発酵

2017年11月17日 (金)

ココアは発酵食品

 
「我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。」のココアゼリーがここでの話題です。
 
我が家のゼリーのベースは「寒天」(かんてん:テングサとオゴノリが原料)です。寒天を水で煮溶かしたものに、甘みをつけたコーヒーやココアを混ぜて、軽く熱を加えながらゆっくりと混ぜて、ゼリーを作ります。それを、たとえば、食べやすいサイズのガラス容器に順番に注いで、冷蔵庫で冷やせば、出来上がりです。
 
_ 寒天
 
寒天は食物繊維がいっぱいだし、甘みを抑えた寒天ゼリーなので、中年以上のデザートには向いていると思います。
 
ココアが発酵食品なら、そこには酵母、乳酸菌、酢酸菌などの微生物が生きているはずです。今回、ココアゼリーの甘味付けには黒砂糖を利用しました。ココアに黒砂糖を加えて、かき混ぜました。黒砂糖は発酵微生物のゴハンになります。
 
はたして、しばらくすると、ぶくぶくとココア溶液が泡立ってきました(写真)。眠っていた微生物が活動し始めたようです。小学校の理科の実験みたいですが、なかなかに楽しかった。確かにココアは発酵食品でした。
 
2

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月15日 (水)

真面目なタクアン、残念なタクアン

両方とも、ウェブサイトで商品説明を読んで、その上での感想です。食べたことはありませんが、タクアンは自宅で作るので味の想像はつきます。「真面目なタクアン」とは食べてみたいタクアン、のこと、「残念なタクアン」とは、とくには食べたいとは思わないタクアン、のことです。
 
以下は、「天日干しした大根を、樽に詰める(2017年度版タクアン)」で書いたように、我が家で作るタクアンの原材料です。原材料のそれぞれの素性は確かです。たとえば、大根は有機栽培ですが、栽培農家はわかっているし、米麹はどういう銘柄のどういうコメを使ったものなのかを確かめてあります。日本酒は純米酒。
 
『タクアンの材料は、天日干しの完了した大根、塩、米麹(こめこうじ)、米糠(こめぬか)、鷹の爪です。塩・米麹(こめこうじ)・米糠(こめぬか)・鷹の爪はいっしょに混ぜ合わせ薄茶の粉を作っておきます。同時に用意しておくのは、44度の焼酎と日本酒。焼酎は容器の雑菌消毒用です。』『大根は干したといっても水分は残っているので、適度な重石をかけておけば、全体が湿ってきますが、その呼び水として日本酒を使います。』
 
「真面目なタクアン」は北海道の食材を選び、おそらく札幌市内の自分のお店(だけ)で小規模に製造販売している漬物屋さんの商品。「残念なタクアン」(失礼千万な言い方ですが、まあ、ここではそう呼ぶとして)は、漬物業界としては大規模で、品質管理や安全管理もとてもプロセス重視で、インターネット通販も得意そうな漬物の(北海道ではない地域にある)製造販売会社の商品です。
 
後者(大規模なところ)のタクアンの原材料は以下の通りです。そのまま引用します。
 
『原材料名: 干し大根、漬け原材料(食塩、糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)、醸造酒、唐辛子、米ぬか)、調味料(アミノ酸等)、酒精、酸味料、ビタミンC、甘味料(スクラロース)、原材料の一部に大豆を含む』
 
前者(小さな漬物屋さん)のほうのタクアンの原材料は、これもそのまま引用すると、
 
『原材料名: 大根 漬け原材料(糠 食塩 ザラメ 赤唐辛子 昆布 果物剥皮(蜜柑 柿 リンゴ))』。
 
一定規模以上で加工食品を流通網に乗せるとしかたないのですが、両者の違いは、後者には『糖類(果糖ぶどう糖液糖)、醸造酒、、調味料(アミノ酸等)、酒精、酸味料、ビタミンC、甘味料(スクラロース)』といった、一般家庭の台所では見かけないものや一般家庭の家庭料理に使わないものが含まれているということです。
 
最近、真面目な松前漬けを食べてないので、この札幌中心部にまあまあ近い漬物屋さんに買いに行こうかなと思っています。
 
『松前漬  松前産スルメ、人参、南茅部産がごめ昆布を無添加醤油をベースにして甘辛い特製タレに漬けた昔ながらの本格松前漬です。噛めば噛むほどスルメの旨みが広がります。  原材料名: スルメ 人参 がごめ昆布 漬け原材料(濃口醤油 味醂 日本酒 ザラメ 食酢 赤唐辛子)原材料の一部に小麦大豆を含む。』
 
