ヘルシーエイジング

2017年6月21日 (水)

スーパーマーケットでも亜麻仁油(アマニ油)がそれなりに

亜麻仁油(アマニ油、フラックス油ともいう)は、オメガ3多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富な植物油です。酸化されやすく(加熱料理には不向き)、味にも癖があるので、サラダのドレッシングの上に軽くかけるというのが一般的な使い方だと思いますが、それだけでは面白くない。ぼくは、納豆に亜麻仁油と塩をかけて食べるのが好みです。付属のタレや辛子は捨ててしまう。
 
先日、スーパーマーケットを定点観察していたら、油と脂のコーナーに、複数のブランドの亜麻仁油の瓶入りやペットボトル入りがそれなりに並んでいたのでちょっとびっくりしました。パッケージにはあたりまえですが「n-3」や「オメガ3」「α-リノレン酸」「健康」といった言葉が並んでいます。
 
ぼくたちは、食に占める揚げ物や加工食品や外食の割合が増えると、サラダ油・てんぷら油やマヨネーズなどを通してオメガ6系の脂肪酸(リノール酸)を摂りすぎてしまい、オメガ3系脂肪酸との摂取バランスを壊してしまいます。だから、「時短」が好きなひとは、青魚を食べる代わりに、ついEPA/DHAのサプリメントのコマーシャルに目がいってしまうのですが、魚料理や魚の後片付けが嫌いな主婦も、サラダにドレッシングと亜麻仁油を振りかけるのは、苦にならない。だから、スーパーマーケットのバイヤーも品揃えの組み合わせ変更で忙しいのでしょう。
 
WHO/FAOというときどきは眉に唾をつけてその発言やメッセージを聞いた方がよいような公的機構があります。その機構が(おそらくある政治経済的な理由で)推奨しているオメガ3とオメガ6の比率は「オメガ3/オメガ6 = 0.2~0.25」ですが、我が家ではそれとは違った比率「オメガ3/オメガ6 = 0.5~1.0」を準拠枠にしています。
 
 
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2017年6月13日 (火)

料理と化粧

プラトンは料理と化粧が好きではなかったみたいです。プラトンの対話篇のひとつが「ゴルギアス」で、副題をつけるとすると「弁論術批判」ですが、そこに料理と化粧が嫌いな理由が述べられています。その理由をひとことでいうと、それらが最善ということを無視して快さだけを狙っているから、です。
 
仕事にはその主たる性質が「迎合」となっているものが4つあって、その4つとは「料理法」「弁論術」「化粧法」「ソフィストの術」。それらと最善を目指すものとの関係は次の通りです。
 
「さて、医術のもとには・・・料理法という迎合がしのび込んでいるのだが、他方、体育術のもとには、同じようにして、化粧法がしのび込んでいる。・・・(中略)・・・つまり、化粧法が体育術に対する関係は、ソフィストの術が立法術に対する関係に等しく、また、料理法が医術に対する関係は、弁論術が司法(裁判)術に対する関係に等しい、ということである。」(岩波文庫版より引用)
 
化粧法とは、体育術によって得られる自己本来の美ではなく、人びとに借り物の美を提供するという理由でプラトンには嫌われているのですが、そのときの化粧法は、女性というよりも古代ギリシャの市民であり体育術に励む男性が対象です。したがって、プラトンが女性の化粧をどう考えていたのかよくわかりません。プラトン風だと「美の本質」に変わりはないのですが、女性の化粧は「美の本質」を化粧する力がありそうです。
 
ビジネスという場において顧客を喜ばせることを迎合だとすると、たしかに料理法には迎合の香りが強いかもしれません。しかし、家族のための料理法、健康のための料理法となるとその様子は違ってきます。迎合というよりも最善に近くなる。医術も、患者側と医薬品供給者側のどちら側に重みを置くかによって、最善と迎合のバランスが微妙なものに変化します。
 
