環境

2020年7月 9日 (木)

その日の天気は「雨雲の動き」(予想)を見るに限る

天候の今後の推移(晴れとか曇りとか雨とか雪とか)と最高気温・最低気温を含む気温推移、降水確率などを一覧にまとめた天気予報は一応参考にしますが、参考の仕方は一応程度です。

日々の利用者側からすると、それほど信頼できるものではありません。無料だから仕方ないとも言えるし、気象庁や気象台は税金で運営されているのでその不正確さに文句を言ってもバチは当たらないとも思うとも言える。

我が家で最も頼りにしているのは、データソースは同じはずだとしても、表現形態が異なるところの「雨雲の動き」(実況と今後15時間の雨雲の動き予想)。一番重要なのは雨が降るか降らないか、降るとしたらどれほど長く降るか、どれほど強く降るかで――強さに関してはエリアマップ風の「豪雨レーダー」というのもある――そういう目的には「雨雲レーダー」です。今後15時間の雨雲の動きを日本全土を対象にした地図上で表現してくれます。札幌上空を流れる雲を、その地図上で眺めていると、外出には傘は必要かどうかが判断できます。

急な外出を含む日常生活の傘判断に便利なだけでなく、大雨や梅の天日干し(土用干し)のときにもとても役に立ちます。


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2020年7月 1日 (水)

日帰りバスツアーとマイバッグと赤梅酢

この三つは普段はお互いに関係あるとは思えないのですが、新型コロナウィルスが底にあると繋がってきます。

日帰りバスツアーの案内が紙媒体でもメールでも頻繁に届きます。以前七月上旬に積丹半島を巡る「ごはんの見えないウニ丼ツアー」に配偶者と参加したからです。旅行会社はこの三カ月はほとんど開店休業状態だったと思うので旅行会社もプロモーションに懸命です。

しかし、潜在顧客の一人としての意見を述べると、参加する気にはなりません。札幌の北西にある観光客の多い港町で相変わらずコロナ感染者が出現しているそうですが、その場所は高齢者が集う「昼カラオケ」だそうです。マスクを外して狭い場所で歌を歌うのが感染原因でしょうか。そう考えるとその街を通過していく日帰りバスツアーは、小規模ではあるけれど「走る昼カラオケ」みたいなものです。「ごはんの見えないウニ丼」は魅力的だとしても、無理に近寄る必要はないということになります。

しっかりとした紙袋や紙バッグに食材や加工食品を詰めてくれるところでは喜んでそのパッケージを受け取っていました。これからも、安全と安心のために、お金を払ってもそうすると思います。

一方、有料のポリ袋に関しては数円といえどもバカな出費という思いがあって近所の小売店で買う大量の野菜などは複数の出来のいいマイバッグに詰めて持ち帰っていました。しかしマイバッグはエコかもしれないが汚れるので、つまりバイキンの巣窟になる恐れがあるので定期的に洗濯していました。コロナ騒動以降洗濯回数は増え今日に至ります。マイバッグは頻繁に洗濯しないとバイキンと新型コロナウィルスだらけになってしまう。洗濯のできる布マスクと同じです。

よくある話ですが、一つの視点で見たエコは、別の視点ではノン・エコに転化します。レジ袋コストと、洗剤コストと水道コストの増分を比較しないとどちらがエコかわからない。そして、レジ袋はたいていの消費者がRE-USEしています。

毎年の梅干し作りの副産物である赤梅酢を薄めて帰宅時のうがいに利用して、ずいぶんになります。赤梅酢は今までは調理用とうがい用だけでは使いきれなかったのですが、新型コロナの出現でうがいの頻度が高まったので、今後は家庭内需給が、逼迫することはないにしても、安定しそうです。


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2020年6月22日 (月)

プロ野球の無観客試合の打球音が素晴らしい

6月19日からプロ野球が始まったので、その夜にテレビのスイッチをオンにしました。無観客試合なので、観客の声援がモチベーションになっているに違いない選手には申し訳ないのですが、例年の野球中継よりは楽しめました。久しぶりのプロ野球中継とあって、地上波でも全チームのライヴ中継を放送してくれています。

聞こえてくるのは、アナウンサーと解説者の声を除けば、選手の声と投手の投げたボールがキャッチャミットに収まる乾いた音と、主審の声と、それからヒットや強いファウルの乾いた打球音だけです。