ちなみに、この漬物屋さんのタクアンの商品説明は、
 
『たくあん漬 米糠にじっくり漬け込む昔ながらの作り方。干し大根の旨み、糠の香り、ほのかな酸味。一口食べれば懐かしい味に出会います。塩気が強いと感じたら水にさらして塩抜きしてください。』
 
おいしそうです。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月13日 (月)

苦いチョコレートはおいしい発酵食品

ある食品会社の、あるブランド名のチョコレートには、カカオ濃度(製品中のカカオ分)が95%のものと86%のものと72%の3種類があります。
 
95%のものだと、チョコレート1箱(60g)のなかに含まれるカカオポリフェノールが2,088mg(2g)。糖質は60g中に7.0g。95%と86%と72%を食べ比べると、断然に95%です。95%には「非常に苦いチョコレートです」と注意書きがありますが、ぼくにはちょうどいい。86%や72%は甘すぎる。
 
95%チョコの商品パッケージの表に「1枚でポリフェノール174㎎ 1箱で2088㎎」と印刷してあるように、チョコレートには、フリーラジカル(活性酸素がその代表)と戦う抗酸化物質のポリフェノールが豊富に含まれています。(関連記事は「活性酸素と脂肪酸(その1)」)
 
カカオ100%のチョコレートを食べたことがありますが、100%となると、ほとんど健康食品の趣きです。でも、このタイプがお好きなかたは有力な継続購入者(リピーター)になるかもしれません。
 
チョコレートやココアはカカオ豆を微生物(酵母、乳酸菌、酢酸菌など)で発酵させて作った発酵食品です。チョコレートは発酵したお菓子として楽しみ、ココアは発酵した飲み物として味わいます(「チョコレート・ココアは発酵食品」 科学と生物 Vol. 49 No.8, 2011)。
 
我が家では甘さ控えめの自家製コーヒーゼリーや自家製お汁粉風ゼリーを晩ごはんの最後に楽しんでいますが、ごく最近、ココアを使った自家製ココアゼリーが新作として登場しました。ココアゼリーと95%チョコレートを食べると、なかなかに幸せな気分になれます。
 

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月 9日 (木)

納豆が人気だそうです

大豆を発酵させた加工食品(ないし調味料)には、日本では、味噌と醤油と納豆があります。納豆は、納豆菌で大豆を発酵させたものですが、インドネシアにはテンペというテンペ菌で大豆を発酵させた食べものがある。テンペのほうが納豆よりもクセ(臭いとネバネバ)がない。最近は国産テンペも手に入ります。
 
納豆とテンペを始めて目にした食文化の違う外国人がいるとします。さあ召し上がれと言われて、こんなものを食べて大丈夫なのだろうか、大丈夫だとしてはたしてどうやって食べるのだろうか、ということに関して躊躇と迷いが少ないのが納豆よりもテンペだと思います。
 
納豆が売れているそうです。「納豆の販売額が急成長している。全国納豆協同組合連合会(納豆連)の推計によると2016年の市場規模は、前年比16%増の2140億円と過去最高を記録。健康ブームに加え、国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さが、成長を後押ししている。国産の使用量は、3年で倍増した。」(日本農業新聞 2017年7月16日)
 
その人気は持続し「納豆の人気が高まり、2017年の消費額は過去最高を記録した16年をさらに上回る勢いとなっている。安くて栄養豊富な点が節約志向にマッチし、最近は高めの商品も健康重視の女性らに売れている。」(茨城新聞 2017年11月8日)
 
大豆は、どういう方法で調理されても、かつては健康食材とされていました。その背景には、グローバル市場のほとんどの大豆が、除草薬や殺虫剤への強い抵抗性を植え付けられた遺伝子組み換え大豆に移行したというわりに最近のビジネス事情がありました。その事情は現在も引き続き存在しています。大豆は健康食材という方向のマーケティングプロモーションなしでは、遺伝子組み換え大豆をグローバルに大量流通させられない、というわけです。
 
しかし、だんだんと食べものと健康の関係についての研究者や一般の人たちの知見が深くなるに従い、大豆は、健康食品から、たとえば反栄養素(サポニンやフィチン酸といった自然毒素であるところの反栄養素)を含んだできるだけ食べないほうがいい食材へと、その位置づけが変化してきました。
 