「収縮期血圧が129以下 /拡張期血圧が 79以下」というメッセージが復活してきました。それを活用していた商品広告もタイミングよく再開しているのを目にすると、「弁論術」は相変わらずの人気です。政府答弁や政府方針にも、憲法や共謀罪や国家戦略特区に関して牽強付会な「弁論術」や「ソフィストの術」が目立ちます。

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2017年5月12日 (金)

食用油脂のことなど

必ずしもそうとは言えないとは思うのですが、いちおう、長生きの方がそうでないのよりもいいことだということにしておきます。
 
食用油脂、とくに植物油や植物油を使ったマヨネーズのような加工食品は食品会社のマーケティングがとても盛んな領域なので、ときどきはそのマーケティングメッセージの内容を眉に唾をつけて見ることも必要です。食用油脂に関して参考になった本のひとつが「油の正しい選び方・摂り方―最新 油脂と健康の科学」です。8年ほど前に、食用油脂の雑駁な知識の整理のために読んでみました。今もときどきの参照目的のために本棚においてあります。
 
その本の著者がある雑誌(「通販生活」)のインタビューで食用油脂について語っていました。アップデート情報もあったので興味深く読ませてもらいましたが、その骨子は、記事のタイトル通りで「『バターやラードなどの動物油より、サラダ油などの植物油のほうが体にいい』は間違いです。」
 
その方のお勧めの食用油脂は、
 
□飽和脂肪酸であるところの「動物性脂肪」を多く含む「バター」と「ラード」
□多価不飽和脂肪酸であるところの「αリノレン酸(オメガ3系)」を多く含む「エゴマ油(シソ油)」「アマニ油」「魚油(DHA・EPA)」。
 
多価不飽和脂肪酸であるところの「リノール酸(オメガ6系)」を多く含む「ごま油」「大豆油」「コーン油」「紅花油(サフラワー油)や、トランス脂肪酸がいっぱい入っている「マーガリン」を推奨していないのは当然としても、一価不飽和脂肪酸であるところの「オレイン酸(オメガ9系)」を多く含む「オリーブ油」や「菜種油」「キャノーラ油」「(高オレイン酸型の)ヒマワリ油」などもおすすめ対象ではありません。
 
コレステロールに関する箇所では「体に悪いどころか、コレステロ ールは人間に欠かせない成分です。・・・略・・・細血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究も一 部にはあります。しかし、研究対象の集団に偏りがあり、心臓病のリスクが強調され過ぎています。そもそも心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。」と語っています。
 
「血中のコレステロール値が高いと心臓病が増えるとする研究」(者)は、血圧の高さと循環器系疾患の関連を妙に強調する人たちと似ています。血圧を下げる薬を飲んで(飲み続けて)心臓病のリスクが多少減ったとしても、長生きできなければ意味がありません。しかしながら、最近ではまた、血圧は130未満というのが勢いを盛り返してきたみたいです。「『収縮期血圧が147以下』で『拡張期血圧が94以下』なら高血圧を気にしなくてもいい」という一般健常者にとって実際的なガイドラインはどこかに隠れてしまいました。
 
 

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2017年3月14日 (火)

現在の血圧基準値は?

先日、ある民間の人間ドックというか、健康診断センターというか、そういうところで健康診断を受けてみました。毎年の定例行事です。こういう場合にいつも悩ましいのは(実際は気にしていないので悩ましいというのは正しくないのだけれど、ここでの都合上そう書くことにします)、血圧の基準値です。これほどガイドライン(だれがどういう風に決めるのかよくわかりませんが)が、きまぐれに動くのも珍しい。
 
2014年4月に、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、人間ドックなどで今まで集めてきた健康な1万人のデータを分析した結果、とくに持病がない人は、「収縮期血圧が147以下」、「拡張期血圧が94以下」なら高血圧を気にしなくてもいい、というガイドラインを出しました。一般の健常者にとってもわかりやすい実務的なガイドラインです。現在はどうもこれが隅に追いやられているらしい。
 