打球音が球場に響き渡るのは、じつに耳に心地よい。話の内容に付加価値のなさそうな解説者とアナウンサーの声をカットした副音声にすれば(チャンネルによってはそうできる)、野球の試合をやっている野球場をひとりで借り切りにしたような雰囲気を味わえます。

余計なお世話ですが、付加価値のない解説とは、ぼくの基準では、たとえばプロゴルフ中継では各プレーヤーの出身大学と学部の紹介に結構な時間を使うような説明、女子マラソンでは朝食に何を食べたかなどの選手の生活レポートのようなものを指します。

で、どう贔屓目に見ても内野守備の上手いとは言えない地元のチームが最初のアウェイの3連戦は2勝1敗でした。

観客収入がないと球団や球界は困るとはいえ、無観客試合中継の打球音の響きは捨てがたい。

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2020年6月11日 (木)

マスクのフィット感の微調整作業

耳にかけるゴム紐の中心部を結んで少し長さを短くして全体のフィット感を高めるなどは、本当は無しにしたいのですが、当面は必要な作業だと心得ています。

テレビのレポーターなどの場合はそういう状態だと目立つので気の毒だとも思いますが、買い物ですれ違う客でもマスクが鼻からずれ落ちたような状態のかたがいて、どうもマスクの役割を果たしていないのではないかと気になります。余計なお世話だと言われたらその通りだとしても、この人の部屋もずれ落ちかけたマスクと同じ状態かもしれないなどと余計な想像をしてしまう。

ゴム紐が圧着箇所からすぐに剥がれててしまうような、新規参入のいかにも素人っぽいメーカーが製造したマスクはその品質が論外だとしても、そういうものも含めてこの2か月で、50枚単位の箱入りサージカルマスクや、「ご家族で1個(複数枚入り1セットのこと)まで」という注意書きのある5枚入り、7枚入り、10枚入りまで含めていろいろな製造会社の一般用マスクを少しずつ購入する羽目に陥りました。サイズも耳にかけるゴム紐の作りも品質もそれぞれ、わずかずつ、違います。

大人用・普通サイズと書いてあっても、またタテヨコのサイズ表示が製造業者によって、たとえば

・ 90mm x 170mm
・ 90mm x 165mm
・ 95mm x 170mm

と異なっているのは仕方ないにしても、一般用マスクの耳にかけるゴム紐には標準仕様というものがないようです。だから、鼻から顎までできるだけぴったり覆うには耳にかけるゴム紐の中心部を結んで少し長さを短くして、ゴム紐の品質レベルと相談しながら全体のフィット感を高めるという作業が、マスクに応じて必要です。

面倒ですが、その作業でマスクが顔にピタッとフィットすると瞬間的な達成感は得られます。馬鹿馬鹿しいと言われたらそれまでですが。

 


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2020年6月 8日 (月)

時節柄を反映した「ハウスクリーニング」お勧めメニュー

「ハウスクリーニング」の案内チラシが入っていました。ポスティング広告のチラシです。その内容が時節柄を反映したものだったのでなるほどと納得しました。

新型コロナ対策で自粛要請が続いていた間は、地域間格差があっても、ハウスクリーニングサービスの需要は他のサービス業と同じで大幅に減少したと想像されます。家族全員が家の中に一ヶ月以上居続ける状態では、一日三度のご飯作りやその他で汚れがいつも以上にひどくなっていても、「知らない人」であるクリーニング作業店の担当者を、この時期に丸一日近く自宅に呼び入れるのに抵抗があったはずです。

しかし、自粛要請の解除で、学校も始まりテレワークの頻度も少なくなり、夏も近づいてきてやっと季節のハウスクリーニングを考える余裕が出てきた。こういうサービスは冬よりは夏のほうがおそらく気分的に頼みやすい。ハウスクリーニング会社はそのあたりの消費者事情に敏感なはずです。

案内チラシが今年の時節柄を反映しているというのは、いくつかのお勧めプランのそれぞれに「玄関除菌」が組み合わさったセットになっていることです。このハウスクリーニング会社ではあるいは以前からの標準的な組み合わせなのかもしれませんが、ぼくには、終息にはまだまだ時間がかかるであろう「新型コロナ」対策用としての追加クリーニングメニューと映ります。