同時に、味噌・醤油・納豆のような大豆を発酵させた食品・食材はその限りではない、いやその逆だ、との認識も広がりました。長い発酵過程で反栄養素は大幅に減少するので消化システムに悪影響がないどころか、腸内の善良な微生物叢を活性化させるので発酵食品の良さをそのまま享受できるという認識の変化です。そこに、遺伝子組み換えでない国産大豆が加わります。
 
「国産大豆を使用した高価格帯商品の売れ行きの良さ」や「高めの商品も健康重視の女性らに売れている」ということは、消費者にそういう知見が広まってきて、つまりは、アジアの食文化の伝統的な知恵が再認識されているということです。けっこうなトレンドだと思います。
 
日本の家庭には、糠漬けやタクアンといった発酵食品が身近にあります。欧米で、ドイツ生まれのザワークラウトを楽しむのといっしょです。納豆の好きな「健康重視の女性」が糠漬けでも作り始めるともっといいのですが、どうなるでしょう。
 
ぼくの好きな納豆の食べ方は、塩と亜麻仁油です。亜麻仁油を軽くかけ、塩をパラパラと振って、よくかき混ぜて朝ごはんの時にいただきます。付属のタレなどは使わない。
 

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年10月24日 (火)

漬物雑感

「タクアン」は仕込みが終わったので、あとは順調に発酵が進むのを待つだけです。新鮮な白菜や大根が出回る時期は、「白菜の浅漬け」か大根の「べったら漬け」が我が家の漬物の定番です。
 
「白菜、塩、輪切りの鷹の爪」にしっかりと重石をかけて数時間から1日程度、常温の涼しい場所や冷蔵庫に置いておけばおいしい「白菜の浅漬け」ができ上がります。簡単です。
 
縦に二つに切った、頃合いの大きさの「大根」の切り身を塩漬けにしたのを、わずかな塩と唐辛子と柚子を加えた甘酒に、五日から一週間くらい漬けこんでおくと、「べったら漬け」ができ上がります。軽い塩味と軽い甘みが協調した、タクアンなどとは方向のちがう軽快な感じの漬物です。
 
ただ、「べったら漬け」には、甘酒が必要で、甘酒は麹と白米で作ります。作り慣れると簡単ですが、やや敷居が高い準備作業かもしれません。その工程は、「①うるち米をお粥(かゆ)にする。②お粥を60℃に冷ます。③そこに麹を入れて混ぜる。④そのあと60℃に近いそれ以下の温度で10時間ほど発酵する(ヨーグルトをつくるための電気式容器などを利用すると便利)。⑤でき上がる。」です。
 
タクアンなど冬の漬物を準備する時期に、気の利いた小売店の野菜売り場などに立ち寄るのはけっこう楽しいものです。通常販売しているものの3倍くらい大きい白菜がいくつもどんと置いてあったり、10本入りの箱売り青首ダイコンの箱が積み重ねられています。お店によっては札幌大球という巨大なキャベツが並んでいる。漬物関連コーナーは、塩、麹、鷹の爪、クチナシなど必需品で埋まっています(クチナシの黄色が必需品かどうかは別にして)。
 
我が家は、ニシン漬けなど魚介類を素材とする漬物は苦手なので作りません。しかし、以前、松前町に宿泊した時に旅館で出された「松前漬け」(素材は、数の子、スルメ、昆布)がとてもおいしくて、すぐそばの漬物屋でその長持ちしない松前漬けを冷蔵便で自宅まで送ってもらったことがあります。それほど旨かった。デパートなどで売っている袋詰めにした添加物がいっぱいの松前漬けには食欲がわきません。
 
考えてみると、松前漬けの材料は、それが江戸後期に松前藩で生まれた当時は、ニシン(数の子)もスルメイカも昆布も塩も大量に獲れた安価な食材だったので、ぼくたちが白菜の浅漬けを作るように、松前周辺の家庭ではとても気軽に松前漬けを漬け込んでいたのでしょう。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年10月23日 (月)

天日干しした大根を、樽に詰める(2017年度版タクアン)

今年は、大根そのものもとても良質だったし、陽射しと気温と湿度に恵まれたので、タクアン用大根の天日干しは実質八日間、つまり干し始めて九日目の午後で完了です。途中雨模様の日が一日ありましたが、遅い午後から明け方までの風の少ない雨降りだったので幸運でした。
 
