪酸」には「飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がない、そういう意味で飽和)」と「不飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がある、そういう意味で不飽和)」の2つがあります(下の絵参照、絵は先ほどと同じ農水省のウェブサイトから引用)
 
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飽和脂肪酸は、炭素の二重結合がないので、通常は酸化されません。
 
比較的酸化されにくいのは、炭素の二重結合が1カ所の単価不飽和脂肪酸。たとえば、オレイン酸を含むオリーブオイルやアボカドオイルなどがこのタイプの食材です。
 
酸化されやすいのは、炭素の二重結合が複数個ある多価不飽和脂肪酸。たとえば、大豆油・ごま油やそれらを使ったサラダオイルやマヨネーズ。青魚に多く含まれるω-3系のDHA/EPAも酸化されやすい。相手を酸化したくてしかたない活性酸素は、炭素の二重結合部分とという弱い部分を襲います。二重結合のない飽和脂肪酸には、活性酸素は悪さを仕掛けられません。
 
飽和脂肪酸は、その長さによって、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸に区分されています。短鎖脂肪酸は1~7個の炭素で構成されている飽和脂肪酸。中鎖脂肪酸は8~10個。それよりも構成炭素数の多いものが長鎖脂肪酸です。
 
吸収効率や吸収速度が高いのは、飽和脂肪酸の中で長さが短かめのもの、つまり、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、非常に簡単にエネルギーに変換されて、体脂肪として残らない。短鎖脂肪酸を含む食材は牛乳やバター、中鎖脂肪酸を含む食材はココナッツオイルなど。いずれにせよ、食材の種類は非常に少ない。
 
それに、短鎖脂肪酸を含む牛乳とバターにしても、飽和脂肪酸全体の10%弱くらいが短鎖です。乳脂肪全体からみると、短鎖脂肪酸の量はわずかです。また、中鎖脂肪酸は、ぼくたちが日常よく食べている食品にはほとんど含まれていません(東南アジアでココナッツオイルを料理に毎日使っている人たちは別ですが)。
 
牛肉などの食品に含まれる飽和脂肪酸の大部分は、炭素数16のパルミチン酸と炭素数18のステアリン酸、つまり長鎖脂肪酸です。こうした胴体の長い脂肪酸は、すぐにエネルギー放出のために利用することもできるし、体脂肪としてためておくこともできます。
 
短鎖・中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸では、体内への吸収のされ方も違います。長鎖脂肪酸は、腸の中で胆汁と混ざりあってはじめて体内で吸収できるかたちになります。つまり、腸壁から吸収されたあとは、まずリンパ管に入り、それから血液中に入るという流れになります。一方、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、胆汁と合体する必要はありません。そのまま血液中に吸収されていきます。
 
乳脂肪にはわずかしか含まれない短鎖脂肪酸ですが、短鎖脂肪酸は別の形でも手に入ります。
 
水溶性食物繊維は、大腸の中に棲んでいる善良な腸内細菌叢(ビフィズス菌などいろいろ)の働きで発酵し、分解され、その結果、短鎖脂肪酸が作り出されます。こうして作られた短鎖脂肪酸は、腸内の有益菌にとっても重要な食糧になります。ヒトと細菌叢の共生関係です。大腸の中を短鎖脂肪酸の豊饒な海にするためには、水溶性食物繊維の豊富な野菜や海藻、それから豆類(豆類が向いていない人もいますが)をたくさん食べると簡単です。
 
脂肪の中には、酸化されやすいものもありますが、飽和脂肪酸のように通常は酸化されないものや、簡単にエネルギー変換されるので体内に蓄積されないもの(飽和脂肪酸の中の短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸)があります。「脂肪を食べる=体内にたまって太る」ということではありません。健康な細胞膜とホルモンは、酸化されていない飽和脂肪酸を使って作られます。
 
以上を、それ以外のω-3・ω-6・ω-9関連情報などをいっしょに整理すると以下のようになります。通常は酸化しない飽和脂肪酸も、調理の仕方によっては酸化するので(焦げるほど焼く、強く揚げるなど)、配慮が必要です。
 
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2017年8月24日 (木)

活性酸素と脂肪酸(その1)

