発酵

2017年9月14日 (木)

奈良漬と酒粕

ずっと以前は、奈良という土地と日本酒という飲み物が頭の中でうまく連携しなかったのですが、考えてみると、奈良は「奈良漬」の発祥地で、奈良漬の原材料は「瓜と酒粕」です。そして、酒粕は日本酒を醸造していないと手に入らない。しかし、奈良が日本酒の発祥の地であっても、地元でそれなりの量のおいしい日本酒を作り続けていないと、それなりの量の酒粕が手に入らないので、それなりの量のおいしい奈良漬は生産できません。
 
というわけで、ある時期に、近所や近隣の奈良漬業者に酒粕を供給しているに違いないと思われる奈良の地酒を呑んでみたところ、ホテルの食事処の日本酒リストには載っていない、少量生産の地元の銘柄がとても旨いという、ある意味、よくある結論に落ち着きました。しかし、こういう量から味への寄り道散歩のような結論では、奈良の奈良漬けが地酒の酒粕だけで作られているのかどうかはわかりません。奈良で作られている奈良漬は、実際にはどこの酒粕を使っているのでしょう?
 
下の写真は、「見ていて飽きない奈良漬けの内容表示ラベル」という記事で使ったものです。このラベルが貼ってあった丁寧なつくりの奈良漬けは2014年秋に奈良市内のそのお店で購入しました。
 
Photo
 
原材料は「しろうり、清酒粕」、添加物は「一切使用せず」とわかりやすい。ところが原材料原産地名が「徳島県」となっていて、「しろうり」の産地は徳島県に違いないとは思うものの、ここにはもう一つの原材料である「清酒粕」の産地が記載されていません。そんなもの、奈良に決まっているでしょうに、ということかもしれませんが。それならそれで納得です。
 
しかし、それではやはり埒が明かないので、別の丁寧なつくりの奈良漬屋さんのウェブサイトを拝見すると、そこには、「瓜は徳島県産の白うり『あわみどり瓜』」を、「酒粕は奈良や灘など全国有名酒蔵から仕入れた酒粕をブレンド、熟成させて」使っていると書いてあります。それから「また当店の奈良漬は、食品添加物は不使用でございます。」
 
ということで、昔はいざ知らず、今は、「奈良や奈良以外の信頼できる酒蔵から仕入れた酒粕」をお店の好みにブレンドし熟成させて使っているということなのでしょう。奈良漬屋さんに電話をして酒粕の仕入れ先を問い合わせてもいいのですが、そこまでの大ごとではないし、先方にとっても迷惑な話なので、やめておきます。「企業秘密」とおっしゃるかもしれません。

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2017年8月25日 (金)

活性酸素と脂肪酸(その2)

脂質とは「あぶら」のことですが、この「あぶら」はヒトの中にもあれば、食べものの中にもあります。「あぶら」をここでは「脂質」と表現します。脂質は、炭水化物やタンパク質とならぶ三大栄養素の一つです。ちなみに、常温で液体の食用あぶら(植物系が多い)を「油」、常温で固体の食用あぶら(動物系が多い)を「脂」、まとめて、「油脂」と呼んでいます。
 
「脂質」を分類すると「ステロイド(コレステロール)」「脂肪(中性脂肪)」「リン脂質」「糖脂質」の4つに分かれます。食べものに含まれる脂質でも、ヒトの身体の中にある脂質でも、9割以上が「脂肪(中性脂肪)」です。
 
ぼくたちが健康診断・メタボ診断の結果などでお目にかかる「中性脂肪」というのは、「トリアシルグリセロール(またはトリグリセリド Triglycerides)」と呼ばれていて、次のような構造をしています。(絵は農水省ウェブサイトの「トランス脂肪酸」説明ページからお借りしました。)
 
__2
 
この「脂肪酸3本+グリセリン(最近はグリセロールといいます)」は、それが食べものの中にあっても、ヒトの体内にあっても、「脂肪」や「中性脂肪」と呼ばれています。
 
「中性脂肪」(トリアシルグリセロール)は、果糖・砂糖などの糖質(炭水化物)や動物性脂肪を主な原料として肝臓でつくられます。食事でこれらを多く摂りすぎると、皮下脂肪の主成分として蓄積されます。ヒトの体が活動するとき、第一のエネルギー源となるのは、一般的には、ブドウ糖(グルコース)ですが、不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解されて血液中に放出されエネルギーとして使われます。
 
「中性脂肪」の構成要素である「脂肪酸」には「飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がない、そういう意味で飽和)」と「不飽和脂肪酸(炭素の二重結合という弱い部分がある、そういう意味で不飽和)」の2つがあります(下の絵参照、絵は先ほどと同じ農水省のウェブサイトから引用)
 