大根を干すときは、暖かすぎてもダメ、寒すぎても凍るのでダメ、だから、札幌では、10月最後の週に干すという知恵が伝わってきたのでしょう。我が家は、天候のことなどをいろいろと考えて、今年の天日干しスケジュールをその知恵よりも10日ほど前倒ししました。
 
写真は、干し始めてまる七日間経過した時点の24本の大根の様子です。3本セットが8組で24本。水分が少なくなり全体が縦にも横にも縮んで皺が寄り、自重でそれぞれに「へ」の字になっていますが、念のため、さらに24時間、秋の陽と風と夜の寒さのなかで過ごしてもらいました。
 
8
 
下が、干しあがった24本。並べてみました。夕方に、大根の記念撮影です。
 
2017_2
 
タクアンの材料は、天日干しの完了した大根、塩、米麹(こめこうじ)、米糠(こめぬか)、鷹の爪です。塩・米麹(こめこうじ)・米糠(こめぬか)・鷹の爪はいっしょに混ぜ合わせ薄茶の粉を作っておきます。同時に用意しておくのは、44度の焼酎と日本酒。焼酎は容器の雑菌消毒用です。
 
ちなみに、今年の大根24本の合計乾燥重量は12.5kg。塩の量は乾燥重量の4%と決めてあるので、500g。使った米糠は3kg。米麹は200g。鷹の爪は掌いっぱいくらい。カビると嫌なので、鷹の爪のヘタは切り取っておきます。
 
大根を、薄茶色の粉でサンドイッチにするように一層ずつ、一斗樽(正確には19リットル入りのホーロー容器)にすき間なく詰めていき、各層の上に鷹の爪を6~7個ずつ配置します。複数の大根の層ができあがります(今年度は5層)。一番上にかぶせる薄茶の粉は多めにします。
 
詰め終わったら、大根の上に大きなポリ袋かなんかを敷き、足のサイズが容器に対して余裕のある配偶者がその上に立ち、足で踏み固めて、全体を落ち着かせます。配偶者は年に一回のこの作業がけっこう気に入っているみたいです。今回は、ぼくもこの足踏みに参加しました。
 
大根は干したといっても水分は残っているので、適度な重石をかけておけば、全体が湿ってきますが、その呼び水として日本酒を使います。上から一合程度を軽く注いで表面全体をしっとりとさせる。数日間、室内で発酵開始の按配を確認し、それが確認できたら戸外に出して、来年の1月中旬くらいまで寝かせます。
 
2017_3
 
大根24本というのは、我が家の消費量は、週に1本から1本半くらいなので、知り合いに差し上げる分があるとしても、1月中旬から食べ始めて5月の連休くらいまでは大丈夫な量です。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月14日 (木)

奈良漬と酒粕

ずっと以前は、奈良という土地と日本酒という飲み物が頭の中でうまく連携しなかったのですが、考えてみると、奈良は「奈良漬」の発祥地で、奈良漬の原材料は「瓜と酒粕」です。そして、酒粕は日本酒を醸造していないと手に入らない。しかし、奈良が日本酒の発祥の地であっても、地元でそれなりの量のおいしい日本酒を作り続けていないと、それなりの量の酒粕が手に入らないので、それなりの量のおいしい奈良漬は生産できません。
 
というわけで、ある時期に、近所や近隣の奈良漬業者に酒粕を供給しているに違いないと思われる奈良の地酒を呑んでみたところ、ホテルの食事処の日本酒リストには載っていない、少量生産の地元の銘柄がとても旨いという、ある意味、よくある結論に落ち着きました。しかし、こういう量から味への寄り道散歩のような結論では、奈良の奈良漬けが地酒の酒粕だけで作られているのかどうかはわかりません。奈良で作られている奈良漬は、実際にはどこの酒粕を使っているのでしょう?
 