それまでの「正常」な血圧というもののガイドラインの推移を並べてみると
 
□ 1960年代は、「収縮期血圧が149以下 /拡張期血圧が 99以下」
□ 1970年代は、「164以下 / 94以下」(WHO世界保健機構)
□ 1993年からは、「139以下 / 89以下」(いわゆる「140 / 90」)
□ 2009年からは「129以下 / 79以下」が正常血圧、「130~139 / 80~89」は「正常高値血圧」という不思議な言葉で呼ばれるようになった(日本高血圧学会)
□ 2014年に「収縮期血圧が147以下」、「拡張期血圧が94以下」なら高血圧を気にしなくてもいい(日本人間ドック学会)
□ 現在?アンシャンレジームの復活?
 
日本高血圧学会のガイドラインだと、たとえば、測定値「135 / 78」は片方が正常血圧の範囲に収まっていないのでないので正常高値血圧になります。そして「収縮期血圧が140以上」あるいは「拡張期血圧が90以上」のどちらかに該当すると(たとえば、「142/88」)「高血圧」と判断されます。
 
ある地方自治体の血圧ガイドラインは生真面目に「収縮期血圧の基準値は90~129」、「拡張期血圧の基準値は ~84」となっていて、変えるつもりはなさそうです(ちなみに「上」が90未満だと低血圧)。
 
そういう流れを読んだのか、一時は姿を消していた「血圧が130を超えたら、□□□を」というサプリメントの宣伝メッセージも復活してきました。
 
循環器系の医者の意見なのか、製薬会社の意図なのか、高血圧の患者、および患者予備軍が増えたり減ったりで、けっこう気ぜわしい。同時に、けっこう面白い。

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2016年10月20日 (木)

ボージャクブジンな年寄りにはうんざり

体の動きが悪いというのも少しは原因しているかもしれませんが、そこにいるそういう年齢層の70%から80%くらいは、僕の目にはボージャクブジン(傍若無人)と映りました。文字通り、傍(かたわ)らに人なきがごとし、です。
 
地元の消費者向けに毎年開催されている、北海道の農産物と水産物の即売会みたいなのがあったので(まだ開催中ですが)、収穫量が多くないのでこの機会を逃すと手に入りにくい種類の北海道産のリンゴ(たとえば、赤い「ひめかみ」や青い「とき」)を求めて、配偶者と会場に出向きました。午後の遅い時間だったのですが、土日が休みの勤労者はまだ労働中の時間帯だったので、高齢者や主婦と思しき女性が目立ちます。週日がお休みなのかもしれない二人連れも混じっています。それほど広い会場ではないので、結構な混雑です。
 
「駐車場が見つからなかったら、車は好きな場所に止めていいのです。車を止めたいところが駐車場です。」と、以前、親切に教えてくれたのは名古屋のある散髪屋の親父さんでしたが、その高齢の女性も、私の歩きたいところが私の専用通路といった確信的な表情で農産物と農産物の間の通路を人に買い物袋がぶつかるのも気にしません。邪魔な雪を除雪車で排除する風情で目的の場所に向かいます。その女性と同じような行動パターンの女性も結構いらっしゃいます。みなさん人生の経験が豊富な方ばかりです。そのボージャクブジンぶりにはちょっとうんざりです。
 
昔は姥捨て山というものがあったそうな。

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2016年9月15日 (木)

旬の終わりの野菜と「いろは歌」

旬の終わりが近づいてくると、野菜は、アンチエージングの好きなヒトの女性とは違って、花を咲かせた後(あるいは、咲かせようとした後)悟ったように自ずからじわじわと衰えてきます。色艶の衰えをぼくたちに隠しません。夏の葉物野菜なら、朝の空気に秋の淡い匂いが滲み始めるころになると、店仕舞いの準備を凛として開始するようです。その準備が早いのがあり、ゆっくりと構えているのがある。
 