__4
 
飽和脂肪酸は、炭素の二重結合がないので、通常は酸化されません。
 
比較的酸化されにくいのは、炭素の二重結合が1カ所の単価不飽和脂肪酸。たとえば、オレイン酸を含むオリーブオイルやアボカドオイルなどがこのタイプの食材です。
 
酸化されやすいのは、炭素の二重結合が複数個ある多価不飽和脂肪酸。たとえば、大豆油・ごま油やそれらを使ったサラダオイルやマヨネーズ。青魚に多く含まれるω-3系のDHA/EPAも酸化されやすい。相手を酸化したくてしかたない活性酸素は、炭素の二重結合部分とという弱い部分を襲います。二重結合のない飽和脂肪酸には、活性酸素は悪さを仕掛けられません。
 
飽和脂肪酸は、その長さによって、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸に区分されています。短鎖脂肪酸は1~7個の炭素で構成されている飽和脂肪酸。中鎖脂肪酸は8~10個。それよりも構成炭素数の多いものが長鎖脂肪酸です。
 
吸収効率や吸収速度が高いのは、飽和脂肪酸の中で長さが短かめのもの、つまり、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、非常に簡単にエネルギーに変換されて、体脂肪として残らない。短鎖脂肪酸を含む食材は牛乳やバター、中鎖脂肪酸を含む食材はココナッツオイルなど。いずれにせよ、食材の種類は非常に少ない。
 
それに、短鎖脂肪酸を含む牛乳とバターにしても、飽和脂肪酸全体の10%弱くらいが短鎖です。乳脂肪全体からみると、短鎖脂肪酸の量はわずかです。また、中鎖脂肪酸は、ぼくたちが日常よく食べている食品にはほとんど含まれていません(東南アジアでココナッツオイルを料理に毎日使っている人たちは別ですが)。
 
牛肉などの食品に含まれる飽和脂肪酸の大部分は、炭素数16のパルミチン酸と炭素数18のステアリン酸、つまり長鎖脂肪酸です。こうした胴体の長い脂肪酸は、すぐにエネルギー放出のために利用することもできるし、体脂肪としてためておくこともできます。
 
短鎖・中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸では、体内への吸収のされ方も違います。長鎖脂肪酸は、腸の中で胆汁と混ざりあってはじめて体内で吸収できるかたちになります。つまり、腸壁から吸収されたあとは、まずリンパ管に入り、それから血液中に入るという流れになります。一方、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、胆汁と合体する必要はありません。そのまま血液中に吸収されていきます。
 
乳脂肪にはわずかしか含まれない短鎖脂肪酸ですが、短鎖脂肪酸は別の形でも手に入ります。
 
水溶性食物繊維は、大腸の中に棲んでいる善良な腸内細菌叢(ビフィズス菌などいろいろ)の働きで発酵し、分解され、その結果、短鎖脂肪酸が作り出されます。こうして作られた短鎖脂肪酸は、腸内の有益菌にとっても重要な食糧になります。ヒトと細菌叢の共生関係です。大腸の中を短鎖脂肪酸の豊饒な海にするためには、水溶性食物繊維の豊富な野菜や海藻、それから豆類(豆類が向いていない人もいますが)をたくさん食べると簡単です。
 
脂肪の中には、酸化されやすいものもありますが、飽和脂肪酸のように通常は酸化されないものや、簡単にエネルギー変換されるので体内に蓄積されないもの(飽和脂肪酸の中の短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸)があります。「脂肪を食べる=体内にたまって太る」ということではありません。健康な細胞膜とホルモンは、酸化されていない飽和脂肪酸を使って作られます。
 
以上を、それ以外のω-3・ω-6・ω-9関連情報などをいっしょに整理すると以下のようになります。通常は酸化しない飽和脂肪酸も、調理の仕方によっては酸化するので(焦げるほど焼く、強く揚げるなど)、配慮が必要です。
 
2017
 
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2017年8月24日 (木)

活性酸素と脂肪酸(その1)

1年ほど前から糠漬けを作り始めた知り合いの若い女性から、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、酸化や活性酸素などという言葉をインターネットの食べもの関連サイトでときどき見かけるのだがその意味がよくわからない、とこぼされました。たしかにそうだと思います。自分でその気になってキョーカショやサンコーショを調べてみないとこういうことの意味はよくわかりません。ぼくは糠漬けやその他の漬物(家庭発酵食品)を作る若い女性には親切です。で、この記事です。
 
まず、酸素や酸化ということから。
 
電子を他の物質から奪い取ることを「酸化」といいます。このときに、わかりやすい身近な例なのでいろいろな場所でよく引き合いに出されるのが、皮をむいたリンゴです。酸素は、リンゴから電子を奪い取り(「酸化」)、その結果、皮をむいたリンゴはすぐに薄茶色に変色してしまいます。鉄が錆びるのと同じことです。皮をむく前のリンゴは酸化しません。リンゴの皮に含まれているファイトケミカル(ポリフェノール)が酸化を防止しているからです。(逆に、電子を多く持っていてそれを他に提供することを「還元」といいます。)
 
そういう目で活性酸素を見てみると、活性酸素とは、他から電子を奪い取って何とか酸化活動をやりとげたいという欲求に満ちた、とても不安定な状態の酸素だと言えます。
 
活性酸素は、後述のように、呼吸などのヒトの自然な生体活動の中で発生します。しかし、活性酸素の発生はそれにとどまりません。ヒトが以下のような環境変化や環境条件(おおざっぱにいえばヒトにとっての異物、ないしは異物相当物)に出合った場合には、活性酸素が過剰に体内に発生すると考えられています。
 