下の写真は、「見ていて飽きない奈良漬けの内容表示ラベル」という記事で使ったものです。このラベルが貼ってあった丁寧なつくりの奈良漬けは2014年秋に奈良市内のそのお店で購入しました。
 
Photo
 
原材料は「しろうり、清酒粕」、添加物は「一切使用せず」とわかりやすい。ところが原材料原産地名が「徳島県」となっていて、「しろうり」の産地は徳島県に違いないとは思うものの、ここにはもう一つの原材料である「清酒粕」の産地が記載されていません。そんなもの、奈良に決まっているでしょうに、ということかもしれませんが。それならそれで納得です。
 
しかし、それではやはり埒が明かないので、別の丁寧なつくりの奈良漬屋さんのウェブサイトを拝見すると、そこには、「瓜は徳島県産の白うり『あわみどり瓜』」を、「酒粕は奈良や灘など全国有名酒蔵から仕入れた酒粕をブレンド、熟成させて」使っていると書いてあります。それから「また当店の奈良漬は、食品添加物は不使用でございます。」
 
ということで、昔はいざ知らず、今は、「奈良や奈良以外の信頼できる酒蔵から仕入れた酒粕」をお店の好みにブレンドし熟成させて使っているということなのでしょう。奈良漬屋さんに電話をして酒粕の仕入れ先を問い合わせてもいいのですが、そこまでの大ごとではないし、先方にとっても迷惑な話なので、やめておきます。「企業秘密」とおっしゃるかもしれません。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月25日 (金)

活性酸素と脂肪酸(その2)

脂質とは「あぶら」のことですが、この「あぶら」はヒトの中にもあれば、食べものの中にもあります。「あぶら」をここでは「脂質」と表現します。脂質は、炭水化物やタンパク質とならぶ三大栄養素の一つです。ちなみに、常温で液体の食用あぶら(植物系が多い)を「油」、常温で固体の食用あぶら(動物系が多い)を「脂」、まとめて、「油脂」と呼んでいます。
 
「脂質」を分類すると「ステロイド(コレステロール)」「脂肪(中性脂肪)」「リン脂質」「糖脂質」の4つに分かれます。食べものに含まれる脂質でも、ヒトの身体の中にある脂質でも、9割以上が「脂肪(中性脂肪)」です。
 
ぼくたちが健康診断・メタボ診断の結果などでお目にかかる「中性脂肪」というのは、「トリアシルグリセロール(またはトリグリセリド Triglycerides)」と呼ばれていて、次のような構造をしています。(絵は農水省ウェブサイトの「トランス脂肪酸」説明ページからお借りしました。)
 
__2
 
この「脂肪酸3本+グリセリン(最近はグリセロールといいます)」は、それが食べものの中にあっても、ヒトの体内にあっても、「脂肪」や「中性脂肪」と呼ばれています。
 
「中性脂肪」(トリアシルグリセロール)は、果糖・砂糖などの糖質(炭水化物)や動物性脂肪を主な原料として肝臓でつくられます。食事でこれらを多く摂りすぎると、皮下脂肪の主成分として蓄積されます。ヒトの体が活動するとき、第一のエネルギー源となるのは、一般的には、ブドウ糖(グルコース)ですが、不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解されて血液中に放出されエネルギーとして使われます。
 
「中性脂肪」の構成要素である「脂肪酸」には「飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がない、そういう意味で飽和)」と「不飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がある、そういう意味で不飽和)」の2つがあります(下の絵参照、絵は先ほどと同じ農水省のウェブサイトから引用)
 
__4
 
飽和脂肪酸は、炭素の二重結合がないので、通常は酸化されません。
 
比較的酸化されにくいのは、炭素の二重結合が1カ所の単価不飽和脂肪酸。たとえば、オレイン酸を含むオリーブオイルやアボカドオイルなどがこのタイプの食材です。
 
酸化されやすいのは、炭素の二重結合が複数個ある多価不飽和脂肪酸。たとえば、大豆油・ごま油やそれらを使ったサラダオイルやマヨネーズ。青魚に多く含まれるω-3系のDHA/EPAも酸化されやすい。相手を酸化したくてしかたない活性酸素は、炭素の二重結合部分とという弱い部分を襲います。二重結合のない飽和脂肪酸には、活性酸素は悪さを仕掛けられません。
 
飽和脂肪酸は、その長さによって、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸に区分されています。短鎖脂肪酸は1~7個の炭素で構成されている飽和脂肪酸。中鎖脂肪酸は8~10個。それよりも構成炭素数の多いものが長鎖脂肪酸です。
 
吸収効率や吸収速度が高いのは、飽和脂肪酸の中で長さが短かめのもの、つまり、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、非常に簡単にエネルギーに変換されて、体脂肪として残らない。短鎖脂肪酸を含む食材は牛乳やバター、中鎖脂肪酸を含む食材はココナッツオイルなど。いずれにせよ、食材の種類は非常に少ない。
 