バジルとイタリアンパセリにはまだ折り合いをつけてもらっていますが、こういう折り合いのつけ方もそろそろ終わりです。下の写真は、左が8月中旬のイタリアンパセリ、右が9月上旬の同じパセリ。
 
8 9
 
旬の終わりの野菜には「いろは歌」が似合います。これはヒトと同じです。「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ  酔ひもせず」。しかし、植物には常に循環の気配が伴っています。また来年。

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2016年3月23日 (水)

サプリメント広告と「大人のための残酷童話」

サプリメントには興味がないのですが、サプリメントの広告チラシが朝刊にはさまれているのに気が付くとそのコピーに目を通すこともあります。コピーの内容から、その会社での営業や販売促進部門でどんな問題をかかえているのか、なんとなくわかるので面白い。

「□□□□をやめた。一気に、年をとった」(64歳 女性)というのが大きな活字でチラシの中心にあり、その隣に、40代・50代・60代・70代と年代別に、もと顧客と思しき(ということになっている)方のコメント、このサプリメントを検討中(ということになっている)方の感想が並んでいます。なお「□□□□」は商品名です。

「体力が、ぜんぜん違う。□□□□を飲んでいた時は、気付かなかったけれど・・・」(46歳 男性)

「鏡を見るたび、落ち込む。今の状態は□□□□を止めたからでしょうか」(63歳 女性)

商品を製造販売する企業にとっては、リピーター(繰り返し購入者)の存在が一番ありがたいのですが、リピーターが希望通りに増えないのか、リピーターになりそうだと考えていたお客が突然に継続購入を止めてしまうのか。どうも、そういう事態に直面しているようです。お客が効き目がないと判断して購入を中止するのか、競合製品に鞍替えしてしまうのか、そのあたりはぼくにはわかりません。しかし、このコピーからいろいろなことが想像できます。

倉橋由美子の短編集に「大人のための残酷童話」というのがあります。どういう内容の短編集か、著者のあとがきから一部を引用します。「全体として残酷というよりも救いのない話が並んでいますが、いずれも『自業自得』の世界に属しますから、愚行は罰せられ、賢い者はそれなりの正当な報いを手に入れる結果になっています。」

倉橋由美子の云う自業自得とは運命的な色合いを含めての自業自得ですが、彼女が存命中なら、上の三つのコメントや感想から、熟年者と老齢者のための残酷童話をすぐに三つ紡ぎだすかもしれません。

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2016年2月23日 (火)

我慢するけれど、愉快ではない

別のタイトルをつけるとすると「本人に迷惑意識がない、まわりへの迷惑」となります。そういう種類の迷惑の押しつけが伝統的に得意な国もありますが、ここは個人のレベルの話です。最近、立て続けにそういうことに遭遇しました。

デパートの日本酒や調味料などを売っている一画で、買わないけれども参考までに各地の一升瓶や四合瓶を眺めていたら、荷物がドカンとぼくの足に当たったので、どうしたのかと振り返ると、嵩のあるカバンを下げた高齢の男性が、店員と思しき中年女性を従えてそばに立っていました。その店員と相談しながら何かをさがしているらしい。

向こうの方に行ったかと思ったら戻ってきて、またドカン。店員らしい中年女性は、ぼくに申し訳なさそうに頭を下げるのだけれど、高齢男性は、そういうことがあったことにまったく気づかぬ風情です。さがしている商品しか頭の中になくて、他人の存在は目に入らないらしい。しかし、間違えて、人ではないところの商品棚にぶつかるわけでもない。単に傍若無人なのか。

休憩室のような、複数の人たちのための公共の場所があり、そこには複数種類の月刊誌や新聞が置いてあります。大型テレビも設置されている。高齢な男性が真正面からテレビを見ているのですが、音が大きすぎて、彼以外は何かを読むならスポーツ新聞の大きな見出し以外は無理といった状態です。でも、ご本人にとってはとても心地の良い温和な音量なのでしょう。だから、まわりが閉口しているとは思っていない。テレビの音量が絞られる気配はありません。本の続きを読みたいと思っていたぼくは、すぐにそこを出ました。