1年ほど前から糠漬けを作り始めた知り合いの若い女性から、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、酸化や活性酸素などという言葉をインターネットの食べもの関連サイトでときどき見かけるのだがその意味がよくわからない、とこぼされました。たしかにそうだと思います。自分でその気になってキョーカショやサンコーショを調べてみないとこういうことの意味はよくわかりません。ぼくは糠漬けやその他の漬物(家庭発酵食品)を作る若い女性には親切です。で、この記事です。
 
まず、酸素や酸化ということから。
 
電子を他の物質から奪い取ることを「酸化」といいます。このときに、わかりやすい身近な例なのでいろいろな場所でよく引き合いに出されるのが、皮をむいたリンゴです。酸素は、リンゴから電子を奪い取り(「酸化」)、その結果、皮をむいたリンゴはすぐに薄茶色に変色してしまいます。鉄が錆びるのと同じことです。皮をむく前のリンゴは酸化しません。リンゴの皮に含まれているファイトケミカル(ポリフェノール)が酸化を防止しているからです。(逆に、電子を多く持っていてそれを他に提供することを「還元」といいます。)
 
そういう目で活性酸素を見てみると、活性酸素とは、他から電子を奪い取って何とか酸化活動をやりとげたいという欲求に満ちた、とても不安定な状態の酸素だと言えます。
 
活性酸素は、後述のように、呼吸などのヒトの自然な生体活動の中で発生します。しかし、活性酸素の発生はそれにとどまりません。ヒトが以下のような環境変化や環境条件(おおざっぱにいえばヒトにとっての異物、ないしは異物相当物)に出合った場合には、活性酸素が過剰に体内に発生すると考えられています。
 
・紫外線
・大気汚染、排気ガス、煙草
・激しいスポーツ、ストレス
・医薬品、X線(レントゲン)
・加工食品、食品添加物、殺虫剤・農薬
・電磁波
 
ここまでが前置きです。
 
ヒトは呼吸によって体内に酸素を取り込みます。食べものによって取り込んだ栄養素と呼吸によって取り込んだ酸素を使って、ヒトは活動エネルギーを生み出します。その場所は細胞内の工場(ないし発電機)といわれているミトコンドリアです。このとき、エネルギー産生活動の副産物として「活性酸素(活発な酸素)」も生み出されます。その量は吸った酸素量の2%くらいです。
 
世の中には、ヒトとは違って、空気(酸素)を嫌う微生物がたくさんいて、これらは嫌気性の微生物と呼ばれています。ヒトや微生物やバクテリアがエネルギーを作る時に、空気(酸素)が関与する場合にはその行為は「呼吸」と呼ばれ、空気(酸素)が関与しない場合は「発酵」と呼ばれています。発酵とは、微生物が空気の無いところで生きるための一つの方法です。微生物の中には、発酵でアルコールや乳酸などを作るものがあり、その産物として日本酒や乳酸発酵食品ができあがります。それらをぼくたちは発酵食品としてありがたく頂戴する。
 
大昔、あるときあるところに、太陽の光エネルギーを利用して、空気中にふんだんにある二酸化炭素から有機物を作るのを得意とする光合成バクテリアというのが出現しました。これはほとんど経費がかからない、つまり省エネの有機物生産方式です。そういう光合成バクテリアがその生産方式でおおいに繁殖した結果、地球環境に「酸素」がだんだんと蓄積されてきました。しかし、バクテリアなどはそもそもが非常に酸素に弱い。酸素は彼らにとっては猛毒のようなものです。つまり、自分たちの繁茂の結果、環境が自分たちにとっては嫌な、困った方向に変化したわけです。そういうことになるとは想像しなかったと思います。
 
そこで、酸素に弱いバクテリアは、酸素が蓄積されてきた新しい地球環境で生き延びるために、いわば、かれらにとっての持続可能な社会の構築のために、何をしたか。画期的な適応戦略をとった。「酸素に強いミトコンドリアの祖先」と仲間になった。ミトコンドリアの祖先は、酸素を利用してブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路の作成に成功した、酸素に強い変な奴です。バクテリアは地中深くに潜り込み酸素を避けて逃げ回るのではなく、酸素に強いミトコンドリアを自分の細胞内に取り込むことで酸素がいっぱいの地球環境と折り合いをつけ、生き延びることに成功しました。その結果、ぼくたちヒトの細胞の中でも、この細胞内工場(ないし発電機)とでもいうべきミトコンドリアが常に活躍しています。
 
