2016年10月 5日 (水)

コーヒーの香りと味

匂い立つような香りをもっているのだけれども、それを飲んでみると同じような驚きが味には伴わない種類の日本酒があります。逆に、香りはさほど華やかではないのだけれど、口に含んだ瞬間に、その旨さに言葉を一瞬失ってしまうようなタイプもある。
 
以前、コーヒーを飲まない青年についての話をどこかで読んだことがあります。お店から漂い出てくる素晴らしい香りの飲み物がコーヒーだとわかり、お店に入ってコーヒーを注文したところ、その味わいはその香りからは想像していたものと大きく隔たっていたので、それ以来コーヒーを飲まなくなったという話です。どういう種類の豆を飲んだのかの詳細は不明ですが、何となく納得できる話ではあります。
 
お店で焙煎しブレンドしたのを粗挽きで買ってきて自宅で楽しむのが普段の我が家のコーヒーですが(多めに買ったときは冷凍庫保管)、それを選んだ理由は、その味です。そのブレンドの粗挽きは匂い立つ香りは持っていませんが、味が素晴らしい。お客様には「とてもおいしいコーヒーです」といって丁寧に入れたのを比較的小さめのカップでお出しします。コーヒーのお好きな方の満足げな表情を見るのはいいものです。

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2013年4月16日 (火)

米国産のデカフェ緑茶パックの味は?

配偶者が気まぐれでついでに買ったものなので、おいしいとかおいしくないとか論評するのは不適当なのですが、米国で作ったデカフェの有機緑茶パックの話です。茶の製造は米国、茶葉の原産国はインド。米国で製造された緑茶となると、本来合わない二つものを無理やり組み合わせたような違和感があります。ただし、デカフェというところだけは米国らしい。配偶者は何かの目的を持ってこの緑茶パックを購入したようですが、目的が味を正当化するとは限らない。

さて、その味です。紅茶は、乾燥させた茶の葉をもみ込み、茶の葉に含まれている酸化酵素で酸化発酵させたお茶です。この緑茶は、紅茶向きの茶の葉を摘みとって乾燥させ、酸化発酵させずにそのまま商品にしたような味がします。酸化発酵させていないので紅茶ではない、だから緑茶というわけでしょうか。そのあたりがどうもよくわからない。

番茶とまずい煎茶を混ぜ合わせ、そこに紅茶の風味をわずかに加えたような不思議な色と味です。お茶漬けには合いません。和の朝ごはんと一緒に楽しむ種類ではありません。和菓子とも合いません。米粉パンとも相性が悪い。ハルユタカを使った天然酵母パンだと、ハルユタカが怒り出す。

買った量がなくなるまで、毎朝ひたすら飲み続けることにしました。

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2012年7月26日 (木)

番茶の保管容器

「番茶」は、一般には三番茶や四番茶を使うので「晩茶」だけれども、京番茶や阿波番茶は製法の違う番茶で、独特の味わいがあるので、我が家でも楽しんでいます。京番茶は炒り番茶で、阿波番茶は乳酸発酵させたもの(「一番茶を、乳酸菌醗酵させた、番茶」)。ただし、番茶には欠点があって、その欠点とは嵩(かさ)張ること。たとえば、京都のお茶のお店で京番茶を10㎏買ったとすると、行商のために仕入れに来たのかというくらい大きな袋を背負うことになります。つまり、番茶は嵩張るので100g袋入りでさえ、それをスポッと収納することのできるサイズの金属製の保管容器がなかなか見つからない。

海苔は湿気を嫌うので、個別パッケージもしっかりとしていますが、さらにその保管容器は、最近ではほとんど見かけなくなった四角い縦長の缶が使われています。だから、かさ張る「番茶」の保管容器として、昔ながらの大きく縦長の四角い海苔缶はないかと探したのですが、どうも適当なサイズが見あたりません。最近のは、みんなスリムで上品すぎる。

仕方ないので、「ほうじ茶」用の大きく太い筒型の缶(写真の黒い方)を使うことにしました。容積は通常の筒型の缶の2倍強。お茶は、やっぱりお茶用の容器で保存、ということなのでしょう。

こういうけっこう長い間使い回しのできる、作りのいい市販商品の容器(密閉度の高い缶や蓋のしっかりとしたガラス瓶など)を再利用するのが好きですが、茶や味醂など伝統的な食材以外では、段々と少なくなってきました。

250g120g

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2012年5月24日 (木)

ゴーストタウンのオープンカフェでスィーツを

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「お客さん、最近はこのあたりはゴーストタウンですよ。」僕がそういう話題向きの表情をしていたのか、タクシーの運転手が突然に話しかけてきました。ゴーストタウンとは意外な表現です。ゴーストタウンとは、運転手さんの文脈では、札幌駅から大通りに向かう大きな通りのことです。「夜は、通りから人がいなくなるんです。ススキノに行く客も減ったし。けっこうわびしいですよ。」