・ガラス清掃 +玄関除菌
・床清掃 +玄関除菌
・レンジ回り清掃 +玄関除菌
・洗面所・流し台・トイレ清掃 +玄関除菌

家族だけでなく、お客や通販業者や近所の人やいろんな人たちが外を歩いた靴で入って来るところの玄関回りは、一度はプロの手で、徹底的にきれいにしておきたい。そういう消費者需要が、自粛解除後にいっそう顕著になった。そんな気がします。

でも、チラシに書いてあるプランをまとめて依頼すると、けっこうな値段です。


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2020年6月 5日 (金)

一般用不織布マスクの適正価格

一般用の不織布マスクがそれなりに出回ってはきたので比較的簡単に手に入るようになってきました、が・・・。

流通量や流通価格には地域差があるのかもしれないけれど、ぼくの住むあたりでは、一般用がプロ仕様準拠のサージカルマスクの1年前の値段と同じくらいで販売されていて、有体に言えば、5枚セットが1枚100円くらい(だから税込みで500円少々)でマスクの棚の面積の半分くらいを占める感じで売られていて、しかしその製造流通会社はマスクのそれとしては今まで聞いたことがない。

配偶者もぼくも10年以上前から、マスクは必要に応じて使うようにしているので(たとえば風邪の季節に室内の人混みに入るときとかの必需品)、どういう企業のどういうブランドのマスクが高品質なのかは経験的に知っています(プロ仕様と一般用の違いも含めて)。

不思議だったのは、その隣に1枚が50円くらい(税込み)の5枚セットが数量は少ないのだけれども並べられていたことです。その会社は、製造地は中国だとしても、以前から品質のいいマスクを提供していて、しかし新型コロナ騒動直後の需給の逼迫の時期にはこの会社なマスクは市場から瞬間的に消えてしまい、どうなったのだろうと思っていたら、偶然100円マスクの隣で出合ったというわけです。記憶によれば、その値段はコロナ騒動前と同じです。注意書きが、以前は一家族一個だったのが一家族二個(ひょっとしてお一人様二個だったかもしれない)に変わっていたのでその50円マスクセットを二個購入しました。

モノには適正価格というのがあるもので、それは需給がそれなりに安定しているときの商品としてのそのモノの価格のことです。いい加減な品質でも暴騰していた不織布マスクが値崩れを起こしているのは「ご同慶の至り」だとしても、マスクの価格は一年前には戻らないみたいです。一般用でも品質のしっかりしたものは一枚50円くらいで推移するのかもしれません。

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2020年6月 4日 (木)

札幌は五月と六月と七月

札幌は五月と六月と七月の三カ月のために残りの九カ月が控えに回っているのではないかと思えるほどこの三カ月の気候は素晴らしい。五月にリラ冷えはあっても寒くなく、七月に夏日があっても暑くなく、湿度が低いので爽やかです。

結婚式は一年でいちばん心地よい季節に挙げるのが人間の本性に適っているとすると札幌の結婚式はこの三ヶ月です。しかし今年はその人間の事情でそうはならない様子です。。

写真は上が五月半ばの白樺、下が六月初めの白樺で、ともに早歩き散歩コースにある街路樹です。

White-birch-5a
White-birch-6

そういう散歩はこの時期はたいていは夕方で、明るい夕方の長さを味わいながら樹々の緑を横切っていく。

リラ冷えの日は長袖のポロシャツに厚手の木綿のスウェットシャツ、少しだけ寒い日は長袖ポロシャツに厚手の半袖Tシャツを重ね、心地いい気温のときは薄手の半袖Tシャツと厚手のTシャツの重ね着、夏を感じるときは半袖Tシャツのみ。速度はひとりだと時速6.0㎞くらい、配偶者といっしょだと5.6㎞程度。赤信号待ちは嫌なので、途中駆け足になる場合もあります。

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2020年5月29日 (金)

アベノマスクが届いた

アベノマスクが昨日(5月28日)届きました。

アベノマスクの配布状況は、「安倍晋三首相が全世帯に配ると打ち出した通称「アベノマスク」の配布が遅れている。25日時点で届いた割合は2割ほどで、今月中に配り終えるのは難しくなっていることがわかった」(朝日新聞 digital 2020年5月27日)ということみたいですが、それが昨日我が家に届いたというのは、新型コロナ感染者が相対的に多い北海道の配布優先順位がやや高くなった結果かもしれません。しかしそんな微調整がされているとも考えられないので、実際はたまたまそれなりに早いほうの順番で届いただけのことだと思います。