活性酸素は、ヒトにとってとても重要な役割を演じています。ウィルスや細菌など体内に侵入してきた外敵から身体を守るという防御系機能の一部としての大切な働きが、それです。病原菌の侵入といった外部からの脅威があれば、細胞内で酸化ストレスを増大させ(活性酸素)、そうすることで免疫を活性化し、外部からの感染に打ち勝つようなメカニズムとプロセスが機能します。
 
しかし、同時に、活性酸素は、体内の細胞を酸化させることでさまざまな炎症や病気や老化を引き起こす原因にもなっています。たとえば、齢を重ねるにしたがって、脅威の対象が、外部から突然にやってくる感染から、細胞内のミトコンドリアの劣化(フリーラジカルの漏出、フリーラジカルの代表的なもののひとつが「活性酸素」)といった内的な現象へとシフトしていきます。細胞の工場機能の劣化がきっかけで細胞内の酸化ストレスが増大し、それによって活性化された防御作用が、外敵ではなく、自分自身を継続的に傷つけます。継続的に発生する炎症(慢性的な炎症)が、ヒト自身の内部に心臓病やガン、関節炎などを引きおこします。

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2017年8月 8日 (火)

トマトの毀誉褒貶(きよほうへん)

トマトはナス科の野菜です。トマトがナス科植物だと聞いてびっくりするかたがいらっしゃるかもしれませんが、ぼくたちが普段よく口にしているナス科の野菜には、ナス、トマト、ピーマンやジャガイモがあります。
 
色は違っても花の形がナスに良く似ている野菜に出会ったら、それはナス科だと考えて間違いないと思います(たとえば、下の写真だと、左がナスの花、まん中がミニトマトの花、右がジャガイモの花。なおジャガイモの花は自分で撮ったのが手元になかったのでWikipediaからお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます)。
 
Photo Photo_2 Wikipedia_2
   
トマトは、かつて、赤茄子(あかなす)と呼ばれていました。トマトがナス科植物であることが日本人の世間知として共有されていたのでしょう。ナスは生では食べない。というか食べられない。生の風味を味わう場合は糠漬けのような発酵食品にして食べる。だからナス科のトマトも「若いころは、赤茄子は気持ちが悪いので普通は食べないということになっていた」。お年寄りからそう聞いたこともあります。確かに、昔のトマトは生で食べるにはおいしくはなかった。ぼくもそう記憶しています。
 
しかし時代は変わり、今では一番の人気野菜になりました。完熟系品種や高糖度トマトやフルーツトマトのような甘いミニトマトやミディトマトが次から次と登場するので、生食トマトの人気は相変わらず沸騰中というか、人気企業の株価のように高値安定中です。総務省の家計調査では、魚の中でいちばん出費金額の多いのが「まぐろ」、果物だと「バナナ」、そして野菜では「トマト」です。最も新しい調査資料には目を通していませんが、この順位は、まず、変わらないと思います。
 
トマトは南米・アンデス高原が原産地ですが、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がヨーロッパのどこかにあるそうです。ぼくはそういう諺を直接聞いたことはありませんが、トマト生産(ただし、生食トマトではなく調理用トマトです)の盛んな地中海沿岸地方のどこかにそういう言い伝えがあっても不思議ではない。
 
「トマトが赤くなると」のトマトの赤い色はリコペンという色素によるものです。リコペンを始め野菜の天然色素成分(カロテノイド)には抗酸化作用があり、そういう野菜を食べると体内で悪さをする活性酸素が取り除かれます。
 
ここまでが、トマトの「毀誉褒貶」のうちの主に「誉」と「褒」(ともに、「ほめる」の意)に関する部分です。しかし、最近は、同じトマトの「毀」と「貶」(ともに「けなす」の意)に関する事柄も報告されています。
 
「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」という日本の言い伝えがあります。「秋ナスのようなおいしいものを嫁に食べさせてはもったいないという、姑(しゅうとめ)の嫁いじめ」的な解釈か、「ナスは体を冷やすので、元気な子供を産んでもらわないといけない大切な嫁には食べさせてはいけないという、嫁への気遣い」的な解釈が一般的です。
 