有体(ありてい)に云えば迷惑な老人の風景です。認知視野が狭まったとか、耳が遠いといった認知能力の衰えはしかたないにしても、それに老人特有の傲岸が加わっているのかもしれません。周りをそれとはなく拝見していても、歳をとって傲慢になる方は少なくない。

ぼくもそういう風にならないように用心と思っていても、まあ、いつかはそうなるに違いない。その時は、まわりの誰かが、ぼくのこのブログに似た内容のコメントを吐くのでしょう。そして、ぼくはそういうことに気づかない。あるいは、気づかないふりをする。

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2016年2月17日 (水)

秀逸なコピーではあるのですが・・

朝刊に何枚かの折り込みチラシがはさまれており、そのうちの一枚に秀逸なコピーを発見しました『50代。鏡の中に、すごいオバサン。わたしだった。』『ゆるむ50代、下がる60代。ふとした時に感じる年齢。』これを作ったコピーライターに会ってみたくなります。ショウ・ウィンドウにみっともない奴が写っている、気がついたら自分だった、というのは以前からあったパターンですが、ここではそういうことは気にしない。

この会社は、以前、『ウソっ、血圧130もある!』というコピーをインターネットに流してDHA/EPAを含んだサプリメントのプロモーションに熱心だったのですが、あるときから消えてしまいました。

あるときとは、人間ドック学会が2014年4月に健康な1万人の検査データを分析し、それまで「収縮期血圧は129以下、拡張期は84以下」とされていた数値を、「収縮期血圧は147以下、拡張期血圧は94以下」と改定したときです。血圧は「年齢+90」以下であればよいという簡便方法が使われていた時期もありましたが、ヒトの全般的な健康指標としての血圧基準は、簡便方式に逆戻りしたとも云えます。その方が便利で正しい。

この会社は、「厚生労働省では・・・『DHAおよびEPAの目標摂取量を1日1g以上が望ましい』としています。驚くことにその量はクロマグロの刺身(赤身)で例えると約9人前以上。」という事実の一部だけを超拡大コピーしたようなコピーを今でもときどき流しています。

そういう文脈で考えると『50代。鏡の中に、すごいオバサン。わたしだった。』『ゆるむ50代、下がる60代。ふとした時に感じる年齢。』の持つインパクトもけっこう割り引く必要がありそうです。

関連記事は「DHA・EPAサプリメントの宣伝コピーに、ちょっと違和感」。

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2015年9月 3日 (木)

野菜や果実の抗酸化力の新しい測定方法と、その一部の結果

2012年4月のブログ記事(「食と3種類の知とヘルシーエイジング(3)(3-2)(その2)」に次のように書きました。長いですが、一部を引用します(引用部分は、◇◇から◇◇まで)。

◇◇

たいていの生物は呼吸する空気に約21%含まれている酸素がないと非常に困るけれども、同時に酸素は、生物にとっておそろしい存在です。呼吸で体内に取り入れた酸素から一定割合(吸った酸素の2%)で発生する活性酸素(スーパーオキシド)やそれが変化したもの(ヒドロキシルラディカル)、あるいは紫外線を浴びると発生する活性酸素などが、私たちを、細胞レベルでゆっくりと傷つけ劣化させます。若いとき、つまり再生産可能年齢に達するあたりまでは、活性酸素は私たちの体を病原菌から防御しますが、私たちが再生産可能年齢を過ぎてしまえば、その同じ活性酸素が逆に私たちを静かに攻撃し始めます(ニック・レイン「酸素-世界を作った分子」)。

だから、その活性酸素が発生した時点でそれをある程度消すことができたら、我々の細胞の劣化はそれだけゆっくりとしたものになります。活性酸素を消すには抗酸化力を持ったなにかが必要です。私たちも活性酸素から体を防御する機能を持ってはいますが、それだけでは足りない。年齢とともにだんだんと足りなくなる。