・紫外線
・大気汚染、排気ガス、煙草
・激しいスポーツ、ストレス
・医薬品、X線(レントゲン)
・加工食品、食品添加物、殺虫剤・農薬
・電磁波
 
ここまでが前置きです。
 
ヒトは呼吸によって体内に酸素を取り込みます。食べものによって取り込んだ栄養素と呼吸によって取り込んだ酸素を使って、ヒトは活動エネルギーを生み出します。その場所は細胞内の工場(ないし発電機)といわれているミトコンドリアです。このとき、エネルギー産生活動の副産物として「活性酸素(活発な酸素)」も生み出されます。その量は吸った酸素量の2%くらいです。
 
世の中には、ヒトとは違って、空気(酸素)を嫌う微生物がたくさんいて、これらは嫌気性の微生物と呼ばれています。ヒトや微生物やバクテリアがエネルギーを作る時に、空気(酸素)が関与する場合にはその行為は「呼吸」と呼ばれ、空気(酸素)が関与しない場合は「発酵」と呼ばれています。発酵とは、微生物が空気の無いところで生きるための一つの方法です。微生物の中には、発酵でアルコールや乳酸などを作るものがあり、その産物として日本酒や乳酸発酵食品ができあがります。それらをぼくたちは発酵食品としてありがたく頂戴する。
 
大昔、あるときあるところに、太陽の光エネルギーを利用して、空気中にふんだんにある二酸化炭素から有機物を作るのを得意とする光合成バクテリアというのが出現しました。これはほとんど経費がかからない、つまり省エネの有機物生産方式です。そういう光合成バクテリアがその生産方式でおおいに繁殖した結果、地球環境に「酸素」がだんだんと蓄積されてきました。しかし、バクテリアなどはそもそもが非常に酸素に弱い。酸素は彼らにとっては猛毒のようなものです。つまり、自分たちの繁茂の結果、環境が自分たちにとっては嫌な、困った方向に変化したわけです。そういうことになるとは想像しなかったと思います。
 
そこで、酸素に弱いバクテリアは、酸素が蓄積されてきた新しい地球環境で生き延びるために、いわば、かれらにとっての持続可能な社会の構築のために、何をしたか。画期的な適応戦略をとった。「酸素に強いミトコンドリアの祖先」と仲間になった。ミトコンドリアの祖先は、酸素を利用してブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路の作成に成功した、酸素に強い変な奴です。バクテリアは地中深くに潜り込み酸素を避けて逃げ回るのではなく、酸素に強いミトコンドリアを自分の細胞内に取り込むことで酸素がいっぱいの地球環境と折り合いをつけ、生き延びることに成功しました。その結果、ぼくたちヒトの細胞の中でも、この細胞内工場(ないし発電機)とでもいうべきミトコンドリアが常に活躍しています。
 
活性酸素は、ヒトにとってとても重要な役割を演じています。ウィルスや細菌など体内に侵入してきた外敵から身体を守るという防御系機能の一部としての大切な働きが、それです。病原菌の侵入といった外部からの脅威があれば、細胞内で酸化ストレスを増大させ(活性酸素)、そうすることで免疫を活性化し、外部からの感染に打ち勝つようなメカニズムとプロセスが機能します。
 
しかし、同時に、活性酸素は、体内の細胞を酸化させることでさまざまな炎症や病気や老化を引き起こす原因にもなっています。たとえば、齢を重ねるにしたがって、脅威の対象が、外部から突然にやってくる感染から、細胞内のミトコンドリアの劣化(フリーラジカルの漏出、フリーラジカルの代表的なもののひとつが「活性酸素」)といった内的な現象へとシフトしていきます。細胞の工場機能の劣化がきっかけで細胞内の酸化ストレスが増大し、それによって活性化された防御作用が、外敵ではなく、自分自身を継続的に傷つけます。継続的に発生する炎症(慢性的な炎症)が、ヒト自身の内部に心臓病やガン、関節炎などを引きおこします。

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2017年8月 8日 (火)

トマトの毀誉褒貶(きよほうへん)

トマトはナス科の野菜です。トマトがナス科植物だと聞いてびっくりするかたがいらっしゃるかもしれませんが、ぼくたちが普段よく口にしているナス科の野菜には、ナス、トマト、ピーマンやジャガイモがあります。
 
色は違っても花の形がナスに良く似ている野菜に出会ったら、それはナス科だと考えて間違いないと思います(たとえば、下の写真だと、左がナスの花、まん中がミニトマトの花、右がジャガイモの花。なおジャガイモの花は自分で撮ったのが手元になかったのでWikipediaからお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます)。
 