このマスクを着用することはないとしても、記念に配達時の袋ごと撮影。確かにサイズは小さいし、確かに素材はウィルスの入出力防御機能がほとんどないところのガーゼです。出荷検査を通過したのかゴミの付着やカビ汚染はなさそうです。

関連記事は、4月6日の《「布マスク2枚」は「ケーキ」を超えたかもしれない》と4月15日の《政府が今週から2枚ずつ全戸配布する新型コロナウィルス用「布(ガーゼ)マスク」》。

20200528

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2020年5月27日 (水)

鬼一口(おにひとくち)・補遺

これは家族とぼくのための個人メモです。自分で納得はしていたとしても勝手な憶測や聞き書きの部分(自分で検証していないという意味)もありますので、適当に読み流してください。

今回の新型コロナウィルス感染に関して明かなことのひとつは、(変異種も含んで)当該ウィルスの治療薬もワクチンもまだ存在していないということです。別のターゲット用に開発された複数の薬が援用されて一部は効果を発揮しているようだとしても、それはそれだけのことでこの感染症の治療薬ではない。ワクチン開発もこれからです。

日本でこのウィルスに感染していると判明した人たちの数、地方自治体で検査の結果日々報告されている新規感染者数は、今のところは減少傾向にあるようです。(なお、このウィルスによる世界の死者数も、南米以外は減少している。しかし北米の状況は現在もそれほどは良くはない。)

しかし、だからといって、実際の感染者数や潜在的な感染者の数が少なくなったわけではなさそうです。そういう方向を指し示す調査は存在しないので。

確か台湾政府の調査分析によれば、すべての変異種についてそうかどうかはわからないにしても、「当該ウィルスの感染者」が「感染していない他者」にウィルスをうつす時期はいつかというと、その感染者の発症後ではなく、発症の数日前から発症時まで、だそうです。つまり、熱を出して苦しそうな状態の患者からはほとんどうつらなくて、発症前で自覚症状がない元気な状態の感染者のほうが明かに強い感染力を持っていたそうです。言葉を換えると、37.5度の熱が4日間続いた患者は、他者にウィルスをうつすという観点からは、相当に安心な存在ということになります。

メディア報道によれば、政府が6月に導入しようとしている「(新型コロナウィルス対策用)接触確認アプリ」は、ブルートゥースを使いグーグルとアップルが共同開発して各国の公衆衛生機関に提供しているものだそうです。グーグルとアップルというIT基盤の提供者が一緒になればすべてのスマートフォンユーザが対象になるわけで、そうなるとこれがいわゆる「アプリ」なのかそれともアプリという装いを持った「OS」の一部なのかよくわからない。

スマホユーザーが新規の個別アプリとしてダウンロードしなくても、このソフトウェアは「OSアップデート」の一環としてiOSとAndroid OSのスマートフォンに勝手に入ってきます。勝手に入ってきても、このソフトウェア用の「ON/OFF」ボタンや「ENABLE/DISABLE」スイッチがあればいいのですが、どうなのでしょう。このソフトウェアはブルートゥースを使うらしいのでそれをオフしている間は「接触確認」は有効にならない、とも言えますが、つねにブルートゥースをONにしているかたには悩ましい。

それも悩ましいですが、もっと悩ましいのは、以下のようなことです。

かりに、保健所で新型コロナウイルス感染者などを管理するシステムに陽性者が登録され、登録された陽性者は、保健所の通知を受けて自分が陽性者であることを協力的に善意を持って「接触確認アプリ」に入力したとします。

上述の台湾政府の調査分析が正しいとすると、そういう陽性者が他者への感染源となるのは発症前の数日で、そのもっと前とか、症状が出た後はその陽性者は感染源にならない。「保健所で新型コロナウイルス感染者などを管理するシステム」には、おそらく、なんの症状もないのにたまたま検査したら陽性になったばかりであることが判明した人から、感染したものの何となく直った人や、入院して無事退院した人までがすべて含まれています。