しかし、「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」は、「秋なすび早酒(わささ)の粕(かす)につきまぜて棚におくとも嫁に食わすな」の一部だったのが独立したという説もあり、そうだとすると「ナスは、食べるのなら、粕漬け、糠漬けで」「できることなら大事な人には食べさせないほうがいい」という「食に関する知恵」の話になるので、ぼくにはそのほうが腑に落ちます。
 
トマトに関しては、β-カロテンを含んだおいしい生の健康野菜というだけでなく、別の「知見」も登場しています。それはどういうものかというと、トマトやナス、ピーマンやジャガイモのようなナス科の野菜は、レクチンという「反栄養素」(および、アルカロイドという物質)を含んでおり、これが、人によっては関節リウマチや肌荒れのような自己免疫反応を引き起こすので要注意、というものです。レクチンは熱で破壊されることが多いのですが、ナス科野菜のレクチンは熱でも破壊されない。
 
反栄養素というと怖そうな言葉ですが、要は、植物や野菜の自己防御システム(自然環境や外敵から自分を守る)が作り出した、人間や動物にとっては害となるような栄養素のことです。すごくおおざっぱに言うと、反栄養素とは野菜の「アク」のことです。「アク」は抜かないと食べられません。そのままで食べてもいいけれど死ぬほど苦しむことになります。「アク」は晒したり熱を加えたり発酵させたりしないと取り除けません。そこで、いろいろな調理方法が工夫されてきました。「きんぴらゴボウ」などはそのひとつです。
 
植物が光合成をするときに避けて通れないのが太陽の紫外線による被害です。この害から身を守るために作られたものが、ファイトケミカルです(ファイトやフィトは植物の意)。ファイトケミカルには、強い抗酸化作用を持つポリフェノールやカロテノイドがふくまれますが、言葉を換えれば、ファイトケミカルとは、ヒトにとって有用な、温和なタイプの「アク」ということになります。
 
植物や野菜が作り出した自己防御システムのなかには、したがって、ナス科のレクチンのような性質のものも当然含まれます。以前からヒトが食生活の知恵として気づいていたことが、「反栄養素」という科学の概念をまとって再登場してきたとも言えます。

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2017年8月 1日 (火)

ぼくが「最強の食事」を面白いと考える理由

直接にお会いしたことはありませんが、米国には「健康のためなら死ぬのも厭わない」というような健康オタクがいるらしい。そういう人たちのうちでシリコンバレー(IT分野)でひと稼ぎしたひとりが書いた本が「最強の食事」だと思っていました。
 
原題は「The Bulletproof Diet」。原著に忠実に意訳すると「スーパーマン・ダイエット」。「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、スーパーマンだ!」のスーパーマンです。
 
スーパーマンは機関銃で打たれても弾を跳ね返すので「Bulletproof」(防弾)です。ただし、スーパーマンもクリプトナイト(という隕石)には弱いらしい。近づくと体調を崩し下手をすると死んでしまう。つまり、体調の崩れの原因となるハイリスク食品(クリプトナイト)を巧みに回避しながら、頭も体もスーパーマンに近づくためのノウハウが詰まったダイエット本という意味で「The Bulletproof Diet」というタイトルにしたのだと思います。米国人ならわかりやすい。しかし、日本では受けない。というわけで、日本語タイトルは「最強の食事」「完全無欠レシピ集」としたのでしょう。
 
相当なオタク本に違いないと思って読み始めたのですが、どうもそういう雰囲気ではありません。そういう雰囲気でないどころか、妙に理屈っぽい。その理屈っぽさも理屈のための理屈、牽強付会の理屈ではなく、「思想」の雰囲気が漂っています。
 
似た感じの雰囲気の本が、たしか、まだ本棚にあったはずだと、それらしき場所を捜したら、ありました。「TRONを創る」(坂村 健著、共立出版、1987年)がそれです。「TRONを創る」のカバー見開きに下のような一節があります。少し用語を置き換えたら「最強の食事」の紹介文としてそのまま使えそうです。
 
「本書は主にエンジニアのためのTRONの入門書である。TRONプロジェクトがどのような技術的な問題点の把握を出発点としているのか、またコンピュータ周辺の技術をどのように見ているのか、といったことについて突っ込んだ記述をしている。」
 