Photo Photo_2 Wikipedia_2
   
トマトは、かつて、赤茄子(あかなす)と呼ばれていました。トマトがナス科植物であることが日本人の世間知として共有されていたのでしょう。ナスは生では食べない。というか食べられない。生の風味を味わう場合は糠漬けのような発酵食品にして食べる。だからナス科のトマトも「若いころは、赤茄子は気持ちが悪いので普通は食べないということになっていた」。お年寄りからそう聞いたこともあります。確かに、昔のトマトは生で食べるにはおいしくはなかった。ぼくもそう記憶しています。
 
しかし時代は変わり、今では一番の人気野菜になりました。完熟系品種や高糖度トマトやフルーツトマトのような甘いミニトマトやミディトマトが次から次と登場するので、生食トマトの人気は相変わらず沸騰中というか、人気企業の株価のように高値安定中です。総務省の家計調査では、魚の中でいちばん出費金額の多いのが「まぐろ」、果物だと「バナナ」、そして野菜では「トマト」です。最も新しい調査資料には目を通していませんが、この順位は、まず、変わらないと思います。
 
トマトは南米・アンデス高原が原産地ですが、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がヨーロッパのどこかにあるそうです。ぼくはそういう諺を直接聞いたことはありませんが、トマト生産(ただし、生食トマトではなく調理用トマトです)の盛んな地中海沿岸地方のどこかにそういう言い伝えがあっても不思議ではない。
 
「トマトが赤くなると」のトマトの赤い色はリコペンという色素によるものです。リコペンを始め野菜の天然色素成分(カロテノイド)には抗酸化作用があり、そういう野菜を食べると体内で悪さをする活性酸素が取り除かれます。
 
ここまでが、トマトの「毀誉褒貶」のうちの主に「誉」と「褒」(ともに、「ほめる」の意)に関する部分です。しかし、最近は、同じトマトの「毀」と「貶」(ともに「けなす」の意)に関する事柄も報告されています。
 
「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」という日本の言い伝えがあります。「秋ナスのようなおいしいものを嫁に食べさせてはもったいないという、姑(しゅうとめ)の嫁いじめ」的な解釈か、「ナスは体を冷やすので、元気な子供を産んでもらわないといけない大切な嫁には食べさせてはいけないという、嫁への気遣い」的な解釈が一般的です。
 
しかし、「秋茄子(あきなすび)嫁に食わすな」は、「秋なすび早酒(わささ)の粕(かす)につきまぜて棚におくとも嫁に食わすな」の一部だったのが独立したという説もあり、そうだとすると「ナスは、食べるのなら、粕漬け、糠漬けで」「できることなら大事な人には食べさせないほうがいい」という「食に関する知恵」の話になるので、ぼくにはそのほうが腑に落ちます。
 
トマトに関しては、β-カロテンを含んだおいしい生の健康野菜というだけでなく、別の「知見」も登場しています。それはどういうものかというと、トマトやナス、ピーマンやジャガイモのようなナス科の野菜は、レクチンという「反栄養素」(および、アルカロイドという物質)を含んでおり、これが、人によっては関節リウマチや肌荒れのような自己免疫反応を引き起こすので要注意、というものです。レクチンは熱で破壊されることが多いのですが、ナス科野菜のレクチンは熱でも破壊されない。
 
反栄養素というと怖そうな言葉ですが、要は、植物や野菜の自己防御システム(自然環境や外敵から自分を守る)が作り出した、人間や動物にとっては害となるような栄養素のことです。すごくおおざっぱに言うと、反栄養素とは野菜の「アク」のことです。「アク」は抜かないと食べられません。そのままで食べてもいいけれど死ぬほど苦しむことになります。「アク」は晒したり熱を加えたり発酵させたりしないと取り除けません。そこで、いろいろな調理方法が工夫されてきました。「きんぴらゴボウ」などはそのひとつです。
 
植物が光合成をするときに避けて通れないのが太陽の紫外線による被害です。この害から身を守るために作られたものが、ファイトケミカルです(ファイトやフィトは植物の意)。ファイトケミカルには、強い抗酸化作用を持つポリフェノールやカロテノイドがふくまれますが、言葉を換えれば、ファイトケミカルとは、ヒトにとって有用な、温和なタイプの「アク」ということになります。
 
植物や野菜が作り出した自己防御システムのなかには、したがって、ナス科のレクチンのような性質のものも当然含まれます。以前からヒトが食生活の知恵として気づいていたことが、「反栄養素」という科学の概念をまとって再登場してきたとも言えます。

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2017年7月25日 (火)

自家製味噌の楽しみ

現在我が家で熟成中の味噌は、サイズの違いはありますが、甕(かめ)の数にして11個。大部分が常滑焼の甕です。一番古い仕込みが2013年2月のもの、それから2014年2月のもの、そして2015年の1月から3月にかけて仕込んだもの、いちばん新しいのは2016年3月に仕込んだものです。
 
熟成中の在庫が十分にあるので、特に2015年1月から3月にかけて作ったものが、我が家の消費量との関係で潤沢にあるので、今年(2017年)は作りませんでした。
 
味噌は2年以上寝かせたのを食べます。よく熟成させたのを味噌汁や酢味噌などに使うわけです。現在、使っているのは2015年1月に仕込んだもの、つまり2年半寝かせたものです。2年以上寝かせると角が取れてきます。まろやかになる。辛さに旨味がでます。
 