特定のバーや居酒屋といった点でなく、線や面で札幌駅前からススキノあたりにかけて少々詳しいビジネス客や旅行客なら、札幌駅から大通り、ススキノに伸びる道路が駅前通りと呼ばれており、札幌駅と大通りを結ぶ部分の地下に、巨大な歩道空間ができたのをご存知かもしれません。左右にイベント用空間付きのたっぷりと広い歩行者専用道路が、地上のすぐ下に誕生したともいえます。

主要な建物へのアクセス利便性は地上と同じ、信号待ちがない、傘もいらない、で、歩行者はどんどんと地下に降りはじめ、自動車用の舗道と歩行者用の歩道から構成されていた地上部分からだんだんと人影が消えている。そういう劇的な変化の認識は僕にはなかったのですが、その近隣を毎日走っているタクシーの運転手さんには、地上から人が消えたという風に感じられるのでしょう。だから「このあたりは夜はゴーストタウン」という発言になります。その一帯ではタクシーに手を挙げる客も以前と比べると、当然、少ないそうです。

雪が積もってそれが凍ると地上の歩道は実に歩きにくくなるので、札幌の中心部分では地下がとてもにぎわいます。雪と寒さを逃れて地下に入る。そういう傾向が、巨大歩行空間によって助長された様子です。巨大歩行通路の目的は、新しい商店街である札幌駅前に偏り始めていた買い物客を、古い商店街である大通りに回遊させることだったと思うので、買い物客の財布が回遊中に実際に軽くなっているかどうかはわかりませんが、消費者に新旧商店街を回遊してもらうという目的は達成しています。

さて、こういうことは一応は自分で確かめたいので(用事のついでなら、時間もお金もかからないので)、午後3時くらいの「駅前通り」を「見学」してみました。5月下旬の週日の昼間なので、ゴーストタウンという形容はどうかと思うけれど、地上の空間は地下空間と比べてたしかに閑散としています。

その饒舌なタクシー運転手によれば、外でおしゃべりするのにここちよい季節には駅前通りにオープンカフェを設置する計画があるそうです。そうすれば地上に人を呼び戻すことができる。地上の飲食店、とくに喫茶店などが困っているのでしょう。札幌はスイーツの街なので、僕のようにスイーツに関心のない人もいますが、この計画は悪くない。

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2012年5月22日 (火)

一番茶を、乳酸菌醗酵させた、番茶

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乳酸菌醗酵をさせためずらしいお茶をいただきました。区分は番茶です。以前は、一般の番茶がそうであるように、気軽に1日に何度も飲むタイプのお茶だったようです。

そのお茶の商品紹介コピーには『7月土用の頃、険しい山肌に自生する茶の葉を、木にしがみつく様に摘み取ります。』とあります。番茶は普通は二番茶・三番茶ですが、これは一番茶をつかった番茶。葉がある程度か硬くなる7月の中ごろに摘み取った一番茶を乳酸菌醗酵させて作るそうです。

お茶の名前は「阿波番茶」。この製法の茶は、「後発酵茶」と呼ばれ、日本では珍しい種類。淹れた茶の色は山吹色。乳酸菌醗酵させてあるので、ほのかに酸味があります。カフェインはほとんどない。再びコピーを引用すれば、『独特の甘酸っぱい香りと、すがすがしい酸味。そしてカテキンが多く含まれていますのでほのかに渋みが残るのが特徴です。』

Photo

写真は「徳島県物産センター」のホームページからお借りしました。

茶の葉には酸化酵素が含まれているので、葉を摘んで揉むと、酸化酵素によって「酸化発酵」が進行する。この酸化発酵をどのように制御するかでお茶のタイプがわかれます。

日本人にいちばんおなじみの緑茶は酸化発酵を行わない自然なお茶(不発酵茶)。一方、洋菓子と一緒に楽しむことの多い紅茶は、酸化発酵を完全に行ったタイプのお茶(完全発酵茶)。ウーロン茶はある程度酸化醗酵を行ったもので緑茶と紅茶の中間。紅茶のように酸化発酵させたタイプには抗酸化力は期待できない。

ちょっと変わっているのが後発酵茶。高温多湿な環境で加熱によって緑茶の酸化発酵を止めた後、微生物(たとえば麹菌や乳酸菌)の作用で発酵させたお茶で、中国のプーアル茶(黒茶)や日本では、徳島の阿波晩茶、高知の碁石(ごいし)茶などがあります。(【註】微生物の作用を利用した醗酵が、本来の醗酵の意味。だから、酸化発酵というのは不思議な用語ではあります。)

この番茶は、無理すれば、乳酸菌入りのカフェインレス紅茶風といえなくもない。しかし、葉を蒸すことで酸化発酵を促す酵素の働きを止めてあるので、抗酸化作用は紅茶よりもはるかに強そうです。この番茶の欠点は、山肌の自生の茶葉だけを手で摘み取って生産しているので、気軽に飲むには値段が高いことです。

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