何が似ているかというと、「TRONを創る」がTRONという「コンピュータ・アーキテクチャ」、「コンピュータの設計思想」について述べた書物であるように、「最強の食事」は食べものと健康(健康の中には頭の状態の持続的活性化も含まれる)に関する考え方、言葉を換えると、日々のQOL (Quality of Life) を高く維持するための「食事のアーキテクチャ」、「日々の食事の設計思想」について述べた本だからです。IT分野の出身者らしい雰囲気が出ています。
 
細部で間違いがあり、味噌・醤油・納豆のような大豆の発酵食品が好きで自家製味噌を作っているぼくには違和感のある記述もある。著者が弱いらしい醤油に関しては、ある通販サイトのカスタマーレビュー欄で米国在住の日本人女性読者が「思うに著者が寿司を食べていた時は、(1) 150kgの巨漢だったから食べる量が多い。(2) アメリカ人は寿司に醤油をほんとうにべたべたにつける。この二つの要素も多いと思います。」とお書きになっていらっしゃる。しかし、そういうことにかかわりなく、アーキテクチャは堅牢です。ただし、そのアーキテクチャを納得するかどうかは、また別の話です。
 
アーキテクチャ骨子は以下の通り。
 
●健康とは頭と体の両方のクオリティーを高いレベルで維持すること。
 
●そのためには、何をおいても「野菜」を食べること。ただし、「果物」は控えめに。「牧草を食べて育った牛肉やラム肉の動物性脂肪」は完全無欠の脂肪源なのでどんどん食べよう。鶏肉は放し飼いのものを。「バター」(短鎖脂肪酸)と「ココナッツオイル」(中鎖脂肪酸)はともにお勧め。ただし、一般の乳製品や植物油にはご用心。「コーヒー」は最大のポリフェノール供給源なのでお勧め。ご飯は玄米よりも「白米」。
 
●「体調不良」や多くの「慢性疾患」の原因は「炎症」。「炎症」は心疾患、がん、糖尿病だけでなく、多くの自己免疫病や一部の精神衛生上の問題とも連関。「慢性炎症」の原因は「反栄養素(栄養阻害物質)」。自然由来の反栄養素の主なものに、「レクチン」、「フィチン酸」、「シュウ酸」、「カビ毒」がある。反栄養素は、植物および植物製品の栽培や貯蔵中に形成される。反栄養素を含む食品はなるべく摂らない。
 
●「生体アミン」のひとつである「ヒスタミン」は季節性アレルギーを起こすことでおなじみ。「ヒスタミン」等を含む食品に注意。
 
といったことをコアにして、
 
(1) 食材や加工食品や調味料といった「入力系」を、
 
「野菜」
「脂肪・油」
「タンパク質」
「乳製品」
「ナッツ・豆類」
「でんぷん質」
「果物」
「調味料・スパイス」
「甘味料」
「飲み物」に分類し、それぞれのカテゴリーで、
 
「QOL維持のために食べることが非常に望ましいもの」
「望ましいもの」
「食べてもいいがとくには役に立たないもの」
「食べないほうがいいもの」
「QOLを阻害するリスクが高いので食べないほうがいいもの」へと、アナログ的に区分し、

(2) 調理方法という「共通サブルーティーン」を、最も望ましい方から順番に
 
「生食/未調理、軽い加熱調理」
「アルデンテに蒸す(歯ごたえを遺す程度に)、160℃以下で焼く」
「とろ火で煮る、茹でる、ポーチ(湯・出汁に落とす)」
「軽いグリル(焦がさないようにあぶる)」
「真空調理、スロークッカー調理」
「バーベキュー、電子レンジ」
「強火で炒める」と、アナログ的に並べたあと、
「焦がす(焼きすぎ)、たっぷりの油で揚げる」を最もリスクの高い調理法と位置づけ、
 
そうした食材と調理方法の組み合わせで日々の食事というユーザインターフェース重視の「処理系」を考える、そうすれば、頭と体の状態(QOL)を高いレベルで維持するという「出力系」が結果する。
 
それが、アーキテクチャの概要。
 
そういう風に読むと「最強の食事」はけっこう面白い。
 

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