大豆は北海道産と決めてありますが、コメ麹は、年によって入手先が違う場合がありあます。無農薬栽培や有機栽培のコメ農家が手掛けたコメ麹を買うようにしています。コメ農家が自分でコメ麹を作ることは稀なので、その農家がそのコメを知り合いの麹業者に委託してコメ麹にしてもらったものが理想的です。しかし、必ずしもそういう具合にはいきません。
 
2013年ものには当分手をつけないと決めてあり(いちばんの楽しみはあとに残しておく)、順番からすると2014年ものを料理に使うはずなのですが、2015年ものがたくさんあるのと、2015年ものは特別注文風のコメ麹を使っているので、その仕上がりが気になっていたからです。
 
2015年ものは、2015年1月~3月の仕込みから1年後に天地返しをして、熟成具合を確かめてみたところ、思ったよりも発酵が緩やかでした。大丈夫かなと心配していたのですが、それから順調に発酵が進んだらしく(その麹の性格かもしれません)、丸2年が経過したときに様子を確かめてみると、匂いと色艶のすばらしい味噌ができあがっていました。これならすぐに食べても大丈夫です。しかし、しばらく熟成を続けてから食べ始めました。
 
今の甕が空になったら、次は2014年ものか、続けて2015年ものか、思案中です。

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2017年7月24日 (月)

大豆を食べよう、大豆は食べるな

大豆はそのままでは毒なので、東アジアの人たちは、未成熟の種子を枝豆として食べたり、成熟した種子を煮物にしたり、あるいはもっと時間をかけて加工したり発酵させたりして食べものとして長い間つき合ってきました。加工食品、発酵食品とは、豆腐、湯葉、厚揚げ、豆乳ヨーグルト、味噌、醤油、納豆などのことです。インドネシア発祥のテンペという納豆みたいな食品もあります。
 
とくにITに詳しいわけでもない一般の人々にインターネットが普及し始めたのは1995年以降です。ブラウザーの進歩やスマートフォンなどの登場もあり、この20年余りで、インターネットは日常生活の必需品、というかとくに意識せずに接している生活機能の一部になりました。食べものの世界でも、20~30年で世界は相当に変わります。
 
SOYINFOCENTERという、大豆(とくに歴史的な視点から見た大豆というもの)に関してはほぼどんな情報でも提供している独立系のサイトがあります。その情報をお借りすると、大豆の歴史は以下のように要約できます。
 
「大豆は紀元前11世紀に中国の東北部で栽培され始め、それから3000年間、その大部分は、豆腐や醤油、豆豉(トウチ:塩漬け発酵乾燥黒大豆)や味噌や納豆、豆乳のような加工食品として利用されてきた。ただし、一部は、そういう処理はされずに枝豆や煮豆として食された。」
 
「大豆が油として利用されたのは、中国の記録では紀元980年が最初である。油は照明用に、油(の搾り)粕(かす)は中国南部でサトウキビ畑用の窒素肥料として使用された。」
 
「それ以外の大豆の「近代的な」使われ方が始まったのは1908年の英国で、大豆油は石鹸に、油粕は家畜の餌に利用された。そういう大豆利用の西洋風パラダイムが世界に拡大したのは1942年以降である。」
 
SOYINFOCENTERの記述をもとに、それ以外の情報も加えて、食用農産物としての大豆の歴史を経済史風に整理してみると、以下のようになります。
 
■紀元前11世紀~1907年:東アジアに生産と貿易が集中(生産拠点である中国東北部を中心に中国南部、そして朝鮮と日本)
 
■1908~1930年:欧州への中国東北部(古い用語では旧満州)産大豆の輸出が拡大
 
■1931~1941年:米国の大豆生産が急増する一方、中国東北部の輸出が激減
 
■1942~1955年:米国が世界最大の大豆生産国へと成長
 
■1956~1969年:東アジアの大豆生産が減少し、米国の輸出が増大
 
■1970年以降   :南米諸国と米国との競争が激化。米国で大豆など主要作物における遺伝子組み換え商業栽培を開始(1996年)。ブラジルで遺伝子組み換え大豆栽培認可(2003年)。遺伝子組み換え大豆の作付けが米国で80%に達する(2003年)。日本でも遺伝子組み換え大豆を使った食品の販売が始まる(2003年)。
 
主に発酵食品として3000年間ヒトの口に入ってきた大豆が、20世紀後半の50年間で、ヒト用の大豆油と家畜・家禽用の飼料のデフォになり、またこの20年で遺伝子組み換え作物のデフォにもなりました(米国における遺伝子組み換え大豆の作付比率は、現在は90%以上)。同時に大豆は、タンパク質が豊富な畑の牛肉であり(つまり健康食品であり)、大豆油も健康的なn-6系植物油としてひとびとの人気を集めてきました。
 
そしてその人気と並列して、この10年で安全・安心な食べものを求める人たち、あるいは健康に敏感な人たちの間で大豆離れ、大豆油離れの波も広がってきました。食べものの世界でも10年間で「常識」と「知見」はけっこう変化します。
 