それに、短鎖脂肪酸を含む牛乳とバターにしても、飽和脂肪酸全体の10%弱くらいが短鎖です。乳脂肪全体からみると、短鎖脂肪酸の量はわずかです。また、中鎖脂肪酸は、ぼくたちが日常よく食べている食品にはほとんど含まれていません(東南アジアでココナッツオイルを料理に毎日使っている人たちは別ですが)。
 
牛肉などの食品に含まれる飽和脂肪酸の大部分は、炭素数16のパルミチン酸と炭素数18のステアリン酸、つまり長鎖脂肪酸です。こうした胴体の長い脂肪酸は、すぐにエネルギー放出のために利用することもできるし、体脂肪としてためておくこともできます。
 
短鎖・中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸では、体内への吸収のされ方も違います。長鎖脂肪酸は、腸の中で胆汁と混ざりあってはじめて体内で吸収できるかたちになります。つまり、腸壁から吸収されたあとは、まずリンパ管に入り、それから血液中に入るという流れになります。一方、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、胆汁と合体する必要はありません。そのまま血液中に吸収されていきます。
 
乳脂肪にはわずかしか含まれない短鎖脂肪酸ですが、短鎖脂肪酸は別の形でも手に入ります。
 
水溶性食物繊維は、大腸の中に棲んでいる善良な腸内細菌叢(ビフィズス菌などいろいろ)の働きで発酵し、分解され、その結果、短鎖脂肪酸が作り出されます。こうして作られた短鎖脂肪酸は、腸内の有益菌にとっても重要な食糧になります。ヒトと細菌叢の共生関係です。大腸の中を短鎖脂肪酸の豊饒な海にするためには、水溶性食物繊維の豊富な野菜や海藻、それから豆類(豆類が向いていない人もいますが)をたくさん食べると簡単です。
 
脂肪の中には、酸化されやすいものもありますが、飽和脂肪酸のように通常は酸化されないものや、簡単にエネルギー変換されるので体内に蓄積されないもの(飽和脂肪酸の中の短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸)があります。「脂肪を食べる=体内にたまって太る」ということではありません。健康な細胞膜とホルモンは、酸化されていない飽和脂肪酸を使って作られます。
 
以上を、それ以外のω-3・ω-6・ω-9関連情報などをいっしょに整理すると以下のようになります。通常は酸化しない飽和脂肪酸も、調理の仕方によっては酸化するので(焦げるほど焼く、強く揚げるなど)、配慮が必要です。
 
2017
 
人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月24日 (木)

活性酸素と脂肪酸(その1)

1年ほど前から糠漬けを作り始めた知り合いの若い女性から、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、酸化や活性酸素などという言葉をインターネットの食べもの関連サイトでときどき見かけるのだがその意味がよくわからない、とこぼされました。たしかにそうだと思います。自分でその気になってキョーカショやサンコーショを調べてみないとこういうことの意味はよくわかりません。ぼくは糠漬けやその他の漬物(家庭発酵食品)を作る若い女性には親切です。で、この記事です。
 
まず、酸素や酸化ということから。
 
電子を他の物質から奪い取ることを「酸化」といいます。このときに、わかりやすい身近な例なのでいろいろな場所でよく引き合いに出されるのが、皮をむいたリンゴです。酸素は、リンゴから電子を奪い取り(「酸化」)、その結果、皮をむいたリンゴはすぐに薄茶色に変色してしまいます。鉄が錆びるのと同じことです。皮をむく前のリンゴは酸化しません。リンゴの皮に含まれているファイトケミカル(ポリフェノール)が酸化を防止しているからです。(逆に、電子を多く持っていてそれを他に提供することを「還元」といいます。)
 
そういう目で活性酸素を見てみると、活性酸素とは、他から電子を奪い取って何とか酸化活動をやりとげたいという欲求に満ちた、とても不安定な状態の酸素だと言えます。
 
活性酸素は、後述のように、呼吸などのヒトの自然な生体活動の中で発生します。しかし、活性酸素の発生はそれにとどまりません。ヒトが以下のような環境変化や環境条件(おおざっぱにいえばヒトにとっての異物、ないしは異物相当物)に出合った場合には、活性酸素が過剰に体内に発生すると考えられています。
 