この「接触確認アプリ」をダウンロードした人が当該ウィルス陽性者と接触した場合には接触者アラートがその人に通知される塩梅になっているそうなので、下手をすると緊急性のない(あるいは実際には意味のない)緊急速報がそのあたりを飛び交うことになるやもしれません。

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2020年5月26日 (火)

鬼一口(おにひとくち)

能「通小町(かよいこまち)」の中で深草少将が小野小町のもとに通い詰めているときの描写のひとつに科白で「さて雨の夜は」「目に見えぬ鬼一口(おにひとくち)も恐ろしや」というのがあり、これは「伊勢物語」からの借用と言われています。

平安時代初期の「伊勢物語」に限らず、日本の説話においては、鬼が一口にして人間を食い殺すことを鬼一口(おにひとくち)と云いました。「伊勢物語」第六段(「芥川」)は以下のような内容です。昔は夜は死霊や生霊や鬼や魑魅魍魎が跋扈していました。

《むかし、ある男が何年も女のもとへ通い続けていたが身分の違いからなかなか結ばれることができないので、男はついにその女を盗み出した。逃走の途中で夜が更け、さらに雷雨に見舞われたために、鬼がいるとも知らず戸締りしていない蔵を見つけて女を中へ入れ、自分は弓矢を手にして蔵の前で番をして夜明けを待った。ところが女はその蔵の中に住んでいた鬼に一口で食い殺され、女の死に際の悲鳴も雷鳴にかき消されてしまった。やがて夜が明けて男が蔵の中を覗き見ると女の姿はどこにもなかった(原文は「はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。・・・やうやう夜も明けゆくに、見れば、率(い)てこし女もなし。」)》

以前、テレビで(今は特別天然記念物であるところの)オオサンショウウオ (大山椒魚)のドキュメンタリを見たことがあって、体長が1メートルくらいのオオサンショウウオが体長70センチくらいの(つまり自分と同じくらいの)大きさの魚を音もなく水の揺れもなく一瞬で飲み込んでしまうという場面に目が釘付けになりました。飲み込まれた魚のそばにいた別の魚が、仲間の一瞬の消滅に気がつかないくらいのとても静かな早業でした。だから、鬼が一口で人を食い殺すというのは、そういう自然が周りに満ちていた頃には決して荒唐無稽ではなかったのでしょう。

昨日(2020年5月25日)の安倍首相の「緊急事態解除記者会見」における冒頭発言に以下のような部分がありました(首相官邸ウェブサイトから引用)。

『・・・そのためには、感染者をできるだけ早期に発見するクラスター対策を一層強化することが必要です。その鍵は、接触確認アプリの導入です。スマートフォンの通信機能により、陽性が判明した人と一定時間近くにいたことが判明した方々、すなわち濃厚接触の可能性が高い皆さんに自動的に通知することで、早期の対策につなげるアプリです。(中略)このアプリが人口の6割近くに普及し、濃厚接触者の早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能となる大きな効果が期待できるという研究があります。我が国では、個人情報は全く取得しない、安心して使えるアプリを、来月中旬をめどに導入する予定です。どうか多くの皆さんに御活用いただきたいと思います。』

スマホにインストールした新しい監視アプリを使って我々がいつの間にか新型コロナウィルスに感染しているかもしれない、その可能性を連絡してくれるそうです

ITインフラサービス提供会社のクラウドサービスに個人データや家族データを無料で気楽に保存することに違和感や抵抗感や不安のないかたは気にならないかもしれないとしても、ぼくはそういうことが気になるタイプなので、こういうアプリを気軽にインストールする気にはなりません。

厚労省が企業としてのLINEを使って、LINEユーザーやLINE登録者に体調調査アンケートを3月末から5月にかけて数回実施しました。「現在の体調について教えてください」というタイトルのプッシュ型メッセージが利用者に送られてきて、そういうことに答えることに違和感のない人は調査に気軽に応じたと思いますが、その調査は『濃厚接触の可能性が高い皆さんに自動的に通知する』アプリを『来月中旬をめどに導入する』ための予行演習だったのかもしれません。どのような属性を持ったどれくらいの数の国民がその調査に協力したのかについての個別データが何回にもわたって手に入ったはずなので。

ぼくのような恐がり(あるいは慎重なタイプ)には、こういう政府の動きは「はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり」と映ります。


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