ありがたいことに、私たちが食べる野菜・果物・穀物にはファイトケミカルという形で抗酸化力が保持されています。虫の攻撃、紫外線で生じる活性酸素の攻撃などから身を守るために植物が自ら作り出した物質がファイトケミカル(ファイトはギリシャ語で植物の意味)で、植物栄養素とも呼ばれますが、おもに植物の色素や香り成分、アクなどに含まれています。サプリメント製造販売会社の露出頻度の高いコマーシャルなどを通じて、私たちにおなじみになったファイトケミカルには、リコピン(トマト)、アントシアニン(赤ワインやブルーベリーや黒豆)、カテキン(緑茶)、ケルセチン(タマネギ)などがあります。

野菜・果物・穀物の抗酸化力の公開という点では、自国民が野菜を食べないのでその健康状態に政府がイライラした米国が先を走っていますが、米国の抗酸化力指標であるORAC (Oxygen Radical Absorbance Capacity)には不十分なところ(たとえば、ORAC分析法は分析精度が低い、ORACでは緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイド系抗酸化物質〈β-カロテンのような化合物〉の抗酸化能を評価できないなど)があるので、日本ではORACの欠点を補ったAOU (Anti-Oxidant Unit)という指標が測定データの整備も含めて標準化の確立中・普及中といった状態です。

◇◇

ある会社からニューズレターが送られてきました(「ベジマルシェ通信VOL 56」)。そこに、次のような興味深い記事がありました。

新しいタイプの測定法(SOAC法)によって野菜や果実の抗酸化力を測定してみると、従来の測定方法ではよく見えなかった特定の野菜や果実の抗酸化力の様子が見えてきた、というのがその骨子です。

下はその記事の中のグラフです。こういうデータにはなかなかお目にかかれないのでそのグラフを引用させていただきました(引用に関しては、この場を借りてお礼申し上げます)

Dpphsoac

このSOAC法と呼ばれている測定方法は、ある民間の食品会社とある国立大学によって数年前に開発されたものです。簡便な測定方法なので、それを研究やビジネスに利用しているところも多いらしい。したがって測定データは企業や大学の研究室や開発部門に蓄積していると思いますが、それらが一般消費者の目に触れる機会はほとんどありません。上記のニューズレターの中のデータ(パプリカの抗酸化力の相対値)は、だから、ぼくたちには興味深い。

農産物の抗酸化力に関しては、ブドウなどに多く含まれる抗酸化物質である「ポリフェノール(アントシアニンなど)」については測定方法がほぼ確立していましたが、ニンジンやトマトなどに含まれる抗酸化物質の「カロテノイド(リコピンやβ‐カロテンなど)」の正確な抗酸化力についてはよくわからなかった(換言すれば、実際よりも低く見積もられていた)。SOAC法の登場によって、カロテノイドの抗酸化力についても実態に即した結果が手に入るようになりました。

(最初に引用した部分と一部重複しますが、)野菜や果物の抗酸化力の対象であるところの活性酸素は、呼吸などによって発生する「ラジカル」と、紫外線などによって発生する「一重項酸素」とに大別されます。そして、そうしたタイプの違う活性酸素の消去に効果のある農産物の抗酸化物質もそれぞれ異なっています。たとえば、赤ワインに含まれる「アントシアニン」(総称して「ポリフェノール」)は「フリーラジカル」に強い。一方、赤やオレンジ色の野菜に多く含まれる「リコピンやβ-カロチン」(総称して「カロテノイド」)は「一重項酸素」という活性酸素に強い。

こういう数値がわかれば、たとえ野菜ごとや季節ごとの相対数値であっても、野菜好きな消費者には役に立ちます。ちなみに、季節ごとというのは、旬とそれ以外の時期という意味です。関連記事は「バジルと旬(しゅん)と抗酸化力」。

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