・紫外線
・大気汚染、排気ガス、煙草
・激しいスポーツ、ストレス
・医薬品、X線(レントゲン)
・加工食品、食品添加物、殺虫剤・農薬
・電磁波
 
ここまでが前置きです。
 
ヒトは呼吸によって体内に酸素を取り込みます。食べものによって取り込んだ栄養素と呼吸によって取り込んだ酸素を使って、ヒトは活動エネルギーを生み出します。その場所は細胞内の工場(ないし発電機)といわれているミトコンドリアです。このとき、エネルギー産生活動の副産物として「活性酸素(活発な酸素)」も生み出されます。その量は吸った酸素量の2%くらいです。
 
世の中には、ヒトとは違って、空気(酸素)を嫌う微生物がたくさんいて、これらは嫌気性の微生物と呼ばれています。ヒトや微生物やバクテリアがエネルギーを作る時に、空気(酸素)が関与する場合にはその行為は「呼吸」と呼ばれ、空気(酸素)が関与しない場合は「発酵」と呼ばれています。発酵とは、微生物が空気の無いところで生きるための一つの方法です。微生物の中には、発酵でアルコールや乳酸などを作るものがあり、その産物として日本酒や乳酸発酵食品ができあがります。それらをぼくたちは発酵食品としてありがたく頂戴する。
 
大昔、あるときあるところに、太陽の光エネルギーを利用して、空気中にふんだんにある二酸化炭素から有機物を作るのを得意とする光合成バクテリアというのが出現しました。これはほとんど経費がかからない、つまり省エネの有機物生産方式です。そういう光合成バクテリアがその生産方式でおおいに繁殖した結果、地球環境に「酸素」がだんだんと蓄積されてきました。しかし、バクテリアなどはそもそもが非常に酸素に弱い。酸素は彼らにとっては猛毒のようなものです。つまり、自分たちの繁茂の結果、環境が自分たちにとっては嫌な、困った方向に変化したわけです。そういうことになるとは想像しなかったと思います。
 
そこで、酸素に弱いバクテリアは、酸素が蓄積されてきた新しい地球環境で生き延びるために、いわば、かれらにとっての持続可能な社会の構築のために、何をしたか。画期的な適応戦略をとった。「酸素に強いミトコンドリアの祖先」と仲間になった。ミトコンドリアの祖先は、酸素を利用してブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路の作成に成功した、酸素に強い変な奴です。バクテリアは地中深くに潜り込み酸素を避けて逃げ回るのではなく、酸素に強いミトコンドリアを自分の細胞内に取り込むことで酸素がいっぱいの地球環境と折り合いをつけ、生き延びることに成功しました。その結果、ぼくたちヒトの細胞の中でも、この細胞内工場(ないし発電機)とでもいうべきミトコンドリアが常に活躍しています。
 
活性酸素は、ヒトにとってとても重要な役割を演じています。ウィルスや細菌など体内に侵入してきた外敵から身体を守るという防御系機能の一部としての大切な働きが、それです。病原菌の侵入といった外部からの脅威があれば、細胞内で酸化ストレスを増大させ(活性酸素)、そうすることで免疫を活性化し、外部からの感染に打ち勝つようなメカニズムとプロセスが機能します。
 
しかし、同時に、活性酸素は、体内の細胞を酸化させることでさまざまな炎症や病気や老化を引き起こす原因にもなっています。たとえば、齢を重ねるにしたがって、脅威の対象が、外部から突然にやってくる感染から、細胞内のミトコンドリアの劣化(フリーラジカルの漏出、フリーラジカルの代表的なもののひとつが「活性酸素」)といった内的な現象へとシフトしていきます。細胞の工場機能の劣化がきっかけで細胞内の酸化ストレスが増大し、それによって活性化された防御作用が、外敵ではなく、自分自身を継続的に傷つけます。継続的に発生する炎症(慢性的な炎症)が、ヒト自身の内部に心臓病やガン、関節炎などを引きおこします。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月 8日 (火)

トマトの毀誉褒貶(きよほうへん)

トマトはナス科の野菜です。トマトがナス科植物だと聞いてびっくりするかたがいらっしゃるかもしれませんが、ぼくたちが普段よく口にしているナス科の野菜には、ナス、トマト、ピーマンやジャガイモがあります。
 
色は違っても花の形がナスに良く似ている野菜に出会ったら、それはナス科だと考えて間違いないと思います(たとえば、下の写真だと、左がナスの花、まん中がミニトマトの花、右がジャガイモの花。なおジャガイモの花は自分で撮ったのが手元になかったのでWikipediaからお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます)。
 
