北海道にはそれなりに規模の大きな洋菓子屋(洋菓子製造販売会社)が多く、札幌にはそれぞれ札幌本店が店を構えています。そしてたいていはその建物の、たとえば2階に、ゆったりとした大きな喫茶室が用意されている。
ある用件を済ませた後、配偶者がちょっとお茶をしたいというので、ある洋菓子屋の2階にある喫茶室に入りました。時刻は平日の午後4時半。こういう時間帯はそういう喫茶室も空いているはずなのですぐに座れると判断しそこに決めたのですが、予想通り客のテーブル占有率は60%程度でした。
ぼくたちが注文したのは、ソフトクリームとコーヒー。こういう洋菓子屋喫茶室のソフトクリームというのは、原材料が北海道産牛乳なので、それぞれに個性があっておいしい。一定水準以上のレベルで個性を競い合っていて、当たり外れがありません。
好奇心で、失礼のないようにそこのお客の数を数えてみると、われわれを除いて、4人連れが2組、2人連れが8組、一人が2組、全部で26人です。全員が女性。サービス業や流通業でその平日が休日の男性もいるはずですが、こういう場所には近づかないらしい。
嫌がる配偶者の協力も得て、その26人をだいたいの年齢別に分けてみると、20代が10人、30代が2人、40代が9人、50代が2人、60代が3人。旅行ガイドをテーブルに置いてケーキを食べているアラサーの明らかに旅行中の二人連れ以外は、地元の女性のようです。
飲み物やケーキでおしゃべり中という典型的な喫茶室紹介写真のような雰囲気の人たちは少なくて、おしゃべりもするのだけれど、あとは、ケーキなどを食べ終わるとめいめいに、インターネットなのかラインなのかスマホの画面に視線を落としたまま勝手に時間をつぶしています。しかし、またすぐにおしゃべりが再開されます。連れとのリアルなおしゃべりと情報端末を通したバーチャルなおしゃべりがシームレスにつながっています。
若い世代ほどそうだというわけでもありません。年齢層にかかわらずそうでした。これはぼくにとってはちょっと意外でした。
最近はAIスピーカーの宣伝やニュースが目につきますが、音声をユーザーインターフェースにしたユーザ支援ソフトウェア(たとえば、情報検索や質問)は、OS付属の同種のソフトウェアと同じで、頭がいいとは言えない。お付き合いにはけっこうな忍耐が必要なほどに、けっこうにおバカです。たいていは、そのおバカ加減にうんざりして利用を停止する。
しかし、リアルとバーチャルな会話(リアルとバーチャルの井戸端会議)を途切れなく組み合わせる女性をみていると、女性の方が、ユーザーインターフェースの癖さえ分かってしまえば(それは、おバカだけれども好きなペットの癖みたいなものなので)、情報技術先端の応用分野には適応性があるのかもしれません。
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