現在は、大豆生産国の政策とバイオ企業のマーケティングと人々の安心な食や健康に対する関心と無関心が入り混じって、「大豆を食べよう」と「大豆は食べるな」と「大豆食品は選択的に食べよう」が併存しています。
 
 
◇ ◇ ◇
 
ちなみに、紀元前11世紀以前はどうだったのか。大豆が栽培され始めたのは紀元前30世紀という記録もあるらしい。紀元前11世紀は華北を統一した周王朝の時代です。紀元前30世紀は殷王朝が成立するはるか以前です。
 
農作に適していない痩せた土地がある。大豆はそういう痩せた土地でも、窒素吸収力が強いのでよく育つ。育つだけでなく、その土地を豊かにする。つまり、もともとは、痩せた土地を豊かにするための作物として大豆が栽培されたらしい。(なお、大豆が、痩せた土地で手をかけなくともよく育つという事実は日本の東北地方や北海道の記録でも確認できる。)
 
しかし、固有の毒性から大豆は、2000年間は、食用の対象ではありませんでした。大豆が食材になるのは、誰かが大豆を発酵させて食べることを考えついた紀元前11世紀からです。強いアクをもった根菜類のアク抜き方法を開発して食べ始めるということもそうですが、食べものに関しては、たとえば発酵といった調理方法のブレイクスルーが突然発生します。その結果、21世紀の我が家でも北海道産の大豆を使った自家製味噌を作り続けることができるわけです。

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2017年7月 5日 (水)

大豆と大豆を使った食品に関する複数の考え方

食べものを含む特定の対象物に対する常識、あるいは考え方、あるいは知見は時とともに変化します。常に進歩とは言えませんが、そういう方向に変化することを、ぼくたちは、いちおうは期待しています。そして、たいていは、別々の時期に生まれた異なった複数の考え方や知見が、おのおのの勢力範囲を徐々に変えながら、同時に存在しています。食品としての大豆に関してもその図式が当てはまるようです。
 
(グループ1)大豆は健康食品であり、伝統食である。
 
・大豆はタンパク質の豊富な健康食品である。「畑の牛肉」と呼ぶ人もいる。
 
・大豆が健康食品と考えているのは日本人だけでなく、たとえば多くの米国人もそう考えている。米国のスーパーマーケットではTOFUは人気食品のひとつ。赤ちゃん用の粉ミルクがありますが、大豆の粉ミルクというのも米国では需要が高い。
 
・大豆は、とくに加工食品や発酵食品は、ぼくたち日本人の食生活からは切り離せない。大豆がないと、豆腐も厚揚げも味噌も醤油も納豆も作れない。
 
 
(グループ2)発酵食品以外の形で大豆を食べると、健康を害する場合がある。大豆はほとんどが遺伝子組み換えなので、それも問題である。
 
・米国で生産されている大豆の90%以上が遺伝子組み換え。遺伝子組み換えということは、除草剤や殺虫剤に耐性があるような具合に(そんなものを噴霧されてもどうということもないように)遺伝子を組み換えられているということ。大豆を食べるということは、よほど注意していないとそういう不思議な農産物、あるいはそういう不思議な農産物をエサにして育てられた家畜を食べるということ。これは人類史上初めての経験なので、どういう風な影響が出るかは誰もよくわからない。
 
・大豆油はn-6系のリノール酸を多く含む植物油のひとつ。つまり、日本人が揚げ物や加工食品(ドレッシングやマヨネーズ)を通して過剰に摂取している油のひとつです。消費量は抑えた方が健康的。
 
・大豆は、納豆や味噌や醤油のような大豆を発酵させた食品は別だが、サポニンやフィチン酸といった自然毒素であるところの反栄養素を含んでいる。この反栄養素は、タンパク質の消化酵素の働きを阻害する。
 
・大豆に含まれるイソフラボンは女性に悪影響を与える。
 
・大豆粉ミルクは、大豆に含まれるエストロゲンが赤ちゃんの健康を危機にさらす。
 
・大豆油、豆乳、豆乳を使ったヨーグルトやチーズ、大豆で作った「もどき牛肉」、大豆タンパク、大豆粉ミルクなどにはMSG(グルタミン酸ソーダ、グルタミン酸ナトリウム)が含まれていることが多いので食べないほうがいい。
 
・食品表示法では「【アレルギー物質を含む食品の原材料表示について】(食品衛生法に基づく)」という項目で下記の原材料の表示を義務付けている。その理由は「近年、乳幼児から成人に至るまで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増えてきました。アナフィラキシーショックも年々増加しています。・・・食物アレルギーでは、極微量でも発症することから、加工食品1kgに対して数mg以上含まれる場合、表示されることとなります」。
 
 必ず表示しなくてはならない特定原材料は「卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに」、それから表示が勧められている20品目は「いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉」で、大豆は20品目のうちのひとつ。
 