Photo Photo_2 Wikipedia_2
   
トマトは、かつて、赤茄子(あかなす)と呼ばれていました。トマトがナス科植物であることが日本人の世間知として共有されていたのでしょう。ナスは生では食べない。というか食べられない。生の風味を味わう場合は糠漬けのような発酵食品にして食べる。だからナス科のトマトも「若いころは、赤茄子は気持ちが悪いので普通は食べないということになっていた」。お年寄りからそう聞いたこともあります。確かに、昔のトマトは生で食べるにはおいしくはなかった。ぼくもそう記憶しています。
 
しかし時代は変わり、今では一番の人気野菜になりました。完熟系品種や高糖度トマトやフルーツトマトのような甘いミニトマトやミディトマトが次から次と登場するので、生食トマトの人気は相変わらず沸騰中というか、人気企業の株価のように高値安定中です。総務省の家計調査では、魚の中でいちばん出費金額の多いのが「まぐろ」、果物だと「バナナ」、そして野菜では「トマト」です。最も新しい調査資料には目を通していませんが、この順位は、まず、変わらないと思います。
 
トマトは南米・アンデス高原が原産地ですが、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がヨーロッパのどこかにあるそうです。ぼくはそういう諺を直接聞いたことはありませんが、トマト生産(ただし、生食トマトではなく調理用トマトです)の盛んな地中海沿岸地方のどこかにそういう言い伝えがあっても不思議ではない。
 
「トマトが赤くなると」のトマトの赤い色はリコペンという色素によるものです。リコペンを始め野菜の天然色素成分(カロテノイド)には抗酸化作用があり、そういう野菜を食べると体内で悪さをする活性酸素が取り除かれます。
 
ここまでが、トマトの「毀誉褒貶」のうちの主に「誉」と「褒」(ともに、「ほめる」の意)に関する部分です。しかし、最近は、同じトマトの「毀」と「貶」(ともに「けなす」の意)に関する事柄も報告されています。
 
「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」という日本の言い伝えがあります。「秋ナスのようなおいしいものを嫁に食べさせてはもったいないという、姑(しゅうとめ)の嫁いじめ」的な解釈か、「ナスは体を冷やすので、元気な子供を産んでもらわないといけない大切な嫁には食べさせてはいけないという、嫁への気遣い」的な解釈が一般的です。
 
しかし、「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」は、「秋なすび早酒(わささ)の粕(かす)につきまぜて棚におくとも嫁に食わすな」の一部だったのが独立したという説もあり、そうだとすると「ナスは、食べるのなら、粕漬け、糠漬けで」「できることなら大事な人には食べさせないほうがいい」という「食に関する知恵」の話になるので、ぼくにはそのほうが腑に落ちます。
 
トマトに関しては、β-カロテンを含んだおいしい生の健康野菜というだけでなく、別の「知見」も登場しています。それはどういうものかというと、トマトやナス、ピーマンやジャガイモのようなナス科の野菜は、レクチンという「反栄養素」(および、アルカロイドという物質)を含んでおり、これが、人によっては関節リウマチや肌荒れのような自己免疫反応を引き起こすので要注意、というものです。レクチンは熱で破壊されることが多いのですが、ナス科野菜のレクチンは熱でも破壊されない。
 
反栄養素というと怖そうな言葉ですが、要は、植物や野菜の自己防御システム(自然環境や外敵から自分を守る)が作り出した、人間や動物にとっては害となるような栄養素のことです。すごくおおざっぱに言うと、反栄養素とは野菜の「アク」のことです。「アク」は抜かないと食べられません。そのままで食べてもいいけれど死ぬほど苦しむことになります。「アク」は晒したり熱を加えたり発酵させたりしないと取り除けません。そこで、いろいろな調理方法が工夫されてきました。「きんぴらゴボウ」などはそのひとつです。
 
植物が光合成をするときに避けて通れないのが太陽の紫外線による被害です。この害から身を守るために作られたものが、ファイトケミカルです(ファイトやフィトは植物の意)。ファイトケミカルには、強い抗酸化作用を持つポリフェノールやカロテノイドがふくまれますが、言葉を換えれば、ファイトケミカルとは、ヒトにとって有用な、温和なタイプの「アク」ということになります。
 
植物や野菜が作り出した自己防御システムのなかには、したがって、ナス科のレクチンのような性質のものも当然含まれます。以前からヒトが食生活の知恵として気づいていたことが、「反栄養素」という科学の概念をまとって再登場してきたとも言えます。

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