 
(グループ3)大豆は、発酵させてあっても、悪影響を被る人がいる。
 
・グループ2では、健康にいい食べもの、安全・安心な食べものとされている「大豆の発酵食品」(つまり、味噌や醤油や納豆など)も、発酵過程で生成された生体アミン(ヒスタミンやチラミンなど)がそれを食べた人に炎症やアレルギーなどの悪影響を及ぼすことがあるので、それらに敏感なかたは大豆発酵食品も避けた方がいい(関連記事は「味噌と醤油とヒスタミン」)。
 
 
以上、現在、世界に同居している「大豆や大豆食品に関する複数の考えかた」をまとめてみました。このブログの身近な読者からそういうリクエストがあったからです。個人メモ的な記事です。
 
【註】国産大豆の国内大豆消費量に占める割合、つまり自給率は、5%~6%程度です。大豆は、日本では、煮豆惣菜として食べたり、豆腐や油揚げという形で食卓に並べたり、味噌・醤油・納豆といった発酵食品に加工して口に入れています。植物油の原料としても大豆は大量に使います。
 
内訳をみると、食品用(豆腐や味噌や納豆として食べる)の自給率は21%くらい。油糧用(植物油用)の自給率は0%。つまり、大豆は大部分が米国などから輸入されています。油糧用(植物油用)の大豆消費量は食品用の約3倍なので、総体的な自給率は5%程度になります(農水省データ)。

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2017年7月 4日 (火)

味噌と醤油とヒスタミン

醤油や味噌といった大豆の発酵食品は体に良くないらしい、という趣旨の文章にインターネットで出合いました。この手のインターネット上の記事というのは眉唾も多いのですが、その記事が参考にしてしていたのが「最強の食事」という2015年9月に発売された翻訳本でした。配偶者に聞くと、読んだことはないけれども本の紹介記事でその存在は知っているという。で、その本を買って、醤油・味噌関連の部分だけでも丁寧に読んでみることにしました。
 
読んでみようと思った理由は味噌や梅干しやタクアンや糠漬けはすべて自家製であり、味噌だけでなく納豆や醤油も好きなぼくとしては、その根拠が気になったからです。(なお、原著は「The Bulletproof Diet」というタイトルで2014年12月に米国で出版されています)。
 
斜め読みなので見落としがあるかもしれませんが「最強の食事」(日本語版)における発酵大豆(の害悪)に関する記述は、以下の2カ所です。『・・・』が引用部分。
 
ところで、この本は、やたらに参照データというかデータ参照の多い書物で、日本語版では、参考資料一覧URLから関連資料を見ることになっています。
 
(1)第1章(日本語版45~46ページ)
 
『ヒスタミンその他の生体アミンは、野菜や種子などの植物性か、ブタや魚といった動物性かにかかわらず、タンパク質を細菌が分解するときに形成される。食物由来のヒスタミンの最大の供給源は、発酵大豆である。僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こしたが、食事から生体アミンを排除したところ症状はなくなり、集中力が高まった。』 (下線は「高いお米、安いご飯」による)
 
やたらにデータ参照、資料参照が多い書物なのですが、上記下線部分に関してはそういうものはありませんでした。
 
(2)第8章(日本語版226ページ)
 
『アジア料理によくある味噌、納豆、醤油などの発酵大豆は、発酵過程で反栄養素が低減されるので、通常の大豆とはまったく違う。それでもまだ高濃度のヒスタミンなどの生体アミンや真菌代謝産物、グルタミン酸ナトリウム(*18)を含む場合がある。』
 
こちらに関しては、【註】(*18) があり、関連の論文を2つ参照できるのですが(2009年の醤油関連がひとつ、2012年の味噌関連がひとつ)無料で参照できるのはAbstractだけで、それ以上は論文購読料が必要だし、醤油の著者と味噌の著者が違う。味噌・醤油・納豆をいっしょにまとめたタイプの、できたら日本人によって数年以内に書かれた調査資料がないかと探していたら、以下が見つかりました。
 
農水省 消費・安全局の調査報告書(2012年)で、タイトルは「大豆発酵食品中のヒスタミン及びチラミン濃度の調査及び経口暴露の推定」です。報告書の目的(そのまま引用)は、以下の通り。
 
【目的】 ヒスタミン(Him)やチラミン(Tym)は、動植物体内のヒスチジンやチロシンが、脱炭酸酵素により分解されて生成するアミンである。 HimやTymは、食品の腐敗以外にも、食品の製造工程において脱炭酸酵素を産生する細菌等により生成するため、チーズ、ワイン等の発酵食品に含まれている場合かおる。ヒトが食品を経由してHim又はTymを過剰に摂取した場合、急性的にアレルギー様症状が起きる可能性かおる。そこで、日本人が摂取する量・機会が多い大豆発酵食品(しょうゆ、みそ及び納豆)を対象に、Him及びTym濃度を調査し、経口暴露量を推定した。
 
その報告書からこの記事に必要な部分を引用し編集すると以下のようになります。なお、Himとはヒスタミン、Tymとはチラミンのことです。
 
2012
 
当該報告書の【考察】は以下の通り。一部を除き、そのまま引用。
 
『【考察】 大豆の発酵工程でもHim、Tymが生成することが確認された。ただし、ワーストケースにおける各食品からの推定暴露量は、健康被害が報告されている最小量より低かった。これら大豆発酵食品のみの摂取によって、Him、Tymを原因とする健康被害が発生する可能性は通常低いと考えられる。』
 
味噌や納豆は、それらにとても敏感なひとは別ですが、気にするレベルではなさそうです。醤油も摂取量という意味では気にする必要はないと思います。しかしながら、その報告書を見ると、普通の醤油にはヒスタミンやチラミン含有量がけっこう高いものもあるようです。
 
だから、そういうものに敏感なかたや大豆アレルギーのあるかたには、普通の醤油でなく、小麦と塩が主原料の(つまり、大豆を使っていない)「白醤油」という手もあります。白醤油はレンコンなどを煮たときの色が上品に仕上がります。(白醤油の欠点は甘いことですが、甘味料入りの甘いタイプの大豆醤油が好きな地域もあるので、何とも言えない。)
 
「最強の食事」の著者は『僕は、たまたま寿司に醤油をつけてたらふく食べたときに頭痛とじんましんを起こした』と書いてあり、醤油をいっぱいつけて寿司をたらふく食べたのか、醤油を適量つけて寿司をたらふく食べたので、結果として醤油摂取量が急激に増加したのかわかりません。シリコンバレーには旨い寿司屋も多いので(カリフォルニア産のおいしいジャポニカ米と地元と近隣で獲れる新鮮な魚介類とカリフォルニア産のソイソース<醤油>がそこにある)、大豆に弱いかもしれないインテリな巨漢が寿司に醤油をいっぱいつけてたらふく食べるというのは不思議な光景ではありません。
 

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2017年5月10日 (水)

2016年度産の最後のタクアン

 
2016年度のタクアン」の最後に「数日間、発酵の始まる様子を見ながら、必要なら日本酒を追加するなどの工夫をします。落ち着いてきたら蓋が閉まるまで重しを減らし、寒い中でゆっくりと寝かせてやる。食べ始めるのは来年1月の中旬くらいから。5月の連休あたりまで、ほぼ毎日、朝食で味わうことになります。」と書きましたが、この前の日曜日(5月7日)に最後の6本を取り出しました(すぐに食べないのは、真空パックして冷蔵庫へ。真空パックをすると風味が逃げず、長持ちします)。
 
札幌は暖かい日があるといってもやはり寒いのでゴールデンウィークあたりまでは、タクアンを戸外で発酵させ続けても大丈夫ですが、さすがにそのあたりがギリギリです。漬かり過ぎの一歩手前といったところでしょうか。配偶者もぼくも、この程度の漬かり具合を堪能できますが、ひとによっては、漬かり過ぎというかもしれません。微妙なところです。
 
2016_b2_2
 
戸外でアイスボックスに収められてこの半年を過ごしてきた一斗(いっと)入りの容器(正確には19リットル入りのホウロウ容器)を、丁寧に洗い、次の出番まで休ませます。
 

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2017年4月 4日 (火)

酒粕で作るパン種

生酒(なまざけ)しか造っていない酒蔵の酒粕を入手することができました(「生酒」とは、火入れ、つまり加熱処理による殺菌を行ってない日本酒のこと)。簡易甘酒に使ってもいいのですが、それだともったいない。この酒粕からパン用の天然酵母(パン種の元種)を作ります。
 
日本酒は、麹(こうじ)の酵素(アミラーゼ)が米のデンプンをブドウ糖に分解し(これが糖化)、酵母(こうぼ)がそのブドウ糖を利用しながらアルコールを作っていきます(これが発酵)。この糖化と発酵が同時に進むプロセスを並行複発酵といいますが、ここで重要なのは、並列云々ではなく、日本酒造りには酵母が必須だということ、それから、どんな酵母を使うかで日本酒の味わいがずいぶんと違ってくるということです。発酵工程がとても重要な役割を演じる食品であるところの小麦粉のパンもそういう意味では同じです。
 
火入れした日本酒だと酵母が死んでいます。だから火入れした日本酒も造っている蔵元が販売している酒粕からはパン用の天然酵母が作れるとは限りません。以前、実際にうまくいかなかったことがありました。しかし、生酒しか造っていない蔵元の酒粕だとそういう問題はないはずです。
 
写真はその制作過程です(開始後10時間後の様子)。酵母のご飯(栄養)は黒砂糖です。すでにぷくぷくと元気なので、しっかりと閉めてあるシリコン製の蓋をすぐに持ちあげてしまいます。
 
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次の写真(左側)は制作開始から34時間後のぷくぷくの様子。とても元気なので、パン用の天然酵母ができあがるまで72時間も必要ないかもしれません。こうしてできた天然酵母の一部と全粒粉を同じくらいの量で混ぜ合わせると、そのミックスしたのが倍くらいに膨らみます。それがいわゆるパン種です(右側の写真)。企業がこれと同じものをプロらしく製造すると、市販のパン用天然酵母として温度管理されたお店の棚に並びます。自家製のパン種があれば、個性的でおいしいパンがいつでも焼ける。
 
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関連記事は「パンと酵母」。
 
 

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